
『スプリット』ラストがなぜすごいのかを全力で解説する(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『スプリット』です。
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:シャマラン監督のファンでよかった!
あらすじ
3人の女子高生が拉致監禁されて、23人の人格を持つヤバい男とバトります。
『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督最新作です。
本作はいろいろと語ることがあるんですが、とりあえずまだ観ていない方に、これだけは告げておきます。
ネタバレを踏む前に、さっさと観に行ったほうがいいと。
Twitterという便利ツールがある今こそ、この映画のネタバレに遭遇しやすいんですよ。
実際に「Twitterのおかげで(明確にネタバレ部分を言っていないくても)ラストがわかっちゃった」という人も多いんだよ!
しかも本作は、『パッセンジャー』並に「語るとどうしてもネタバレに触れてしまう」案件なんですよ!
「多重人格もの」である
さてさて、本作の物語に最も大きなファクターとして働いているのは「多重人格(解離性同一性障害)もの」であることです。
それを聞いて多くの方が思い出すのは、ダニエル・キイス著のノンフィクション「24人のビリー・ミリガン」でしょう。
1人の人間に女性や少年の人格が現れたりするのはファンタジーめいているようで、実際にあった症例というのですから、驚きです。
本作『スプリット』に登場する「ケヴィン」という名前は、実在するビリー・ミリガンの人格の1つから取られているようですし、発想の根幹として彼の存在があったことはほぼ間違いでしょう。
(ちなみに、「24人のビリー・ミリガン」は「The Crowded Room」というタイトルでレオナルド・ディカプリオ主演の映画化が決まっています)
個人的に、この手の「多重人格もの」でおすすめしたいのは、小説の『ISOLA』ですね。
阪神大震災を入れ込んだプロット、人格それぞれの設定が上手く、最後まで一気に読ませる力がありました。
ちなみに『ISOLA』の映画版はみんなのシネマレビューのワーストランキングで現在26位という逸材なので、観なくてもいいような気がします。
その他、マンガ『幽☆遊☆白書』の仙水忍も似たような多重人格者でしたね。
こうした多重人格ものが好きな人に、本作『スプリット』は大いにおすすめできます。
マカヴォイ!マカヴォイ!マカヴォイ!
さてさて、本作で何よりも語っておかなければいけないのは、女子高生を拉致監禁するヤバい男を演じたジェームズ・マカヴォイの演技です。
彼が女性や9歳の子どもを演じているというだけでもすごいのですが、その人格が切り替わる瞬間までを表現しているのがマジパねえよ!(語彙力の低い表現)
本作は直接的な残酷描写がほぼないのでG(全年齢)指定ですが、あんまり小さい子が観ると一生もののトラウマができそうです。あの顔面だけで怖いもん……。
また、ヒロインを演じた新星アニヤ・テイラー=ジョイがこれまたいいんだ。
目の「離れ」っぷりがいい意味で現実離れしており、唯一無二な魅力がありますね。
シャマラン監督作品を予習しておくといいよ!
