
『メン・イン・ブラック インターナショナル』吹き替え4DX版で天国と地獄を同時に味わったという話
今日の映画感想は『メン・イン・ブラック : インターナショナル』です。今回はアレな吹き替えと最高の4DXのことをメインに記します。
個人的お気に入り度:5/10(吹き替えと4DXのことは考えずに)
一言感想:ド派手に裏切られた(吹き替えに)
あらすじ
ロンドンやパリで宇宙人を取り締まります。
1997年公開のSFアクションコメディ映画『メン・イン・ブラック』から続くシリーズの第4作目です。
今回の舞台は、これまでのニューヨーク(アメリカ)から「ロンドン支部」へ移っています。
主役2人もトミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスから、『マイティ・ソー ラグナロク』でも共演していたクリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンへとバトンタッチ。
ほぼほぼ仕切り直しの作品となっているため、これまでのシリーズを観ていなくても十分に楽しむことができるでしょう。
……それはともかく、本作は吹き替えの問題がひどすぎました。これは後世に語り継がなければならないレベルでした。悪い意味で。本当にすごかったぞ!
今田美桜の吹き替えがあかんかった
結論から申し上げましょう。本作の吹き替えはもうずぇんぜんダメ。字幕版で観ることを強くオススメします。
端的に言って、ヒロインを演じた今田美桜が役とミスマッチすぎ、演技としても微妙、しかも全編に渡りご活躍なされているので、観ている間ずーっとノイズになりました。いや、もう、はっきり最悪だと断言できるレベルです。
『メン・イン・ブラック インターナショナル』吹き替え版結果報告。今田美桜の吹き替えがずぇんぜんあきまへん。『シャザム!』の菅田将暉や『ゴジラ KOM』の田中圭と同様の「声と役が全く合わない」案件である上に緊急時に気の抜けた声も出る…。決め台詞の言い方には光るものがあるけど。(続く) pic.twitter.com/u1EnlQvD7c
— ヒナタカ(映画ライター) (@HinatakaJeF) 2019年6月14日
ヒロインは「気が強くて向上心も高いアラサー女子」なキャラなんですが、今田美桜の良い意味でのホワホワした雰囲気に合わなすぎで本当に観ていてつらかったです。
チョい役で10代の少女役だったりしたら、良かったと思うんだけどな…
フォローをしておくと、(言うまでもないことですが)この吹き替えのヒドさは今田美桜のせいじゃなく、キャスティングをした人の責任です(むしろ自分は今田美桜を応援したいのに)。だって普段の声質からして、どう考えても合わないんだもん。
もう1つフォロー、今田美桜主演のインディペンデント映画『カランコエの花』は、本当に素晴らしい作品なんですよ…。LGBTへの「過度の配慮」の寓話が39分という時間で過不足なく描かれている傑作なので、ぜひご覧になって欲しいです。
地獄の46人全員吹き替えプロモーション……しかし本編ではまさかの!
