『NERVE ナーヴ』ネット社会は怖い?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『NERVE ナーヴ』ネット社会は怖い?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はNERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲームです。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:エンタメ性抜群なのに意外と教育的!

あらすじ

女子高生のビー(エマ・ロバーツ)は悪友のせいで想い人にひどいフラれ方をした勢いで、「NERVE」という危険なオンラインゲームをプレイしてしまう。
ビーは青年のイアン(デイヴ・フランコ)と協力して次々と「指令」をクリアし、多額の賞金を獲得。瞬く間に人気プレイヤーとして注目を集めるようになるが……

本作のプロットは、大学進学を控える女子高校生が危険なオンラインゲーム「NERVE/ナーヴ」に参加し、つぎつぎと無謀な挑戦をしていくというもの。

その挑戦の内容は、たとえば“知らない人と5秒間キスをしろ”といった“現実”での行動。
しかも、それを動画として配信して“視聴者”に見せなければいけません。

「そんなゲームやるわけねーだろ!」と思うところですが、挑戦に成功すれば賞金を手にすることができるのです。
この設定に一番近いのは、日本の漫画『DEAD Tube』でしょうね。

この漫画は18禁でもおかしくないほどにエグい内容でしたが、本作『NERVE』のレーティングはG(全年齢)指定で、むしろ極めて教育的な内容になっていました。

ネットの大きな目的は“自己顕示欲”を満たすこと

“挑戦者”が必ずしもおカネのためだけにゲームをしているわけではない、というところもミソになってきます。
ライバルとなる女の子はネットで注目を集めることに躍起になったために暴走してしまうし、主人公は片思いの相手からヒドい振られ方をしてしまった勢いそのままに危険なゲームに参加してしまうのですから。

これは現実のSNSやオンラインゲームにも当てはまるところもあります。
誰もがユーチューバーとしておカネを稼ぐことを考えているわけではないけれど、怒りにまかせてツイートしたために誰かを傷つけてしまったり、Facebookで過去の知り合いの幸せそうな書き込みを見て不毛な嫉妬をしたり、オンラインゲームにハマりすぎて生活に支障をきたしてしまったり、というのは誰にでも起こり得ることです。
ネット社会は便利で楽しい反面、どこかにそうした“危険性”をはらんでいるのですから。

本作で描かれているゲームは、そうしたネット社会を極端にデフォルメしたものと言っていいでしょう。
設定は荒唐無稽ですが、決して絵空事とも言えないのです。

画と音楽も楽しい!

美術と音楽も、この映画の大きな魅力。カフェやデパートの店内がネオンのような青や紫の光に彩られていたり、ゲームの“挑戦者”のアカウント名がビル街にそのまま表示されていたりもしています。


※こうやってスマホの画面が空中に出るのも好き。AR(拡張現実)っぽいかも。

音楽監督のロブ・シモンセンはこれまで iPhone のCM曲、『フォックスキャッチャー』のイヤ(褒め言葉)な音楽 、マイケル・ダナと共同で『(500)日のサマー』の音楽などを手掛けており、この『NERVE ナーヴ』ではEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を初めとした楽曲が作品と絶妙にマッチしていました。

この画と音楽、そしてスピーディーな展開のおかげで、高いエンタメ性を誇る作品になっているというところが本作の一番の長所ですね。
上映時間が96分とコンパクトで、説教くさくなりすぎないバランスに仕上がっているのも見事です。

七光りとは呼ばせねえ!

主演がジュリア・ロバーツの姪っ子のエマ・ロバーツ、ジェームズ・フランコの弟のデイヴ・フランコであることにも注目です。

どちらも今までは脇役か、準主役であっても目立たない役柄が多かったのですが、今回は満を持して主演として頑張っています。
親戚に有名な俳優がいると、そのプレッシャーも大きかっただろうな……。
ふたりとも今どきの若者役が存分にハマっており、その活躍をもっと追いかけたくなりました。

ここがアイツとは違う!