さてさて、本作はシャマラン監督の過去作を観てから映画館に足を運んだほうがいいかと思われます。
その理由は、それぞれの映画に「作家性」がめっちゃ表れており、シャマラン監督の価値観や美学を知っておいたほうがより作品を楽しめるから。
簡単に、今までの監督作品の特徴(個人的な感想)をまとめておきましょう。
- 翼のない天使(1998)
個人的お気に入り度:6
シャマラン監督のメジャーデビュー作。ひたすら子どもの視点に立った、サスペンス色のない人間ドラマだけど、監督が好きなものがとてもよくわかる良作。吹替版で主人公の少年を演じるのが高山みなみ(名探偵コナンの人)だったりするので、そちらで観るのもおすすめ - シックス・センス(1999)
個人的お気に入り度:8
ご存知、シャマラン監督の評価を一気に上げたスリラー。どんでん返し部分が売りだけど、暗めの画づくりやホラー演出も素晴らしかった。 - アンブレイカブル(2000)
個人的お気に入り度:7
列車事故からただ1人だけ生還した男の謎を追う作品。良い意味でも悪い意味でも「そういう話だと思わなかった!」と思う方が多く、日本では評判はイマイチ。だけど個人的には大好きで、序盤の会話からグイグイ引き込まれた。 - サイン(2002)
個人的お気に入り度:8
宇宙人の侵略を一家族の視点だけで描くという内容。大作映画とは思えないほどの、“こじんまり”とした作風がむしろ魅力。 - ヴィレッジ(2004)
個人的お気に入り度:4
閉ざされた森で暮らす盲目の少女を主人公とした作品。世間的な評価は良いけど、個人的には演出が退屈で、あまり好きにはなれず。 - レディ・イン・ザ・ウォーター(2006)
個人的お気に入り度:4
アパートのみんなが「物語に沿って」美女を元いた場所に返してあげようとするファンタジーなのだけど、みんなが「無理やりに話に乗ってあげている感じ」がどうにも不自然。 - ハプニング(2008)
個人的お気に入り度:7
冒頭からの連続自殺の「あっさりさ」が怖いパニックスリラー。中盤からはまさにシャマランならではの内省的な物語に。『スプリット』で重要な役を演じたベティ・バックリーはこちらにも出演している。 - エアベンダー(2010)
個人的お気に入り度:2
擁護出来ないレベルでつまらなかった。「下手なアクション演出とはどういうものか」「どうやったらキャラに魅力がなくなるか」を学べる重要なサンプル。ラジー賞5部門受賞の実力は伊達じゃない。 - アフター・アース(2013)
個人的お気に入り度:6
未来の地球の寒々しいビジュアルがなかなか。シャマラン監督節もしっかり健在だが、日本の宣伝では監督の名前が積極的に隠されたあげく、世間的に酷評だった。 - ヴィジット(2015)
個人的お気に入り度:7
子どもたち2人によるPOV(主観視点)のホラー。シャマラン印のどんでんがえしが健在で、オチに至るまでに伏線が盛りだくさん。純粋な怖さではシャマラン監督随一かも。
この他、製作として関わっていた『デビル』もシャマラン監督らしさが出ていて面白かったですね(お気に入り度は6点くらい)。
内容はエレベーターに閉じ込められた男女が脱出を図るというシンプルなもので、『スプリット』と共通することが多かったりします。
「それなりにシャマラン監督の作品群を観ていたよ」という方も、「抜け」がある場合は、なるべく全作品を網羅しておいたほうがよいでしょう。
でも『アフター・アース』と『エアベンダー』は観ていなくてもいいかな。あんまり面白くないし。
ちなみに個人的なシャマラン監督最高傑作は、世間的には(特に日本で)評判の悪い『サイン』です。
いや、だってクライマックスに爆笑しながら大感動できるんだもん。
シリアスな笑いが好きな人は絶対に観てください。後悔はさせませんよ!
※他の個人的に好きなどんでん返しの映画はこちらも参照↓
“映画でしかできないどんでん返し”は存在するのか? | シネマズ by 松竹
どんでん返しが気に入らない人も?
ちなみに、本作のどんでん返しの部分はそれなりに賛否両論ようです。
中には「どんでん返しと言えるレベルじゃなくて残念」という意見もあり……いやいや、それにはさすがに反論したい。個人的にはシャマラン監督作品の中でもっともシビれたどんでん返しでしたよ!
しかもそのラストは突飛なものではなく、存分に伏線が張られており、破綻していない、納得するしかないものなのです。
このアイデアを思いつき、実現したシャマランは掛け値なしに大天才ですよ!
思えば、シャマラン監督は『シックス・センス』のラストが大きな話題を呼び、それ以降の作品でもどんでん返しが期待されすぎて、そのどんでん返しがないと「なーんだ」と言われたり、「つまらん」と酷評されたりと、気の毒な方でもありました。
むしろシャマラン監督の作家性は「すべての事象に意味があるのかを摸索する」「B級的な素材(宇宙人やおとぎ話)と1つのテーマを組み合わせる」ことにあると思うので、どんでん返しばかりに期待するのも少々ズレがあるとも思うんですよね。いや、ファンとしてはどんでん返しにどうしても期待しちゃうけど。
※「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」を聞いてのことですが、シャマラン監督作品は「心に傷を負った者が何かの大きな問題に向き合って成長していく」というのも一貫していましたね。
で、本作は全シャマラー(※シャマラン監督のファン)が感涙できる、監督の集大成と呼べるすごいモノが待っているんですよ!
