『SING/シング』吹替版もおすすめしたい理由はこれだ!(映画ネタバレなしレビュー+ネタバレなし感想)

『SING/シング』吹替版もおすすめしたい理由はこれだ!(映画ネタバレなしレビュー+ネタバレなし感想)

今日の映画感想はSING/シングです。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:大人こそ涙腺崩壊する、洋楽ファン必見のアニメ!

あらすじ

コアラのバスター・ムーンは、劇場を運営しているものの、今までまったくヒットに恵まれなかった。
ムーンは世界最高の歌唱コンテストをプロデュースするが、賞金の1000ドルが10万ドルに書き間違えられたままコンテストのチラシが配られてしまう。
オーディションでは大勢の動物たちが列をなしていたが……。

『怪盗グルーの月泥棒』『ペット』のイルミネーション・エンターテインメントのアニメの最新作です。

正直イルミネ(略)作品は「画やキャラはいい感じに頭のネジが飛んでいて大好きだけど、お話には文句を言いたいところもある!」という印象でした。
しかし、本作は良い感じに狂気のあるイルミネの魅力はそのままに、物語が超しっかりしているのです!
これは、今までのイルミネ作品が好きなはもちろん、あまり好きになれなかったという方にも超おすすめできるのではないでしょうか!

洋楽ファンは必見!

本作の物語は、街で歌の音楽を開催し、オーディションで誰もが夢を叶えるために(あるいは賞金のため)奮闘するというもの。
うれしいのは、(あまり洋楽を聞かない人でも)「これ知っている!」と思うばかりの有名曲がたっぷり出てくること!

もう観た後はサントラが欲しくなること必至。それでいて、物語と歌詞がリンクしているところもある……ミュージカル作品と同じ魅力があるのです。
ていうか、今の映画館は「音楽映画」が大フィーバーしているよ……全部違う方向の魅力があるよ……全部観に行けよ……。

主役は歌!吹替版もおすすめ

本作の日本語吹替版は、「世界で唯一歌も含めた吹替が許された」というものでした。
初めてそれを聞いた時には「すごい気概にあふれている!応援したい!」と思っていたものの、続く以下の報道には怒りと不安しかありませんでした。

でもご安心を、実際の本編にはトレンディエンジェル斎藤さんの持ちギャグ「ペ!」に気づきませんでした!
※まあ、「斎藤さんだぞ」っぽく「グンターさんだぞ」と言うシーンはあるんだけど、これくらいなら許容範囲
※コメントをいただきましたが、「ぺ!」は早口の状態で、歌唱中に何度か言っていたそうです。妹と2人で観たけど、両者とも全く気づきませんでした

そして、吹替版のクオリティそのものも文句無しっていうか最高のレベル!
斎藤さんも元役者志望というだけあって表現が上手いし、内村光良さんも「自信過剰」な役に合いまくりでした。
長澤まさみさんは『君の名は。』とはまったく違う、男勝りな少女を好演していて感激、歌もめちゃくちゃ上手い!

そして、歌はすべてが日本語になっているというわけではなく、「歌詞が登場人物の気持ちを表しているときは日本語で、それ以外の重要なところや韻を踏んでいることは英語で」という塩梅でした。
「洋楽を日本語訳すること自体許せん!」という方もいらっしゃると思うのですが、抵抗がないのであれば吹替版もぜひ観て欲しいです。

特筆すべきは、スキマスイッチの大橋卓弥さん(ゴリラの青年役)、MISIAさん(引っ込み思案なゾウ役)という本業が歌手の方も参加していること。
どちらも「気弱」なキャラであり、これが「普段の声」と「歌声の美しさ」のギャップが感じられてまた素晴らしいんだ。

さらには、チョイ役に水樹奈々、石塚運昇、柿原徹也、村瀬歩、木村昴といった超豪華声優陣が揃っていることにびっくり。
メインキャラのほうにも坂本真綾や山寺宏一がいますし、声優ファンもぜひおすすめしたいですね。
ていうか山寺宏一の最低野郎のネズミがゲスすぎて最高だったぜ!

そんなわけで、吹替版のクオリティーは超ハイレベル!「ぺ!」など気にせずに劇場に行って良いのです!

なお、本作は字幕版も全国的に公開されているということなので、それも嬉しいですね。
字幕版(原語)はマシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、タロン・エガートンと、こちらもハリウッド界の豪華キャストが勢ぞろいしていますよ。

大人にこそに観て欲しい!自己実現テーマとした群像劇!

本作のテーマの1つとなっているのは、「自己実現を果たす物語」です。
「なりたい自分を見つける」というのは、奇しくも同時期公開の『モアナと伝説の海』にも似ていますね。

本作は、なんとメインだけでも「7人」の登場人物の物語を、並行して描いていきます。
つまりは群像劇のスタイルなんですよね。子ども向け映画としてはなかなかチャレンジングなのではないでしょうか。

というか、物語は子どもよりも大人こそが心に沁みるのではないでしょうか。
自己実現というテーマは、人生が上手くいっていなかったり、疲れている大人に向けたものですし、細かいエピソードも大人の「あるある」だったりもするんですよね。しかもクライマックスでは…涙腺崩壊するほどのものが待っているよ!

