『LOOPER/ルーパー』流転の末に(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『LOOPER/ルーパー』流転の末に(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はLOOPER/ルーパーです。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:アラの多さすら楽しめる、タイムパラドックスものの秀作!

あらすじ

若き日のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、30年後の未来から送り込まれた標的を始末する殺し屋・通称「ルーパー」だった。
ある日、ジョーのもとへ30年後の自分(ブルース・ウィリス)が送り込まれる。
未来の自分の殺害をためらうジョーだったが・・・

これは面白かった!
タイムトラベルもののツボを押さえ、なおかつ独創的でもある秀作です!

物語は「30年後の未来から『自分』が送られてくる→『若き日の自分』と『年をとった自分』が戦いはじめる」という荒唐無稽なものです。
それでも独特の設定がそれなりに説得力があるので、違和感なく物語を楽しむことができるでしょう。

まず「なぜ未来から人間が送られてきて、それを始末するのか?」と言えば
・未来で作られたタイムマシンは違法になっており、犯罪組織しか使えなくなっている
・未来では死体の身元がすぐに割れてしまい、死体を処理できない
・そのため、30年前に始末したい者を送って、死体を消さなければならない
というものです。
主人公がやっているのは、タイムマシンが作られていない今でしかできない「ヨゴレ仕事」と言ってもいいでしょう。

しかも、この「未来から送られる人間」には、なんと未来の自分もいます。
本作の物語のキモはまさにそれで「なぜ30年後の自分が送られてきて、何を目的としているのか?」というミステリー要素も含んでいるのです。

またタイムパラドックスの要素も強い作品ですが、その点は深く掘り下げていません。
なにせ作中に「タイムトラベルの話は面倒くさい、どうでもいい」という台詞があるくらいです。

あくまであるのは、未来の自分と対立する男を主軸とした人間ドラマ。
それを期待するだけで楽しめるでしょう。

役者も魅力的で、大御所ブルース・ウィリスはもちろん、すっかり売れっ子になったジョゼフ・ゴードン=レヴィットも素晴らしい演技を見せてくれます。
現場ではジョゼフをブルースに似せるため、3時間かけた特殊メイクをしたそうです。
このメイクを手がけたのが、日本人である辻一弘というのも嬉しいところです。

そして凄まじいのは子役のpierce gagnon(ピアース・ガノン)くん。
この子の演技には末恐ろしさを感じました。

監督は「BRICK‐ブリック」「ブラザーズ・ブルーム」で独創性と映像美が高く評価されたライアン・ジョンソンです。
本作でも美しくシャープな映像がとても魅力的に仕上がっており、大胆な構図やカメラ移動には驚きを感じざるを得ません。

音楽も素晴らしかったですね。

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スタイリッシュな映像にベストマッチでした。

伏線だらけの上に予想を裏切る展開、未来の自分と現在の自分がそれぞれの目的のために行動する姿に興奮しっぱなしでした。

個人的に大好きだったのはラストシーンです。
このラストで、主人公が語ったの境遇や、登場人物の関係を思い返してみることをおすすめします。

ここまで褒めまくりましたが、難点もあります
本作は細かいところにはだいぶアラがあって、ツッコミどころ満載なのです(特に敵の組織関連はわりとヒドい)。
勢いで突破しているところも多く、どうにも失笑を隠しきれない部分もありました。

中盤では会話シーンが多く、少し中だるみも感じました(会話自体は後の展開につながるものであり、必要なものです)。

好き嫌いが分かれる作品だとは思いますが、「ミッション:8ミニッツ」などのタイムパラドックスものが好きな方には大プッシュでおすすめしたい作品です。
観たあとは誰かと語りたくなることでしょう。
観る前のネタバレは絶対に厳禁。是非、劇場で堪能してください。

