『幸せをつかむ歌』家族とのいい関係を学ぼう(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『幸せをつかむ歌』家族とのいい関係を学ぼう(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は幸せをつかむ歌(原題:Ricki and the Flash)です。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:いまからでも、できることがきっとある

あらすじ

リンダ(メリル・ストリープ)は、ハウスバンドの“リッキー・アンド・ザ・フラッシュ”のボーカリスト。貧乏ながら、常連客やバンド仲間に恵まれ、充実した毎日を送っていた。
ある日、元夫のピート(ケビン・クライン)から、娘のジュリー(メイミー・ガマー)の力になってほしいという連絡が入る。ジュリーは、自身の夫に浮気されたうえ、捨てられて自暴自棄になっているというのだ。リンダは十数年ぶりに帰郷し、自分が“歌のために家族を捨てた母親”として、ジュリーから憎まれていたことを知る。

本作については、以下でも書きました。

<家族とうまくいっていない人に観てほしい。メリル・ストリープがレディー・ガガを熱唱する『幸せをつかむ歌』 | シネマズ by 松竹>

本作にあるのは「たとえ過去に失敗したことがあっても、これからできることがあればいい」というやさしいメッセージです。

とはいえ、お涙頂戴にはならず、辛辣でブラックなシーンも多々あったりします。
ナチュラルにハッパ(麻薬)が出てくるし、久しぶりに(再婚前の母親を含む)家族が集まったときの気まずすぎる会話には苦笑いするしかありませんでした

そして、メリル・ストリープが数々の名曲を熱唱してくれるのがうれしくってしかたがない!
具体的には以下のようなラインアップです(一部)。


※ほかにもドビー・グレイローリング・ストーンズも歌っています。

これらの楽曲が、「音楽により人生が再びよい方向に動きだす」という物語に絶妙にマッチ。
昨年の秀作『はじまりのうた』が好きな人にも、ぜひおすすめしたいです。

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そして、メイミー・ガマーが本当にリアル母のメリル・ストリープにそっくり。
実際はとても仲のよい母娘なのだそうですが、映画では胃が痛くなりそうなほどのヒドい親子関係に見えてしかたがない。その役作りも見所になっています。

幸せをつかむ歌1<劇中ではとっても仲が悪いです。

本作の難点は、劇的な事件があまり起こらない映画なので、大きな感動を求めると肩すかしに感じてしまうことでしょうか。
上映時間は101分とややコンパクトで、こじんまりとしている印象はあります。
でも、細やかな登場人物の変化はしっかり描かれていますし、ラストの「変化」に心を動かせる方はきっと多いはず。
「じんわり」とした、観た後からも深みを感じられる作品を期待してみてください。

個人的には、女性にこそ強くおすすめしたいところ。
劇中には、超有名男性シンガーを例にして「男は許されるけど、女はそんな生き方はできねえんだよ!」と文句を言うシーンがあったりするのです。
JUNO/ジュノ』でも「女の生きかた」を描いていた脚本家、ディアブロ・コーディらしさがしっかり出ています。

じつは、本作の監督は『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミだったりします。
『羊たちの沈黙』しか知らないとそのギャップに驚けそうですが、過去にも家族愛を描いた『レイチェルの結婚』を手掛けたりもしています。

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作家の多様性を知れるというのも、映画ファンにとってはうれしいですね。

母と娘だけでなく、夫、長男、かつて父親だった男など、「家族の一員」がそれぞれ描かれているので、どなたにも感情移入がしやすいでしょう。
上映館は決して多くない(3月19日公開のところも多め)ですが、あたたかい音楽映画を見たい方すべてにおすすめします。

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

ミック・ジャガーに文句

リンダがライブ中、「ミック・ジャガーは4人の女性との間に7人の子どもを作っていても許されるの。パパは何をしたっていい、男なら何をしたっていいのに、女はダメなのよ」と言ってしまうシーンにはちょっとホロリ。
リンダは音楽を捨てきれなかったために、家族から嫌われ続けてきた女性。彼女はそれでも自分の人生を肯定しようとしていたのだけど・・・積もり積もった感情が、ここで文句として出てしまったんですね。

子どもを愛する意思

グレッグは、そんなリンダの言葉を「君はピーター・パンのウェンディと同じだ!」と非難します(これは「大人になるべき」という、という意味です)。

そのグレッグは、かつて浮気をしてしまったがために、家族には他人以上に嫌われてしまった男でした。
家族に会うことができるというだけ、まだリンダのほうが恵まれているとも言えます。

そんな彼が言ったのは「愛するのは親の意思だ。俺は子どもたちを愛している」ということ。
たとえ嫌われたとしても、子どもたちを愛するという気持ちは変わらない。それは、どんな親でも持っている想いなのでしょう。

商品番号の当てっこ

リンダはやっすい給料でスーパーで働いていていました。
その結果、彼女は店にある商品番号をすべて覚えていたいたため、元夫に出された「商品番号当てっこクイズ」に全問正解します。
どうでもいいような特技ではありますが、このクイズのおかげで元夫婦ふたりが笑顔になれていました。
これは、不毛のように思われた彼女の仕事(人生)を肯定してくれたような出来事です。

また、リンダは年下の店員から「もっとスマイルを!」などと説教をされているほど不自然な笑顔しかできませんでしたが、娘と交流できるようになってからちゃんと笑えるようになってきた、というのもいいですね。

おばあちゃんの言葉

終盤に、軽い認知症を患っているおばあちゃんが登場します。
おばあちゃんは、(いまは離婚した)娘・ジュリーの結婚を「いま」と勘違いしていて、「あなたとあの子のことは大好きだけど、あの男の人のことは好きじゃないわ、すぐ離婚しちゃうわよ」とリンダに言ってしまいます。
このときのリンダの返答は「ちゃんとうまくいっているわよ」でした。

これまでのリンダは、他人のことよりも自分の価値観を優先してきた女性。ほかの人の意見をただ「悪いほうへ」否定することもありました。
だけどここでは、おばあちゃんの言う「悪い未来」なんてない、よいほうへと向かっていると、肯定しています。

また、娘・ジュリーが結婚した当時は、リンダは家族に嫌われている真っ最中だったんですよね。
そんな中、「(このときの)あなたのことが好き」と言ってくれたおばあちゃんの言葉は、リンダにとって福音となったのかもしれません。

合わせよう

リンダは、ゲイの息子に対しても「別に男と結婚しなくても、女ともできるでしょう」と言っちゃうなど、相手の価値観を考えない女性でした。
だけど、最後の結婚式には、息子の恋人にも明るく接したりしています。

彼女が変わったように、その子どもたちも変わっていきます。
リンダとそのバンド仲間たちが披露した音楽に、(ちょっと始めはためらったとしても)子どもたちがノッて踊ってくれるのですから。

こうして、相手の価値観に合わせてあげるというのが、どんな家族でも当てはまる、みんなが幸せになるための方法なのかもしれません。

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ヒナタカ

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