ていうか、動物たちが共存し、その動物たちがそれぞれのサイズそのままでいること、それぞれの個性を尊重し、そして多様性の素晴らしさを説いているのは、あの大傑作『ズートピア』にも通じているんですよ!

これは家族で観ると、子どもに「ねーねー、お父さんなんで泣いているのー」と聞かれる案件です。
子どもに独占させておくのはもったいないですぜ!

ちなみに、本作の監督・脚本は、『リトル・ランボーズ』のガース・ジェニングスだったりします。

こちらは『スタンド・バイ・ミー』と『ニュー・シネマ・パラダイス』をミックスさせたような魅力を持つ、映画ファンから支持を集めた隠れた名作。
映画愛に溢れたであり、その愛は『シング』において「音楽」そのものへと注がれていました!

欠点なんて些細なことです

あえて欠点を挙げるとすれば、テンポが超絶良く、7人の物語が並行して描かれるため、少し「めまぐるしさ」を感じてしまうことかな。

あと、性格が悪いキャラがメインに居座っているのも賛否がわかれるかも。
ネズミがマジで最低野郎であるほか、主人公格のコアラも「他者が見えていない」イヤ~なところを見せています。
もちろんそれも意図的なものですし、物語上も必要なものですが、過剰にストレスを感じてしまう方もいるかもしれませんね。

でもそんな決定は些細なことっていうか、トータルでもたらされる多幸感からすればどうでもいいこと!
イルミネの作品ではぶっちぎりで一番のお気に入り。老若男女に超オススメです!

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

野暮な不満点

オーディションの落選者や、劇場の事故で入院したアルパカ、方向性の違い(?)により仲違いしたカエルたちといった人たちが救われる場面がなかったのはちょっと残念かな。
落選者に「俺は落ちたんだから、しっかり歌わないと承知しないぞ!」と言わせるとかね。

あと、ボンボンのヒツジのエディは、「ライフコーチ」までついているのに何にもしてなさそう(無職?)でしたが、その後ちゃんとしているかが少し気がかりです。いいヤツだから大丈夫だと思うけどね。

ロジータ(奥さんのブタ)とグンター(陽気なダンサーのブタ)の物語

ロジータは25匹の子どものブタの面倒をみている専業主婦。
毎日めっちゃ大変そうですが、仕事で疲れている夫にはオーディションのことを言えずにいます。

彼女が朝イチのオーディションに行くために徹夜で作ったのは、全自動で家事をする装置
この奥さん、歌以外にもすげえ才能持っているじゃねえかよ!

パートナーとなるグンターも、とことんポジティブにロジータを元気付けていたのもよかったですね。
ロジータも初めはダンスに自信なさげだったけど、閉店間際のスーパーでは自然にアクロバティックなダンスをして、カメラで見ていた警備員に絶賛されるし!

ロジータのコンサートを夫も見ていて、その夫が25匹の子どもの世話にてんわやんわになっていて(家事の大変さに気づく)、最後にロジーを抱き寄せてキスしてくれるのもうれしかった!

アッシュ(ヤマアラシの女の子)の物語

アッシュはオーディションに合格した後、彼氏のバスターに歌詞を見せて笑われ、「自分で歌詞を書いちゃうところだったわ」と言っていました。
もちろん、アッシュがこの時見せたものこそ、彼女が書いた歌詞だったのでしょう。

アッシュはバスターとタッグを組んで歌っていたおかげもあり、「自分だけの力」では自信がなかったのですね。
バスターの浮気現場を目撃した時は「私はあんたのためにやっているのよ、私とあんたのために!」と言っていたし……。

だけど、ムーンは最後に「(参加者それぞれの)自分のためのコンサート」を開催してくれた。
バスターも、浮気したベティの「くだらない」という言葉に「言えてる」と建前を言っても、すぐにテレビをつけてアッシュの歌声を聞いてくれていた!
アッシュが達成できたのは、「自分の好きな音楽で、自分のために歌う」というストレートな自己実現でした。

ジョニー(ギャングの息子のゴリラ)の物語

バリバリの犯罪者の息子が出てくるとは思ってもみなかったですね。子ども向け映画だっけ?

ジョニーは作戦中にオーディションを抜け出したせいで、拘留された父親に「お前は私の息子ではない!」と勘当を言い渡されたけど、テレビで彼の歌う姿を見た父親は「私の息子だ」と思わず言ってしまう……
警察の捜査をかわし、息子を抱き締めるためにオーディション会場に行った父親はカッコよかったぜ!