また、本作には銃殺をはじめとした残酷描写が非常に多く、PG12指定では少し甘いと思わせます。
そこだけはご注意を。

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

※若き日のジョーを単に「ジョー」、30年後のジョーを「オールドジョー」として書いています。

映画の全体の構造を図にすると、以下のようになります。

ルーパーの構造

以下、はじめに展開を書き、その後に笑ってしまったシーン(ツッコミどころ)、その後に疑問に思ったことを書き連ねています。

<ここから展開を書き連ねていきます>
*テーマに沿って書いているので時間軸は前後しています。

主人公が住んでいる街と、その性格

ジョーが住んでいる街は、ひったくりが横行した上に、すぐにそのひったくりが殺されてしまうような場所です。
ジョーは「この街では誰もが利己的で軽薄」と言い切っています。

そんなジョーですが、ルーパーの同僚である「セス」を一度はかくまうも、上司にいる場所を教えてしまいます。
後にオールドジョーに言われたとおり、ジョーは周りのことを考えない、自己中心的な人間だったのでしょう。
このジョーの成長も、作中では大きなファクターとして働いています。

セスの最期

未来から来た年老いたセスは逃げますが、自身の手に「15分以内に来い」というミミズ腫れを見ます。
指がいきなり2本なくなり、鼻が削ぎ落とされます。
セスは場所に行き着きますが、足が無くなり、手が無くなり、そして撃ち殺されます。
そこには手術代のようなものに乗せられた若いセスがいました。

若いセスは生きたまま体を切り刻まれ、そのことが年老いたセスにも反映されていたのです。
なんともむごすぎる拷問でした。

オールドジョーとの対峙、そして・・・

ジョーは未来からやってきたオールドジョーを取り逃がし、家で刺客に襲われて、落下しながら気絶します。

その次のシーンは「ジョーがオールドジョーを撃ち殺す」というものでした。
ついさっきのシーンと全く矛盾する出来事だったので驚きましたが、これは「ここからオールドジョーの物語が始まった(もしくは回想)」ということを示すものでした。

1年、3年、26年後・・・とあっという間に30年後の姿になり、上海で出会った「妻」と幸せそうに暮らす姿が映し出されます。

オールドジョーは刺客に襲われますが、拘束をほどき刺客を蹴散らします。
なんとオールドジョーは、自らすすんでタイムマシンに乗り、30年前に転送されます。

ふたたび「ジョーは未来からやってきたオールドジョーを取り逃がす」シーンが描かれます。
ここで映画は完全に「ループしている」構造となったのです。

オールドジョーの目的

オールドジョーとジョーは、行きつけのカフェで再開します。

オールドジョーが語ったのは、「お前を助けてくれる女性がいる」というものでした。
それは言うまでもなく、上海で会った妻のことです。

もうひとつ語ったことが「レインメーカー」という未来の犯罪王により、妻が殺されたことです。
彼はレインメーカーに通ずる「番号」を入手し、それを手がかりに30年前のレインメーカーを殺そうとしていたのです。

ジョーはそんなオールドジョーの言い分に「あんたの問題だ、その女と出会わなければ、女は死なない。俺は別の女と結婚する」と言います。
それはもっともに思えることですが、オールドジョーにとって、妻はそうまでしても救いたい、会いたい人間だったのでしょう。

オールドジョーの矛盾

刺客からの追撃を逃れたジョーは、さとうきび畑の中にいる一軒家にたどり着きます。
そこには「サラ」という女性、子どもの「シド」がいました。
それはオールドジョーが持っていた地図が指し示した場所です。

サラはジョーが持っていた数字を見て、顔色を変え、ジョーを岩塩の弾で撃つほどに動揺します。
数字は息子のセスの出生日と、病院の登録番号だったのです。

ほかにも地図には3つの地点が指し示していました。
同じ日に生まれた子どもが3人おり、オールドジョーはその子どもを殺そうとしていたのです。

オールドジョーは、妻に子どもができないことを悔やみ「いい母親になれたのに」と言っていました。

そんな彼が、本当に「レインメーカー」かどうかもわからない子どもを殺すのです。
(レインメーカーではない)子どもを殺したあと、彼は泣き崩れました。

自分が望んでいた子どもを、自分の手で殺めてしまうことに、オールドジョーの悲劇があります。

シドの正体

サラの家にジョーの同僚である「ジェシー」が現れます。
一度は退いた彼ですが、2回目に訪れたときにはジョーが見つかってしまいます。

そのとき、ジェシーが階段にいるシドに銃口を向けたがために、シドは階段から落ちそうになってしまいます。
すると・・・家具が浮き上がり、ジェシーも浮き上がります。
サラはジョーを抱きかかえ、家の外へと逃げます。

