『ライオン・キング』超実写とアレンジの意義を語る(4DX吹き替え版ネタバレなし+ネタバレ感想)

『ライオン・キング』超実写とアレンジの意義を語る(4DX吹き替え版ネタバレなし+ネタバレ感想)

今日の映画感想はライオン・キング(2019)です。

個人的お気に入り度:6/10

一言感想:リメイクのバランスって難しいよね…

あらすじ

ライオンが王様になります。

1994年のアニメーション映画『ライオン・キング』を超実写化したリメイク作です。
超実写化ってなんだよ!って誰もが思うところですが、確かにそう銘打ったことも納得できる、映像のクオリティにまずは圧倒される作品でしたよ…。

超実写版って呼ぶよそりゃあ!

まあとにかく、動物の毛並みや一挙一動、台地の壮大さを示す映像が凄まじいことになっています。
バリバリの3DCGアニメなのにマジで実写にしか見えない。実写の動物そのまんまが歌って踊っているようにしか見えない、て言うか超モフモフ。そりゃもう超実写化って言うわなと納得するしかないわけです。

※あとこのシーンは王の息子が生まれてきたことを讃えているのですが、この子が普通に微妙な顔しているのがいいよね。

また、以下のインタビューを読むと超実写版の言葉の意味が少しだけさらにわかります。
『ライオン・キング』なぜ今“超実写版”なのか?ドナルド・グローヴァー語る – シネマトゥデイ
なるほどなるほど、マジで実写と見まごうほどの映像表現はもちろん、「時代を“超越”した物語」であることと、(詳細は後述しますが)テーマの1つである“サークル・オブ・ライフ”への新たな解釈を付け加えたことに超実写化の意義があると、主人公・シンバの声を担当したドナルド・グローヴァーが語っているんですね。その意義は良し!ではないですか。

リメイクとしてのバランスは保守的でちょっと物足りない?

しかし……映像の凄さは観ていくうちにマヒしていき、物語上の現代ならではのアップデートも味付け程度に止まっているというのも事実でした。

そもそも、3DCGでリアルに動物たちを描くというのは、同じくジョン・ファブロー監督が手がけたリメイク版『ジャングル・ブック』ですでに通った道なんですよね。
もう映像面での驚きそのものが少ないというのは……言うのも野暮、致し方のないことですが。

※メディアで書いたレビュー記事↓
『ジャングル・ブック』を観る前に知ってほしい10のこと!これは新たなディズニーの傑作だ! | シネマズ PLUS

この『ジャングル・ブック』は原作のディズニーアニメ版からかなり膨らまされた部分が多く、その点でも満足度が高かったですね。

さらに、直近で大ヒットした実写版『アラジン』は「原作のメッセージを踏まえつつ現代的にアップデートする」「新たな展開や設定を付け加える」などにおいて本当にバランスが絶妙だったと思います。
超実写版『ライオン・キング』はそれに比べるとちょっと保守的、というか物語そのものがほとんど変わっていなくて、正直に言えば物足りないのです。

何を持ってリメイクの意義を感じるかは人それぞれ。
どこまでオリジナルに忠実にするか、どこまでを変更するか、そのバランスは本当に難しいと思うのですが、やはり個人的には大胆な変更を加えるほうが好みですね……。

しかも『アラジン』は「実写でしか成し得ない魅力もある」、生身の人間が歌って踊るからこそのミュージカルの魅力もプラスされた作品でした。
対して今回の『ライオン・キング』は超実写というリアルな動物な造形にしたことで、アニメーションならではのファンタジックさがストレートに後退してしまっているんですよね。
オリジナル版は2Dのアニメ版だからこそのデフォルメしたキャラクター造形や、ミュージカルシーンのコミカルな表現も際立っていたのですが……いや、もう、これも致し方のないことで、言うのも本当に野暮なのですが……。

(後述しますが)個人的には原作のディズニーアニメ版もあまり好きではないポイントがあって、そこが全く解消されてなかったのも残念でした。
これは本当に好みの部分なので、言うのも野暮(3回目)なんですけどね。

それでも、(後述しますが)現代的に“ほんのちょっとだけ変わった箇所”、プラスアルファの部分は大好きになれましたよ。
さすがに忠実すぎて何も変わっていなかった『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』よりは満足度が高かったです。

4DX吹き替え版は超良いぞ!

4DX吹き替え版で観たのですが、これが実に良かった!
何が素晴らしいって、動物たちが大地を渡り歩く時の「振動」をそのまんま感じられること。
時に、中盤でヌーの大群が押し寄せた時の主人公の恐怖が文字通りに体感できることに度肝を抜かれました。
その他、(TOHOシネマズ系列のMX4Dにはない)”雨”の演出もかなり効果的。4Dの演出を出し惜しみせず、かつ違和感がない絶妙なバランスになっていたと言えます。

ただ本作は超実写の“雄大な大地”も見所の1つなので、IMAXなどの大きなスクリーンをオススメしたくなるのも事実。
4DXでは必然的にスクリーンの大きさが限られてしまっているんですよね。ここはお好みで選んでみて欲しいです。

※こちらの4DXレポート記事もご参考に↓
『ライオン・キング』フル3DCGの世界を拡張する4DXの技術 「命の輪」を体感できる演出に|Real Sound|リアルサウンド 映画部

