
『オデッセイ』火星でもスーパーポジティブ!(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『オデッセイ』(原題:The Martian)です。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:極限までに豪華になった『アポロ13』だった
あらすじ
宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)は火星への有人探査計画であるアレス3のクルーとして参加するが、大砂嵐に襲われたうえ、ひとり火星に取り残されてしまう。
マークは持ち前の植物学者としての知識を活かし、水、空気、電気を確保し、さらにジャガイモの栽培を試みるが……。
大ベストセラー小説『火星の人』を原作とした映画です。
マット・デイモンは『インターステラー』に引き続き、またも惑星に取り残されるんですね(笑)。
知っておいてほしいのは、本作『オデッセイ』が原作からユーモア満載であったこと。
(映画では描かれていなかったのですが)原作では主人公が脱出の計算用に新しい単位「パイレーツ・ニンジャ」を考案したりするギャグが満載なんです。
脚本を執筆したドリュー・ゴダードは、「現代の科学者という変わり者も描いた作品を読んだことがなかった。脚色する際には、どんなことがあっても原作の活気にあふれた感情を維持しようと思った」と答えています。
おかげさまで、そのユーモアさは映画でも存分に発揮されています。
本作における主人公の状況は、
酸素ほとんどなし!
食料ほとんどなし!
通信手段もなし!
しかもたったひとり!
という、人間が考えうる限界ギリギリの絶望的な状況にいるのですが、主人公はほとんどの事象に対して前向きに生きようとします。主人公はスーパーポジティブなのです!
ここまでポジティブなのは、現実ではNON STYLEの井上さんくらいしか存在しないんじゃないでしょうか。
しかも火星でやっていることといえば、水や酸素の確保はもとより、ジャガイモ栽培とわりと庶民的なサバイバル。やっていることがテレビ番組的なノリでお茶目です。
そりゃ火星でひとり鉄腕DASHとか>火星でひとりいきなり黄金伝説な感想を持つ方も多いってもんです。
でも自分が感じたのは、一言感想で書いたとおり、ゴージャスになった『アポロ13』だったんです。
作中で起こるトラブル、計画の規模がものごっそい大きいのですから。
『アポロ13』は本当の出来事を映画化した作品で、NASAの人たちが宇宙に残された者の命を救うまでの物語が紡がれていました。
本作『オデッセイ』でもそれは同じ。
描かれているのは火星に残された主人公だけでなく、世界中のすべての人々。
主人公以外の人間も、たったひとりの人間の命を救うために尽力する物語でもあるのです。
火星に残されたたったひとりのために費やされるのは、何100日という途方もない時間。
お金だってかかる。自分の生活だって犠牲になる。
だけど、世界中がたったひとりを「助けたい」と願うのです。
『アポロ13』でも本作でも、自分がいちばん感動したことはここだったんです。
人間は心臓をナイフで刺されただけでも簡単に死にますし、それどころか何か悲劇的なことがあるだけでも自殺をしかねない、弱い生き物です。
どこかで誰かが事故で亡くなったというニュースがあっても、ほとんどの人が気にも止めません。
日常的に、人は、人の死を「粗末なもの」として扱ってきているのではないでしょうか。
だけど、本作では人の命は何よりも重く、尊いものだということを示してくれるのです。
これは言葉だけ書くとキレイゴトのように思えるものですが、本作を観ればそれは本当だと気付けるのです。
また、本作はユーモアも満載なのですが、そのセリフもちょっと泣けるところがあります。
なぜなら、そのユーモアの多くは、悲惨な現状を笑い飛ばすようなものであるから。
皮肉の効いたブラックなジョークが多めなのは、それが本当に鬼気迫っている状態であるから。そのときの精神状態を慮ってってことなんですよね。
人は悲しいときに笑ったり、本当に苦しいときにこそ、なんでもないような冗談を言ってしまう生き物だと思います。
そのような心理がわかる(いい意味で)バカバカしいセリフを聞けば、ついつい涙腺が緩んでしました。
本作はジャンル分けすればSFアドベンチャーなのですが、人間ドラマとしても抜群におもしろいのです。
音楽が最高!
音楽の素晴らしさにも触れておきたいです。
劇中では荘厳なBGMに対抗するようなノリノリなディスコ曲が流れるんだけど、これが意外にも泣きそうになってくるんです。
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これは作中のシチュエーションと、歌詞が絶妙にシンクロしているためでもあるのでしょう。
泣かせるシーンでホレホレ泣け泣け~という曲を流す邦画の人たちに教えてあげたいですね。羽住◯一郎監督とか。
『キャスト・アウェイ』や『2001年宇宙への旅』が好きな人にもおすすめ!