次に家の中で爆発が起きます。
シドは類まれな念力(TK)の持ち主だったのです。

少し前に、サラが掛け算の問題を素直に解こうとしないシドを怒ろうとしたとき、シドはサラを「嘘つき(LIAR)!」と罵り、サラは地下室に隠れていました。
サラの姉が死んだのも、シドの能力のためでした。
(サラは本当にシドの母親だったのですが、シドは本当の母=サラの姉だと思っていたようです)

サラはシドの能力のこと・・・そして「レインメーカー」になりうると知っていたのです。

サラは「いい方向に進めば・・・」と言いますが、ジョーは「悪魔になるぞ!」と非難します。
ジョーがシドの歩いた方向に進むと、そこにはジェシーの返り血を浴びたシドがいました。
ジョーは矛盾した気持ちを抱えながらも、シドを守るため、オールドジョーを迎え撃つことになります。

オールドジョーは「今のジョーの記憶が、今のオールドジョーにも反映される」ということも言っていました。
ジョーはシドがレインメーカーであることを知り、オールドジョーもまたそれを知ったのです。

最後の戦い

オールドジョーが放った弾がかすり、激昂したシドはまたもTKを使います。
オールドジョーだけでなく、サラもシドが作り出したうずの中に巻き込まれます。

サラは「大丈夫よ、シド、怖くない・・・」と言い、シドをなだめます。
シドはTKを使うことをやめ、いままでの「サラ」ではなく、「ママ」と呼びます。

オールドジョーが立ち上がり、サラがシドを逃がそうとするところで、後ろからそれを見ていたジョーがこう言います。

「俺には見えた、息子のために死ぬ母、息子を探し回る俺、彼(シド)の目の前に広がる悪、悲劇が見えた」
「だから、変える」

そう言いながら、ジョーは銃口を自分の胸に当て、自殺します。

オールドジョーは消え去り、サラはジョーの持っていた「時計」のふたを静かに閉じます。

ラストシーン

ジョーは眠るように息をひきとり、そっとサラはジョーの顔に手を触れます。

シドはベッドで眠ります。
映画のラストカットは、シドの寝ている姿でした。

ジョーとシドは似た境遇を持っていました。
途中で「ジェシー」から逃げた先の地下通路で語ったように、どちらも母親に捨てられていたと思い込み、愛を信じれずにいたのです。

ジョーは前にも書いたように、周り人間を信じない自己中心的な性格であり、友人をも売ってしまった人間でした。
そんな彼が、最後に「親子」を救うために自らを犠牲にしたのです。

ジョーは母親からの愛を知らずに生きてきましたが、最後に、子を持つ母親の手を添えながら眠りにつきました。
シドは今まで信じれなかったサラを母親だと認め、眠りにつきました。

「母親」により眠りにつく2人を観れて、本当に嬉しかったです。

因果応報

組織のボスのエイブは、自分の育て上げた部下(オールドジョー)が殺しに来たと知ったとき「とんだ因果応報だ」と言っていました。

この映画では、そんな「自分のツケ」が回ってきた登場人物ばかりのように思えます。

ジョーは自分本位で生き、友人を裏切ったことを、自分を犠牲にするという形で、
オールドジョーは妻を失ったことを、子どもを殺してしまうという形で、
サラは自分の姉に子どもをあずけたことを、姉を失い、子どもを育てるという形でー

流転の末、それぞれの結末に至りました。
サラとシド、2人の未来が幸せなものであることを願ってやみません。

<ここから野暮なツッコミどころ>

笑ってしまったシーン(失笑含む)

