『裸足の季節』トルコのゆるゆるイスラム教を知っておこう(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『裸足の季節』トルコのゆるゆるイスラム教を知っておこう(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は裸足の季節(原題:MUSTANG)です。

個人的お気に入り度:9/10

一言感想:究極のフェミニムズ映画が誕生!

あらすじ

10年前に事故で両親を亡くした5人姉妹は、祖母の家で厳格で一方的な価値観を押し付けられていた。
やがて姉妹は家族が決めた結婚相手にひとりずつ嫁がされていく。
13歳の五女のラーレは、何とか家から逃げ出す方法を考えるが……。

観ろ。(←これもう今年4回目だよ!)

もうね、本作は細かいところはどうでもいいから、とにかく劇場に行けと言いたい。
あとは美少女がとにかくかわいいこと、美少女の肌の露出が多いこと、美少女の太ももをたくさん眺められることを言いたい。

しかもこんな彼女たちが下着姿になったり(夏だからしかたがないね☆)、制服姿のまま海でウッフキャハハとはしゃいだりするんですよ。最高か。天国か。

こんな書き方だとロリコンだとかキモいとか何とか言われそうだけど、美少女が好きなのは万国老若男女共通だからしょうがねえだろ!
というわけで、美少女好きはいますぐ観に行け。はいもう撤収!

(真面目に書こう↓)

さてさて、本作は新人女性監督の作品ながら、第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、Rotten Tomatoesでは97%coco 映画レビューでも95%という超高評価を記録した作品。映画ファンにとっても見逃せない作品なのです。

もっとも特徴的なのは、本作がフェミニズムにあふれまくっていることでしょう。
端的に言えば、戒律や習慣のために虐げられている女性(若い娘)に、救いをもたらす映画なのです。

トルコは女性にやさしい国?

このフェミニズムと密接に絡んでいるのは、映画の舞台となるトルコのお国柄です。

トルコは、イスラム教徒が99%を占める国です。
イスラム教は豚や牛を食べてはいけない、偶像崇拝を禁止する、女性は身体の美しい部分を露出させてはいけないなど、戒律が厳しいことはご存じでしょう。

しかし、じつはトルコではイスラム教の戒律は比較的ゆるいのです。
服装は自由な格好でOK、飲酒をする人が多く、街中でふつうにキスをするカップルまでもいます。
さらに大学など公の場では、(肌を見せないための)スカーフを着用することをむしろ禁じているのだそうです。

この「ゆるゆるイスラム教」になったのは、その昔に「宗教と政治を分離しなければトルコの発展はない(政教分離)」という大統領の考えがあり、古くから東西交易の要所と栄えてきた場所だからでこその文化の流入があったことが理由なのだとか。

おかげでトルコでは、イスラム教ならではの一夫多妻制はとうの昔に廃止、女性の参政権も認められています。
バスに乗っても、女性であれば若くても席を譲ってもらえる場合が多いのだとか。
ほかのイスラム教の国に比べると、トルコはいくぶん女性にやさしいのです

ただし……そのようなゆるい戒律でも、点在するモスク(礼拝堂)に行かないといけないし、豚肉は食べることができません。
何より、男性が働き、女性が家を守るべきという考えは、いまのトルコにおいても根強く残っています

これはトルコならずとも、多くの国で共通することですよね。
女性にやさしい人がいたとしても、女性の人生を画一的に決めてしまう古い価値観も残っている、というのは……。

※以下の記事を参考にさせていただきました↓
ちょっと変だよトルコ人! 海外イスラム教徒の反応 – Excite Bit コネタ
トルコってどんな国?(地理・気候・宗教など) ::ファインダー越しに見たトルコ旅紀行:7日目

この映画の主人公となる5人の姉妹は、まさにこの「古い価値観」のためにがんじがらめになります。
男子とちょっと遊べばいやらしいことをしたと言われる、スポーツ観戦すらも認められない。
結婚相手を一方に決められて、自分の好きな人といっしょなることができない。

