『仮面ライダー1号』「いのちはだいじに」に論理的矛盾がある映画(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『仮面ライダー1号』「いのちはだいじに」に論理的矛盾がある映画(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

ちょっと遅れましたが、今日の映画感想は仮面ライダー1号です。

個人的お気に入り度:2/10

一言感想:本郷猛 is DEAD.

あらすじ

藤岡弘、(70歳)が説得力皆無の説教をしたうえJKとデートする話。

※今回の記事は特撮もの、仮面ライダーに詳しくない筆者が書いています。そしてメタメタに酷評です。ファンの方ごめんなさい。

東映の特撮シリーズ『仮面ライダー』。その最初期にあたる「1号」が復活を果たした最新作です。

劇中には「1号」だけでなく、最新作である『仮面ライダーゴースト』のキャラクターも登場しています。
かつて特撮に夢中になったお父さん世代と、いまテレビで観ているお子さんの両方をターゲットとしていると言っていいでしょう。いい戦略だと思います。

さてさて、往年の仮面ライダーファンから大いに賛否両論を浴びている本作。実際に観てみると魂を抜かれてしまいそうな珍作でした。
いや・・・もう珍作という言葉だけでは足りない、気持ち悪い作品と言い切ってしまってもいいです(好きな方、ごめんなさい)。

おもな問題点は以下のふたつです。
(1)ヒロインの年齢設定がおかしい
(2)「生命」にまつわる説教にまるで説得力がない

(1)→本作でヒロインを演じているのがリアルJK(女子高生)の岡本夏美なんですよ。
で、本作で藤岡弘、(以降句読点省略)を演じる本郷猛は、彼女を「(かつて世話になった男の)孫」的な立場で守るかな〜と思っていたら、なんとお互いが「たけし」「まゆ」と名前で呼び合うことになります。
そしてリアル70歳と17歳のカップルがウフフアハハとイチャイチャするという展開に。地獄か。悪いけどロリコンジジイにしか見えないぞ。
いや、現実の加藤茶・綾菜夫婦は過剰にバッシングを浴びすぎていて同情してしまうし、そういう年の差カップルに偏見を持つのは間違いだとわかっているのですが……仮面ライダーでこれをやってしまうのは愚策でしょう。

(2)→本作では本郷猛は「生命をだいじに!超だいじに!それをなぜかと考えるのは宿題な!」と説教をするんですけど、この後の展開が生命を冒涜しているのでマジで腹が立ちました。
この説教には論理的矛盾がある・・・というか「何言ってんだこいつ」「意味不明」レベルです。

もうね、石ノ森章太郎の原作マンガくらいでしか本郷猛を知らない自分が言うのは間違っているのは重々承知ですが、こんなの本郷猛だと認められないよね。
ていうか、作中でほとんど演技らしい演技をしていなかったので、「特撮ヒーローの主人公」ではなく、ただの藤岡弘本人にしか見えなかったんだけど(以下はもう役名ではなく藤岡弘で書きます)。
インタビューで藤岡弘は「本郷猛は私自身。だから演じる必要はない」って答えているし……。

いいところはあるんです。
いくつかカッチョイイ画はありますし、多めのカット割りからなるアクションシーンも迫力十分、テンポがいいので上映時間中はひとまず飽きませんでした。

ゴツめになったライダースーツのデザインも好きですし、藤岡弘が老体に鞭打ちアクションをしている(スーツアクターはベテランの岡元次郎さん)など、仮面ライダーファンにはそれだけでたまらない要素もあるんです。

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だけど、(1)と(2)という二大珍作要素のおかげで、すべてが見事に台無しなんですよ。
主人公とヒロインのことが1ミリたりとも好きになれない時点でどうしようもないんですよ。

いかに藤岡弘が熱いアクションをしようが「ぜんぜんコイツのことが好きになれん」「お前の言っていることはさっぱりわからん」と思わせてしまうので、映画全体が冷め切ってしまった印象でした。
言い換えれば、脚本と設定以外は本当にいい仕事をされています。

「いまのヒーローと往年のヒーローが共闘!」という作品には『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIEという秀作もあったのになあ……。

スタッフの中にはこのどうかしている脚本と設定にストップをかける人はいなかったのか?と思うところですが、作中の登場人物がまっとうなツッコミをしているあたり、現場でも「おかしいけどなんとかこのまま続けよう」的な空気があったんじゃないかと邪推してしまいます。

