映画『何者』その“演劇”を見届けよう(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

映画『何者』その“演劇”を見届けよう(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は何者です。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:ホラー映画じゃん

あらすじ

一室に集まった、大学生の拓人(佐藤健)、光太郎(菅田将暉)、瑞月(有村架純)、理香(二階堂ふみ)、隆良(岡田将生)らは、情報交換をしながら就職活動に挑んでいた。
彼らはそれぞれの思いや悩みをSNSで発信するが、、いつしか抑えられていた嫉妬や偏見が噴出することになり……。

朝井リョウによる同名小説の映画化作品です。

まあね、本作はパッと見では(予告も含め)青春ドラマに思えますよね、いやこれホラーだよ
なんで本作がホラーなのかは、以下にも書きました。
<『何者』がホラー映画である5つの理由 | シネマズ by 松竹>

うん、まあ、本当に怖いんだよこれ……、しかも精神的なキツさまでありますからね。

『君の名は。』の上映前に本作の予告が流れていたので、期待していた若者は多いでしょう。
でもでも、『君の名は。』は人との出会いを素晴らしいものであるとした映画である一方、『何者』は他人への嫉妬と偏見がねちっこく描かれているんですよ。
しかも、「就活ってキモいよね」「Twiiterで自己顕示欲出しまくってるやつサムいよね」と少しでも思っている人の心を広くまんべんなく深くえぐってくるんですよ。
観た後は相当な精神力が養えるんですよ!

賛否両論!さわやかさは期待しないで!

そんな感じなので、本作はいい感じに賛否両論。心抉られるホラーとしておすすめしたいけど、さわやかな青春モノを期待する人には1ミリとしておすすめできない感じです。

それでも本作の怖さをイメージできない方は、以下の自主制作アニメーション『就活狂想曲』を観てみてください。

うん……全力で気持ち悪い(褒め言葉)内容ですが、就活を極端にデフォルメしたらこんな感じだよね……。
本作『何者』には、若者の描き方にリアリティがない、ステレオタイプすぎるという批判があるのですが、それは6人の登場人物それぞれに極端な若者のデフォルメ像を当て嵌めた、または『就活狂想曲』のように就活の気持ち悪さを強調した、ということでもあるので、個人的には大肯定します。

この極端なキャラだからでこそ、「こいつは自分に似ているな」「いや、あっちにそっくりな面もあるな」と共通点を見つけられるでしょう。
そのように、自身を登場人物に投射することで、より就活の問題を身近に感じられるようになっていることも、たまらなく魅力的でした。

ともかく、これはかなりオススメです。
ランタイムはわずか96分、原作の魅力をしっかり広い、かつプラスαを加える「実写映画ならでは」の魅力も満載。
超豪華な若手有名キャストもバッチリはまっており、彼らのファンにとっても必見でしょう。

そうそう、傑作アニメ映画『聲の形』は小学生~高校生時代の人間関係のトラウマを掘り起こしてくれたのですが、こっちは職活に挑んだことのある人の苦しみを根こそぎ掘り起こしてくれることが素敵でした。映画の力ってすげえよ……。

『青春が終わる。人生が始まる。』というキャッチコピーは秀逸です。
青春とは己のアイデンティが確立しておらず、何かに「もがく」ことです。
でも、大人になればそうした青臭さをなくして、「現実」を生きなければならない……。
就活を通して。現代社会に対応できる大人になるっていることは、そういうことなんでしょうね。

本作を観れば、日本の新卒採用って歪んでいてイヤだなあ……と日本社会のあり方をも考えるきっかけになるかもしれません(そういう話じゃないけど)。

以下、結末も含めてネタバレです↓

野暮な不満点

終盤に「友人の内定先の評判をネットで調べる(ブラック企業かどうかをみる)という行為があるのですが、これが「悪」として描かれているのは納得いかないかも(原作小説でも同様)。
内定した後にブラックかどうかを調べてみても、それは「どうにもならないこと」だし、この状況だと「親友(?)への嫉妬」にしか見えないかな、とは確かに思うのですが……ふつうに心配して調べてみた、という発想も出てきて欲しかったのです。