似た作品としては『キャスト・アウェイ』も抑えておきたいところですね。
『キャスト・アウェイ』では、無人島にずっとひとりでいるがゆえの「孤独との戦い」がずっと描かれていました。
ただし、本作『オデッセイ』では火星にひとりで残された主人公だけでなく、地球にいる人々の描写もたっぷりあるため、孤独感を期待するとちょっぴり期待はずれになってしまうかもしれません。
そのほかの本作の否定的な意見の多くは、「リアリティーがない」ということだったりします。
火星であんなにすんなりと水を作り出したり、ジャガイモ栽培までできるかな?という疑問は湧くかもしれません。
しかし、本作では全般でNASAが協力してますし、多くのところで理論の裏づけはされています。そもそもふつうの観客(自分含む)は無知なので何が間違っているのかわからんし。
画のクオリティーの高さも相まって、自分はまったく違和感などなく観ることができました。
また、終盤に中国が出てくることも、急激な経済成長に媚びているんじゃないかという批判もあるようです。最近じゃ『トランスフォーマー/ロストエイジ』も酷かったもんね。
でも、原作から中国は登場するので、まったくもってそういうイヤらしい狙いはないと思います。
オデッセイの中国のアレは原作だと実は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。映画でもよく見ると○○○○○○。でもそれも映画に落とし込む際に○○○○○○○として明快に描いてるのが上手い https://t.co/XpcreS3Ef5
— ジェット・リョー (@ikazombie) 2016, 2月 8
※むしろ皮肉として中国の進出を書いていそう。クリックするとネタバレ注意。
地味な難点は専門用語が多めなこと。
ときどきわかりやすい説明が入りますし、用語の多くは理解しなくても話は伝わるので、深く考えなくてもよいかと。
楽曲の歌詞の日本語字幕が一部しか表示されないのも残念だったなあ。
前述のとおり歌詞は作品とシンクロしているので、これから観る方(英語力のある方)はぜひ曲(歌詞)をよく聴くことをおすすめします。
また、邦題の『オデッセイ』は作品に合っていないという意見が多かったのですが、自分は悪くないと思います。
なぜなら、Odysseyは古代ギリシアの長編叙事詩から転じて「長い航海」も意味しており、『2001年宇宙への旅』の原題は「2001: A Space Odyssey」だったりするのですから。
(もちろん『The Martian(火星人)』の原題のほうが合ってはいるのですが、本作ではしっかりと長い航海(宇宙の旅)をした人物がいます)。
こんなに楽しくポジティブなSF映画を、『ブレードランナー』や『グラディエーター』のリドリー・スコットが監督したというのもまたおもしろいところ。
よくも悪くも、リドリー監督作品は作品のトーンがめっちゃ重かったり、主人公がずっと深刻な表情でいたり、オチに至るまで救いがないなど、暗~い映画が多かったんですよね。
『エイリアン』のキャッチコピーなんて「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」という絶望しかないもんでしたから。いろんな意味で、本作は『逆エイリアン』的な内容と言えそうです。
「彼を連れ還れ」と「彼の還りを待っている」じゃ、全然心意気が違う。 (前も言った) pic.twitter.com/9xn5jeSWQJ
— k u r i t a (@kuri_kurita) 2016, 2月 6
※本作のキャッチコピーはこんなに前向きだよ!
ともかく、これはすべての人間に幅広くおすすめします。
ちょっと「痛い」シーンがありますが、それ以外は極めて万人向けであり、時折出てくる科学ネタで理系ゴコロをくすぐるところも盛りだくさんです(←ここけっこう重要)。
予備知識はほとんど必要ありませんが、作中で出てくる単位「ソル」は覚えておいてよいでしょう。
ソルとは火星の1日を表すという単位。1ソル=約24時間39分35秒なので、ほぼ1日と考えてもよいでしょう。それを思うと作中の時間経過がヤバいことに……。
2Dで観ましたが、なかなか3Dを意識した「空間」の画もあったため、3Dで観る価値は十分でしょう。
142分と上映時間は長めですが、ひとときも退屈はさせません。
笑って泣けて、主人公のことをみんなが応援したくなる、痛快な娯楽作をぜひ劇場で。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved

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初めまして。
いつも、読ませていただいております。
毎回適格な表現力で感心しきりです。
私も初日の今日、観てきました。
指輪の大ファンである私は、予期せぬ「エルロンド計画」に驚き、
しかもそこにボロニアが!!
