映画『クレヨンしんちゃん バカうまっ! B級グルメサバイバル!』マサオくん大出世(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

映画『クレヨンしんちゃん バカうまっ! B級グルメサバイバル!』マサオくん大出世(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は映画クレヨンしんちゃん バカうまっ! B級グルメサバイバル!!です。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:あー焼きそば食いてー!

あらすじ

テレビで宣伝されていた「健さんの焼きそば」を食べに行きたいしんのすけは、風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんの「かすかべ防衛隊」メンバーとともに「B級グルメカーニバル」に出発する。

しかしB級グルメカーニバルは「A級グルメ機構」という集団に乗っ取られていた。彼らは世にあるB級グルメを廃絶しようと企んでいたのだ。

焼きそば職人の健さんは、この事態を解決するために恋人の紅子に伝説のソースを持ってくるように頼む。

しかし紅子のもとには刺客たちが迫っており、紅子はしんのすけたちに伝説のソースを渡す。

果たしてしんのすけたちは、無事にソースを届けることができるのか?

毎年公開されている劇場版「クレヨンしんちゃん」の第21作目です。

子ども向けの体裁をしているこのシリーズですが、「嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」は大人も泣ける傑作として語られており、映画ファンにとっても無視をできないシリーズになっていました。

しかしその「大人も楽しめる」印象もすっかり下火になり、大人が唸るような面白い作品は生まれないでいました。

「オトナ帝国」「戦国大合戦」が好きな人の中には、もうそれほどの作品は今後現れないでいると諦めている方も多いのではないでしょうか。

久々の快作

しかし、この「バカうまっ! B級グルメサバイバル!!」はシリーズ久々の快作です

本作には映画版クレヨンしんちゃんの面白さがギッチリと詰まっているのです。

映画版のクレヨンしんちゃん(以下クレしん)で自分が最も好きな要素は、クレしんでないとできない設定がまかりとおることです。

「オトナ帝国」は昔を懐かしがる組織が大人を子どもに戻そうとし、「映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」ではオカマキャラと行動を共にする渋めの逃避行が描かれたりします。

こんな破天荒でありえそうな設定は、クレしんでしかなしえないでしょう。

本作も「A級グルメしか食べない組織がB級グルメをこの世から無くそうとする」というバカバカしい設定なのです。

B級グルメに込めるとてつもない愛情

しかし本作はそのタイトルと設定通り、B級グルメにとてつもない愛情を込めている作品です。

この設定でしかなしえない、B級グルメを愛する人こそ感動できるシーンが、本作にはあります。

自分は「めしばな刑事タチバナ 1 [立ち食いそば大論争] (トクマコミックス)」や「花のズボラ飯」などのB級グルメを描いた作品が大好きなので、嬉しくって仕方がありません。

きっと観たあとは、焼きそばを食べたくて仕方がなくなるはずです。

かすかべ防衛隊が大活躍

かすかべ防衛隊

そして本作はシリーズでもっとも「かすかべ防衛隊」が活躍する作品です。

キャラクターの個性もしっかり描かれており、特にマサオくんの描写が大好きでたまりませんでした。

そしてシリーズのファンとして嬉しかったのが、過去のシリーズを踏襲したような展開が数多くあったことです。

これこそクレしんと言える冒険と、大人にしかわからないギャグ、そして粋な台詞がたっぷりあります。

これはかつてクレしん映画を楽しんだ方には嬉しい要素なのではないでしょうか。

本作はきっと、映画版クレしんが好きな人が作ったのだと、映画を観て思いました。

ただトータルでは、かつての作品に比べると少しパワーダウンを感じます。

ギャグはかなり笑えるのだけど「暗黒タマタマ」の破壊力には及ばず、アクションも描かれるけど「映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦」の迫力には及ばない印象です。