・なんでそんなだだっ広いところで殺すんだよ
未来から送られた者が行き着く先は、広い場所かつさとうきび畑が生い茂ってすぐに逃げれそうな場所です。
いくら縛られているからって、もう少し厳重な場所に送ればいいのに。そりゃ逃がすよ。画はシュールで大好きだけど。
主人公の同僚「セス」は廃墟のような場所で殺していましたが、どっちもどっちです。

・主人公の仕事そんだけ?
仕事は撃ち殺すだけ。1日数分労働で済みそうなんですけど
それで銀をがっぽり手に入れて、なおかつストリップ劇場へ行ったり遊べるのか。
うらやましいな。人殺さないといけないし、30年後死ぬけど。

・鏡の前で額の広がり具合を気にするジョー
将来ハゲますからね。

・ジョーは自身の腕に「ベアトリクス」という店員の名前を彫ることで、オールドジョーに来るように示すけどオールドジョーに「もっと名前の短い店員がいたのに(傷が少なくて済むのに)」と言われる
微妙に考え方が異なるのですね。

・刺客がオールドジョーを取り逃がす→左にジョーがいることに気づかない→ジョーと刺客が見つめ合ってから間を置いてからジョー逃げる
これはもろギャグとして描いているよね。

・メインヒロイン・サラのもとに迫いくる影!→サラが転んでしまう→ジョーは銃で立ちはだかる→「なんかめぐんでください」と書かれたプラカードを掲げた浮浪者だった
いや、これによりジョーがサラに信用されたので、必要なシーンなんだけど・・・イスから転げ落ちそうになりました。

・オールドジョーがストリッパーの女性・スージーの場所にターゲットがいると思う→よく見ると部屋違っていた
スージーは序盤でジョーを慰めており、ジョーの精神的な幼さを描くために必要な人物です。
でも「子どもがいる」という伏線をこんな形で回収するんだったら、なくてもよかったんじゃ・・・

敵キャラの「キッドブルー」が大マヌケ!

この人がいろんな意味で可哀想すぎます。

序盤でこいつが仲間に言われていた「また足を撃つなよ」はなんだったんだろう?まあそれだけ間抜けだってことを示すセリフなんでしょうけど。
*銃をクルクル回していたせいでは?とご指摘を受けました。オールドジョーも終盤に思い切りキッドの足を撃っていたそうです
銃の自慢をしたときに扉で頭を打たれるシーンも笑いました。

とにかく失敗ばかりを繰り返し、上司のエイブに泣きながら「褒めて欲しかったんだ!」と言うシーンはこっちまでもらい泣きしそうでした。お仕置き(手のひらをハンマーで思い切り叩く)も痛そうだったし。

終盤でこいつは、オールドジョーを生け捕り、組織に連れて帰ります。
しかしオールドジョーはあっさりと拘束をほどき、銃を奪い、組織の連中を皆殺しにするのです

えーとりあえず言わせて、どこに生け捕りにする必要があったんだよ!
若い方のジョーを生け捕るのは同僚「セス」の例もあり納得できるのですが、オールドジョーは生かしておくメリットが全く見いだせませんて。
「ほらほら、見て見て!捕まえたよ!」と喜び、その後すぐに自分の手で組織をぶっつぶしたに等しいキッドがアホすぎて愛おしいです。つーか犯罪組織弱すぎだろ。

こいつの最期は、ジョーとオールドジョーの決戦にいきなり割り込んで、ジョーに至近距離から撃たれて死亡というこれまた可哀想すぎるものでした。合掌。

<ここから疑問点を書いていきます>

ジョーはフランス語を学んでいたのに、オールドジョーはなぜ上海に行っていたの?

