『誰も知らない』の恐ろしさを解説した記事と合わせて観て欲しい3つの映画【映画コラム】

『誰も知らない』の恐ろしさを解説した記事と合わせて観て欲しい3つの映画【映画コラム】

今から15年前の2004年8月に公開された是枝裕和監督作品『誰も知らない』は、衝撃作にして、日本映画史上に残る名作でした。
現在も第一線で活躍する俳優・柳楽優弥が史上最年少の当時14歳でカンヌ国際映画祭の主演男優賞に輝き、日本映画が世界に通用することを知らしめた記念碑的作品とも言えるでしょう。


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そして、2018年6月公開の是枝監督作『万引き家族』はご存知カンヌ国際映画祭にて日本映画では21年ぶりのパルムドール(最高賞)を受賞する偉業を達成。日本では45.5億円、中国で実写邦画の歴代1位、アメリカで興行収入200万ドルを突破などなど、記録的な興行収入を記録しました。
さらに、今年2019年10月11日には、全編をフランスにて撮影した、自身初の国際共同で製作した映画『真実』も公開。是枝監督は名実ともに世界的な映画監督と言って異論はないですね……本当に嬉しいです。

その『誰も知らない』の解説記事を、賃貸情報サイト“CHINTAI”で書きました。大きなネタバレはありません↓
是枝裕和監督の『誰も知らない』は“なあなあ”の恐ろしさと“救い”を描いた映画だ【月イチ紹介名作映画】 | CHINTAI情報局

さてさて、以下からはその『誰も知らない』の解説記事では長すぎて入りきらなかった、「合わせて観て欲しい3つの映画」の紹介文を載せておきます。

『誰も知らない』をさらに奥深く解釈できるかもしれない3つの映画はこれだ!

『誰も知らない』と合わせて観てほしい、さらに多角的に内容を解釈できるかもしれない、3つの映画を紹介します。

1.『火垂るの墓』

ご存知、故・高畑勲監督の代表作であるこの戦争を題材としたアニメ映画は、幼い兄弟に“希望があった”ことが逆に最悪の悲劇を招いてしまうという物語にもなっています。

具体的には、14歳の兄には「艦隊で戦っている父が生きて戻って来る」という希望を抱き、そのために「4歳の妹に母の死を知らせない」「妹と海に遊びにいく」「妹2人だけで住んでみる」という、短期的に不幸にはならなくても、長期的に幸せにもなれない行動ばかりをとってしまうのです。

『誰も知らない』の劇中においては、長男は途中で母親が「もう戻ってこない」ことを確信します。だが、彼は妹と弟たちには「来週帰ってくるよ」などと根拠のない嘘の希望を告げてしまっています。希望はさらなる絶望や悲劇と呼ぶきっかけにもなり得る(しかし刹那的には幸福とも言える)ということを、『火垂るの墓』と『誰も知らない』は教えてくれるでしょう。

※『火垂るの墓』の解説記事はこちら↓
高畑勲『火垂るの墓』を読み解く3つのポイント | シネマズ PLUS

2.『来る』

こちらは、正体が不明瞭な化け物との霊能力バトルが展開するという、エンターテインメント性の高いホラー映画です。言うまでもなく現実ではあり得ないことが起こるのですが、実は『誰も知らない』と同様に子供との向き合い方を“寓話”として学べる内容にもなっていました

具体的には、『来る』の劇中で化け物に狙われることになる2歳の娘の父親は、表面上は“完璧”な父親像を取り繕うも、実質はとんでもなく無責任で自己中心的であったため、母親は必然的に精神的に追い詰められてしまうのです。一方で、家族を救おうとする霊能力者の女性はピンク髪でパンクな見た目に反して、子供好きで親身に接してあげたりもします。

これらから伝わってくるのは、血の繋がった親だけが子供にとって絶対的な価値観となる危うさ(化け物はその象徴)です。その霊能力者の女性と、ライターの男はどちらも“子供を作ることができない”身体であり、自分の子供を産めないことに劣等感や疎外感を感じていたりもしています(原作小説ではその言及がされています)。そうであっても他人の子育てにコミットできることがあるかもしれない、それでこそ親は助かり、その子供を含めてみんなが幸せになるかもしれない……そんなことも問いかけられているようでした。

そして、子供を育てているということはそれだけで大変なこと、だから完璧など装わずに、肉親以外の周りの大人たちが(例え未熟で自信がなくても)子育てをサポートしてもいいのではないか、いう普遍的かつ現代的な大切な価値観が訴えられているのでしょう。劇中ではそれができなかったがゆえの阿鼻叫喚な地獄絵図も見せつけられるので、『誰も知らない』以上にダイレクトかつ恐怖を持って感じられるかもしれません。

※『来る』が訴えていることは、細田守監督の『バケモノの子』にも似ています。その解説記事はこちら↓
『バケモノの子』細田守監督の“狙い”がわかる5つのこと | シネマズ PLUS

3.『ミスミソウ』

『誰も知らない』の劇中では、シンガーソングライターのタテタカコがコンビニの女性店員を演じていて、彼女は映画の終盤に流れる劇中歌「宝石」も提供しています。是枝監督たっての希望でこの「宝石」を映画で使いたいオファーがあったようで、その歌詞と慈しむような歌声は劇中の子供の状況と見事にシンクロしている、作品に不可欠なものとなっていました

同様に、こちらの『ミスミソウ』でもタテタカコの既存曲「道程」が主題歌として選ばれています。この「道程」は過酷な人生を進んでいく人々を鼓舞する歌詞であり、サビが終盤にしかないという特殊な構成が取られているのですが、それこそが劇中最大のカタルシスと感動を呼ぶようになっていました。「どこでなら引き返せたのだろう……最悪の事態を回避できたのだろう……」と思わせることも『誰も知らない』と共通していますね。

『ミスミソウ』は女子中学生がいじめっ子を次々と惨殺するという内容でR15+指定も大納得、ある程度は観る人を選ぶ内容なのですが、閉鎖的な田舎を舞台にした青春映画としても大傑作と断言できる素晴らしい作品です。ぜひ、『誰も知らない』の劇中歌「宝石」に心を揺さぶられたという方にも観てほしいです。

※『ミスミソウ』の解説記事はこちら↓
『ミスミソウ』は『ちはやふる -結び-』と並ぶマンガ原作映画の大傑作!その6つの理由! | シネマズ PLUS

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どれも書いててけっこうお気に入りで、ネタバレもないように書いているので、ぜひお気軽に読んでみてください。

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