えーと、本作は吉本坂46が日本語吹き替え版主題歌および、46人全員が吹き替えに参加ということが大いに炎上なさったんですね。
<46人全員声優🗣️
日本支部エージェント #吉本坂46 🕶️
🌐『メン・イン・ブラック:インターナショナル』の日本語吹替版声優を務めることが決定‼️エージェント? エイリアン? #メンインブラック #MIB pic.twitter.com/VWgFpTIC1j
— 😎映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』公式 (@MenInBlackJP) 2019年5月12日
オブラートに包んで丁寧に文句を言いますと作品に敬意がないどころか侮辱しているだろ担当者はタンスの角に小指ぶつけまくればいいのに。
もう本当にヒドいんですが、さらなる地獄はその発表イベント。もう読んでいると怒りを通り越して乾いた笑いしか出てこない…!↓
エージェント“吉本坂46”が全員声優に!? 6月公開「メン・イン・ブラック」最新作【エンタメCLIP】
良い役をゲットしようと熾烈な声優アピール合戦が開幕して、芸人それぞれが持ちネタを披露し合うという……なんだこれは。ていうかオーディションしろよ。
『メン・イン・ブラック インターナショナル』の宣伝に吉本坂46を起用すると言うよりも、吉本坂46の宣伝に『メン・イン・ブラック インターナショナル』を利用するという感じなんでしょうか。
どちらにしろ地獄……自分は吉本坂46には何の思い入れもないんですが、もう彼らを見る度にイヤな気持ちになってしまいました(言うまでもなく彼らが悪いわけではありません)。
しかも、ウェブ番組にてしゅんしゅんクリニックPとおばたのお兄さんがこの炎上プロモーションについて「まぁわかるっちゃわかる」「そりゃそうですよ」と言及。誰も幸せにしていないだろこれ!↓
『メン・イン・ブラック』の吹き替えで炎上……吉本坂46メンバーが言及「そりゃそうですよ」 – トレンドニュース
……しかし、その吹き替えの歴史上最悪と言えるプロモーションに対し、実際の本編を観ると46人全員吹き替えは全くノイズになりませんでした。
ほとんどが超チョイ役であるし、声質も問題なく、ある1箇所を除けば(これは「アリ」だったので後述します)芸人の持ちネタが披露されることもありませんでした。
それどころか、メインキャラを演じたトレンディエンジェルの斎藤さんはめっちゃ上手くて役にもバッチリ。斎藤さんはアニメ映画『シング』も超良かったですよね。
この「意外と大丈夫だった」のは、吹き替え担当のスタッフの尽力のおかげでもあるのでしょうね。
プロモーションやキャスティングの経緯がどれだけク●であろうとも、実際の本編を観るまでは本当にわからないものであるなと反省および再認識しました。観る前に炎上に参加するような言い方をしてしまってごめんなさい!
まあ、46人全員声優(←声優と呼ぶな)という雑さはそれで許せる限度を超えているけどな。
本業声優さんたちは最高の仕事をしています
まあ基本的に吹き替えはオススメしないんですが、ある意味では今田美桜以外は良い吹き替えとも言えます。
その理由は前述したように吉本坂46の全員吹き替えが奇跡的に本編では問題なかったということと、超豪華な本業声優が最高の仕事をしているから。
\🌐日本語吹替版 声優発表/
『メン・イン・ブラック:インターナショナル』日本語吹替版の主要キャストに豪華声優陣が決定❗🕶エージェントH(クリス・ヘムズワース):杉田智和さん
🕶エージェントO(エマ・トンプソン):高島雅羅さん
🕶ハイT(リーアム・ニーソン):磯部勉さん#MIB pic.twitter.com/DTymxI1nNn
— 😎映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』公式 (@MenInBlackJP) 2019年5月8日
主人公のクリス・ヘムズワースを演じる杉田智和はそのひょうきんさや軽さも含めて役に合っているし、リーアム・ニーソンの磯部勉もゲキ渋で声に惚れ惚れできます。
朴璐美や高島雅羅や上田燿司も最高にハマっていますね。果ては玄田哲章がチョイ役でも出てきたりもしています。
で、余計に今田美桜の浮きっぷりが目立つという結果。
4DXの素晴らしさは天井知らず(ただし吹き替えで叩き落される)
素晴らしいことがもう1つ。それは4DX版の出来がやたらめったら良かった……というか最高の相性であったということ!
座席の振動および移動で、劇中のハイスピードのライド感が大いに楽しめるんですよ。
※この紹介動画のクリヘム、セクシーすぎませんかね……。
それだけでなく、今回はシリーズおなじみの「やたら破壊力のある武器」を放った時の「反動」を座席の動きで体感できるんですよ!
あの!武器をぶっ放す!瞬間を!これまでのシリーズのファンとしてはそれだけで感涙ものなんですよ!