いいから、シャマラーやどんでん返し系の映画が好きな方は、さっさと観に行った!(2回目)
密室監禁ものとして物足りないかも
さてさて、これだけシャマラーとして大歓喜していますが……1つの映画として評価をすると、やや物足りなさも否めなかったりします。
その理由の1つが、「女子高生3人がどうやって多重人格者から逃げ出すか?」というメインのサスペンス部分が少々アイデア不足に感じること。
最近では『10クローバーフィールド・レーン』や『ドント・ブリーズ』などの、ドキドキハラハラが止まらない攻守が逆転するスリラーがあったので、それらに比べると少し退屈に感じてしまいました。
また、話運びそのものも、ヒロインの回想や、ヤバい男のカウンセリングの描写も並行して描かれるため、緊張感が途切れてしまうところもあります。
これは作品の性質上しかたがないものなので批判するのもナンセンスなのですが、やはり個人的には「その場所」だけを描くスリラーのほうが好みですね。
まあそんな不満は、シャマラン監督のこだわりのある美しい画作り、衝撃のラストですべてチャラにできるってもんです。
まあいいから、シャマラーやどんでん返し系の映画が好きな方は、さっさと観に行った!(3回目)
そうそう、本作はエンドロール後までしっかり観ることをおすすめします!
※本作は以下のキャッチコピーがふさわしいかと思われます。
『スプリット』には、公開当時にさんざん「そういうラストじゃなかっただろーが」とツッコミをくらった『ミッション:8ミニッツ』のこのキャッチコピーがふさわしいんじゃないだろうか。よかった……本当に今まで映画が好きで本当によかった……と感謝の気持ちでいっぱいになったもん。 pic.twitter.com/WCe77P2TAi
— ヒナタカ (@HinatakaJeF) 2017年5月14日
以下は結末を含めてネタバレです。絶対に観る前は読まないで!鑑賞後にご覧ください↓
(C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
(C)2016 MARVEL & Subs. (C)2016 Twentieth Century Fox

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chat_bubbleコメント
「スプリット」面白かったですね!
「アンブレイカブル」との接点についての評論もとても参考になりました!
>バリーは、ビーストの誕生に否定的であり、ケイシーに殺してくれと頼んでいた、良識的な男だったのですから。
自分の記憶が正しければケイシーに殺してくれと頼んでいたのは元の人格のケヴィンだったような気がします。
その後慌ててジェイド、オーウェル、バリーが登場して、ケイシーに「俺が対処するから殺すな」的な事を言っていたので、照明を管理して世間に溶け込もうとしていた人格だったのではないでしょうか。
危険な思想を持っていたデニス、パトリシアに照明を与えていなかったため彼らと軋轢を生み、照明を奪えるヘドウィグを仲間に取り込まれたため力を失ってしまったと勝手に解釈しています。
オリジナルであるケヴィンも自殺願望があったため、3年近く照明を与えられていなかったのではないでしょうか。
発情期のオスとまともに戦うことが出来ず性的虐待を受けていたケイシーが、ハンターとして戦う覚悟を得る話としても面白かったです!
映画のジャンル自体を途中で180°変えてどんでん返しに繋げるシャマラン節は今回は良かったですが、シャマランに続編モノが取れるのか次回作に一抹な不安があるのは自分だけでしょうか。あまり風呂敷を広げ過ぎて「エアベンダー」のような惨状にならないことを祈りたいですねw
>自分の記憶が正しければケイシーに殺してくれと頼んでいたのは元の人格のケヴィンだったような気がします。
おおう、けっこう自信があって書いていたのですが、自分の勘違いっぽいですね。
ご指摘感謝です。このまま追記させてください。
>発情期のオスとまともに戦うことが出来ず性的虐待を受けていたケイシーが、ハンターとして戦う覚悟を得る話としても面白かったです!
そうなんですよね!素晴らしいご意見感謝です!
スプリット良かったです!