映画のはじめはジョーがフランス語で「私は待つ、君は待つ、あなたも待つ・・・」とフランス語で独り言を言い、そして未来から送られた人間を撃ち殺すシーンから幕を開けます。
彼はウェイトレスにもフランス語で話かけられていました。

ジョーは報酬である銀を貯めて、引退後はフランスに行こうと思っていたようです。

しかし、「オールドジョーの物語」になったときは、なぜか上海に行ってしまっていました。
これはどういうことでしょうか。

*以下の意見をいただきました
フランス語の勉強に関してですが、パンフレットによると
もともとの脚本ではニューオリンズにパリのセットを組んで撮影する
予定だったのが、中国の配給会社から上海ロケを提案され、
それに乗っかって変更したようです。
30年後から派遣されているボスが
ジョーに中国語を勧めるのは、どうせ上海に行くことを
知っているからではないでしょうか。
脚本はジョーの気が変わったと言うことで辻褄を合わせたのかと。

なんと脚本の都合だったとは・・・結局オールドジョーがフランス行きをやめ、上海に行った理由は不明です。
でもこのことも、自分は肯定的に捉えたいです。

ジョーの上司・エイブは「中国語を勉強しておけ」と、オールドジョーはジョーに「フランスの勉強は順調か?」と言っています。
それは「どうせ上海に行く」という「未来を変えられない」ということを示すようなセリフです。

しかし、この世界のジョーはオールドジョーを取り逃がします。
結果、ジョーはオールドジョーの妻の代わりに、サラと出会っています。

この世界のジョーは「別の女と結婚する」と言っていましたし、「サラとともにフランスに行く」選択肢も残されていたのではないのか、と思います。
本作はそんな「未来は変えられる」希望を感じるのです。

また、オールドジョーが妻に救われたように、ジョーはサラによって救われています。
オールドジョーがジョーに言った「お前を救ってくれる女がいる」というのは、指している人間は違っていても、的外れではなかったのです。

どうしてシドは掛け算を間違えたのか?

シドはとてつもなく頭のいい子どもですが、掛け算を学んでいるとき、シドが3×8をかたくなに「32」と言い張るシーンがあります。

これはシドが「サラが(自分の子どもであるという)嘘をついた、だから嘘をつかされた気持ちを味あわせたかった」というものだと思います。

それにしてもここでのシドの形相はものすごく怖かった・・・・

なぜ未来のレインメーカーは全てのループを閉じはじめた?

未来の自分が送られ、それを殺さなければならない理由は「証拠隠滅」のためでした。
未来では殺し屋「ルーパー」は用済みになり、犯罪組織は殺すためだけに30年前に送っていたのです。
そのことを「ループが閉じた」と作中では言っています。

・普段の報酬は「銀」であるのに、自分を殺したときは「金」が与えられる
・ジョーの同僚の中には、未来の自分を殺した上に「祝杯」をあげる者までいる
というのも、なんとも悪趣味でした。

しかしレインメーカー(シド)が全てのループを閉じはじめた(ルーパー全員を殺しはじめた)理由は作中では語られません。

映画評論家の町山智浩さんによると、監督が「レインメーカーが、自分の母を殺したのがルーパーの一人だったことを知ったから(かもしれない)」と言っていたそうです。

ラッパ銃の意味って?

ルーパーの持っているラッパ銃は性能が悪く、彼らを仕切る組織「ガットマン」の銃は高性能です。
それは二者の力関係を表すものです。

ジョーとキッドの戦いでは「ラッパ銃は至近距離でしか使えない」という伏線を十二分に生かしてくれました。
ジョーはキッドが射程距離外にいるため、地面を撃って煙幕を作り、近づいてきたところを撃つのです。

ジョーが最後の選択をしたことも、そのラッパ銃の特性が関係していました(ラッパ銃では遠くにいるオールドジョーを殺せません)。
不格好でなんの利点も持たない銃が、未来を変えたという皮肉めいたものを感じます。

主人公の最後の選択の意味って?

