
映画版『わたしを離さないで』抒情的心理描写の応酬(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は「わたしを離さないで」です。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:純文学的味わいの切ないミステリー
あらすじ
介護士になったキャシー(キャリー・マリガン)は、幼いころに暮らしていた寄宿学校「ヘイルシャム」での日々を回想する。
そこで暮らしていたトミーとルースは友達だった。しかし、キャシーは次第に2人から孤立をしていく。
さらにヘイルシャムにはある「秘密」があった。
画が美しく、繊細。
登場人物たちのみずみずしい魅力がたまらない作品でした。
アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイも素晴らしい演技を見せてくれます。
閉鎖された空間での描写、序盤の雰囲気は『エコール』に似ています。
エコールは映画としてはひどく退屈な作品でしたが、
今作は登場人物の心理描写を入念に描き、ミステリー作品としての不気味さ&すっきりしない心地悪さ(この場合は、プラスの意味で)がそこかしらに顔を出します。
すごく淡々とした演出&話運びなのに始終引き込まれました。
この映画は単純に「閉鎖空間で暮らす少年少女たちを描いた青春物語」だけではありません。
SFの要素を持っています。
またこの映画の「真相」については早々に見当がつくと思います。
その真実を突きつけられても、それでも道を探そうとする登場人物たちの心情に心動かされるのです。
この映画は小説が原作ですが、ここまで繊細に映像化されているのなら原作のファンも納得するのではないでしょうか。
お子様には向きませんし(PG12指定でもいいくらい?)、終盤の展開も好き嫌いが分かれると思います。
しかし美少女、美少年が多数登場するので、それ目当てで観に行ってもきっと満足できるでしょうし、予告編の雰囲気にヤラれた方はもう必見と言ってもいい出来です。オススメです。
以下、ネタバレです↓結末に触れています!

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こんにちは。原作を読み、それから映画も観た者です。
「死が第三者に決められてしまっているー
それなら、どう生きるのか
そこが作品のテーマになっていると思います。」
と書かれていますが、そうではないと思います。
この作品は、私たちすべての人間のことを描いているのではないでしょうか。誰しもいつかは死ぬということです。
登場人物がなぜ逃げ出さないのかを考えれば、それがわかります。死から逃れることはできないからです。
ぜひ原作も読んでみてください。