気づいていなかったところもこのブログで補完させていただき更にスッキリしました。
シャマランだけに2019のGlassで大コケしないか今から心配です(笑)
>ラストシーン、テレビで監禁事件を知ったおばちゃんが「15年前の事件と似ているわね」と話しているのですが、似ているか?
方や世界中で事故に見せかけた大量殺人を起こしていた男、方や女子高生を拉致監禁のうえ殺害した男で、規模も犯行内容もまったく違います。
このシーンは、マスコミが派手な事件の犯人にニックネームを付けて呼んでいるところ(ガラス、群れ)に共通点があると僕は思いました。
マカヴォイも良かったですが、アニヤの眼力が更に良かったです。
スッキリしていただいてよかった!書いてよかった!
>このシーンは、マスコミが派手な事件の犯人にニックネームを付けて呼んでいるところ(ガラス、群れ)に共通点があると僕は思いました。
わー!確かにそういうこと言っていた!ご指摘感謝です、ありがとうございます。
「ネタバレは絶対避けつつ、過去作の復習はしてほしい」
という気持ちが存分に込められた前半部分の感想、
言葉選びがとても慎重で素晴らしいです!
そして、興奮が存分に込められた後半部分(笑)
鑑賞前にネタバレ踏んだ自分としては、
劇場で味わえたであろう興奮を疑似体験させてもらってます…。
一つだけ、私が気づいた「公正な伏線」を。それは日本版ポスターです。
「ヴィレッジ」や「レディ・イン・ザ・ウォーター」、「ヴィジット」公開時のポスターは、
「シックス・センス」「サイン」のM・ナイト・シャマランと紹介ですが、
「スプリット」については「シックス・センス」「アンブレイカブル」でした。
「サインじゃなくてアンブレイカブルにしたのはそういうことかーーー!」
と叫んだシャマラーが日本に数人はいるかもしれません。
できればそう叫びたかった…実際は踏んだネタバレをより確実にするだけでしたが…(苦)
今は、「GLASS」の公開時に果たして「アンブレイカブル」「スプリット」の
M・ナイト・シャマランと紹介されるのか楽しみにしています!
>「ネタバレは絶対避けつつ、過去作の復習はしてほしい」
>という気持ちが存分に込められた前半部分の感想、
>言葉選びがとても慎重で素晴らしいです!
>そして、興奮が存分に込められた後半部分(笑)
あっっざああああああああっす。本当に書いてよかった!
>鑑賞前にネタバレ踏んだ自分としては、
>劇場で味わえたであろう興奮を疑似体験させてもらってます…。
(´;ω;`)ブワッ.
>日本版ポスターです。
確かに今まではもっとも日本でヒットした2大タイトル「シックス・センス」「サイン」だったけど、今回は「シックス・センス」「アンブレイカブル」になっている!
日本の広報さん、公式サイトでもネタバレをうまーく隠しているし……ありがとう、本当にありがとう…。
はじめまして。
「スプリット」よかったです。
軽く気が付いたことですが、殺された二人の女学生ですが、ケヴィンのカウンセリングの中に出てきた、胸を触らせた二人の女学生と言うのが彼女たちなのではないですかね。
そうなるとケヴィンにとっては無罪とは言えなくなると思います。
p.s僕はシャマランベストが「ヴィレッジ」なんですよね。後「サイン」「アンブレイカブル」「レディ・イン・ザ・ウォーター」と続きます。評価が低くて残念です。シャマラーと言っても色々ですね~(笑)
>軽く気が付いたことですが、殺された二人の女学生ですが、ケヴィンのカウンセリングの中に出てきた、胸を触らせた二人の女学生と言うのが彼女たちなのではないですかね。
>そうなるとケヴィンにとっては無罪とは言えなくなると思います。
おお!ありがとうございます!!こちら追記させてください。
>p.s僕はシャマランベストが「ヴィレッジ」なんですよね。後「サイン」「アンブレイカブル」「レディ・イン・ザ・ウォーター」と続きます。評価が低くて残念です。シャマラーと言っても色々ですね~(笑)
ビレッジとレディが低評価でごめんなさい!サインとアンブレは好きなので許して!