やはりあのプリミティブな面白さは、早すぎるほどのテンポと突き抜けたほどの展開があってこそ。

本作はややおとなしめで、もどかしさも感じるのです。

しかし、これはぜひ家族でご覧になって、ケラケラと笑っていただきたい作品です。

本作は「オトナ帝国」のような感動路線ではなく、「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」のようにかなりギャグよりの作品なのですが、それでも作中2回ほどウルッときてしまった場面がありました。

これは巧みに伏線が仕込まれた脚本の成果でしょう。

個人的に注目して欲しいのは台詞の数々。

特にしんのすけが道中に出会うお相撲さんへ言う台詞は、大人こそが面白いと感じるはずです。

そんなオトナへの視線を忘れないクレしん映画が、自分は大好きです。

以下、結末も含めて展開が全てネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓過去作品と似たシーンについても書いています。



アクション仮面がステマしてる

冒頭ではしんのすけが大好きな特撮番組アクション仮面が放送されており、アクション仮面は「健さんの焼きそば」を食べてパワーアップします。ステマにもほどがあるだろ

(注)正しくはプロダクトプレイスメントと言います

この「ステマなのに目立ちすぎ」なのはこち亀のネタを思い出せます。

あとアクション仮面は3口で焼きそばを平らげていました。早すぎ。

紅子のアパート

焼きそば職人の健さんの恋人・紅子は子ども向け作品とは思えないほど色っぽいキャラクターです。

しょうがの紅子

彼女は健さんに「(伝説のソースを持ってこれるのは)お前しかいない」と電話で言われ「あたしはそんな都合のいい女じゃないわよ」と返したりする。どこのトレンディドラマだよ。

さらに彼女の住まいは現代らしくないアパート暮しでした。

これは「オトナ帝国」の、ケンとチャコ(敵キャラクター)の住まいが昭和時代のものだったのを思わせます。

伝説のソースの秘密

紅子は偶然出会ったしんのすけたちに伝説のソースの起源を語ります。

なんとこのソースを作ったのは吉田兼好だとほざくのです。

さらにその後に「代々受け継がれていた~」と語っている時にはケント・デリカットが出てきました

今の子どもケント・デリカット知らねえから!あの「メガネを前後させて目が大きくなる」もしっかりやってくれます。

「ケン」つながりでこうなっているんでしょうね。

他にも子どもにはわからないしんのすけの台詞として「オラたちに明日はないぞ!」「人生という名のぶらり途中下車の旅に出かけない?」というのもありました。

マヨネーズはA級の敵

かすかべ防衛隊一同はセクシーな敵のお姉さんの車に連れられ、キャビアを食べさせられるのですが、子ども達にとってキャビアはおいしいと思えるものではありませんでした。

しんのすけが取り出したのはマヨネーズ。

こんもりとキャビアにかけると、キャビア(敵の名前)は悲鳴をあげて車を事故らせてしまうのでした。

キャビアはマヨネーズのことを「素材の味を全て殺してしまう忌まわしき調味料!」と呼んでいました。

それは確かにそのとおりなんだけど、マヨネーズっておいしいもんね。しんのすけはたぶんマヨラーです。

まさかの劇画

かすかべ防衛隊が森の中で遭難し、その先の温泉ではわざとらしく置いてあるトリュフがありました。

メンバーは当然のごとく争奪戦。そして・・・なんと劇画調の絵になるのです。

これは「暗黒タマタマ」「ブタのヒヅメ」でやってくれた描写で、当時はお腹を抱えて笑ったものです。このシーンだけで劇場で観てよかったと思えました。

わりとすぐに終わってしまったのは残念ですが、ネネちゃんが愛用のウサギのぬいぐるみとトリュフをすり替えていたのにはゲラゲラ笑いました。

あと敵のオカマキャラ(名前がトリュフ)が、しんのすけのすかしっ屁をファブリーズで消臭するシーンも大好きです。

解散、そして一枚のビスケット

かすかべ防衛隊は度重なる苦難の末、みんながみんな「誰々が悪い!」と責めあいます。

たまらなくなり、自称リーダーの風間くんはかすかべ防衛隊の解散を宣言します。

その後「A級お子様ランチ」につられて飛行船捕まる一同ですが、地上に残されたソースとシロ(犬)のため、力を合わせて脱出します。

ここでの調理場の疾走シーンの大胆な構図は「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の追っかけっこのシーン、

