『シークレット・オブ・モンスター』ラストでわかる衝撃の事実とは?(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『シークレット・オブ・モンスター』ラストでわかる衝撃の事実とは?(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はシークレット・オブ・モンスター(原題:The Childhood of a Leader)です。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:そりゃ賛否両論になるよ!

あらすじ

1918年、ベルサイユ条約締結のため、米政府高官の父(リーアム・カニンガム)は、妻(イベレニス・ベジョ)と息子のプレスコット(トム・スウィート)とともにフランスに送り込まれていた。
プレスコットは、なぜか終始不満を抱えており、劇の稽古中に村人に石を投げつけるなど、不可解な行動を繰り返していたのだが……。

本作は『ファニーゲーム U.S.A.』や『メランコリア』などに出演している、俳優のブラディ・コーベットの初監督作品です。
コーベットは若干28歳なのですが、いきなりここまで上級者向けの映画を手がけるとは、誰が予想したでしょうか。

本作がどんだけ観る人を選ぶかは、以下にもたっぷりと書きました。
『シークレット・オブ・モンスター』は“悪童版”の『この世界の片隅に』だった!その魅力がわかる5つのポイント | シネマズ by 松竹

この書き方だと小難しいような印象を持つかもしれませんが、基本的には「少年の不可解な行動を通じて、その心の機微を描いている」という内容なので、物語そのものはむしろシンプルと言ってもいいくらいです。

暗ーく美しい画、映画初主演の男の子のトム・スウィートの美少年っぷりは、本作の大きな魅力。
この子がじわじわと鬱屈していくのが観たい、という人にとっては、それだけで劇場で堪能する価値があるのかもしれません。


もう1つの大きな魅力は、多くの場所で荘厳でゴッツい音楽が流さているということ。
この音楽のおかげで、ただ誰かが歩いているというシーンだけでも、「ただならないことが起きている」という不安感を大いに煽ってくれます。
聞いているだけでお腹が痛くなりそうでした(※褒めています)。

Rotten Tomatoesでは89%という高評価ですが、日本での評価は賛否両論真っ二つ。
今年のベスト級!と言う方もいれば、ただただ苦痛だったという方もいるくらいです。

気になったのは、大人たちがしている政治的な話の内容がわかりづらく、退屈さが否めないこと。
こうした歴史的背景の会話に(実際の出来事を知らないと)入り込めないのは、大きな欠点なのではないでしょうか。

個人的には、こうした「解釈を観客に丸投げ」系のミステリーは大好物なので、かなり気に入りました。
美少年を愛でたい方や、玄人向けの映画でもどんと来い!という方は、ぜひ劇場へ。

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

本作は公開1週間が経過してから、公式サイトでネタバレ解説ページが公開されているので、少しは解釈はしやすくなっていますね。
こちらも合わせて読むことをおすすめします↓
ネタバレを含む、監督が解説したページ

以下からは、不可解なシーンの意味を考えてみます。

“少年は女の子に間違われることを嫌っているのに、なぜ髪を切ろうとはしないのか?”

この理由は上の記事で書いた通り、
・“自分の外見でなく、中身を見てくれる人”を探していた
・少年の今だけでも美しくありたかった
ということだと思いますが……

もう1つ考えられるのは、独裁者になったときのプレスコットは見事なハゲになっていたので、その未来を予知して髪を伸ばそうと思ったということですね(笑)。

思えば、プレスコットは教会で石を投げたことを母親に咎められた夜に、「どこかの廊下」「大きな円形の天窓」「階段とエレベーター」という光景が広がる“悪夢”を見ています。
これは言うまでもなく、プレスコットが最後に独裁者となったとき、たどり着いていた建物の内部の光景と一致します。
この悪夢は、プレスコットの“予知夢”と考えるべきでしょう。

プレスコットは予知夢で自分がハゲると知っていたから、髪を伸ばそうとした……うん、納得できますね(ひどい論理展開)

“プレスコットの母親が教育係の女性へ告げた言葉の真意”