私は町山さんのツィートを見ておいてよかった(3作を見直してから劇場入り)という口で、ネタバレという話はあまり賛成できないです(でも、「アンブレイカブル」を見た後にIMDbの同作品の項目をチェックしたらそこに堂々と「スプリットはこの続編」などと書かれていたので大ショックを受けました。それも町山さんのせいだと言えば言えなくはないですが……)。
それよりも私が「興ざめ!」と思ったのは、上映後に出てくる「予告」ですね。ああいう宣伝はやりすぎではないでしょうか。もうちょっと余韻を楽しみたかったなぁ。
残酷な描写が皆無…?
皆無でもないですね!(主人公の脚がズルムケになっていたし・・・)修正します!
>フレッチャー医師は「私が死んだらボルチモアの同業者に引き継ぐよう頼んである」とケヴィンに言ってい>ました。
>エンドロール後に発表された次回作『GLASS(原題)』では、この同業者の医者がキーパーソンとなり、ケ>イシーやダンを救うのかもしれません。
この「同業者」というのはレディ イン ザウォーターの主人公クリ-ヴランド・ヒープ(ポール・ジアマッティ)なのではないでしょうか? 彼は元医師でかつhealerでもありますし。
たしかこの映画の舞台もフィラデルフィアです。
あと、この映画中、シャマランの演じた小説家があと2本ストーリーを作るといっていましたね。
同業者の意見に大納得です!こちら追記させてください!
はじめまして。熱のこもったシャマラン評に感動致しました!
駄文ではありますが、私の解釈もご一読頂ければ幸いです。
ケイシーのその後についてですが、彼女は恐らく黒人女性警官に虐待を告発したのではないかと思います。
物語終盤、虐待の精神的苦痛を外に発する(攻撃する)ビーストと、虐待の精神的苦痛を内に発する(自傷する)ケイシーが対峙、ビーストが彼女を同志として認めるシーンがありますが、彼女はビーストに取り込まれヴィランになるのではなく、自分の鏡と向き合ったことで、世界に抵抗する力を得たのだと解釈しました。
ケイシーは救急車の中で、自傷によって傷だらけの身体を他人に見せることを躊躇していません。以前のように人と距離を図り、自分を見せない性格からすれば、躊躇してもおかしくないはずだと思います。(疲れすぎていたのかもしれませんが…笑)
極め付けはパトカーの中での最後の表情です。あの表情一発で、私には世界と向き合う覚悟(虐待を受け止め、告発する勇気)を感じ取りました。
なので、次回作は最終的にケイシーが自分の影であるビーストを倒し、乗り越える話になるのではないかと思います。(どうダンと絡むのか分かりませんが笑)
また、ライオン像はケイシーに関しての描写ではなく、ビーストの着想元ネタばらしだと解釈しました。作品内でヘドウィグが証言したたとおり、髪が長く、筋肉隆々との特徴に一致していますし、ライオンの異名”百獣の王”にもピッタリだと思いました。
長文失礼致しました。
これからもブログ楽しみにしております!
りょうさん
コメントへの返信がものすごく遅くなってごめんなさい!お褒めの言葉ありがとうございます。
ケイシーのその後、ライオン像の解釈に大納得しました!ライオン像のところを追記させてください。
うわぁぁぁ!後悔!!
>シャマラン監督作品を予習しておくといいよ!
>町山智浩はネタバレをしてしまったのか?
すみません。実はそんなにシャマラーでなくて未観作品多いし『エアベンダー』と『アフターアース』が本当に酷くてシャマラン監督の評価もかなり下がっていたし、『ヴィジット』も地元に来なかったのでスルーしてました。
『アンブレイカブル』も酷評意見に「コミックファンを馬鹿にしている!」てか「オタク=宮崎勤みたいな偏見の塊」やら聞こえてきてスルーしてたんですよ・・・。
なので・・・。
うおぉぉッ!!『アンブレイカブル』観てから観たかったー!!いや今回の町山智浩さん。ネタバレどころか私みたいな人には「親切」ですよ!?
