
『君のまなざし』幸福の科学流『君の名は。』乗っかり映画(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『君のまなざし』です。
個人的お気に入り度:3/10
一言感想:いつもの幸福の科学の映画でした。
あらすじ
ペンションにアルバイトに行ったら霊界の門が開きそうになったり、平安時代にタイムスリップする話。
宗教団体・幸福の科学が送る、布教用の実写映画作品です。
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映画としての出来は、毎回「他の映画を観ればよかった」と思わせるレベルなのですが、自分は定期的にダメ映画を観ないと生きられない体になってしまったので、劇場に足を運ぶのは仕方がないことなのです(深刻な病気)。
結論から言えば、本作『君のまなざし』は今までに比べればかなりマシなほう、いや、けっこう面白かったと言い切ってよいです。
まずはお世辞抜きに褒めてみましょう。
がんばれ、大川宏洋!
本作の何がすごいって、幸福の科学の総裁である大川隆法の息子・大川宏洋が映画の総合プロデューサー、脚本、俳優、主題歌までを担当していること!
大川宏洋はとても重要な役を担っており、感情が入った時のキレ演技が抜群に上手い。
主演はイケメンの梅崎快人にまかせ、自身は3枚目の役に徹しているというのもめっちゃ好感が持てます。
映画のそこかしこに観る人を飽きさせまいとエンターテインメント性を高める工夫、あっと驚くどんでん返し(本当に騙された)、名作映画のパク……ゲフンゲフン参考にした演出もみられると、脚本にも相当の努力を感じられました。
本作には青春もの、心霊ホラー、時代劇ものと、多数のジャンルが混在しているのに、それをまとめ上げているのもすごいじゃないか!
しかも歌手デビューもしている大川さん!
もう幸福の科学のために八面六臂の大活躍じゃないか!
総じて、ご自身が手掛けられた映画に対する圧倒的な熱量を感じるため、彼のことを貶めようとはまったく思わなくなるのです。
自分は冗談抜きに大川宏洋さんのファンになりました。応援しています(いろいろと大変そうだから)。
また、剣術アクションが思いの外がんばっている、メジャーな大作映画に引けを取らないレベルであるのに感服しました。
映画のプロフェッショナルによる仕事は存分に感じられるでしょう。
説法がジャマです
本作の何よりの問題は、せっかく話運びにはエンターテインメント性があるのに、映画の1/4くらいが幸福の科学の説法のため、結局退屈になること。
というか、幸福の科学の映画は以下のテンプレで作られているんですよね。
- そこそこエンタメ性のあるプロットを用意する
- 幸福の科学の教えにつながるエピソードを構築する
- エピソードの後になが~く説法する
うん、1.と2.だけでいいと思うんだけどな……。
マジメに幸福の科学の映画のスタッフのみなさんにお伝えしたいのですが、言葉で語らずとも伝わるものがある映画という媒体に、口に出して言っちゃう説法を入れ込んじゃうと勿体無いと思いますよ。
悪人やいじめっ子は超ステレオタイプ
さらなる問題を箇条書きで挙げてみます。
- 細かいツッコミどころが満載
- 話全体にも論理的に矛盾がある
- いじめや理不尽なエピソードがステレオタイプすぎて興ざめすぎる
うん、わりと深刻な欠点だな。
前述した通り脚本にはかなり工夫が凝らされていて好感が持てるのですが……肝心なところで爪が甘すぎです。
悪人はとことん「ザ・悪人」な感じ、いじめっ子はとことん「ザ・いじめっ子」な感じ。
例えるなら悪いヤツのほぼ全員が『北斗の拳』のヒャッハーなザコ的な感じ。通り一辺倒な描き方すぎです。
幸福の科学の映画はいじめや不幸な出来事をよく映画に取り入れて、それ自体は尊いことだと思うのですが……そのディテールが激甘すぎてイラッとしてしまうんだよな……。
また、先程べた褒めした大川宏洋ですが、キレ演技が超上手いのに、普通の会話シーンになるといきなり棒読みになるという謎現象が起きています。たぶん演技指導が良くないんだろうな。
最大の見所はこれだ!
