[ネタバレ]『映画すみっコぐらし』ラストの素晴らしさと“あの童話”の意味を語る【解説・感想】

[ネタバレ]『映画すみっコぐらし』ラストの素晴らしさと“あの童話”の意味を語る【解説・感想】

今日の映画感想は映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコです。
(※この記事の冒頭のみネタバレはありません。ネタバレの前には警告あり!)

個人的評価:9/10

一言感想:なんて優しい世界……

あらすじ

すみっコたちが絵本の中で大冒険をします。

本作についてネタバレなしで主張したいことは以下にまとめました。ぜひお読みください↓
「映画 すみっコぐらし」をただただ見てほしい その気持ちをここにしたためよう – ねとらぼ

SNSでの意外な有名作品に例える意見を見て身構えている方は、以下のご意見を参考にするといいですよ↓

そんなわけで尋常でないヒットと盛り上がりをしているこの『映画 すみっコぐらし』、公開2週目の土日2日間の興行収入は前週比150%を叩き出し、応援上映は発売開始から5分で即完売、上映が無かった県など一部の劇場にて追加公開も決定と、もはや新たな伝説、『アナと雪の女王2』の最大のライバルとなりつつあります。

さてさて、以下からはネタバレ全開でクライマックスとラストの素晴らしさを書いていきましょう↓
もちろん映画を未見の方は読まないで!本当に素晴らしい作品だから!



「みにくいアヒルの子」の意味

終盤に登場する童話「みにくいアヒルの子」は、黒くて醜い姿でいじめられていた雛が、最終的に成長して立派な白鳥の姿になる…という内容です。
迫害され続けてきた者のサクセスストーリーであり、見た目だけで浅はかな判断をしてしまうという偏見や差別についての寓話、苦労はいつか報われるという希望に満ちたハッピーエンドの物語ではありますよね。

それと同時に、「みにくいアヒルの子」には「その者が本当にふさわしい居場所がどこかにある。それを見つけ出すことが大切」「ネガティブに考えていたコンプレックスを克服または優れた個性へと転換する」というメッセージも内在されていると思います。
これは『映画 すみっコぐらし』のみならず、隅っこで一緒に仲良くしているすみっコたち、すみっコぐらしというコンテンツそのものにもつながりますよね。

しかし、この『映画 すみっコぐらし』の絵本の中で登場したひよこには、その「みにくいアヒルの子」の主人公でもないということ……その物語のハッピーエンドの真逆、彼の居場所はここにもないことが宣告されてしまいます。
今まですみっコたちは、(強制的に)いろんな物語の主人公になっていたのに……なんという残酷さでしょうか……。

また、その「みにくいアヒルの子」の話をよくよく考えると、いろいろな場所に向かうもどこからも迫害されたが、苦労の末に“いつの間にか”美しい白鳥になっていて、ようやく(たまたま)受け入れられる場所を見つけたという……正直に言って偶然や運も働いているうえ、もともと持ってた資質や容姿が実は良かったことを気づいていなかっただけという話じゃないか、などと欺瞞に思う部分もなくはありませんでした。

でも、『映画 すみっコぐらし』においては、すみっコたちは自らの手でひよこに居場所をつくってあげるんですよ。
絵本の隅っこに描かれた落書きであったひよこのために、ひよこの仲間たちと、家と、お花畑を描いて……

『映画 すみっコぐらし』は「みにくいアヒルの子」と同様のメッセージを訴えつつも、大切な誰かのために居場所を作ってあげるという利他的かつな行動を描くことで、偶発的かつ必然的に居場所を手にしていたような「みにくいアヒルの子」のアンチテーゼになっているとも言えるのです。

クライマックスの演出の素晴らしさ

クライマックスは「ああっ……オオカミさんやオニさんたちが来てくれたっ……!」というだけで泣いたのですが、ここで井ノ原快彦のナレーションが無くなっていたということも特筆に値します。

これはつまり、『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』のラストシーンと同様の感動ですよ。
もはや言葉はいらない。
“絵本の読み聞かせ”の構造もなくてもいい。
ただただ、このすみっコたちとひよこと絵本の住人たちが頑張るクライマックスを“映画”として見届ければ……
それはもう号泣しますって!

さらに、みんなが頑張って絵本の中から脱出するクライマックスが終われば、また“絵本の読み聞かせ”の構造に戻る、つまりこの絵本の物語の終わりを読むんですよ。
あの目に涙を浮かべながらバイバイしているひよこを見ながら、本上まなみの「絵本の中から出られないひよこは、いつまでも、いつまでも手を振っていました」というナレーションを聞いてくださいよ!
泣き死にするかと思ったよ自分は!

エンドロールの素晴らしさ、そして“居場所”についてのメッセージ

泣き死に寸前でグヒッ…グヒッ…となっているクライマックスから、すみっコたちがひよこのために絵本の隅っこに絵を描いてくれたというラストでは「あっ死んだ(生きてたけど)」となりましたが、さらにエンドロールですよ!
ここで、すみっコたちが描いた、いろんな色のひよこの仲間たちが、すみっコたちそれぞれの投影になり、新たな物語が始まっているんですよ!

例えば、黄緑色のひよこ(ぺんぎん?)は涙ながらにひよこに抱きついているんだもん…
黄色くてふわふわしているひよこ(とんかつとえびふらいのしっぽ)は、またオオカミさんに食べてもらおうとして「いりませんー!」と言われているんだもん…

そして、ひよこたちが仲間のひよこたちと一緒に隅っこで仲良く寝ていて、それと同じようにすみっコたちも一緒に隅っこで仲良く寝ている姿を見てくださいよ!
居場所をどこにも見つけられなかった、そして一緒に住みたい人たち(すみっコたち)と共に同じ行けなかったためひよこのためにつくった、“最高の居場所”がここにあるじゃないか!

そして、すみっコぐらしは「カフェに行ってもできるだけ隅っこの席を確保したい」という、“謙虚”や“控えめ”や“主張しない”といった日本人の国民性に合わせたコンセプトのキャラクターです。
つまりすみっコたちは私たち自身の姿でもあるんですよね……

だから、この映画を観た人たちは、落ち込んでいたことがあったり、社会から外れ阻害を感じていたり、居場所を見つけられなかったとしても、「居場所はどこにでも、誰かのための行動で、見つけることができるんだ」という希望を持てるんですよ……!
これはもう、一生大切にしたいメッセージですよ!
ありがとう!本当にありがとう!この映画を作ってくれてありがとう!

※本作についてはにとりさんとも語り合ってみました。こちらは14分ごろからネタバレ全開です。

(C)2019 日本すみっコぐらし協会映画部

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