[ネタバレ解説]映画『のぼる小寺さん』のモヤモヤを解消させること

[ネタバレ解説]映画『のぼる小寺さん』のモヤモヤを解消させること

今日の映画感想はのぼる小寺さんです。(記事の前半はネタバレはありません)

個人的お気に入り度:9/10

一言感想:青春映画の傑作の新たな誕生を見届けた

あらすじ

がんばっている小寺さんが周りの誰かを少しずつ変えていきます。

そろそろ上映が終了するタイミングで恐縮ですが、いや本当に良い映画だったので何度でも推したいのですよ!
ネタバレなしで言えること全ては以下に全て書きましたので、ぜひお読みください↓
『のぼる小寺さん』は『桐島』の再来となる青春映画の傑作!「がんばること」を肯定する物語がいま必要な理由とは | ハーバー・ビジネス・オンライン

公開日までの1週間、誰にも頼まれていないのに毎日Twitterで絶賛の理由を記していました。それくらい推さざるを得ない素晴らしさだったんですよ!
#まいにち絶賛のぼる小寺さん – Twitter検索 / Twitter

要するに、

  1. 『桐島、部活やめるってよ』や『ちはやふる』に通ずる、努力と青春にまつわるメッセージが尊い
  2. 古厩智之監督と脚本家・吉田玲子のタッグの相性が最高
  3. 工藤遥や伊藤健太郎をはじめとする役者たちが輝いている
  4. 悶絶必至のラストシーン

ということですよ。

他の称賛記事もとってもアツいことになっているのでぜひお読みください↓
『のぼる小寺さん』主演・工藤遥の存在が語るもの 伊藤健太郎らと化学反応を起こす|Real Sound|リアルサウンド 映画部
「声」も才能! 中森明菜と『のぼる小寺さん』工藤遥の共通点 | FRIDAYデジタル

そしてね…『桐島、部活やめるってよ』の再来と言えるこの青春映画の傑作『のぼる小寺さん』を観たばかりなのに、また『アルプススタンドのはしの方』…というすごい映画がやってきたのももうたまんないですよ……こちらもぜひご覧ください。

<映画『アルプススタンドのはしの方』公式サイト 劇場一覧>

さてさて、ここからは、ネタバレ全開で、映画『のぼる小寺さん』の終盤でやや賛否両論別れていたポイントについて記しますね。
あそこでモヤモヤしてしまった方の気持ちもよくわかるのですが、個人的には肯定したいのですよ。
そして、まさかの『桐島、部活やめるってよ』とシンクロしたシーン、そしてラストの感動についても書いています。

以下からは結末を含めてネタバレですので鑑賞後にお読みください↓



握手をしなかった理由

ラスト近く、近藤くんは握手を求めてきた卓球部員の男の子の手を、「もういいよ」と握り返さなかったんですよね。
ここにちょっとモヤモヤした、後味の悪さを覚えた方もいるようです。
それを少し解消してくれるかもしれないのが、以下の古厩監督へのインタビューです↓
何を撮っても自分ぽくなってしまうのですが、それでいいかなと思ってます。『のぼる小寺さん』古厩智之監督【Director’s Interview Vol.65】 :4ページ目|CINEMORE(シネモア)

あれ(握手の拒否)は、今の日本の最大の敵、同調圧力に対する抵抗ですね(笑)。あのシーンだと、「わかったわかった」って握手するのが普通だと思います。でもそれが何か気持ち悪くて嫌だったんです。あそこで拒否するのって難しいと思うんですよね。でもあえてそうしたのが、近藤の自我の芽生えであり、成長でもあるんです。

映画の序盤、近藤くんはふざけててぶつかってきた男子生徒に「なんだよー」と笑顔で返していたけど、何も反応がなかった。ひとりぼっちだったけど、周りに合わせようとしていたんですよね。
あの握手の拒否は、「とりあえず気持ちを誰かと合わせることをよしとはしなかった」、同調圧力ではない、1人で自分の負けて悔しい気持ちと向き合おうとしたからこそ、成長と言えるのではないか、と。