そして吹き替え版は本当最高…。『トイ・ストーリー4』に引き続き、漫才コンビ的なキャラ(ミキ・亜生と佐藤二朗)の掛け合いが楽しくって仕方がありません。
その他、江口洋介のスカー(悪役)の妖艶さは「やだ…かっこいい…騙されたい…」と思ったし、またも沢城みゆきがカッコいい役に超マッチで最高かよ。
シンバ役の賀来賢人はややイケメンすぎるかな?と一瞬思ったりもしましたが、この正義感のある(でも自信を無くしてしまう)主人公にはマッチしていました。

本業の声優さんではなくてもここまでのクオリティとハマり役、そして楽曲のクオリティでは文句は言えません。リピーターの方も、ぜひ吹き替え版をオススメしますよ。

邪悪な叔父さんシリーズ

最近、邪悪な叔父さんが魅力的な映画って多くないですかね。
この『ライオン・キング』におけるスカーもそりゃあ悪いやつなんですが、偉大な兄にコンプレックスを持つキャラだと考えるとなかなか味わい深いところがありますよね…。

あとは最近で言えば<叔父さんが悪堕しちゃうこちらのアニメ映画(ネタバレ注意)>も自分は刺さったんだよな……自分も愛おしい甥っ子がいるもんでな…。
ある意味での(超がつかない)実写版『ライオン・キング』として、話題騒然だったインド映画『バーフバリ』ももちろんオススメしますよ。

以下からはちょっとだけ不満点とオリジナル版との違いをネタバレで記しています。鑑賞後に読むことをオススメします↓



野暮な不満点:オリジナル版の『ライオン・キング』から思っていたこと

シンバの葛藤は「自身のせいで父が死んでしまったから故郷には帰れなくなった」という自責の念によるものでした。
「お前さえこの場にいなければ父さんは死なずにすんだのだ」というスカーの訴えはとても、とても重いものなのですが、結局はスカーの策略というかスカー自身がムファサを殺していたことが判明するため、その葛藤は結局は無きものとなるのです。
これを例えば、スカーの行動とは関係なく、ムファサがシンバを庇って死んでしまった…という風に変えれば、この葛藤を乗り越える話として新たなテーマ性を持たせることができたと思います。

あと、スカーの最期がハイエナたちに喰われて終わり……というのもスカーが従えていたはずの存在に裏切られる、因果応報的な帰着でいいと言えばいいのですが、個人的には“死”以外での決着をつけて欲しかったとも思うんですよね。
結局は力(暴力)でねじ伏せてしまうというのは単純すぎるかなあ…と。このあたりのアレンジを今回のリメイクに期待していたので、ちょっと残念でした。

また、ティモンとプンバァの生き様そのものである「ハクナ・マタタ」はスワヒリ語で「どうにかなるさ、くよくよするな」の意味なんだけど、劇中ではシンバが大人になるまで文字通りに逃避していたことでしか意味を成していないように感じるんですよね。
最後にもう一度、真に成長したシンバがこのハクナ・マタタをポジティブに解釈してくれたりしたら、より良かったかな、と。

オリジナル版からの変更点その1:シンバが生きた痕跡

中盤、シンバの生きた痕跡(アレはシンバの毛の一部ということでいいよね?)が年老いたヒヒのラフィキのところに届きます。
この時、その痕跡を葉っぱごと食べたキリンがフンを出して、そのフンをフンコロガシが転がしていって……と動物たちが伝達していくのです(オリジナル版では風に乗って行くだけ)。
これでアフリカの自然の広さと多様性を示し、なおかつ命が繋がっている“サークル・オブ・ライフ”のメッセージも強固にしている。上手いアレンジではないですか。

オリジナル版からの変更点その2:ハイエナのシェンジのキャラが…

オリジナル版からいるハイエナのトリオであるシェンジ、バンザイ、エドですが……今回は紅一点のシェンジがかなり格上げされていましたね(しかも吹き替え版の声は沢城みゆき)。

オリジナル版では他の2人と同格のイケイケ系姉御な感じでしたが、今回はリーダー格。『タイムボカン』や『ふしぎの海のナディア』のグランディス一味感が増していますね。
どちらがいいかは人によるでしょうが、これはこれで大好きですよ、自分は。

オリジナル版からの変更点その3:関係のないただの直線

今回のリメイク版ではティモンが「肉食獣と一緒にいると居心地が悪いんだよ。これはサークル・オブ・ライフとは違う“関係のないただの直線”だ」と言います。
これは現代的な人間関係の価値観を示していますよね。フィーリングが合わない同士が一緒にいる必要はない、時には1人になってもいいんだ、と。
ひいては、人生のパートナーがいなくても、独身のままでもその人が良ければそれでいい、という結婚観も少しだけ触れているのかもしれませんね。

そんなことを言っていたティモンが助太刀して、シンバに「関係のないただの直線じゃなかったのかい?」と言われるのもいいんだよな…。
友達同士は助け合うもの。そういう時には“線は交わってもいい”。これは良い人間関係です。

また、先ほどの「『ライオン・キング』なぜ今“超実写版”なのか?」の記事では、主人公・シンバの声を担当したドナルド・グローヴァーがこう語っているんですよね。この“サークル・オブ・ライフ”と“関係のないただの直線”が示すことを見事に表現しています。これはいいなあ…

「一人一人が独立した人間でありながらも、実際には互いに繋がっており、各々にとっての果たすべき役割がある、ということだ。他者との繋がりを意識することも少なくなり、個々人が孤立した状態となっているように感じられる現代社会において、そのことに改めて気づかせてくれる。“サークル・オブ・ライフ”が現代に生きるすべての人にとって、より共感できるメッセージとなっている」

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