さてさて、本作の最大の見所だと断言できるのは名作映画のパク……ゲフンゲフンオマージュっぷり。
具体的には、『君の名は。』と『シックス・センス』を思いっきり意識しています。
(※ちなみに、タイトルの『君のまなざし』は、『君の名は。』と、同じく新海誠監督の短編映画『だれかのまなざし』のミックスだと思います)
さらには、(完全に偶然ですが)現在公開中の、『無限の住人』における「不死身の者がチャンバラをする」という要素、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』における「親子の関係」が描かれていることまでもが共通しています。
そう、『君のまなざし』は1本で4本ぶんの映画を体感できるオトクな作品なのです!それらの映画を観たほうがいいと思うけど。
ただ、正直に言って、本作における『君の名は。』のマネっぷりはちょっと中途半端でガッカリ。幸福の科学の教えを物語に組み込まなきゃいけないので、あんまり上手く模倣できなかったというのが伝わってきます。
あ、でもオープニングタイトルが出る前のあのセリフは腹筋が壊れるかと思いました(ネタバレなので後述)。
さらなる爆笑ポイントは、「まろにひれ伏せ〜!」「こっちでかわいがってやるぞ〜」などとほざくバカ殿が出てくることですね。
すみません、信者の方に悪いと思ってだいたいの場所で笑いをこらえていたのですが、こいつにはブフォッと吹き出すしかありませんでした。
最速で便乗映画を作ったことがすごい!
『君の名は。』はもはや日本では知らぬ人はいないほどに大ヒットを遂げたので、そのフォロワーやマネをした作品が生まれるのは必然と言っていいでしょう。
(実際にアニメやゲームの現場で「君の名は。みたいな感じで」とクライアントに要求される事態もあるらしい)
で、この『誰かのまなざし』は、『君の名は。』の公開から10ヶ月と経たないうちにいち早くフォロワーになったということなんですよ。いやいや、これは掛け値なしにすごいだろ!
そういえば、幸福の科学の仕事の早さは、清水富美加の出家騒動からわずか3日で暴露本を出版していたことで実証済ですね(まあこれは前もって用意していたんだろうけど)。
この出家騒動はいろいろ思うところがあるんだけど、22歳の女の子が神にすがるほどに思い詰めたことは事実なわけで、そっとしておきたいところ。
おそらく清水富美加は幸福の科学の映画の次回作の主演女優になるのでしょうが……応援したいです。
余談ですが、NHK BSで放送されたアニメ『龍の歯医者』では清水富美加がヒロインの声を務めており、本業が声優の方と何ら遜色のない上手さで感服いたしました。オススメですよ。
映画で世界を幸せに!
幸福の科学の映画において、ひとつだけ支持したいことがあります。
それは「映画が世界を変えられる」ことをマジで信じていて、作品にその想いが表れていること!
※幸福の科学の映画への思いが伝わる熱き(怖い)文章。↓
「君のまなざし」初登場6位 なぜ幸福の科学は映画をつくるのか? | ザ・リバティweb
「全ての映画は何らかのメッセージを発信しているという点である種の布教」とは言い得て妙ですね。
あと信者の方からすれば、キリストがひたすら拷問を受け続ける『パッション』や、森の中で神を否定してセックスをしまくる『アンチクライスト』はやっぱり受け付けないんだろうな。
ともかく、「罪を背負った人が救われて欲しい」というメッセージも含め、幸福の科学の映画および『君のまなざし』の志(こころざし)は他の凡百な映画よりもはるかな高みにいるわけで。
それだけでも価値のある作品ではないですか(皮肉なしで)。
まあ結局は、ビミョーなツッコミどころと、延々と続くお説教のおかげでだいたい台無しなわけですが。
『君の名は。』に便乗したシーンで爆笑したい方、いつも通りな幸福の科学を観たい方(いるのか?)にオススメします。
あと、『君の縄。』という便乗タイトルのアダルトビデオがあるのですが、それはまた別のお話(良い子は検索するなよ!)
※『鷹の爪』もそのネタを先んじてやっていました。
以下は結末を含めてネタバレです。
なお、以下からは『君の名は。』のラストも思いっきりネタバレしています。ご注意ください。↓
(C)2016「君の名は。」製作委員会
(C)2017 NEW STAR PRODUCTION

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久々の更新がコレって!?ありがとうございますー!