この映画における「他人の見方」は、ほとんどが「見下し」や「嫉妬」という醜いものとして表現されているんですよね。この点が気になる方は多いのかもしれません。
だからでこそ、裏表のない性格の光太郎や、女神のように隆良に説教をする瑞月が、とても愛おしく思えてくるので、一概に悪いところとも言えないのですけどね。

それぞれの性格

登場人物がそれぞれどのような性格だったかを書き出してみます。

・拓人(佐藤健)
学生時代は劇団に熱をあげていた(はずだった)。
その「分析力」が評価されているが、それは裏を返せばスノッブ(知識のひけらかし)であり、他人を見下しているところがある。
分析はTwitterでツイートし続けているが、さらに裏アカウントでは……

・光太郎(菅田将暉)
学生時代はバンド活動をしており、そこそこの人気だった。
天真爛漫で素直。そこそこの企業の内定を手に入れるが、「就活が自分に向いていただけ」と考えている。
出版業界に入ったのは、想い女と出会える可能性があるため。

・瑞月(有村架純)
家庭環境のために就活に対して切実。そのおかげもあるのか、イチ早く内定を手に入れた。
拓人が想いを寄せる女性であるが、その瑞月本人は光太郎に片想いをしていた。
思慮の浅い隆良に説教をする。

・里香(二階堂ふみ)
外国語学部で留学の経験を持つ、エリート気取りの女子。
自意識過剰で、グループディスカッションでは自分の経歴をひけらかしていた。

・隆良(岡田将生)
就活に価値観を見出していないふりをしていたが、実はこっそりと説明会に私服のまま顔を出していた。

・サワ先輩(山田孝之)
理系の大学院生。Twitterはやっておらず、「現実」の人間関係を見つめている。

・烏丸ギンジ
作中では顔を見せない
就活をせず、舞台で生きることを宣言した。

こうしてキャラクターを見てみると、自分の本音に近い人は早めに内定を手に入れて、いやらしいスノッブや経歴をひけらかすような人は内定を手に入れていない、という状況になっているんですね。

隆良はただの「意識高い系」で中身がない人間でした。1ヶ月に1回の公演をする烏丸ギンジとは仕事の折り合いがつかず、表現したいものが頭の中にあるだけで、まさに「何者にもなれない」状況です。
そんな自分を持たない人間だからでこそ、瑞月に説教されただけであっさり就活を始め、しかもまだ内定の出ていない拓人に助言を求めると……人をみる目も持ってないんですね。

里香が隆良と付き合ってまだ3週間というのも、里香は「彼氏がいることがステータス」と思い込んでいて、とりあえず彼氏を確保しておくという考えしかなかったのかもなあ・・・。
里香が「返信しなきゃいけないメールがたまっているのよね~」とわざとらしく言っていましたが、実際は不採用のメールが来ているだけだったりもした、というのも、彼女が「人によく見られるようにアピールする性格」であることを示しています。
(しかも里香は「1ヶ月」と、隆良と付き合っている期間を上乗せしてアピールしていたし)

烏丸ギンジは舞台稽古で、同じ劇団にいた拓人と「同じ動きをしている」演技をしていました。
ラストの展開も踏まえ、烏丸ギンジというキャラは、観客それぞれが「本音の自分」を投射するキャラクターと言えるのではないでしょうか。だからでこそ、劇中で顔を見せないのでしょう。

演劇

拓人が裏アカウントでつぶやいていたことが、演劇のセットで「再演」されるという演出には泣きそうになりました(怖くて)。この表現は、原作小説にはまったくないのです。

ここで観客は、2ちゃんねるで「つまらない」と評されていた烏丸ギンジの演劇と、拓人の人を見下すTwitterの文章を「同一視」せざるを得なくなるのです。
(しかも、ここまで時々挟まれていた烏丸ギンジの演劇のシーンが、マジでつまらなそうに見えていたことも辛い!)
その演劇の終わりに拓人がもらった「拍手」は、Twitterで言うところの「リツイート」「いいね」と同じなのでしょう。