泣きそうなほど嬉しかったです。
こういう話にありがちな政府の陰謀やら謎の未確認生物などの飛び道具に頼らず、あくまで火星でのサバイバルと救出に焦点を当てている部分がとても良かったです。
主人公が窮地に陥る過程もご都合でなくきちんと練りこまれていて、その点でも真摯な作りに感じましたね。
主人公の前向き思考には励まさます、私も頑張らないとなぁ(笑)
エイリアンが出なくてもR・スコットが手がけるスペースものは格が違います!
「ゼログラビティ」「インターステラー」に続くハリウッドが年1で繰り出す秀作、アカデミー賞7部門にノミネートされているところも納得です。取り残された植物学者が絶望の中に見出すユーモアーと救出に動くクルーとNASAが上手く絡んで観る側をガッチリとホールドしています。一人の命を前にミッションや体制はどうあるべきかという究極の選択を主に置きつつも、赤い荒涼とした火星感の作り込みが秀逸で、農業・化学・物理・工学などあらゆるサイエンスを駆使して火星を生き抜くサブクエストの強かさに心打たれます。あのキューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い出すような宇宙船の造形やM・デイモンの減量によるサバイバル感は良く出来ていますが、私含めて普通の人々はまず不可能な話でもあります。「インターステラー」に続きJ・チャスティンはSF大作には欠かせない宇宙モノ女優と言えます、取り残された男同様に残されたダンスミュージックが絶望感を笑いに変え、そのギャップが何とも滑稽です。
この作品のスコットフィルムの後のロゴで
斧を並べて矢で射抜くのはたしかオデッセイの話でしたね
中国の援助は映画を援助してくれたのだから
人を助けるのも援助してくれるだろうと考えれば
いい意味でもメッセージになるかな
いつも楽しく拝見しています。
ABBAのアルバムを見せるのは、「音楽のセンスは最低」な隊長(ルイス船長)の夫ですね(笑)。個人的には「スターマン」と同じくらい、ABBAの「恋のウォータールー」が流れたときには感動しました。
映画としてよくできていると思いますけど、「科学の力で生き延びる」アイデアはカットされたシーンに多いんですよね。もしよかったら小説もどうぞ。ヒナタカさんがどう思われるか気になりますw
としまえんの4DXで観てきました。予告では派手なシーンばかりまとめていた(そりゃそうか)ので4DXを選んだのですが、実際の本編は落ち着いたシーンが多く、割と早い段階で失敗だったかと後悔しかけました。でも結局、合計で4回ほど、、4DXの効果により心臓のバクバク感が半端ないシーンがありましたので、それを体感できただけでも個人的には損ではなかったと思います。
みなさんコメントありがとうございます!
これは原作をよまなきゃ・・・(いそいそ)
> ABBAのアルバムを見せるのは、「音楽のセンスは最低」な隊長(ルイス船長)の夫ですね(笑)。個人的には「スターマン」と同じくらい、ABBAの「恋のウォータールー」が流れたときには感動しました。
ご指摘感謝です!
隊長も船長に変えますね。
ごめんなさい!カゲヒナタのレビュー9点も納得の感動作なのは確かなんですけど・・・のっけから野暮なツッコミってか愚痴を許してください。
地球人が七十億総良い人に違和感・・・。
なんというか、画面に映らない所で中国航天局では「我が国が人権国家だと世界に知らしめるチャンスです!」なんて下心があったり、「火星のたった一人の為に血税をいくら使う気だ!?それよりも数万の難民を!いや、国内のホームレスにパンとシャツと家を配れよ!」という非難の声もあったりしたんじゃないかなあ・・・なんて考えてしまったり。
・・・いいえ、きっとこの世界は戦車が女の子のスポーツになるあの次元の話なんだ!と、無理矢理捻くれた自分を納得させてます。
>主人公はスーパーポジティブなのです!
『127時間』のアーロン・ラルストン以来のスーパーポジティブマンでした!私なら計算の段階で億劫になって諦めそう・・・。
>火星でひとり鉄腕DASH
「なぜ宣伝にTOKIOの皆さんを使わなかった!?」という声が上がっているとか。
>本作は『逆エイリアン』的な内容と言えそうです。
『宇宙では、悲鳴上げてるヒマがあったら考えろ!そして行動しろ!』でしたね!