いや・・・信者の方々のお小遣いが尽きたら公開終了なんで最優先でしょうか。
最近は無駄にストレスを受けるようなもんに費やす余裕なんぞ経済的にも精神的に無い!という事で、ダメ映画は「振り過ぎて逆に笑える」しか観ない事にしている(そのおかげで6月の時点でワースト作品無し!)ので、そんな私にとって久々のオタノシミ!中二病真っ盛りのい中学生が宗教興してしまったような、大川隆法超先生の新作がやってきましたよー!!・・・だったのですが、正直今回は「金と時間を返せ!と怒りがこみ上げる」分が濃くて残念でした。
>がんばれ、大川宏洋!
>もう幸福の科学のために八面六臂の大活躍じゃないか!
例によって予備知識なんて0でしたのでエンドロールで飛び上がりそうになりました。お父さんの中二病遺伝子を極濃で受け継いでおられるような作風に今後の期待大です!
次回はアフレコを鍛えてアニメ映画かな?
>説法がジャマです
ここが「金と時間を返せ!と怒りがこみ上げる」分でした。
>ハイパー☆説法タイム
私が宗教を嫌う理由が凝縮されたようなこの時間が耐えがたい程でした。なんでもかんでも不幸を「試練!試練!試練!!」・・・百歩譲って天災や運の問題はともかく、誰かの悪意からの行為による被害もかよ!?そんで「来世が有るから~」・・・現生で救ってくれ!
百歩譲って本作のように被害者本人が復讐なんか望んでいない描写はイイとして、赤の他人の分際で「悪人を赦せ!赦しなさい!赦さない奴は地獄に落ちるぞ!!」な、『るろうに剣心』後に雨後の筍の如く少年漫画溢れた復讐者をブチのめして加害者守って「不殺のヒーロー」気取りどもかよ?知るかボケ、怒りも憎しみも当人のもんだ。説教するなら同時に元凶も罰して、被害者も説教以外の言葉と行動で不幸を補填してでも救って見せろ!
余談ですが「人を憎む前に悪い出来事はなんでも私の所為にしなさい!天災は地球の管理が出来ていない私の所為!人類が学級崩壊しているのは私が無能だからです!!」な神様っていないもんですかね。ゾロアスター教の「アンリ・マユ」って神様がそんな感じらしいですが、ゾロアスター教では大魔王みたいな存在で、で主神はやっぱり試練系説教の正義の神様みたいなので違うかなあ。
>「罪を背負った人が救われて欲しい」というメッセージ
>さらなる爆笑ポイントは、「まろにひれ伏せ〜!」「こっちでかわいがってやるぞ〜」などとほざくバカ殿が出てくることですね。
パンフでコイツが楽しみで仕方無かったのですが、やらかした事が凶悪過ぎて全く笑えませんでした。
>この映画には悪人がしっぺ返しを受けるシーンがなく、それが後味の悪さにもつながっています。
しかも生き残ってるんですよね。まあ・・・結界の井戸の底は地獄だったので、死後にあそこに堕ちて数万年単位でデップー様状態の身体へハードオシオキされているのでしょうけど(幸福の科学の地獄観は仏教が元のようです)・・・て!それならコイツこそ現世で改心させてやらないと可哀想でしょ!?あ・・・健太は都の法で彼を裁く事でそれをしようとしてましたか。
他にもDQN従兄弟とか我が子絶対正義毒叔母とか「両親健在家庭で育ってもロクな人間にならない証拠」な先輩達とか・・・。
ただ・・・
>「でも気持ちがついて行かねえんだよ〜!」と、割り切れない悔しさを叫びます。
ここは被害者の気持ちに真面目に向き合っていて良かったです。
余談ですが、全編コレをハリウッドでやったのが個人的ワースト映画の『レフト・ビハインド』だったりします。観賞記憶を消せるなら悪魔に魂を売りたい程・・・。
>清水富美加
>22歳の女の子が神にすがるほどに思い詰めたことは事実
そっとして置きなさいと言われてなんですが、常々ブラック労働が伝統と化している日本の芸能界は一回滅びろ!なので彼女は応援したいけど、正直彼女の役者業への想いはがっかりしました・・・なんだけど今までの作品(『仮面ライダーフォーゼ』のユウキちゃんの仲間思いで夢に前向きなオタクっぷりにはどんだけ癒されたか・・・)も問題発覚後の作品でもそんな生活上の危機や葛藤を感じさせない名演技を魅せてくれているのは流石です!