だけど、その拓人を見て、瑞月は拍手ではなく、笑顔を送っていました。
拓人が現実で会いに行った、その裏アカウントを見ている瑞月は「ひらがなのにのみやたくと(演劇での名前)の考える話、好きだったよ。拓人の舞台、すごくおもしろかったもん」と言っていました。

この瑞月の言う舞台とは、もちろん裏アカウントでのつぶやきではなく、純粋に大学時代に拓人ががんばっていた、舞台そのもののことです。
拓人は就活を始めるときに、演劇を「大学時代の趣味みたいなもんだよ」と言っていましたが、そのとくの拓人の演技を心から好きだった人はいたのです。

拓人は演劇をすっぱりやめたようにも見えましたが、就活では演劇に関わる企業にも足を運んでいました。

ここから考えるに、拓人は皮肉にも、演劇に関わっているときこそ、本当の自分(=烏丸ギンジ)を出せていたのでしょう。
だけど、最後の拓人の裏アカウントの演劇は、まさにウソ、演技そのものなのですね。

しかも、この裏アカウントのつぶやき(演劇)は、拓人の「頭の中にあるだけの傑作」という発言にブーメランとして帰って来るという……ああああああイタイタイタイタイ!

また、この裏アカウントの演劇は、拓人の願望を表しているとも取れるかも。
本当は、彼はTwitterでの「リツイート」「いいね」ではなく、演劇を見た観客からの、心からの拍手を望んでいたのかもしれません。

本当に大切なこと

原作者の朝井リョウさんは、「Twitterのウソ臭さと就活の面接が似ているなと思ってこの物語を書いた」と語っています。
映画のラストの面接で、「1分間で自分を表現してください」というのは、まさに140文字という制限のあるTwitterそのもののようです。

拓人はゆっくりと、こう言っていました。
「先月、親友の演劇を初めて観に行ったんです。本当はずっと観に行こうと思っていたんですが、初めてで……。
その演劇は、とても恥ずかしくて、とてもカッコ悪くて、みっともないものだったのですが……すみません、1分間では語れません」

この「1分間で語れない」ことに、拓人の気持ちが凝縮されています。

原作小説の204ページには、サワ先輩の「(Twitterの140文字で)短く簡潔に自分を表現しなくちゃいけなくなったんだったら、そこに選ばれなかった言葉のほうが、圧倒的に多いわけだろ」「だから、選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表しているんだと思う」という言葉が書かれています。
その通りで、人間の本当の気持ちは、1分間の短いトーク、140文字ではとても語れません。

だけど……この拓人の語り口は、面接官の表情を変えていました。
(拓人の最後の一言と、この面接官の反応は、原作小説とはまったく違う描写になっています)
こうして、最後に「短い言葉ではなく、その人間性を見せてくれた」ことに、やさしさを感じました。

また、烏丸ギンジの演劇に臨んでいた劇団員たちが、心の底から「やりがい」を語っていたことも皮肉的。
これが、1分間の面接なんかよりも、はるかに心に響きそうなのです。

そうであるなら、面接や140文字のTwitterでのつぶやきなんかよりも、「その人」を知る努力をしたいものです。
企業としても、何より、人間としても……。

(C)2016 映画「何者」製作委員会

publicShare

theatersタグ

chat_bubbleコメント

  1. オープンリーチ より:

    今作を観て、最近Twitterをやりはじめた身としては、終盤の自分の腹のうちを晒されるようなホラー展開は、もし自分の身に降りかかったら、と置き換えて物凄く恐かったです。劇中に流れる中田ヤスタカ氏の音楽も、不穏な場面で物凄く不穏な気持ちにさせてくれて、音楽に思慮が浅い私にとってはとても親切でした。
    不満点というか、入り込んだ結果と思いますが、「大変なのは分かるけど、あんたらもうちょっと仲良くしたら~?」と劇中にお節介な近所のおっさん役で出たくなるほど、あの登場人物たちにイライラし、朝から晩まで説教したくなったところです。