ラストでは、シドが悪の道へと堕ちる(レインメーカーとなる)のは、母親(サラ)が殺されるという過程を経てのことであると示されています。

では「オールドジョーの世界=ジョーがサラとシドと出会わなかった世界」ではどうでしょうか。
もちろんこの場合のシドは悪の道へと堕ちているのは明白です。
シドがサラに抱いていた誤解も解消されていません。
自分はこの場合のサラは、シドにTKで殺されたのではないかと想像します。

シドがサラのことを信じれたのは、似た境遇にあるジョーと話し合えたことによります。
つまり、
・ジョーがサラとシドと出会ったこと
・ジョーがシドと話し合ったこと
・ジョーが最後に自決したこと
は、シドを悪の道へ走らせないための最良の選択だったのではないでしょうか。

最良の選択をしたことにより、結果的にジョーは、オールドジョーが妻を失う→オールドジョーが無関係の子どもを殺す→オールドジョーがサラを殺す→シドがレインメーカーとなる負の連鎖を断つことに成功するのです。

本作は憎しみにより人を殺すことが不幸しか産まないこと、誰かを救うために行動する自己犠牲の姿を描いています。

もちろん、シドがまた悪の道に堕ちないとは限りません。

勝手な解釈ですが、ジョーとサラは途中でベッドインしたため、サラは子どもを宿しているのではないかと思いました。

サラとジョーの子どもが、(きょうだいとなる)シドを救ってくれる未来を想像してしまうのです。
本作の設定は「ターミネーター」を彷彿とさせるものでしたが、ここでもまた似ていると思わせます。

おすすめ

<『LOOPER ルーパー』町山氏 公開直後ネタバレQAツイート – Togetter>
<たまむすび 町山智浩 2012年ベスト1映画 『LOOPER(ルーパー)』 ‐ ニコニコ動画(原宿)>
<LOOPER/ルーパー – みんなのシネマレビュー>
<佐藤秀の徒然幻視録:LOOPER/ルーパー~裏ターミネーター?>
<LOOPER/ルーパー(アメリカ映画・2012年)  : 映画評論家 兼 弁護士坂和章平の映画日記>

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  1. 走馬灯 より:

    こんにちわ!
    昨日観てきました。
    ストーリー全体の構成が非常に丁寧で
    期待していなかった分(ジョセフ・ゴードン・レビット目当てで見に行った)、そこそこ楽しめました。
    序盤からつまらない超能力(TK)の登場でオワコン臭ぷんぷんでしたが、ただの伏線で安心しました。
    主人公の選択が本当に正解だったのか、あのままレインメーカーになる可能性もありましたが、まとめ方としては上出来だと思います。
    〝また足を打つなよ"のくだり、キッドブルーは以前に銃をくるくる回してかっこつけてました、依然あれで足を打ってしまったんでしょうかね^^;
    結局未来のジョーが襲撃に来たとき、足をうたれっちゃってましたしwww
    キッドブルーが言ってた ルーパーの銃は射程距離が短く、俺のは長い__的な話も、ラストの伏線になってましたね。ほんとに可哀想なやつでした。
    ツッコミどころとして確かにルーパーの組織が弱すぎですね;一人にやられてしまうとわ。。
    まあ、未来から飛んでくるやつらを撃つだけだし、
    大して実力がないのも納得ですがww
    子供の顔が怖すぎましたよね。。。

  2. sakura より:

    ターミネーターを思い出しました。
    私には、草原の秘密の地下の通路での、ヤング・ジョーの思いで話が、最後の方で繰り返される意味が、良く判りませんでした。
    それと、シドが逃亡する前に立つ、オールド・ジョーに向かってのTKが自分達の車がひっくり返るのでこの意外性には笑ってしまいました。
    それにしても、最近の未来を描く映画は、「暗い未来」を描くのばかりですね。、

  3. ヒナタカ より:

    >走馬灯さん
    あ~確かに銃くるくる回していましたね。
    オールドジョーが足を撃ったというのは完全に見逃していました。追記しておきました。
    >sakuraさん
    たしかにターミネーターらしいところが多いですよね。
    後半に思い出話を繰り返すのは、ジョーとシドの似ているところを描く上で重要だと思うのですが、ちょっと冗長に感じました。
    描かれているのは暗い未来ですが、ラストでは希望が見えます。そういうところもターミネーターっぽいです。