何より、『メン・イン・ブラック』シリーズは軽い気持ちで楽しめるエンタメ、もっと言えばアトラクション的な要素も魅力になっているんですよね。
『メン・イン・ブラック3』の時も3D上映がハマっていたのですが、今回の4DXはもうそれ以上。
これは超おすすめ!ぜひ4DXで観て!……と訴えたいんですが、4DXを選ぶとほぼ必ず吹き替えになるんですよね。
こちらとら4DXの演出にアガりまくっているのに、そこで今田美桜の吹き替えがダメー!ってなってテンションが行方不明になるんですよ。
4DX最高ー!天国ー!吹き替えー!地獄ー!4DX超楽しー!天国ー!吹き替えー!地獄ー!な感じで寒暖差が激しすぎです。天国と地獄が同居しまくっていて風邪引くかと思いました。
ちくしょう…本当に最高の4DXなのに……でもユナイテッドシネマ豊洲では「4DX×字幕」という組み合わせもあります!お近くの方はこちらで観るのがオススメです!↓
ユナイテッド・シネマ豊洲
映画本編はちゃんと楽しいですよ(無難な出来だけど)
えーと、そういえば肝心の本編の感想ね。
結論から言えば、「観ている間は十分に楽しかったけど、よくよく振り返ってみると物足りないなあ……」という体温低めな感じに落ち着きます。
「コンビが地球で隠れて住んでいる宇宙人たちを取り締まったり、ニューラライザー(記憶を消す装置)を使ってなかったことにする」というこれまでのシリーズのお約束は踏襲されているものの、どうも躍動感には欠けています。
これは、監督がこれまでの『アダムス・ファミリー』などのバリー・ソネンフィルドから、『ストレイト・アウタ・コンプトン』や『ワイルド・スピード ICE BREAK』などのF・ゲイリー・グレイ(こちらは面白い)へバトンタッチしたということも大きいでしょう。
バリー監督らしいキッチュな(気味が悪いけどそこがカワイイ)魅力は後退し、エイリアンたちのキャラもあまり立っておらず(マスコットキャラは良かったけど)、“普通のアクション”な印象が強くなってしまっていますね……。
脚本も良くも悪くも薄いというか、キャラの葛藤やら成長やらがサラッと流されるという感じ。
その“軽さ”はこのシリーズには合っているとも言えるのですが、昨今の様々なリメイクやリブート作と比較してもやはり盛り上がりには欠けるし、現代で復活する意義もあまり見つからない……というのが正直なところです。
個人的に残念だったのが“どんでん返し”部分と、“ラスト”ですね。今までのシリーズではひねりにひねられていたいたのに、今回は“安易”なものに感じてしまいました。
とはいえ見せ場も多く、主演2人も(キャラとしてはともかく)魅力的なので、そんなに酷評するほどでもないよ……とはフォローもしたいんですけどね。
明らかに女性の社会進出を揶揄しているところには現代らしさを感じましたし、ガジェットの楽しさも健在でした。
いままでのMIBの“ゆるさ”も引き継いだ、良い意味で過度に期待しないで観て欲しい、“軽い”エンタメ映画としてはこれくらいでOK、そんな感じで劇場で行けば十分に楽しめると思いますよ。
まあ、その“無難”な感じも、本作の悪評に繋がってしまったのかもしれないのですが……。
やはり、4DXも盛ってエンタメ成分を増し増しにしてみるのがいいと思いますよ(ユナイテッドシネマ豊洲以外ではもれなく吹き替えになるけど)
吹き替えの地獄はこれ以外にもあった
さてさて、「吹き替えは今田美桜が本当にしんどかった(他は良かったのに)」という結論でいいんですが、さらには吹き替え版限定でトンデモないサプライズが用意されていました。悪い意味で。
その吹き替えのサプライズについて記しておきましょう。
↓以下はその序盤とエンドロール後におけるサプライズ(悪い意味で)とトレエン斎藤さんの吹き替えについて記述。ストーリー上のネタバレはほぼないので、「字幕版は観るけど吹き替え版を観る気はない」という方も読んで大丈夫だと思います。

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