脱出ポッドで空中に飛び出るのは「ブタのヒヅメ」、

スカイダイビングは「映画クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝」を思わせます。

地上に舞い戻った一同は朝からご飯を食べておらず、当然お腹はペッコペコ。

そんなとき・・・マサオくんがずっと隠していた、たった一枚のビスケットをみんなに見せます。

マサオくんは、みんなの持ち物をチェックするとき、我が身可愛さに、ビスケットを持っていることを隠していました。

しかし、ここではみんなのためにビスケットを差し出します。

風間くんは「ビスケットを持っていてくれてありがとう」と言います。

みんなは一枚のビスケットを分け合います。

しんのすけは「マサオくんが一人だけ生き残ろうとしたビスケットおいしいぞ~」となじりましたが、本当にみんなおいしそうに食べました。

もちろんみんな空腹のままですが、みんなはきれいな星空を見ながら眠りにつきます。

その前は空でとても大きな夕焼けを「5人占め」で見ていたかすかべ防衛隊は、またも5人(と1匹)占めの素晴らしい景色を見たのです。

このみんなで観た一面の星空もまた、「ブタのヒヅメ」で描かれたことです。

このかすかべ防衛隊の解散から、マサオくんが勇気を持ってビスケットを見せ、みんながまた元通りになる一連の展開は、作中屈指の名シーンでしょう。

膨らんだリュックに入っているもの

かすかべ防衛隊一同は空腹のまま朝を迎えます。

マサオくんは吹っ切れたようで、「ドカベン」の岩鬼正美のように口に葉っぱを加えてワイルドになっていました。

一同は作戦を立てようとしますが、しんのすけが「とりあえずつっこんであとは野となれ山となれ作戦っていうのはどう?」と聞き、風間くんが「それはお前の人生だろ!」とツッコミを入れたのには大笑い。辛辣だなあ。

一同は全員の持ち物が膨らんでいるようにして「誰がソースを持っているかわからない作戦」を決行します。

そして出会ったのは、中盤で橋の上で戦った「横綱フォアグラ錦」(お相撲さん)でした。

お相撲さんは「待て、お前のそのパンパンに膨らんだリュックには何が入っているんだね」と聞きます。

マサオくんは「夢と希望が詰まってます」と、しんのすけは「若いのでそんなものしか持ち合わせていやせん」と返します。

すると、お相撲さんは「いやいや、若いうちはそんなもんだ、がんばんなよ」と言います。

しんのすけは「あんたもね」と言い捨てるのでした。

これって真理だよなあ・・・。

三つ巴の争い

感動したのが、皆がそれぞれ「ムダな持ち物」を見せるシーンが伏線としてしっかり回収されたことです(風間くんの持ってきた世界地図はマジで無駄でしたけどw)