>それどころか何か悲劇的なことがあるだけでも自殺をしかねない、弱い生き物です。
ポジティブとはちょっと違うかもしれませし、こちらはユーモア何ありませんが『北朝鮮強制収容所に生まれて』のシン・ドンヒョクさん(北朝鮮の強制収容所で生まれ育ち韓国へ亡命した方です)「外国ではお金が無いくらいで自殺する人が居る事が未だに理解出来ない」と仰っていたのを思い出します。生まれた時から極限状態だった人の言葉に打たれました。
>栽培したタネイモ(ジャガイモ)が全滅したとき
ウンコ練り練り・・・ですら何か楽しそうだったこの畑、最終的にけっこうな規模になったり、エピローグで火星が農場化してたりを期待していたので、あっさり全滅にワトニーさんと一緒にガッカリ感がハンパなかったです。
>~地球にいる奴らもオタク~
最近のハリウッド映画に登場するオタク達は相変わらず容姿は冴えないけど、ハイスペックな奴らばかりですね!
>~神なんていねえ!~
>キリスト教からの反発がないかと心配
「イエス様が御身を犠牲にして彼を救ったんだよ!」と好意的に解釈して欲しいですね。
>~ただひとりのために~
>ではちょっとずつ「自分のこと」を語りつつも、主人公を第一優先で考える人たちばかり
上であんな事言いましたけど、優しさと思いやりで目をキラキラさせた人達でなく、みんなのこの「やれやれ、しょ~がね~なあ・・・」感が凄く“リアル良い人”で良かったです!こういう細かい演出で安っぽい感動ドラマにしていない。さすがリドリー・スコット監督!
>~最後までジョーク~
手袋に穴を開けて噴出する空気で飛ぶとか、本当に「アイアンマン」で嬉しかったです!
捻くれてても何にもならん。生きねば!
IMAX3Dで見てきました。まず最初にこの作品のIMAX上映に踏み切ってくれた全ての方々に感謝したいです。
本当に本当に最高の映画でした!
テーマは予告で何となく人間賛歌なんだろうなとは思っていましたが
そこにポジティブさ、化学的なロジック、みんなで助け合う協力する姿が加わって
2時間半近くあったのが信じられないくらいあっという間でした。
ヒナタカさんが仰った「ゴージャスなアポロ13」と言う例えは物凄くしっくりきましたw
何より僕がいいなあと思ったのはどんな困難に直面しようと希望を捨てず最善を尽くす事と
一つの困難なミッションを達成するために誰かが勝手なことを言い出さず全員で解決する展開ですね。
まずワトニーのスーパーポジティブっぷりは皆さんと一緒で僕も最高でした。
食糧どうしよう…→無けりゃ作りゃいいじゃん!ここまでのプロセスが
何とは言いませんが他の映画なら悲壮感たっぷりに長~くやりそうなもんですが
本作はあっさり即決、悩んだりウジウジする暇があったら行動する!
現実僕含め悩んでいる人たちに対しての素晴らしいメッセージだと思いましたね。
そんなアゲアゲワトニーですら苦労して作った畑が全壊した時や
救援物資を積んだロケットが事故で爆発した時は
流石に心折れそうになっていたのが印象的でした。
「僕はまだ諦めてない…けど最悪の事態は想定しないと」とルイス船長に遺言を残そうとしたのもグッときました。
あとどうしてもこれだけは言いたい。ラスト地球に帰還したワトニーが
ベンチの近くに生えている雑草を愛しそうに撫でるシーン、あそこで号泣しました。
最初にジャガイモの小さな芽をやはり愛しそうに撫でるとこと重ねると
彼がどういう想いだったのかが垣間見えてもう…号泣ですw
次にみんなで力を合わせて頑張ろう!…ですが
変に足を引っ張ったりするキャラが誰一人いなかったのがかなり好印象でした。
どちらかと言えば諌めるサイドのサンダース長官も
所謂駄目な無能政治屋などではなくあくまでどうすれば最善なのかを模索していましたし
「彼らが戻ってきたら君はクビだ。だがその前に必ず6人全員助けろ」と
命令違反して危険な作戦をクルーに伝えた
ショーン・ビーン氏演じるヘンダーソンに言うとこはかなり好きです。
船員クルーもキャスティング含め最高でしたね。ヒナタカさんと同じく
僕もワトニーとクルーのやり取り大好きです。軽口の叩き合いの中にも
絶対的な信頼関係が垣間見えますし、ラストの「あなたの音楽センス最低ですw」のやり取りも良かったです。
またまた長々となってしまいました…正直まだまだ語りたいことはたくさんありますが
とにかく僕は誰が何と言おうと今年トップ5は間違いないと断言します!