本作は『踊る大捜査線』シリーズや『グッドモーニングショー』などの君塚良一脚本作品が嫌いな人にも観てほしいですね。

君塚大先生はネットと若者が嫌いで、その問題を映画表面的にだけ扱って、肝心の問題解決をなあなあにするという作風がブレないお方でした。
その手腕はもはや名人芸と呼べる勢いですね。

しかし、この『NERVE』はネット社会や、それに依存する若者を悪と一元論的に決めつけず、あくまでそこに内在する“問題”や“危険性”を描いています。
「なぜネットに依存してしまうのか」という理由や、過度にネットで他者を攻撃することの“しっぺ返し”もちゃんと描かれていました。
これが社会問題を扱う映画のあり方ですよ!

また、終盤に『グッドモーニングショー』にそっくりな展開があるんだけど、展開はそのものは似ていてもその精神性がまるで違うというのもおもしろいですね。

アンディ・ウォーホルが言った“15分の名声”って?

本作の触れ込みには「アンディ・ウォーホルが言った“15分の名声”のミレニアム版」というものがあります。
これは、アンディ・ウォーホールの名言「人は誰でもその生涯で15分だけは有名になれる」を指しているのでしょう。

一聞するとポジティブなメッセージにも思えますが、これは裏を返せば“誰でも15分だけの短い時間は有名になれるけど、それ以上継続するのは難しい”とうことも示しています。
それは、表面だけの事実がよく取りざたされ、ブームが去ればすぐに忘れられがちなネット社会、そしてこの映画が描いているテーマそのものにも当てはまるのではないでしょうか。

同監督のホラー映画も公開されるよ!

ちなみに、本作の監督のヘンリー・ジューストとアリエル・シュルマンのコンビによるホラー映画『ヴァイラル』が、未体験ゾーンの映画たち 2017で限定公開されます(東京では1月17日より)。

“寄生”の恐怖を描くパニックホラーということで、なんだか好みの予感。
実力のある監督さんであることがよくわかったので、こちらも時間が合えば観てみたいですね。

ともかく、『NERVE』は「意外な掘り出し物」としてかなりオススメできる作品です。
終盤の展開が都合が良すぎる、展開が早すぎて雑な描写がある、などの難点はありますが、それも含めて楽しんでしまいましょう!

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓ 今回はほぼオチだけを書きます。

旧式iMac登場

トレーラーの中に旧式のiMacが置いてあって、それで新たな指令が出されるのは笑いました。
その時代のものだとWi-Fiとかないから、ネット接続してないんじゃね?

匿名性

「投票」をしていた「匿名」の者たちの個人情報が公になってしまう、という「しっぺ返し」は大納得できました。

ネットの過激な発言は「匿名性」があるからこそ、気軽にしてしまえるところがあります。
でも、その発言をしたのが自分だと特定されてしまい、「みんなに知られてしまったら……?」ということを描いているんですね。

本作では「それ以上の罰が描かれていない」というのもいいですね。
あくまで「本名が知られてしまった」というだけだけど、それだけでも「さんざん悪口を書いた」「人をも殺してしまうかもしれない投票をしていた」本人からすれば、恐ろしい事実なのです。

イアンが本名を明かして、面と向かってたコミュニケーションができるようになる、というラストも大好きです。

主人公は母親に本当に行きたい大学のことも素直に言えなかった。
現実でヒドいフラレ方をしてしまった腹いせでゲームに参加してしまい、友人とも仲違いになった。
そうしたことは、ネットではなく、親しい人との会話やふれあいにより、解決できるのかもしれませんね。

ネットを媒介した危険なゲームに参加した代償、はたまた間違った価値観に付和雷同してしまう人間たちなどを象徴的に描きながらも、実は若者にエールを送っている……そんな作品の精神性が大好きです!

(C)2016 LIONSGATE ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2015 Peste Productions, LLC

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ヒナタカ

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