・・・こんな惜しい人を追い込んだ連中はマジで地獄に堕ちろ。って、所属事務所はまたあそこかよ!!
>映画で世界を幸せに!
まあ・・・今回もなんだかんだ幸せにしていただきましたし!
>「君のまなざし」“初登場6位” なぜ幸福の科学は映画をつくるのか? | ザ・リバティweb
宗教や人類やら日本の行く末よりもこのランキングがショックですぅ・・・(←本当に失礼な奴だな)いや、「振り過ぎて逆に笑える映画」の時代が来ているんだ!そうに違いない!!
>エクソシスト開始
この辺は『世にも奇妙な物語』っぽくて、楽しめました!幽霊とコミュニケーション出来るって面白いなあ。
・・・最近のホラー映画の幽霊さん達は、逆恨み対象を全人類にしたヤンデレマザコン娘やら、小学生の我が子に快楽殺人を手伝わせている猛毒母親とかばっかりだし。
あと・・・
>脚があり得ない方向に曲がっていた
>座ったままの姿勢でジャンプして窓を割って飛び出していった
こんなん笑いこらえる無理やー!!ちなみに私の観た劇場ではけっこう大入りだったけど身なりの良い年配の方ばかりで私が一番ヤングという地獄!あのう・・・幸福の科学の皆さん。私のような「振り過ぎて逆に笑える」映画ファンの為に自重してください(←どこまで図々しいんだ!)
でも『UFO学園の秘密』の時は20代くらいが大多数だったんですけどね。やっぱり年配の人には「アニメ」の方が敷居が高いのかな。
あと若者に余裕が無いんかな。日々の生活が精いっぱいなのに、職場や学校以外で説教なんかいらんです。
好い加減にこの国の偉い(つもり)お爺さん達は通帳の残高が命の残高というのが下々の現実で、国民に鞭打てば強く美しい日本が帰ってくる!なんて夢を高級料亭で歓談しながら見るのを辞めて現実に還ってこい。
>まさかのどんでん返し
まさか大川家がシャマララーだったとは!
>すべては夢でした
>えー?現実でアサヒは幽霊でなくちゃんと実在していたってことー?アサヒは主人公と結局どういう関係なのー?
主人公の夢だったのか、平安時代で朝飛の心救ったから歴史が変わったのか・・・いや、朝飛の自殺騒動から一連の大迷惑と不幸は現世でのお父さんとの確執が原因だろ!?
>明確な解答は得られませんでしたが、考えるのが面倒なので考えるのをやめます
解決法を教えてくださいまして、ありがとうございましたー!!
>久々の更新がコレって!?ありがとうございますー!
>いや・・・信者の方々のお小遣いが尽きたら公開終了なんで最優先でしょうか。
なんで『光』とか『夜明け告げるルーのうた』とか『ローガン』とかを優先せずにこれを書いているのか・・・(自分でもわからない)
3週間近くも休んでいてごめんなさい!毒親育ちさん、全開のスプリットのときも感想をありがとうございます!
ていうか毒親育ちさんのために『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の記事を書くべきだよ!ぜったい毒親育ちさんが感涙する(あるいは辛い)内容だから……!
しっかしバカ殿がしていることが最低すぎて笑えなくなってきますよね!なんでそこまで極端なことをすんだよ……。
それにして毒親育ちさんがたびたび挙げている『レフト・ビハインド』、逆の意味で観たくなってきた……(やめといたほうがいいか)。
シネマズ by 松竹とTwitterの方も参考にさせてもらってます!
>『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
既に字幕・吹替両方観賞しましたたよ~!もちろん泣いてますよ~~~ッ!
・・・私も青くて口笛の上手い宇宙海賊のおじさんに攫って欲しかったな。
>なんでそこまで極端なことをすんだよ……。
「ずっとオレさまのターン!」でないと気が済まず。後先考えずにお礼参りするDQNの恐さっていつの時代も変わらないんだなあ・・・と思いました。
だからこそ、その足りねえオツムで想像もしていなかった因果応報をくれてやりましょうよ神様!
>『レフト・ビハインド』
全力でお勧めしません!完結に言うと「説教」どころか「脅迫」と書いて「布教」と読んでるような人達が撮ったようなお話しです。
ニコにい・・・仕事選んでらんないってのは聞いてますけど、いくらなんでもこれはないよ。
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