さらに、近藤くんはその後に小寺さんと言葉ではなく、お互いの気持ちを分かり合えることができたんですよね。
握手はできなかったけど、ここでさらに近藤くんは成長している。この後にはちゃんと他人との折り合いもつけていく、しっかり前向きになれる気がしたんですよね。

そうは言っても、あの卓球部員の男の子は何も悪いことをしていなかったので、彼がちょっとかわいそうに思えてしまうのも事実。
エンドロールかどこかで、フォローがあっても良かったかも。

それでも、青春とは得てしてどこかでそうした苦味が残るものだし、古厩監督の言うようにあそこで握手をしちゃうとむしろ物語が「閉じた」、提示された価値観が矮小化してしまうような気がしたんですよね。
やはり、自分は「握手をしなかったこと」そのものを、肯定したいです。

『桐島』のあのシーンとシンクロしたラスト

『のぼる小寺さん』と『桐島、部活やめるってよ』が超絶シンクロしたシーン、それは……。

『桐島』の中盤で、『鉄男』(1989)というマニアックよりの映画を見た映画部員のイケていない男の子が、たまたま一緒に同じ劇場で見ていた憧れの女の子にジュースをおごってあげる、というシーンがあります。
そこでの会話はとても気まずく、男の子は女の子がいたベンチに一緒に座れないまま別れた、というとても悲しい関係が描かれていました。

そして、この『のぼる小寺さん』では、「ベンチのすぐそばで男の子が女の子にジュースをおごる」というのがなんとラストシーン!
『桐島』のあのシーンの悲しみが解消され、あの男の子の魂が浄化されたような感覚さえ得たよ…!俺はガッツポーズしながら泣いたよ!

しかも、この『のぼる小寺さん』のラストシーン、原作マンガでは3巻にあるエピソードだったりする。
『映画 聲の形』でも思ったのですが、脚本家の吉田玲子さんは「映画のラストにする原作のシーン」の選び方が最高すぎるよ!

あと、途中で四条くが近藤くんにハグして、近藤くんが「四条くんなら(小寺さんと)付き合ってもいいかな…」と言うの、原作にないオリジナルのシーンなんだけど、そこでも吉田玲子さんらしさめっちゃ出ているな!ああいうキャラのイチャイチャ感最高ですやん…ていうかBLですやん…。

あ、そうそう、『のぼる小寺さん』は「誰もがそっと背中押される青春応援ムービー」という触れ込みなのですが、まさかラストで物理的にそっと背中押されるとは思わないじゃないですか!

「俺も見ていてくれ!」
(本当に見つめる小寺さん)
(目をそらす小寺さん)
(ラストで背中をトンッ)
なんというラストの切れ味。天才の発想。ありがとう。ありがとう。

(C)2020「のぼる小寺さん」製作委員会 (C)珈琲/講談社

バナー

publicShare

theatersタグ

chat_bubbleコメント

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。
メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

movieこちらの記事もおすすめです

今までに書いた映画レビューの中から、この記事を読んでいただいたあなたにおすすめの記事をピックアップしています。

ネタバレ前の感想をまずは読んで下さい。映画を見終わった後、ネタバレを含む解説を読んでいただけると1記事で2度楽しんでいただけるのではないかと思います。

カゲヒナタ映画レビューが少しでもあなたのお役に立てれば幸いです!あなたが良い映画と出会えますように:)

done ドラマ

この映画のレビューと同じカテゴリの記事です

done 10点満点の映画

10/10を獲得した映画です。

見たい映画が見つからないときはこちらがおすすめです。

done 9点の映画

9/10を獲得した映画です。

名作ぞろいです!まだ見ていない作品があれば是非!

著者

カテゴリ

文字から探す

レビュー点数で探す

extensionその他サイト

vertical_align_top