  4. nohouz より:

    いつも楽しく拝読させていただいております。
    フランス語の勉強に関してですが、パンフレットによると
    もともとの脚本ではニューオリンズにパリのセットを組んで撮影する
    予定だったのが、中国の配給会社から上海ロケを提案され、
    それに乗っかって変更したようです。
    30年後から派遣されているボスが
    ジョーに中国語を勧めるのは、どうせ上海に行くことを
    知っているからではないでしょうか。
    脚本はジョーの気が変わったと言うことで辻褄を合わせたのかと。
    (TBさせていただきたいのに言及リンクのやり方がわからないブログ初心者です涙)
    失礼しました。

  5. ヒナタカ より:

    情報ありがとうございます!
    脚本の都合だったとは・・・勝手な解釈をしたのでちょっと恥ずかしいですねw
    確かにボスは中国語を勧めていました。忘れていました・・・
    是非記事に追記させてください。
    トラックバックもこちらからさせていただきます^^)

  6. ルーパー

    ブルース・ウィリス版ターミネーターだった。
     
     ルーパー
     (2013年 アメリカ映画)80/100点
    ブルース・ウィリスの仕事の多さって、何なんだろうーなーっ

  7. LOOPER/ルーパー

    事実上、殺人が不可能になっていた2074年の世界では、犯罪組織が違法なタイムマシンで2044年に送り込み、“ルーパー”と呼ばれる殺し屋に処刑させていた。
    経済破綻し社会も腐敗した2…

  8. ゆた より:

    こんにちわ。
    自分の考えでは、ルーパーのジョーは3パターンのジョーでループしていると思います。
    ①映画の中のヤング・ジョー
    ②映画の中のオールド・ジョー
    ③映画のオールド・ジョーが若い時にループを閉じたオールド・ジョー
    この3人です。
    そして、③のジョーが映画では描かれていませんが、かなりのキーマンだと思います。
    ①がレインメーカーを作り出さないために自決しましたが、
    ①の30年後にループを閉じるはずのオールドジョーが30年前に送られないことになります。
    すると、①の次のヤングジョーは、ループが閉じられず上海に行かないことになります。
    上海で最愛の女性と出会わないジョーは、30年後ループを閉じるために30年前に送られることになりますが、死から逃れる理由もないので、次のヤングジョーにやられます。
    死を受け入れるジョー=③
    死から逃れるジョー=②
    自決するジョー=①
    この三人でループだと思います。
    レインメーカーは③でも存在したと思いますが、上海の女性を殺されたわけではないので、レインメーカーを止めようともしないと思います。利己的なジョーなので。

  9. 感謝 より:

    よくわからない部分があったので、
    丁寧な解説があり非常に助かりました。ありがとうございました。

  10. BR より:

    自分の見落としなどの確認で、人の感想を探し始めました。
    私は、実はシドはジョーの幼少なのかな、などと思いました。
    シドが銃に関心が有ったり、ジョーも髪を親にすかれるのが好きだと告白してたり(だったような)等々。
    オールドジョーは未来の自分を撃った後、まだ銃を使って犯罪を行っていた様子ですし、ヤングジョーの世界に戻ってきてからも、ジョーの親玉連中をアッという間に一掃してしまいました。なので、一気に悪の組織を掌握したのは実はジョーなんじゃないかと思ったのです。
    ただ、そう仮定すると、あまりにパラドックスにはまってしまい、なんだかもうまともなつじつま合わせは不可能になってしまいます。なので考えすぎなんでしょうか?
    でも、つじつま合わせはあまり考えなくても良いのかな、とも思えます。
    関係無いですが、私は「12モンキース」を思い出してました。それでこの映画に関心がわきまして観に行ったのです。その映画も最後はブルースウイルスが撃たれ、それを幼き日の本人が観ていたと言う設定だったように思います。
    たまにこのサイト覗いて、自分の観た映画の感想や見落としの確認させてもらってますよ! どうもでした。