ジョニーは夜に忍び込んで賞金を盗もうとしていたけど、オーディションの書類に「生まれながらのシンガー」と書かれているのを見て、盗むのをやめた(やってきたミス・クローリーに「ピアノの練習がしたかったと言った)のもよかったですね。
彼を「本当にすべきこと」へと導いてくれたのも、音楽だったのです。

ムーン(劇場の支配人のコアラ)と、ミーナ(引っ込み思案な女の子のゾウ)の物語

劇場の支配人のムーンは、「自分のことばかりで、周りが見えていない」男でした。

  • たびたび留守電が入っていた銀行からの電話を「後で連絡する」と言って結局出なかった
  • 自転車で街を疾走中に撮影中のカメラの前を通っても気づかなかった
  • 高級料理店でサンドイッチを持ち込みしていた
  • ジョニーにピアノ演奏を申し付ける、アッシュにドレスを着せる、歌のオーディションを希望しているミーナに裏方の仕事をさせるなど、出演者の気持ちも考えずに勝手に段取りをしていた
  • 給水塔から勝手にホースを繋いで水をもらう(ミーナに「犯罪じゃない?」とツッコまれている)
  • そもそも、賞金が100ドルから10万ドルに間違っていたことも、何とかごまかそうとしていた(伝説の歌姫のナナに嘘をついてまで融資をしてもらおうとしていた)

わりとイヤな野郎だな。
でも、そんな自信過剰でポジティブすぎる彼も、イカの電飾をほどこした水槽がぶっ壊れ、劇場が崩壊した時にはひどく落ち込みます。

彼が、父親と同じ(父親はムーンの劇場公開の夢のために働いてくれていた!)洗車の掃除を始めるのはなんとも切なかった……
だけど、親友であるヒツジのエディは、そんなムーンの仕事を手伝ってくれるんだよなあ……
思えば、ムーンは「1人でなんでも決めてきた」男。そんな彼に必要だったのは、「教えてあげる」親友だったのかもしれませんね。

また、ムーンはあがり症で奥手のゾウのミーナに「怖がっているんだ、ただ歌えばいい!」と教えてくれていました。
後でムーンはこの言葉について、「我ながら陳腐なセリフだ。本当は君も僕もわかっているから怖いんだ、夢は叶いっこないってことを!」と言ってしまいますが……ミーナの歌声を聞いて、その考えを変えることができました。

ムーンとミーナは、お互いに夢を叶えるために、相互に支え合うことができた、ととも取れるんですよね。
ミーナがステージに上がる前に、ただ「歌って(SING)」と言ってくれるムーンのカッコイイこと!

そうそう、伝説の歌姫のナナがコンサートを見に来てくれていたこと、アッシュから飛んできた針のおかげで「最初のほうから来ていた」ことがわかるのもよかったですね。
しかも、ムーンはナナについて「怖い!ちびりそう!」と言っていたのに、最後は劇場の権利を買い取ってくれたナナを抱き締めてハッピーエンド。素晴らしい!

※あとでムーンについてこう思いました。

マイク(自己中のネズミ)の物語

マイクは、せっかく演奏中にお金を恵んでくれたのに、「たった1ドルだと?なめるな!俺は音楽院で勉強したんだぞ!もっと金出せよ!」とつっかかり、さらには「お前よりも小さいやつイジメんなよ」とほざくヤツでした。

いやあ〜こいつ大嫌い(いい意味で)!
自分が弱い立場であることを盾にして、弱い立場の人をイジめて、「お前のほうがイジメているから悪い」って踏ん反り返るんだって!さっさと地獄に落ちればいいのに!

そう思っていたら、10万ドルの賞金を見越して銀行で借金をしたり、カードのイカサマを見抜かれてクマの集団から追いかけられたりと、たっぷりと破滅へのフラグを立ててくれるのが愉快で仕方がありませんでした。

そんな最低野郎のマイクが、バカにしていたはずのミーナの歌声に、感激している表情をしていたのもよかったですね。
さらにマイクは「(バカにしていたロジータのように)あんた、踊れるのか?」笑われる立場になるも……やはり歌ではすごいパフォーマンスを披露して、「あのオッサンすげえじゃん!」と感動を呼ぶ!
歌と人間性は関係ない。歌こそが人を感動させるものですものね。

そうそう、マイクは最後に車に乗った美女に助けてもらったものの、車の後ろにクマがターミネーターのごとく張り付いていた……というシーン以降、映画から姿を消しました。
マイクはどうなったの?最後の記念撮影にもいなかったよね?まあきっとクマに食われたに違いない(ざまあ)。

(C)Universal Studios.

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  1. オープンリーチ より:

    仕事終わりに吹替え版を観ましたが、吹替え俳優陣の見事な働きぶり、特にMISIA&大橋卓弥(スキマスイッチ)のハマりっぷりに感動しました。懸念していた斎藤さんの「ぺ!」も「そういえばそれっぽいシーンあったかも」程度にしか感じなかったのは、作品自体の質が高かった証拠かもしれません。

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著者

ヒナタカ

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