
『サウルの息子』強制収容所という地獄にようこそ(映画ネタバレなし感想)
今日の映画感想は『サウルの息子』です。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:新たな疑似体験映画、誕生
あらすじ
死体処理に従事するユダヤ人のサウルは、強制収容所の中で息子と思しき死体を見つける。
サウルは死体をなんとかして手厚く葬ろうとするが……。
今回は言いたいことのほとんどを以下に書きましたので、お読みください。
<『サウルの息子』強制収容所という地獄にようこそ [映画] All About>
要するに言いたいことは、ゲームの『バイオハザード4』のような視点でアウシュビッツ強制収容所の地獄を体験できる映画であるということです。
※こういう「主人公の後ろに回り込む」カメラワークなのです。
これはもはや映画というより、「疑似体験」と言えるでしょう。
3Dでも、4DXでもないのに、劇場で観ていると「いま、この中にいる」という感覚が確かにあります。
「観客を強制収容所の真っ只中に連れて行こう!」という野心的な作品なのです。
あまり直接的な残虐描写はないのでG(全年齢)指定ですが、ときおりちらっと映る大量の裸の死体はトラウマになりそうだ。
この「ちらっと映る(ピントが合っていない)」というところもミソ。主人公の「もう見たくない」という気持ちとシンクロするようで……。
ホラーではなく、あくまで「疑似体験映画」ということを念頭に置いて観てほしいです。
小難しい伝記物ではなく、「平凡な主人公(父親)とともに地獄の旅をする」という作品なので、どなたでも感情移入はしやすいでしょう。
予備知識はほとんどいりませんが、
“ラビ”=追悼の祈りを捧げてくれるユダヤ教の聖職者
ということだけを知っておくといいです。
マジで心が凹む内容です。
決して上映館は多くない(2月13日、2月27日、3月3日公開の劇場も多め)ですが、心に残る映画を観たい方、いままでにない映画体験をしたい方にオススメします。
アウシュビッツのいまの姿を見たい方は以下のリンクがオススメ↓
アウシュビッツに来て思ったこと : 世界ぷらぷら旅
監督へのインタビュー↓
カンヌ映画祭グランプリ『サウルの息子』監督がいまホロコーストを描く意義語る|ユダヤ人の同胞の死体処理に従事するハンガリー系ユダヤ人を描く – 骰子の眼 – webDICE
オススメレビュー↓
『サウルの息子』 見たくないものを見ようとすると…… : 映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
サウルの息子(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて
「脱人間化の極限」に抵抗するアウシュビッツのゾンダーコマンドの姿に深く心を揺さぶられる | 大場正明 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版
前編/“死の工場”で日ごと繰り返された狂気の現実をあぶり出す『サウルの息子』 | MOVIE Collection [ムビコレ]
↓結末の解説(ネタバレ注意!)
『サウルの息子』の息子とラストについて – 映画評論家町山智浩アメリカ日記
(C)2015 Laokoon Filmgroup

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外国語作品賞に外れなし?でもこんなに酷で救いようが無いとは・・・。
即ガス室送りを逃れて同胞を殺める仕事を強いられるユダヤ人はある意味残酷を極めるが、祈ることさえ憚られる地獄の環境で命を賭してユダヤの誇りと格式を貫こうとする尊い執着に人間の尊厳を見るのです。過去のホロコーストものとは違った撮影手法と演出が斬新で、視野をより狭く、周囲のフォーカスをぼかしてより主観性を強調、まるで鍵穴からモノを見ている感覚に陥ります。男が息子と言い張る少年についての真相は謎であり、酷すぎて感動の人間ドラマにも昇華しませんが、人類が同じ轍を踏まないための負の遺産的作品として冷静に捉えるべきかと・・・。
後れ馳せながら今日見てきました。
本作に関してはもうこの一言しか無いですね…
主人公の視点で全てが進んでいき、目を背けたくなる現実がぼやけた画面の向こうで行われる…
ヒナタカさんが仰った通りこの映画は実際にあった生き地獄を追体験する映画で
このえげつなさは洒落になってなかったです…
勿論死体もですが画面の奥から明らかに殴られて骨が砕けたような音が聞こえたり
井筒監督が仰ってたパクリになりますがチラッと移ってた死体のアレが…だったり
コレが現実にあった事なんだと痛感させられました。
ヒナタカさんが折角ネタバレ控えてるんで、僕も突っ込んだ感想は控えますが
後からDVDで見てもこの恐ろしさは半減だと思うんで、是非劇場で見るのをオススメします!