  2. ばりいさん より:

    『何者』、原作既読で映画も観てきました。
    その上で、ヒナタカさんと解釈が分かれた部分を書きます。

    1 隆良が拓人を頼ったのは見る目が無かったのか?
    瑞月に説教をされ変わったことを、ヒナタカさんはネガティヴに書かれていますが、あれは純粋に、隆良が自分の殻を破った=変わろうとした、という現れかと思いました。
    拓人に頼ったのは、周りを見下した今までの関係ではなく、友情を築き上げたいという現れかと思いました。
    まぁ、確かに相談相手を間違えている感じはありましたが…。

    2 裏アカウントの文面を再現する舞台
    あれは、劇中のグループディスカッションで言われていた『演劇は日本人には受け入れられにくい』という事にかけて、『語り部である拓人の裏の顔を受け入れがたい事実として描く』という意味もあったのかなー、と思います。
    瑞月の微笑みについては、ヒナタカさんの意見を拝読しまして、『そういう解釈があったのか!』と、本当に胸を打たれました。

    あまりいい解釈ではありませんが、ずけずけと申し上げてすみません^_^;

  3. 毒親育ち より:

    登場人物が皆、嫌な奴揃いなんだけど、不思議と憎めず。そのイタイタしさでなく痛々しい必死さが愛おしく感じ涙が出ました。

    >賛否両論!さわやかさは期待しないで!
    >一言感想:ホラー映画じゃん
    冗談でなくてレビューもホラー映画に分類されてしまいますか。
    確かに「自分が何者か暴かれる恐さ」は相当ですし、『桐島、部活やめるってよ』が映画マニア以外にも名作と認知されて来たし、人気と実力を兼ね備えたキュストに集客も期待していたのですが、まだ中高校生も入れる時間帯なのにガラガラ(お隣の百五十億超えのシアターは今日も大入りなのに・・・クスン)だったのは、やはりこの「嫌な気配」を読まれてしまったのでしょうか。

    >就活ってキモいよね
    >Twiiterで自己顕示欲出しまくってるやつサムいよね
    私含めて5人しかいなかった(公開初週のサービスデーだよ!?)お客が中高年の方でした。
    映画の就活生達を嘲笑したり「最近の若いもんはなっとらん!」とか「オレの若ぇころぁよぉ~!!」とかでなく、自分の青春期の痛々しさを思い出して「今も昔も若い人は大変なんだな・・・」「いつも叱ってばかりのアイツ、たまには呑みに連れてってやるか!」とか思って欲しいと願います。

    >本作を観れば、日本の新卒採用って歪んでいてイヤだなあ……と
    >日本社会のあり方をも考えるきっかけになるかもしれません(そういう話じゃないけど)。
    経団連や与党のえらい人が本作を観てそのように・・・ならないか。彼らは知った上で七十年かけて今の日本社会の構造を作った張本人ですし。

    >野暮な不満点
    友人二人が某ブラック企業(業界では大手)でボロボロにされて社会復帰に五年の休職(求職)期間を費やしたので、その心配は解ります。

    >・拓人(佐藤健)
    >分析はTwitterでツイートし続けているが、さらに裏アカウントでは……
    コソコソポチポチで嫌~な予感はしてましたが・・・想像以上に痛過ぎでした。
    しかも二年生・・・自分も就職浪人期間があるだけに。ヒィィッ!もうカンベンしてぇぇぇッ!!

    >・光太郎(菅田将暉)
    なんでしょうね彼は。就活という地獄に舞い降りた天使?

    >・瑞月(有村架純)
    もうね・・・親のダメさで自分の一生が決定するとか・・・他人事でなく腸が煮えくりかえって・・・。
    >思慮の浅い隆良に説教をする。
    隆良がこれで目覚めてくれたのが救いでしたね!

