『婚前特急』我が身を振り返らないコメディ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『婚前特急』我が身を振り返らないコメディ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は婚前特急です。

個人的お気に入り度:6/10

一言感想:むしろ鈍行じゃん

あらすじ

主人公:チエ(吉高由里子)は5人の男と同時につき合っていた。
ある日チエは「つき合っている男を査定している」と親友のトシコに告げる。
彼女に結婚を勧めているトシコは「査定の低い順版に別れていって、最後の一人と結婚すれば?」と提案。
その言葉に乗ったチエは早速、査定の結果最悪だった男のタナシ(浜野謙太)のところに別れを切り出しに行く。
しかしタナシに告げられた言葉は・・・

男を何人でも手玉に取れるデキる女・・・かと思いきや、ただの都合のよい女としか思われていなかった!
この設定がまず面白そうだったので大いに期待して観てみました。

とにかく吉高由里子さんが嫌~な女を上手く演じています。
いろんな役がらを演じることが多い方ですが、今回は特にハマッている印象。彼女のファンならまず観て損はないでしょう。

またこの作品は(個人的には)けっこう予想外の展開を見せます。
いろんなことがあるけど、最後にはハッピーエンドに本当になるの~?と不安になります。ある意味終着点がどこかわからなくなる映画です。

また、一番サエナイ男のはずのタナシを演じる浜野謙太さんが出色です。
彼がしゃべるだけで劇場でクスクス笑いが起きるのです。
一見女性向きっぽい映画ですが、彼のキャラクターが引き起こす事件のおかげで男にも共感できる作品に仕上がっていると思います。

そして・・・結婚相手を決めるために、一人の女が暴走するラブコメディ・・・だと思っていましたが、どうもそんなに単純じゃありませんでした。
「結婚の条件」「本当に自分にふさわしい相手ってなんだろう」と、結婚前or結婚した方に向けた明確なテーマもあります。
そのため、「婚活」などに執心している女性にも是非観てもらいたいです。

タイトルとは裏腹にテンポが遅めの作品ですし、痛快さを求めるとイマイチに感じるかもしれません。
それでも始終クスクス笑える「変な」コメディとしてオススメします。

以下、ネタバレです↓例によって結末に触れています

我が身振り返らず

この映画で面白いのは、主人公:チエの言動がことごとく「人を批判するばかりで、我が身振り返らず」になっていること。
・バツイチの営業マンのニシオには「どうして自分の物しようとしないの」と罵る。
・タナシが好きな女性のミカを、他の男と一緒にいたり、計算高い女であるとタナシに教える。
・4人でミカの家でご飯を食べているシーンで、タナシに「自分のことばっかりしているやつは嫌だよね」と言う。
これ、ぜんぶそうです。

仮に彼女の言葉を、彼女自身に言ったりしたら、何も答えられないんじゃないかと思います。
彼女は他人にあ-しろこーしろと言っていますが、ちっとも反省をしたり、顧みる様子はありません。
そんな感じでチエは人を見下し、自分本位で生きている嫌な女です。そこでタナシのセリフが生きています。

「結婚は、本当に好きな人しないといけないんだ」

タナシはバカで不器用で、自分本位の図々しいやつです。
チエと似た者同士です。
しかし、そんなタナシも自分の気持ちに気付いていませんでした。
終盤でミカに振られ、やっぱりチエのことが好きだったと言うタナシ。
バカバカしいとあきれ返る前に、不器用すぎて泣きそうになりました。

さらにタナシの部屋を突き破り(なんだその展開)、隣にいるおばあちゃんに説教をされます。

「私の旦那は生前に一度だけ、茶碗を壁に投げつけて怒ったことがあるの、お父さんは何も文句を言わない人だったけど、そのとき『俺はずっと我慢してたんだ』って言ったわ」
「私に言えるのはひとつだけ、喧嘩は生きているうちに、思い切りやりなさい
と。

これだけ言葉をぶつけあって、チエとタナシはわかりあえたこともあるのでしょう。
恋人が話し合ったり、お互いを知ることは大事なことです。
「時間を有効に使うため」に5人とつきあっていた彼女は、こんな風に誰かとケンカをすることもなかったのかもしれません。

ほかにもよかったところ

撮影もよかった!
4人が食事をするシーン(気まずさがリアル)や、留置場で喧嘩をするシーンでは長々と台詞をしゃべりますが、ワンカットでずーっと撮っているのもすごい!

他にも良かったシーンをあげるならば

・タナシが「俺たち付き合ってないじゃん、でも体だけの関係は続けよう」と言う。
こいつはあっさりこれで縁が切れるんだろうな、と思っていましたが、まさか主役級に出ずっぱりとは思いませんでした(笑)

・付き合っている一人のバイク屋のミチオに、「私のどこが好きか」と聞く。
このシーンのもどかしさも自然です。

・56歳のミヤケマサシとタナシが部屋で会うシーン。
私のお兄ちゃんですと紹介した時の、あの気まずさったらない。

・タナシの告白。
楽器の「カリンバ」を使うのですが、音色がだんだん澄んでくるのです。音楽の使い方も絶妙です。

・大学生のケンジには車の運転をさせると「ちゃんと見てろよ!」と怒られています。
自分が事故を起こしかけたのに・・・彼女と似た者同士です。
この映画を観た後は、恋人にした行動を思い返してみると反省することがあるかもしれませんね。

・婚約指輪(実際はケースだけ)を渡すシーン。
お金がなくて、ケースしか買えなかったけど、「無い」指輪を手にとり「今、いただきます」とミカは言います。
この後で振られてしまうのが本当に悲しい・・・ビンタのあと、ミカが「痛くないよ!」と言うのも良かったです。

・タナシの部屋に忍びこむチエ。タナシが帰ってきたことに気づいて隠れる場所を探すが無理。その場に回転しながら倒れこむ
一挙一動に劇場で笑いが起きていました。このアクロバットなシーンはもう一度観たいです。
また、タナシがCDを売らなかった、部屋に大量の就職本(~なるにはシリーズ)があったのにもしんみりきてしまいました。

ラストシーン

ここでしかタイトルの「特急」が出ていないですね(笑)

まあそれはともかく、常識的に考えれば、こんなところで結婚を祝福をされ、さらに今までの全登場人物&チエがつき合っていた4人の男たちも結婚の場にいる・・なんてことはありえないでしょう。

解釈はいろいろありますが最後に倒れこんだチエとタナシが見た「夢」かもしれませんね。

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ヒナタカ

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