26歳の映画ファンです。
SF小説『火星の人』の映画化、しかもリドリー・スコットが監督すると知った時から、めちゃくちゃ期待してました。
科学の力でサバイバルするバリバリの理系映画、ここにあり!
・SFじゃない宇宙三部作
この数年で『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』『オデッセイ』と宇宙映画は傑作ぞろいですね。
この三作品の特徴として「製作にあたり、科学者が参加している」「SFだけどフィクションじゃない」という点が挙げられます。
『ゼロ・グラビティ』は実際に起きてもおかしくないですし、『インターステラー』もウラシマ効果を描いていました。ワームホールや5次元空間もあり得ない話ではないです。
今回の『オデッセイ』もNASAの協力の元、火星でのサバイバル術など科学的に検証されてます。
・NASAの協力
パンフレット情報ですが、NASAは「簡単に資金調達ができるぞ!」とノリノリで協力に積極的だったそうです(笑)。
監督はNASAに未来の宇宙服や車両をデザインしてもらいます。しかし、監督はデザイン案が気に入らず、つき返したそうです。NASAは「我々はそうは思わない!あなたはどんなデザインをするんだ!」と言ってきたので、監督のデザイン案を見せたところ、「わあ、クールだ!」と目を丸くしたそうです。
楽しそうだな、お前ら(笑)。
・他の映画について
火星映画といえば『カプリコン・1』!って、火星に行ってないか。
ヒナタカさんも言及してますが、私も『アポロ13』を思い出しました。
『アポロ13』では管制官が船内の余り物でフィルター筐体を製作する方法を考案して、アポロ13号へ方法を伝えるシーンがあります。
『オデッセイ』でも地球でローバーに穴をあけるテストやMAVを軽量化&改造する方法を考案して、火星のワトニーに伝えて実践してもらうシーンがありました。
救出の為、遥か遠くに離れた人に物事を伝えるシーンは胸が熱くなります。
宇宙空間の描写や船内の様子など『2001年宇宙の旅』を連想させるシーンも多かったですね。
・宇宙でディスコ
宇宙で70年代の洋楽がかかる!ウガ・チャカ、ウガウガって、それは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』だ。
「ホット・スタッフ」「恋のウォータールー」といったワトニー曰く最低(笑)の選曲が素晴らしいですね。先日に亡くなられたデヴィッド・ボウイの「スターマン」が流れてきた時は感動しました。
エンドロールでは「ラブ・トレイン」の他に、グローリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」も流れていました。歌詞がピッタリというか、文字通りサバイバル。
初日に観たかったですが結局今日にいたってしまいました。
「火星でDASH村」って意見が多いのもなんかわかるなあ…と思いましたがそれ以上に「苦境を前にしてもあきらめずポジティブでいること」「火星に乗り残された男を助けようと皆が奮闘し心配する」というところが個人的に結構好きで2016年に観た映画で暫定1位です。
前者に関しては『ブリッジ・オブ・スパイ』で「苦境を前にしても信念を曲げない」のを観たこともあって合わせて観たら自分のように後ろ向きな人間でも前が向けそうだと感じましたがこちらの場合ジャガイモ畑全滅で怒りを見せてたのもあって「やはり、不安の裏返しなんだろう」「こうでもしないと心理的に繋ぎ留められないのかもしれない」
後者に関しては毒親育ちさんも仰ってるように「70億人皆ってことはないんじゃ」という思いはありましたがそれでも自分だったらワトニーを心配し帰還に歓喜してたでしょうし大抵の人は見て見ぬ振りできないものなのかもしれないと思います。
「リアリティが云々」に関しては「案外こういうもんなんじゃないかな」と思ってましたがNASA協力と聞いて「となれば割と嘘じゃないのかも」って思いました。
あとヘルメットをガムテープで塞ぐシーンは自分もハラハラしました。酸素残りが「10%」「5%」って減っていってましたし。
それとアイアンマン風に向かっていったワトニーを救出する際に手を掴めると思いきや掴めずベルトに掴まりぐるぐる巻きになりつつも何とか救えた、ってくだりもハラハラものでした。
あとはジャガイモ畑も印象に残ります。
毒親育ちさんも仰ってるように「どこまででかくなるんだろ」って思ってたら全滅で「うわあ…」ってなりましたし、ラリーBさんも仰ってるベンチで雑草を愛でてるシーンでは「思い入れが如何に深かったか…」って思います。