あとやっぱり、酷評意見だけ聞いてちゃダメですね。『アンブレイカブル』凄いヒーローコミック愛に溢れてましたよ!てか、ディスクの特典でアメリカコミック界の超人達のコメント集がスンゲー!日本でなら手塚治虫、石ノ森章太郎、永井豪、横山光輝、小池一夫、池上遼一、荒木飛呂彦、島本和彦、あんど慶周、ONE×村田雄介、村枝賢一、真船一雄、堀越耕平らがコメント寄せて考察してくれてるようなもんですよコレ?この神々が絶賛する本作が「漫画読んでるオタク野郎はキチガイ!」なんて偏見塗れの糞映画な訳ないじゃーん!?なによりあの「68歳児様」が嬉々として出演なんかしないよー!
シャマラン監督、おみそれしましたー!
ただ、ヒーローコミックはイライジャに希望を与えたけど、それは歪んだ希望だった・・・というオチは悲しかったです。
>マカヴォイ!マカヴォイ!マカヴォイ!
ラストの人格達が「撃つな!撃つな!!」のシーンが凄かったです。瞬間的に別人になる感がヤバ過ぎ!
>「多重人格もの」である
>ビリー・ミリガンの人格の1つ
ケイシーがクレアに高校生を軽々担げる相手に付け焼刃の空手なんか通じない・・・というシーン、ミリガン氏の人格の一つである「レイゲン」の特技が空手だった事に由来してるのかな?と思いました。
ミリガン氏の人格達の特技はどれも免罪の為に詐病を装う為の素人の演技とは思えない程の高度なレベルのもので、これが氏の多重人格者説に説得力を持たせているそうです。
>密室監禁ものとして物足りないかも
序盤のケイシーが他の脱出に積極的な二人に対して冷淡で非協力的・・・というか「コイツら足手まとい」みたいな雰囲気にイライラしました。
>性的虐待
わーい!君は児童強姦が得意なフレンズなんだね!イラナイヨーッ!!
直接描写なんか出来ないので「動物ごっこ」というのが秀逸であり、おぞましさも増していてスンゲー表現方法を思いつくもんだと膝を打ちましたよ!
幼ケイシーを演じた子役さんに上手く意味をボカして伝えるの大変だったろうなあ・・・。
余談ですが、葬儀のシーンで諦めきった表情がゾッとしました。
>デニスの目的
>とりさんの考察より
ケイシーに影口叩きながらバースデーパーティに誘ったのも世間体や内申目当てみたいでしたしね。そして障害者を珍獣扱い・・・典型的な立場が上の大人の前ではイイ子で、立場が下(と見なした)弱者の前ではクズの仮面優等生、そりゃ「汚れた魂」「無価値な若者」ですわ。
本当に胸を触らせた女子校生が二人なら、デニス達にとっても正当な復讐ですし(超過剰防衛ですけども)
>ケイシーはどうなるか?
>1.ケイシーは叔父の元から逃げ出して、スーパー・ヒーローのヒロインとして生きる
今回の事件で猛毒叔父からの脱出を決意する強さを得られたと思いたく、こちらを希望したいです。
・・・次回作でダンのサイドキックになるのかな。
でも彼女は超人ではないようなので『SUPER!』のボルティーみたいなことになりませんように・・・。
もしくは悪即斬なダークヒーローになっていて、ダンと対立しながら共闘とか・・・。
>『アンブレイカブル』の伏線
ソフトの特典でシャマラン監督は「本作は第一章」と言ってましたね!17年越しで伏線張ってやがったのかよ!壮大過ぎるぜ。『GLASS』への期待が急上昇です!(スルーしないでよ地元シネコン・・・)
・・・イライジャはレクター博士的なポジションで獄中からダンとケイシーを支援するとか期待したいなあ。本心は彼も大量虐殺なんかしたくなったろうし、ヒーローの存在はより大勢を救うと自分に言い訳しながら、あの凶行に及んでいたのではないかと信じたいので。
マニアならではのわかりやすい解説、大変参考になりました。
気になった箇所を。
>ラストシーン、テレビで監禁事件を知ったおばちゃんが「15年前の事件と似ているわね」と話しているのですが、似ているか?
方や世界中で事故に見せかけた大量殺人を起こしていた男、方や女子高生を拉致監禁のうえ殺害した男で、規模も犯行内容もまったく違います。
↑このおばちゃんのセリフはダンがヒーローとして覚醒して初めての活躍した一家監禁事件のことを指しています。
ご参考までに。
これはアンブレイカブルの