プレスコットの母は、教育係の女性のアダに、自分が父に何度も求婚されてやがて心が折れたことを告白し、アダに「将来の夢は教師なの?」と聞いていました。

この時代のヨーロッパの上流社会では、家庭教師やハウスメイドが子どもの学問や情操面の面倒を見て、母や父はあくまで「子に対して絶対の愛情を注ぐ反面、子としては絶対の服従を求められる相手」という家庭が主だったそうです。
(※本作のパンフレット、白石光さんの評論より引用させていただきました)

プレスコットの母も、この「ヨーロッパの上流社会での模範的な母」であろうとしたのでしょう。
しかし、母は本心では夫に縛られず、アダのように自分で生きる道を選びたかったのでしょう。

母が、長年働いたメイドに一方的に解雇を告げたのは、プレスコットの反抗的な態度だけが原因ではなく、「ずっと夫に縛られて、また子どもの面倒を見なければいけない」という呪縛されたような自分の運命に対しての“抵抗”だったのかもしれません。

“イソップ童話の『ねずみの恩がえし』を読んだ少年が訴えたかったこと”

劇中で読まれていた『ねずみの恩がえし』の教訓は、「たとえ小さなことでも、誰かに施した恩は自分の身に帰ってくる」というものです。

プレスコットが、なぜ母親にその話をもう一度聞かせたか、と言えば、「長年働いたメイドを一方的にクビにした母は、その“小さなこと”をしなかった」という訴えをしたかったからなのでしょう。

もしくは、プレスコットは、メイドがこっそり食べ物をくれたなどの“小さなこと”を大切に思っており、やがて“大きなお返し”をメイドにしたかった、と思っていたのかもしれません。

カーテンに火が燃え移る意味は?

ロウソクの火がカーテンに燃え移ってしまうという画が長ーく映し出されていましたが……。
その意味を解釈しようとすれば、以下のいずれかになるでしょうか。

・クビになったメイドの「残りの人生をこの一家の破滅に費やします」という言葉(“呪い”)が現実になった
・この後にプレスコットが怒りを爆発されることを暗示している(“感情のくすぶり”を見せている)
・「この火が家全体に燃え広がっていれば、独裁者となるプレスコットは死んでいたかもしれない」という、“未来の可能性”を示唆している

どれも確定的な答えではないでしょう。

重要なのは、この後に……
・プレスコットが女の子の格好をしていても、男だとわかってくれた人がいたこと。
・プレスコットがお祈りをすることを否定し、母親を殴ったこと

プレスコットは、この時から自分の運命は自分で決める、独裁者として人を支配することを選んだのかもしれません。

ラスト

ラストで登場した独裁者のプレスコットは、劇中でチャールズという男を演じていたロバート・パティンソンになっていました。
なぜロバート・パティンソンが一人二役を演じていたのか?と言えば、プレスコットが父の息子ではなく、母の浮気相手のチャールズの息子だったということでしょう。

※チャールズ(演:ロバート・パティンソン)はこの写真の向かって右の男性

それを裏付けるかのように、最終章のタイトルは「私生児プレスコット」と書かれていました。
私生児(illegitimate child)とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことです。

コーベット監督は、このパティンソンの一人二役およびラストについて「(観客およびプレスコットが)それまで信じていた生物的可能性も完全に否定されてしまう」と語っています。

つまりは、このラストは「プレスコットは愛し合う父と子の間に生まれていた子ではなかった」というバッドエンドなわけですね。

最後はカメラが縦にグルングルンと回っていきましたが……その前には誰かもわからない少女の顔が映されていました。
これは(独裁者になりえない)少女の“無垢”を示したものなのか、あるいは……。

最後の最後に映し出されたのは、独裁者のプレスコットが(おそらく)考案したライオンのマーク。
プレスコット自身は、本当は『ねずみの恩がえし』のように小さな恩を大切にしたかったのでしょうが、結局は“百獣の王”のライオンのような孤高の存在になってしまったのでしょうね、

(C)COAL MOVIE LIMITED 2015

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  1. […] そのほかでは、世間的には酷評され気味な『X-ミッション』、『のぞきめ』、『テラフォーマーズ』、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』、『スーサイド・スクワッド』、『シークレット・オブ・モンスター』、『バイオハザード:ザ・ファイナル』もわりと好きな映画です。インデペンデンス・デイはもう内容を覚えていないけど。 […]

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著者

ヒナタカ

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