それどころか、5人姉妹は家の中にほぼ「監禁状態」にされ、毎日のように花嫁修行をする「花嫁生産工場」に務めなければならなくなるのです。

トルコという国はイスラム教の厳しい戒律がゆるくなっているはずなのに、5人姉妹はそのお国柄に反して男尊女卑の価値観を押し付けられまくるというわけ。
こんな女性の自由を奪うようなことは、認めてははならない価値観です。
(実際に、映画の序盤で海で男子と遊んでいた姉妹が糾弾されてしまうのは、監督の実体験だったそうです)

映画では、この5人の姉妹が、どのようにこの問題に翻弄され、立ち向かい、そして解放されていくか――それをじっくりと描き出していきます。
幼い彼女らの必死の抵抗と、冒険。
あたたかい光につつまれた映像とあいまって、心地よい余韻を残してくれることでしょう。

本作の最大の欠点は、公開劇場が少ない&時期がバラバラということですね。
ミニシアター系の映画では避けては通れないことだとは重々承知しているのですが、いますぐ観てほしいんだよなー。

また、邦題はそれなりに微妙ですね。
一応本作の季節は夏に限定されており、作中で裸足になるシーンも確かにあるのですが……多くの方が松田聖子のデビュー曲を思い浮かべるのではないでしょうか(笑)。

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※映画とは関係ありません。

原題は「MUSTANG」で、その意味は「野生の状態で暮らしているやや小型の馬」。
それは自由に生きる(そうありたいと願った)、この映画の少女たちを意味しているのでしょう。

とにかく、本作は超・超・超オススメです。

94分というコンパクトなランタイムながら満足度は最高レベル。女性はもちろんのことロリコン紳士の皆さんが観ても学べることはきっと多いことでしょう。
多少性的な話題がありますが、これはぜひ思春期の子どもにも観てほしいです(きっと共感できるでしょうから)。
もう一度言いますが観ろ(命令)。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
本作は観ている人が少ないと思うのですが、ラストをどうしても書きたかったんです。未見の方は読まないで!

助けてくれた大人

姉妹たちはまだ幼い少女です。
それなのに、おじは彼女たちを家に閉じ込め、祖母からも一方的に結婚を命じられます。
子どもたちたちの主体性、彼女たちが望む幸せなんてちっとも考えない大人たちの価値観に、がんじがらめにされていたのです。

姉妹たちはこの大人たちに立ち向かうため、いろいろと策略を練っていましたが……。
ゴタゴタしたためにサッカー観戦に向かうバスに乗り遅れたりなど、うまくいくことはほとんどありませんでした。

たとえば、三女のエジェがちょっかいを出してきた男とカーセックスをしてしまい、そしてその男が家に来て「お前が欲しい」とほざくシーンがありました
なぜ彼女が危険を冒してまでカーセックスに応じたか、そして住所を教えていたのかとと言えば……その男に自分を救い出してほしかったからなのでしょう
(だけど、男はただヤりたいだけだった。しかも、悪友までも連れてきて)

五女のラーレも、家に立てこもった後、ヌルが婚約者に吐いた暴言には「そんな言い方をしなくても」と困っていました(挑発したために、おじが入ってきてしまうことを恐れていたのでしょう)。
ベッドに隠した「身代わり」も、この作戦では何の意味もなかったですね。
ラーレが運転していた車も、あっさり路肩で止まってしまいます。

このように、姉妹たちの策略は、「彼女たちだけ」で計画したために、すぐに頓挫してしまうのです。
それも当然です。彼女たちは、まだ幼い子どもなのですから。

でも……女性を虐げるような価値観の大人たちがいる一方で、彼女たちの味方となるべき大人もいました。

サッカー観戦を男どもに見せないために街を停電にさせたおばさん、
結婚初夜で血が出ないことを騒ぎたてた夫に「ムードのない旦那さんだ」と言った医師、
家から逃げるラーレとヌルを追いかけるおじに、「行かせてやれ」と言った男……

若きトラックの運転手は、「面倒ごとはいやなんだ」と言いながらも、ラーレとヌルをインスタンブールまで(途中まで)送ってくれました。

そして……ふたりが最後に出会ったのは、学校の女性の先生でした。

彼女たちは学校に行けなかった。
「花嫁生産工場」で一方的な価値観の押し付けられるばかりだった。

5人の姉妹に必要だったのは、学校の先生や、彼女たちを助けてくれるような、「正しい大人」であったんですね。

思えば、5人姉妹はやれ戒律だの、純潔を守るだの言われるばかりで、女の子が言われて嬉しいはずの「かわいい」という言葉を言われることも、愛情表現であるハグをされることもありませんでした。