結論としては、中盤の藤岡弘とJKがウッフアハハする地獄、いろいろと間違っている「いのちはだいじに」の説教シーンで、スタンド能力かなんかで感覚をシャットアウトできる方のみにおすすめします(無理だけど)。
アクションはいいですよ、アクションは。あと役者も(とくに大杉漣)。

以下、結末も含めてネタバレです↓ あまりにムカついたので容赦無くツッコミを入れます。

JKと援助交際する藤岡弘(にしか見えない)

以下の流れは死ぬかと思いました(精神的に)。

・JK(岡本夏美)「たけしがいなくなってすごく心配したんだよ!3回ぶんのお誕生日をお祝いして!」
・藤岡弘とJKはいっしょに服を買いにショッピング!
・ゲームセンターで『太鼓の達人』だっていっしょにプレイしちゃうぞ!
・藤岡弘はシューティングゲームも手取り足とり教えちゃうぞ!

すみません、はた目には援助交際にしか見えません
この後に藤岡弘が警察官に職務質問される展開が待ち受けてもおかしくねえよ。

しかし衝撃はそれだけで終わらない!
シューティングゲームのマシンガンを撃つ音が電気ドリルへと場面転換し、そこでは藤岡弘が工事現場で肉体労働をしているのである。
老人が肉体労働しているのを見たJKは開口一番「お金もないのに、無理しちゃって」

えーと、すみません。はた目には
「JKと援助交際することが人生の目標になった、わずかな日銭を肉体労働で稼いでいる哀しいおじいさん」にしか見えないんですけど。
かつてのヒーローの哀愁を描きたかったというのはわかるけど、ここで観客が流した涙はそれとは違う絶望的なものだと思うよ。

優先順位が間違っている藤岡弘

あ、藤岡弘とJKのデートシーンはこれだけじゃないよ。
JKと藤岡弘がいっしょにメリーゴーランドに乗ってウフフアハハと笑い合うというシーンもあるんですから(白目をむきました)。
観覧車が途中で止まって、藤岡弘が「まゆ、受け止めるから飛び降りろー!」と叫ぶシーンもありました(もはや何も驚かない)。

極め付けは、日本中が停電する事態になり、遊園地タケルとマコト(若い仮面ライダー)から「あなたも戦ってください」と言われたときの言葉ですよ。

JK「いままでずっと戦ってきたんだから、もうたけしを戦わせないで!」
藤岡弘「約束は守る。いまはその笑顔を守りたいんだ」

藤岡弘の優先順位 → JKの笑顔を守る>世界のピンチを救う
(※一応フォローしておくと、後で藤岡弘は戦うとすぐに死んでしまうほどに、体に異常をきたしていることが語られます。自分が死ぬとJKが悲しむから戦おうとしないというわけ)

この藤岡弘の言葉を聞いたマコトが「ふぬけには用はない」と言ってくれたことが唯一の救いでした。
その通りや!あんたは観客の味方やで!

木こりと化す藤岡弘

タケルとマコトが一生懸命戦うのですが、けっきょくノバショッカーには(環境汚染に成功されたうえに)逃げられてしまいます。

このとき藤岡弘がどうしていたかって?山の中でJKと同棲していました(自給自足の生活をしていたらしい)。
すみません、こいつビンタしていいですか。

で、
タケル「探しましたよ!いったい何をしているんですか!」(←何でこの場所がわかったんだろう)
藤岡弘「自然と生きているだけだ」
JK「またたけしを戦いに連れ戻す気?」(←うっせえ黙れ)
藤岡弘「勘違いするなよまゆ。俺たちの仕事を手伝ってくれるだけだ
タケルとマコトとオナリ(住職代理)が、薪割りや水運びを手伝います

あはは、おもしろいですね。
世界が大ピンチのときに自分は森の中でデトックス、後輩が苦労して探し出してきたら労働を手伝わせるんですか。あっははっは(般若のようなツラになりながら)。

生命ってなんだー!

えーと、序盤に藤岡弘がいきなり代理教員になって、高校生に「生命」の授業をして生徒全員が困惑する珍シーンがあります。

タケルとの説教を含めてまとめると、藤岡弘が主張していることは
・命がこの世でいちばん大事!
・命はみんなつながっているんだ!(全体の生命は、一人の命があってこそ。その逆もしかり)

ようし、それはいいけど、仮面ライダー1号があっさり死んで、火葬にすると生き返って、「俺は不死身だ!」とほざく展開は酷いだろ。
「不死身だから死にませんでした☆」って「命が大切なもの」という説教と相対するもなんじゃねえの?
例えるなら、キャラが生き返ってばかりの『ドラゴンボール』で、「命は大事だ!」と言われるようなもの。説得力ねえ!

