[ネタバレありツッコミ感想]『カイジ ファイナルゲーム』クズどころかバカしかいない悪魔的ポンコツ映画

[ネタバレありツッコミ感想]『カイジ ファイナルゲーム』クズどころかバカしかいない悪魔的ポンコツ映画

今日の映画感想はカイジ ファイナルゲームです(記事の前半にはネタバレはありません)。

個人的お気に入り度:3/10

一言感想:うるさい

あらすじ

藤原竜也が叫んだり後出しジャンケン的に空虚なゲームが展開します。

すごい。これはすごかったぞ。悪魔的ポンコツ映画です。
結論から言えばまあどうしようもない出来なんですが、もはやダメぶりが突き抜けていて一周回ってキュート、観ている間はむしろ楽しかった、決して嫌いにはなれない、愛してしまってもいい駄作がまた誕生しました。

というわけで以下から基本ディスりますので、この映画が気に入っている方にはごめんなさい(先に謝っておくスタイル)。

展開に納得できないことしかありません

本作は2009年の『カイジ 人生逆転ゲーム』、2011年の『カイジ2 人生奪還ゲーム』に告ぐ3作目。
監督は『ガッチャマン』『ごくせん THE MOVIE』などで確かな信頼と実績を得た(皮肉表現)佐藤東弥が続投となっています。


原作マンガは現在も新シリーズが連載中の『カイジ』。今回は原作者の福本伸行先生が脚本に関わっており、今回のオリジナルのゲームも考案されたのだそうですね。

まあ最近は原作マンガは長寿化のおかげでめっきりクオリティが下がりまくっているとか、この実写映画シリーズも頭脳戦とか駆け引きとかよりも、予告編でもウンザリするほどに推されている藤原竜也のうるさいオーバーアクトぶりがむしろ清々しいレベルで見所になっていたりするとか、色々言いたいことはあるのですが、それらはひとまず置いておきましょう。

ともかく、今回の『カイジ ファイナルゲーム』の最大の問題点は、まったくもって展開に説得力がない、全編がツッコミどころオンパレードということです。
とにかく以下の3点がキッツいですね。

    〜ここがヤバいよ『カイジ ファイナルゲーム』〜

  • 4つもあるオリジナルのゲームのクオリティがそもそも超低い
  • 主人公の立てた作戦が穴だらけで納得できるところが1つもない
  • 味方も敵も総じてバカしかいない
  • この『カイジ』シリーズのジャンルは「ギャンブルもの」で、ゲームの駆け引きや心理戦などがこのシリーズの醍醐味だったはずなのに、バカとバカがなんかやってる茶番劇を見せられるのが、この『カイジ ファイナルゲーム』なんですよ。

    主人公が勝てる理屈はほぼ全てが「後出しジャンケン」の域。もうすげえとしか言いようがない。
    もうこのツッコミポイントに関しては書いているとキリがないレベルですが、↓ネタバレで全部吐き出します。

    『翔んで埼玉』の脚本家らしい、ディストピアな世界観だけど…

    さてさて、今回は脚本をメインで手がけたのが、あの大ヒットしたコメディ大作『翔んで埼玉』の徳永友一さんということが重要です。

    『翔んで埼玉』が面白かった理由は、埼玉県民が差別および迫害を受けているというバカバカしい(褒め言葉)ディストピアな世界観そのもの。
    それを大真面目に豪華キャストが演じきっているからこそ、ギャグがしっかり笑えたんですよね。
    島崎遥香の視点から客観的に突っ込むメタ的な視点も上手く機能しており、心の底から大好きな映画だったんです。

    で、今回の『カイジ ファイナルゲーム』も、2020年の東京オリンピック開催後に経済状況がとことん悪くなった、やっぱりディストピアな世界観になっているんですね。
    それはそれで極端さ(消費税40%とか)を笑って楽しめるし、かなり『ブレードランナー』っぽくなったビジュアルも良いです。

    ただ……『カイジ』シリーズにおいて、主人公のカイジはダメ人間であり、自業自得により社会の底辺に身を置かざるを得なくなり、それでも彼が持ち前の知略となけなしの勇気により逆転を目指す……というのも醍醐味だったはず。
    だけど、今回のように極端な格差社会の世界観のそのものがメインに置かれると、カイジが底辺にいる理由が自業自得じゃない、端的に言って「カイジらしくない」とも思ってしまうんですよね。

    それはまだ良いのですが、現実にある格差社会というのは、こんなに極端なものではなく、往往にして水面下でじわじわと苦しむ人を増やし続けている……というものです。
    経済的な格差が世界的な大問題になっており、格差社会をエンタメに仕上げた評価の高い映画(例:『ジョーカー』『アス』『パラサイト 半地下の家族(後述)』)が続々と生まれている中、日本映画が提示するのが、こんなバカバカしい世界観の格差社会っていうのはどうなんだろう……という気持ちも当然芽生えるんですよ。