ネネちゃんは持っていた「象が踏んでも壊れない水筒」を重量級のお相撲さんを倒すために、地面に転がすのです。

このときのマサオくんもすこぶる格好良く、捕まっているネネちゃんを助けるために「待て!ソースを持っているのは僕だ!」と言い張るのです。

さっきまで「僕はもうおにぎりでいいよ」と言っていた人間だとは思えないです。

風間くんとボーちゃんも「いいや、持っていたのは僕だ!」と言うのですが、しんのすけだけ「オラは持っていないぞ」とほざくのも大好きです。

シロが特技の「フラダンス」をして子豚たちを圧倒していることもファンサービスですね。

風間くんとボーちゃんのタッグも新鮮でした。

野暮な不満点

この作品で残念だったのが、子どもたちに対して大人たちがあまり活躍していなかったことです。

大人たちの描写は、ザコ敵と乱闘しているくらいで盛り上がりに欠け、健さんもあっさりラスボスにやられてしうのです。

さらに中ボスキャラは弱く、「寿司夫婦仮面」が「ステーキライダー」がこけてステーキが顔についただけで倒されるのはかなり残念でした。大塚芳忠さんの声がもったいない。

そこはひろしやみさえ、今回初めてと言える参加をした「風間くんのママ」にもっと活躍の場を与えて欲しかったです。

そういえばひまわり(赤ちゃん)も存在感が皆無ですね。

ゴシップ好きのネネちゃんが「仮面夫婦ですって!」と興味を持ったり、

紅子が民衆を導く自由の女神と同じ構図でみんなをたきつけたり、

ひろしが同僚の川口に「仕事を頼めても、オヤジは頼めない」と言ったり、はきっぱなしの臭い靴下で敵を昏睡させるのは面白かったのですけどね。

やっと食べれた焼きそば

B級グルメ 焼きそば

一同は、それぞれが持っていた水筒にソースを移し替えておくという知恵まで使い、ついに伝説の焼きそばのお店までたどり着きます。

ラスボスの「グルメッポーイ」は幼いころから両親からの厳格なA級グルメの教育を施され、部屋には「てまひま」という標語が飾っていました。

子どもの頃のグルメッポーイは、海外進出をしていた健さんの焼きそばの臭いに惹かれますが、味見をする寸前で両親に止められてしまします。

さらにグルメッポーイは、部下たちに伝説のソースをすぐに処分せず、自分のところに持ってくるように言っていました。

しんのすけの持っていた「チョコビ」をゴミ箱に捨てながらも、食べたそうに見つめていました。

B級グルメを恨んでいたグルメッポーイですが、実は誰よりもB級グルメを食べたいと欲していたのです。

ラストでしんのすけたちは、健さんに代わり歌いながら焼きそばを作り上げます。

その場所に這い上がってきたグルメッポーイは、あいも変わらず「そんなものがおいしいわけないだろう!」と言います。

しかし、しんのすけが差し出した焼きそばを、グルメッポーイが口に入れたとき、彼は涙を流しました。

「ちっくしょう、やっぱりうまいじゃないか・・・」と。

B級グルメは庶民の味方で、庶民がいつも食べている「あたりまえ」のものです。

あたりまえのものが食べれなかったグルメッポーイが、ついにその味を(しかも伝説のソースという最高の調味料を使って)知ったのです。

B級グルメは手間もかかっておらず、荒々しくてちょっぴり下品なものです。

そんな料理が人を幸せにしていて、人の心をも変えたことに、自分は笑いながらも、大いに感動してしまうのです。

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  1. 紀平 光太 より:

    カゲヒナタのレビュー 管理人様
    はじめまして。紀平と申します。
    私は現在「映画ベース」という映画のレビューサイトを開発しており、
    是非映画に関心のある方からレビューの投稿や、
    サイトをご利用頂いてのご意見やご感想などを頂ければと思っております。
    「映画ベース」
    http://kota.lolipop.jp/eigabase/
    まだまだ立ち上げたばかりの未熟なサイトですが、
    一度サイトにお越し頂き、
    ご利用をご検討頂けますと幸いです。
    どうぞよろしくお願い致します。
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    // 映画ベース
    // http://kota.lolipop.jp/eigabase/
    //
    // 紀平 光太
    // kihira@kota.lolipop.jp
    //----------

  2. ハナ水ボー より:

    中村さんと神谷さんが敵役で出るってことは、マクロスと見比べるというのもいいかも?

  3. N より:

    グルメッポーイの「やっぱり、うまいじゃないか」。
    この映画はその一言に尽きます。
    どんな料理であれ、「うまい」と言われるのが一番の喜びであり、最大のマナー。
    そこには、AもBも関係ありません!
    最後に一言、ごちそうさまでした!

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著者

ヒナタカ

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