※以下のまっとうなご意見をいただきました。
それはどうでしょうか。
というのも、劇中で言っていたように「命はつながっている」わけです。

どういうことか噛み砕いていうと、他人とは一切関わらず、親しい人も一切いない人なんて殆どいないと思います(実際にデータをとったわけでないので断言はできませんが)。
命は自分の物ですが、“自分だけの物”ではありません。
死んでしまえば残される人がでてきますし、残された人は悲しみを背負います。
不死身といえば聞こえはいいですが、言い換えると“親しい人が死んでいくのに自分は死ねない”ともいえます。

おそらく本郷猛は“残された人”として多くの死を経験したはずです。
実際に「自分にも仲間が“いた”」と過去形で語っていましたし、立花藤兵衛(おやっさん)はもういないことが明確にされています。
そう考えると不死身の本郷でも、いや不死身の本郷だからこそ、「生命を大切に」にも説得力がでるのではないでしょうか?

だいたい、藤岡弘の優先順位が「JKの笑顔を守る>世界のピンチを救う」っていうことは、危機に陥っている人々の命をないがしろにしているということじゃないのか。

ちなみに、藤岡弘が生き返った理由は、JK曰く「私のためだけでなく、みんなのためなんだよね!」らしいですよ(それ以外に生き返った理由は説明されません)。
あの、その人自分の意思(JKの笑顔がいちばん大事!)でみんなのことを見捨てていましたから。
まあ結論としては、藤岡弘は火にくべると改心するということで。

みんなつながっている

あとね、「藤岡弘が生命の大切さを説いて高校生たちに困惑される」というシーンがあるのであれば、その説教の意味がはっきりする出来事を描くべきだと思うんです。

だけど、本作では戦闘中にタケルが以下のようなことを思っていることしかなかったよ。

「感じる!本郷さんを!俺と本郷さん(の命)がつながっている!」

すみません、これを下ネタとしか思えない自分は心が汚れているんでしょうか。

で、けっきょく藤岡弘の「生きることはつながっていくこと!愛の連鎖だ!」という説教で終了。
説教に始まり説教に終わる。なんつーかJKと援助交際している(違うけど)ような奴に言われたくねえし、説得力ねえし。

よかったところを探そう

・新しい組織・ノバショッカーが誕生して、初代ショッカーと仮面ライダーとの三つ巴の構図になっていたのがおもしろかった(かつての敵である地獄大使と共闘する展開に!)

・ノバショッカーの目的が世界征服ではなく、政治的な支配というのもおもしろい(まあやっていることは政府に対する詐欺行為だったけど)

・大杉漣演じる地獄大使が「俺との決着はどうなるんだ!戦ってくれ!」と藤岡弘に頼むのもよかった。
藤岡弘が地獄大使に「体をいたわれ」と言ってから去るのもよかったですね。
彼は肉体的に病んでいたので、「戦いがなく、健康でいれるほうがありがたい」ことを地獄大使に諭したかったのだと思います。

さようなら

藤岡弘は火葬したおかげで元気になったので、新たな戦い場所を求めて旅をすることになりました。
元気になったら「ずっとそばにいる」約束も反故にすんのかよ。

最後に「仮面ライダーはきみのそばにいる!」的なテロップが流れるんですが、本作の藤岡弘はクズにしか見えなかったのでお前にはそばにいてほしくないとしか思えない。

仮面ライダーファンが待ち望んでいたのは、こんな「いのちはだいじに」じゃなく「ガンガンいこうぜ」であったと思うんだけどなあ。
これが最終作だなんて勘弁してください。本郷猛の帰還を待ち望んでいます(もうないだろうけど)。

ブログの読者から怒りのコメントが届いております↓
『仮面ライダー1号』に賛否の評価が吹き荒れる! 映画ニュース&ブログ感想のまとめ(4月1日~4月7日)

そういえば『バットマン vs スーパーマン』に似ているところもあるなあ↓
縛りやトーマスの斜陽産業:藤岡弘、 のジャスティスの誕生『仮面ライダー1号』

「援助交際じゃん!」の反論はこちらで。まっとうなご意見です↓
これの何処が「ただの宗教映画」なのか? – ユーザーレビュー – 仮面ライダー1号 – 作品 – Yahoo!映画

熱く、詳しい肯定記事は、以前も紹介したこちらで。仮面ライダーに詳しい人向けです↓
映画感想:仮面ライダー1号 ~仮面ライダーという偶像を信じる者達へ~ | 光光太郎の趣味部屋

(C)「仮面ライダー1号」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

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ヒナタカ

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