  11. 名無し より:

    面白い映画でした。伏線もあり、アクションあり。楽しめました。
    まあ、疑問点も沢山ありましたが(笑)
    個人的に不思議なのがオールドジョーの奥さん。そもそも、ルーパーがいる理由は未来で殺人を犯すとすぐバレるから過去に送って殺すというもの。しかし、オールドジョーの奥さんをすぐ撃ったのがちょっと(汗)そんなに簡単に殺せるなら、ルーパーの存在意義がないような気がします。

  12. 名無し より:

    面白い映画でした。伏線もあり、アクションあり。楽しめました。
    まあ、疑問点も沢山ありましたが(笑)
    個人的に不思議なのがオールドジョーの奥さん。そもそも、ルーパーがいる理由は未来で殺人を犯すとすぐバレるから過去に送って殺すというもの。しかし、オールドジョーの奥さんをすぐ撃ったのがちょっと(汗)そんなに簡単に殺せるなら、ルーパーの存在意義がないような気がします。

  13. [洋画] 周回遅れで鑑賞「ルーパー」

    観たいと思っていたものの観そびれた作品。周回遅れで上映してくれる映画館は貴重だ。 題名LOOPER/ルーパー(原題:Looper) 監督ライアン・ジョンソン 出演 ジョゼフ・ゴードン=レヴィ

  14. sfkun より:

    おもしろくなかった(期待したのに)。あんなヨレヨレな未来は嫌だし、サキコキックとの関係がズレてる。しかも子どもを殺す想定があるのが最悪でした。

  15. こしあん より:

    一人で観ていて頭が悪いので理解ができなかったんで
    すっきりしました
    有難うございました

  16. 匿名 より:

    意外とレインメーカーは三人の候補のうち老ジョーに殺されず接触もしなかった売春婦の子だったりしてな。いくらシドのTKが凄いとはいえ所詮は目に見えない武器ってだけで、殴り込んだだけで1日だか数日だかで全ての悪の組織を傘下に納められるとは到底思えないんだよね。

  17. 匿名 より:

    作中では5つの組織を潰すのに半年かかったと言ってましたが?それでも驚異的な速さですが
    それより畑でオールドジョーを止めるときなぜ自分の腕を撃たなかったのかな、片手でもいきなりなくなったら銃を取り落とすと思うんだけど

  18. あー より:

    はじめまして。昨日鑑賞しました。いろいろ差し置いても、好きなタイプの映画です。ヒナタカさんの解説も頷きながら拝見しました。
    最後まで?だった部分は…、以下です。
    「ジョーは未来からやってきたオールドジョーを取り逃がし、家で刺客に襲われて、落下しながら気絶します。
    その次のシーンは「ジョーがオールドジョーを撃ち殺す」というものでした。
    ついさっきのシーンと全く矛盾する出来事だったので驚きましたが、これは「ここからオールドジョーの物語が始まった(もしくは回想)」ということを示すものでした。」
    は〜?と思いながらも、話は進み、最後にジョーがシドの近未来を予知してるところまできて、あー、最初の落下シーンは、オールドジョーを躊躇なく撃ち殺す前の瞬時の予知だったのではないか…、私はそう感じました。それで、躊躇がなくなったというか。
    この最初の落下シーンのところで、予知ったことを少し説明しとけば、最後のシドに関する予知をするシーンでたらたらと言葉で説明せずとも、映像だけで表現できたんじゃないかと、少々残念に思います。
    カンザスのど田舎とか大好きな映像ですが、30年後の日常生活が大して進化してなくて、この辺にこだわってない感じがまたなんか悪くない気がして、ツボでしたw
    これからもちょくちょく拝見させていただきますね!

  19. […] LOOPER/ルーパー (字幕版) ※ブログのレビューはこちら↓ 『LOOPER/ルーパー』流転の末に(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー… […]

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ヒナタカ

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