    >・里香(二階堂ふみ)
    登場時から一番何者かになろうと必死オーラが出ていて一番目が離せない人でした。最後の号泣とか・・・隆良、泣きやむまでハグしてあげて!
    あと「それ、世界中の誰もが見れるようになってんだよ」「匿名?近しい人が見たら一発でアンタだって解るよ」という事を気付かせてくれるので、色んな人に観て欲しいなあ・・・。

    >・隆良(岡田将生)
    将来、昔ちょっと売れた事があって今は作品作らずワイドショーに出て今をときめく若い売れっ子に一方通行の説教してばかりで、同業者から「この人なんのプロなんだろうね」と言われるような大先生になりやがれ!と思っていましたが、瑞月さんに目覚めさせられた後の彼は将来、良い作品を産んで欲しいと応援したくなりました!

    >・サワ先輩(山田孝之)
    >理系の大学院生。Twitterはやっておらず、「現実」の人間関係を見つめている。
    自分はサワ先輩と違って恐くて読むだけの「Twitter」ですが『白ゆき姫殺人事件』といい自社提供品の問題点を出す作品には実名を出させてくれるTwitter社は本当に誠実な企業だと思います。
    ・・・未だにあの人を飼っていてプロパガンダ映画など書かせているTV業界とは雲泥の差で。
    ・・・なのに現在存亡の危機に瀕していて身売りしても何処も買ってくれず消滅の危機だとか!?正直者が馬鹿を見るようで悲しいです。

    >・烏丸ギンジ
    >作中では顔を見せない。
    誰もが思ったでしょうけど本作の「桐島」ですね。二十代で劇団立ち上げて月一新作公演・・・想像するだけで就活よりも血反吐と血尿が漏れそうです・・・。
    (しかもあんまり売れてなさそうだし・・・)

    >演劇
    >拓人が裏アカウントでつぶやいていたことが、演劇のセットで「再演」されるという演出には泣きそうになりました(怖くて)。
    >この表現は、原作小説にはまったくないのです。
    なんと!分析屋の彼が客観視される・・・映像化ならではの演出だったのですね!

    >本当に大切なこと
    Twitter上で失言して顰蹙を買っている人とかも、実は長い発言の140文字だけ切り取られていたりしますからね。
    (怒る人も居るだろうなと解っていて他は全て「その時の為の保険」な事を書いてる人もいますけど)

    余談ですが、最近上司のお小言に「そんな調子で部下が出来たらどうするんだ!」「オレの立場になったらどうだ!考えてくれ!」が混じッてきまして。ウゥ・・・。

  4. いいこま より:

    時間的余裕に加え先日偶然通りすがりの人のネタバレ含みの会話が耳に入ってしまったこともあってですが、観てきました。

    これは個人差があるにせよ就活経験者の身としては『就活狂想曲』共々ガチで怖かったですし観てて「うわー、他人事じゃねえ。」「差し詰め自分は拓人・理香・隆良と被ってるな…」「これ、就活生が身近にいたとしてその人に薦めていいのか悪いのか…」って思いました(気づいてない就活生の目を醒まさせるにはいいでしょうがダメージもデカそうですし)。
    >『君の名は。』の上映前に本作の予告が流れていたので、期待していた若者は多いでしょう。
    >>そういう人もひょっとしたらいたのではないかと思うところですが自分の場合予告の時点から割と嫌な予感は感じてました。まあ、実際に観たら嫌な予感以上でしたが…(『桐島』より個人的にはこちらの方が怖い)。
    >そうそう、傑作アニメ映画『聲の形』は小学生~高校生時代の人間関係のトラウマを掘り起こしてくれたのですが、こっちは職活に挑んだことのある人の苦しみを根こそぎ掘り起こしてくれることが素敵でした。映画の力ってすげえよ……。
    >>両作品ともに自分の経験にダイレクトにヒットしてるだけに…。
    >野暮な不満点
    >>実際自分も「あれだと嫉妬にしか見えないよなあ」と思いましたが、自分はあまりマイナスにとらえてませんでした。
    「スノッブな上に裏垢でどす黒い本音と嫉妬を見せている」拓人と「経歴をひけらかしたり胡麻をすったりして自分を良く見せようとする意識高い系の」理香と「意識高い系で人を下に見る」隆良の3人と「就活が得意なだけと卑下してるけど、根本は素直でまっすぐな」光太郎と「他人と比べずただ自分との戦いに奔走してただけの」瑞月の2人の差を比較する意味では良かったでしょうし。
    >烏丸ギンジ
    >>自分以外にもやはり桐島を思い出した方がいたようで。あちらとは顔が明かされない意味合いは異なるでしょうが、そこが重要なわけではないと考えてましたし、ヒナタカさんの「本音で生きる自分の投影」という意見を聞いて「恐らく顔を明かさなかったのは正解だな」と感じました。
    本音で生きるのは難しいですし大概の場合リスクも自分で背負う羽目になる上に他者に助けを求めにくいでしょう(だからこそ毒親育ちさんの仰る様に血反吐が出そう…)が、それでもそういう生き方はしてみたいものです(勿論どっちが正しくてというわけではないですが)。
    >隆良はただの「意識高い系」で中身がない人間でした。1ヶ月に1回の公演をする烏丸ギンジとは仕事の折り合いがつかず、表現したいものが頭の中にあるだけで、まさに「何者にもなれない」状況です。
    そんな自分を持たない人間だからでこそ、瑞月に説教されただけであっさり就活を始め、しかもまだ内定の出ていない拓人に助言を求めると……人をみる目も持ってないんですね。
    >>その意味では他者から酷評されるような出来だとしても内に秘めず外に出してるギンジの方が意識ばかり高くビジョンを外に出さない隆良のン百倍もマシですね。
    ただ、内定が出てない挙句里香から本性を見透かされた拓人に助言を求めてるのは「彼に相談しても進展しない気がするが…」と感じましたが瑞月の説教で就活開始したことに関しては意志薄弱というより自分のマイナス面に気づき目が醒めたと自分は解釈してました。それにばりいさん氏も仰ってる様に殻を破ったってのもあるでしょうし、少なくとも当初の見下し性だった頃の隆良だったら絶対やらなかったことでしょうし、その時と比べれば進展の描写ともいえるでしょう(勿論相談相手としては適してないですが)。
    >演劇
    >>監督曰く「演劇舞台の枠がTwitterの枠っぽかったし原作小説が演劇チックだし拓人の姿が自己顕示欲の大きいツイッタラーっぽいから」らしいですがまさに映画ならではですね(監督曰く「この作品を舞台表現にするのは難しいだろう」とのことですが)。
    あのくだりは本作同様菅田さん出演の『ピンクとグレー』の後半が頭によぎりましたが…そういう意味合いだと気づかず後で気づいて怖くなりました。
    裏垢のつぶやきに関しては「幾ら裏でもわざわざこんなこと呟くかなあ」と野暮ながらも引っ掛かってましたがこれが終盤の舞台とリンクしてるという皮肉に繋がってるのは良かったと今思い返して感じます。
    >この瑞月の言う舞台とは、もちろん裏アカウントでのつぶやきではなく、純粋に大学時代に拓人ががんばっていた、舞台そのもののことです。
    拓人は就活を始めるときに、演劇を「大学時代の趣味みたいなもんだよ」と言っていましたが、それを心から好きだった人はいたのです。
    拓人は演劇をすっぱりやめたようにも見えましたが、就活では演劇に関わる企業にも足を運んでいました。
    >>演劇に関しては自分も途中までファッションでやってただけかなと思ってたのが演劇に携わる企業の面接に赴く件で「演劇への想いは本気だったんだな」と思いが変わりましたが、それ以外は「なるほど…そういう解釈があったとは」と思い知らされました。