だけど、先生は「かわいいラーレ」と言いながら、ギュッと抱きしめてくれる……。
これほどのハッピーエンドがあるでしょうか。

自分の生きる道を見つけたふたりが、これから健やかに生きることを、願ってやみません。

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  1. ラリーB より:

    月並みな言葉ですが、ラストを見た後では本当にその言葉しか出てきませんね…
    時代錯誤な戒律、それを厳格に守る古い人間、そいつらに逆らえば最悪殺される事すら有り得るディストピア
    トルコと言う国はイスタンブール等の都市部と田舎とでは文化が大分違うと聞いた事がありますが
    まさかあそこまでとは思いませんでしたし、何よりコレを撮ったデニズ監督本人がこのような戒律の被害者だったと言う…
    「普通」が許されず少女達は花嫁修行なるものを強制され好きでもない男の為に処女を守り
    不具合があれば医者に股間を晒される…彼女達の立場を奴隷と言わずして何なのでしょう?
    最後まで見てからもう一度見返すと、序盤彼女達が5人で他愛もないキャッキャウフフしてる絵だけで
    本当に涙が込み上げてきますし、同時に『もうここには戻れないんだな…』と言う無情感にも襲われました。
    彼女達が地獄から命からがら脱出し、バスの中から見たイスタンブールの朝焼けは
    単に絵として美しいだけでなく、ラーレとヌルにとっての希望の炎だったんだなあ…と自然と涙が込み上げてきました。
    完成度の高い映画ですし、誰が見ても楽しめる作品なんで、見てない方は是非見てください。本当に素晴らしかったです。

  2. huku より:

    フェミニズム映画とか言っておきながら「美少女のふとももが〜→とにかく見に行け!」って書くのがほんとに気持ち悪いです…。男尊女卑的な考えと、女性を一方的に性的なものとして消費する発想って、やはり根っこでつながってると思うので。カゲヒナタさんのレビュー、映画公開からのアップが早いので参考になるけど、ちょいちょいこういう感じの文章があってガッカリする。。

  3. おっさん より:

    最後の場面、末っ子が通りがかった人に住所を尋ねるシーンで一瞬、「あれ、だれか頼りにできるような人いたっけ?」と思ったのですが、現れた人物を見て納得。冒頭と見事につながったすばらしいラストだったと思います。
    また、姉妹たちが何か問題を起こすたびに家の周りに鉄柵や鉄格子が追加され、まるで刑務所のようにされていくのですが、後半の結婚式の場面で、姉妹達の機転で家の外に放り出された親戚一同が、逆にその鉄格子が邪魔で家に入れなくなったのは観ていて痛快でした。
    ただ、予告では姉妹たちが、次々と無理やり結婚させられるかのように言っていましたが実際は次女(だったな?)だけは普通に相思相愛の相手と結婚していたので、「また予告編詐欺かよ」と思ってしまいました。

  4. 匿名 より:

    カーセックスしてたのは三女のエジェです。
    しかも、その男が夜に家に来て叫んだのは、俺が欲しいだろう?ではなく、お前が欲しいです。
    村を停電させた叔母さんはもしも彼女らのサッカー観戦が叔父達にバレたら、どれだけ酷いお叱りか分からないので隠したぢけであって、言うほど彼女らの味方とも思えませんでした。
    村の大人が古い慣習や価値観の人たちであることに異論はないですが、=正しくない大人というのもいかがなものかと。
    そもそもこうした男尊女卑への訴えを謳った作品を褒めておきながら、その理由がフェチとかロリコンとか言える神経を疑う。
    ちょいちょい作品の事実誤認とか多いし、何だかなぁって思いますね。
    きっと叔父さんが三女や四女へ性的暴行(未遂含む)をしていた事なんて、気づいてもいないんだろうなぁ。

  5. ヒナタカ より:

    > カーセックスしてたのは三女のエジェです。
    > しかも、その男が夜に家に来て叫んだのは、俺が欲しいだろう?ではなく、お前が欲しいです。
    修正します!

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ヒナタカ

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