『築地ワンダーランド』美味しんぼ好きにもおすすめ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『築地ワンダーランド』美味しんぼ好きにもおすすめ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は築地ワンダーランドです。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:築地すげえ……

あらすじ

築地市場に初めて1年以上に渡る長期密着撮影が許され、一般立ち入り禁止のエリアに初めてカメラが入った。
春夏秋冬の旬の魚、移りゆく風景、プロ意識と職人気質が織りなす人間模様……それらを、ただただ追い続けていく。

長年に渡り日本の食文化を支え続けてきた、唯一無二の規模と特徴を持つフィッシュマーケット「築地市場」を描いたドキュメンタリー作品です。
本作の魅力については、以下にも書きました。
<『築地ワンダーランド』はドキュメンタリー版『シン・ゴジラ』だ!その5つの魅力とは? | シネマズ by 松竹>

映像と音楽とのシンクロっぷりが素晴らしい!

いやあ……本当に観終わった後、そのあまりのもカット割りの多さ、テンポのよさ、プロフェッショナルたちのカッコよさに、「シン・ゴジラじゃん!」と思ったのですよ。
音楽と美しい築地市場の映像とのシンクロっぷりが素晴らしく、それを体験したいがため2回目を観に行ったくらい、とことん映像作品として洗練されているのです。

2~3秒の早いカット割りは、映像の美しさ、音楽とのシンクロっぷりは、以下の未公開シーンを見てもよくわかるのではないでしょうか。

この音楽を担当したTakahiro Kidoさんの知名度が低すぎるのはもったいないよ!本作のサントラは発売すらしていないのかよ!(買おうと思っていた)。
→すみません!売っていました!iTunes、Apple Musicにもあるよ!

この機会に、ぜひ聴いてみてほしいなあ……。

『二郎は鮨の夢を見る』をいっしょに観てみるのもおすすめ

本作には、銀座のお鮨屋さん「すきやばし次郎」の店主である小野二郎さんも出演しているので、そのドキュメンタリー作品である『二郎は鮨の夢を見る』を合わせて観てみるのもおすすめです。

こちらでは、15分で3万円かかる(!)お鮨屋さんならではの、小野二郎さんのストイックさがこれでもかと表れていました。
これが鮨のプロなんだとわかりすぎる作品なので、ぜひ一度は観てみてほしいです。

ちょっとインタビュー人数が多すぎ?でも大学教授の解説がうれしい!

本作『築地ワンダーランド』の難点は、インタビュー人数が150人と多すぎで、「主人公」に当たる人物を追うような楽しみに欠けることです。
人物の名前を覚えることはほとんど不可能に近いでしょう。
特に、序盤の仲卸業者さんたちのインタビューは間延びしている印象でした。
せっかくインタビューをしたのですから、「すべて使いたい」という意図はとてもよくわかるのですが……上映時間も1時間50分とドキュメンタリーとしては長めですし、似た内容のインタビューはもう少し削ってもよかったのでは、と思わせます。

うまいのは、太っちょで親しみやすい、築地研究者のテオドル・ベスター教授がときどき築地の特徴を解説していること。
これにより、インタビューばかりでダレてしまうという難点が減少していました。

こうしたドキュメンタリー作品は、題材に興味がないとおすすめしにくいことがほとんどなのですが、『築地ワンダーランド』は築地に興味がない人にこそ観てほしいです。
このベスター教授の解説は明らかに「築地を知らない人」に向けたものですし、テンポの良さやプロの仕事の「驚き」を描いていることは極めて万人向けです。
本作を観れば、きっと日々食べている魚料理の見かたが変わることでしょう。

『美味しんぼ』好きにおすすめしたい理由

また、本作はマンガ『美味しんぼ』が好きな方にもおすすめしたいです。

今でこそ『美味しんぼ』は作品の質の低下、福島原発の「鼻血」問題、原作者の偏執的な部分が問題視されていますが、やはり食に関するリスペクトや問題提起はよくできている作品です。

本作『築地ワンダーランド』には、『美味しんぼ』にも似た、(築地市場に限らない)食の今後を見据えた考えが提示されるので、共感する方はきっと多いことでしょう。
具体的なその考えとは、「近頃の子どもは魚が切り身で泳いでいると思ったらしい……ちゃんと焼き魚をほぐして、魚を食べるということを認識してほしい!カップラーメンだけでなくて!」という主張なんですよ。美味しんぼっぽいでしょう?

ともかくこれはオススメ。
個人的にドキュメンタリーは「インタビューばかりで退屈」という、勝手な印象を持ってしまいがちなのですが、本作はそのインタビューシーンに築地の美しい映像、壮麗な音楽が覆いかぶさるので、ドキュメンタリーが苦手な人でも楽しく観られるでしょう。

タイトルに「ワンダーランド」をつけた理由がすっごくよくわかるのもいいですねえ。
キャッチコピーも「ようこそ、誰も知らない不思議の世界へ—」。築地は“不思議”という形容が確かに似合う場所であり、映画はその場所を冒険するような楽しさがあるのです。

市場が豊洲に移転する前に、ぜひご覧ください。
「80年の歴史」も含めて、築地市場の魅力を堪能できますよ。

腹が減りすぎる春夏秋冬

作中で好きだったパートは、築地市場の春夏秋冬を見せていくところ。
それぞれのプロによる年末の「一本締め」がクライマックスになっているのもいいですね。

そして美味しそうな魚料理を見て腹が減ること!
特に「鱧(はも)の梅ペースト添え」はキツい(褒めています)。あんなん見せられたら、速攻で海鮮料理屋が食べたくなるよ。

もっとも好きな「画」

テオドル・ベスター教授が、正午になり、誰もいなくなった築地市場を散策するシーンが大好きでした。
「ここは猫にとっては天国のような場所だろうね」って、本当だよ!

ベスター教授が、築地で落し物を届ける場所を紹介するシーンも大好き。
これはもう築地に限らない、日本ならではの美徳ですよね。海外の人からすれば、落し物が帰ってくる日本に感動するんだろうなあ……

もっとも感動したシーン

感動してしまったのは、終盤に3代も続いたお店を閉めないといけなくなった方に、インタビュアー(監督)が「僕は寂しいです」と口にすることですね。
本来ならばインタビュアーはインタビューに徹しないといけない立場だけど、ここではつい言葉がでちゃったんだろうな……。

80年も続いた築地市場が、豊洲に移転することで「違う姿」になってしまうことは間違いありません。
だからでこそ、『築地ワンダーランド』は、今でこそ観てほしい作品なのです。

(C)2016 松竹

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著者

ヒナタカ

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