    >この「1分間で語れない」ことに、拓人の気持ちが凝縮されています。
    原作小説の204ページには、サワ先輩の「(Twitterの140文字で)短く簡潔に自分を表現しなくちゃいけなくなったんだったら、そこに選ばれなかった言葉のほうが、圧倒的に多いわけだろ」「だから、選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表しているんだと思う」という言葉が書かれています。
    その通りで、人間の本当の気持ちは、1分間の短いトーク、140文字ではとても語れません。
    >>1分or140字で凝縮できる人はできるかもしれませんができない人が大抵でしょうしそれならそんな制限なしで語ってくれる方が響きますし人となりを表してくれるだろうな、と自分も思います…(まあ、現実的には無理でしょうが)。
    あとサワ先輩が「140字が重なっただけで一緒に束ねて片付けようとするな」だけでなく原作ではそういう発言もしてたとは…。彼の的を射た発言は既に自明かも知れないですが頭に刻んでおいたほうがよさそうだと感じます。
    >確かに「自分が何者か暴かれる恐さ」は相当ですし、『桐島、部活やめるってよ』が映画マニア以外にも名作と認知されて来たし、人気と実力を兼ね備えたキュストに集客も期待していたのですが、まだ中高校生も入れる時間帯なのにガラガラ(お隣の百五十億超えのシアターは今日も大入りなのに・・・クスン)だったのは、やはりこの「嫌な気配」を読まれてしまったのでしょうか。
    >>ええ…公開からわずか1週間なのにその有様って。やはり読んでる人は読んでるのか…。
    >映画の就活生達を嘲笑したり「最近の若いもんはなっとらん!」とか「オレの若ぇころぁよぉ~!!」とかでなく、自分の青春期の痛々しさを思い出して「今も昔も若い人は大変なんだな・・・」「いつも叱ってばかりのアイツ、たまには呑みに連れてってやるか!」とか思って欲しいと願います。
    >>実際のところは不明なものの古代の遺跡にも「近ごろの若い奴らは」って刻まれてたと言う話もあるぐらいで「言われる側もいつかは言う側に回る」から見込めないかもしれませんが真面目にそうであってほしいものです。
    >日本社会のあり方をも考えるきっかけになるかもしれません(そういう話じゃないけど)。
    経団連や与党のえらい人が本作を観てそのように・・・ならないか。彼らは知った上で七十年かけて今の日本社会の構造を作った張本人ですし。
    >>あくまで個人的意見ながら。制度を否定する気はないですし制度の中で這いずり回る手を考えた方がいいのかもしれませんが、「デスノ後編の夜神局長じゃないけど作った人間が不完全だからか面接って不完全だよねえ」とずっと思ってるところはあるので肯定できませんし何らかの改善はした方がいいかもと本作を観ると改めて思います(勿論そういう話でないのは承知なので野暮ですが)。
    >もうね・・・親のダメさで自分の一生が決定するとか・・・他人事でなく腸が煮えくりかえって・・・。
    >>現実でもそういう人が多かれ少なかれいるのがまた。まあだからこそ他者を妬まずに済んで最終的に内定取れたのかもしれませんが。
    >あと「それ、世界中の誰もが見れるようになってんだよ」「匿名?近しい人が見たら一発でアンタだって解るよ」という事を気付かせてくれるので、色んな人に観て欲しいなあ・・・。
    >>『白ゆき姫殺人事件』でも描かれたようにネットリテラシーが欠如してるツイッタラーも多かれ少なかれいる実情を考えると同感です。あと観ながら「本名で登録するのは勝手だけど自分は恐くてできないわ(だから本名と掠ってないHNにした)」って思ってました。
    にしても毒親育ちさんも仰るように、自らの汚点が出るかもしれない作品でも実名を使わせてくれるTwitter社の器はホントにデカいです。こんな会社潰しちゃあかんって自分も思います。
    >Twitter上で失言して顰蹙を買っている人とかも、実は長い発言の140文字だけ切り取られていたりしますからね。
    >>Twitterではないですが先日の「ボブ・ディラン氏は無礼で傲慢」の記事もそうでしたからねえ。あれも続きの発言があり全文だと苦言ではなく実はディラン氏へのある意味での褒め言葉でしたし。

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。
メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。

著者

ヒナタカ

カテゴリ

文字から探す

レビュー点数で探す

extensionその他サイト

あわせて読みたい

この記事を読まれた方によく読まれている記事です。よろしければこちらもご一読下さい。

vertical_align_top