    そして、前述した『翔んで埼玉』は、バカバカしい世界観であっても、現実も根ざした差別や偏見への“対抗”も描かれるという、実は志も高い作品だったと思います。

    同様に『カイジ ファイナルゲーム』にも、格差社会という現実の問題の批判は込められています。
    しかし、全編の「展開に説得力がない」「ツッコミどころオンパレード」という出来の極悪さが大いに手伝って、このバカバカしい世界観が現実の格差社会とも全く結びつかない、バカバカしいを通り越して空虚としか言いようがない内容になっちゃっているんですよ。
    徳永友一さん……次回作の脚本は期待しています。

    今はこの映画がオススメだよ

    あの……今は、素晴らしい映画が多数公開されているんです…。正直この『カイジ ファイナルゲーム』を観る優先順位は限りなく低めでいいです。

    何しろ、この『カイジ ファイナルゲーム』よりも1000億倍リアルな格差社会を痛烈に風刺し、カンヌ国際映画祭で最高賞など映画賞を総ナメしている大傑作韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が同日より公開されているのですから。

    ※絶賛記事はこちら↓
    「パラサイト 半地下の家族」ネタバレなし全力レビュー 可及的速やかに映画館に行ってくださいと懇願するしかない5つの理由 – ねとらぼ

    さらには、男たちの関係性が尊い、万人向けのエンタメの『フォードvsフェラーリ』も同日公開なんですよ。

    ※絶賛記事はこちら↓
    『フォードVSフェラーリ』の3つの魅力、男たちの関係性に萌え、サラリーマン“あるある”に共感する! | ハーバー・ビジネス・オンライン

    さらに、小規模で上映中の『家族を想うとき』も、日本でも決して他人事ではないフランチャイズの宅配業者のブラックぶり、現代の貧困をリアルに描いた素晴らしい映画でした。

    『家族を想うとき』を観れば、『カイジ ファイナルゲーム』の格差社会がいかに悪い意味でバカバカしいかを知るとができるでしょう。

    これほどの映画が公開されている中、悪魔的ポンコツ映画の『カイジ ファイナルゲーム』を選ぶというのは……
    ま、まあ魅力的な豪華キャストが揃っているので彼ら彼女らのファンの方は観てもいいんじゃないでしょうか……(投げやり)。ダメ映画ハンターにはオススメでーす。

    以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓基本ツッコミしかしていません。

    ツッコミどころしかないゲーム「最後の審判」

    第1のゲームである「バベルの塔」は「棒の頂点にある魔法のカードを最初に取ったら勝利」という単純極まりないもので、カイジが1作めの鉄骨渡り(どうやって鉄骨を固定したんだ)をパロって「なんで俺まだこんなことしてんだ!」などとギャーギャー騒ぐあたりで軽くめまいがしましたが、まあオマケ程度のゲームなんでていうかこの映画の全編もどうでもいいです。

    問題は、メインとなる第2のゲーム「最後の審判」。内容がひどいというか、グッダグダにもほどがあります。

    そもそもが「より多くの資金をハカリに積めたら勝利」という資金力勝負がほとんどですし、「ファミリー」「フィクサー」「フレンド」「ファン」という4つの“F”がルーレットで選ばれることも、結局はそれら全部が発動するのでルーレットそのものが意味がないし……。
    結局は敵の黒崎(吉田鋼太郎)が、資産家の娘と結婚をしたり味方側の友人の弱みを握ったりと色々と汚い手でたくさん金を集めまくるだけ。かろうじて人気を集めて大逆転の要素があった「ファン」も愚民どもが勝ちそうなほうに金を放るだけです。駆け引きってあったっけ?

    で、ラカイジがこの絶望的状況を覆すために何をするかと言えば、今からこの金を10倍にする!そのためにギャンブルだ!と会場を後にするのでした。
    で、後述する第3のゲーム「ドリームジャンプ」で見事に勝利し資金を10倍にしてカイジが帰ってきた!よかったね!
    はい、ツッコむね。先にやっとけよそれ!

    しかも、会場のハカリの時計がもう終了時刻を指していると思いきや、カイジの工作により5分進めてたから「まだ終わってない!」だってさ。
    これは元時計工のおばちゃんがいたからこそ出来た作戦!よかったね!
    はい、ツッコムね。だから!それ!土壇場で金を増やすという前提がないと意味ないやんけ!ていうかやっぱり制限時間ギリギリで別のギャンブルに出向くという意味がわからねえ!
    つーか、ゲーム会場にある時計よりも、実際の時間のほうをルールとして正式に採用するというのもどうなんだ……。

    そして気が遠くなったのは最後の決着ですよ。
    カイジが少しだけ負けているという状況で、時計の針からコロコロ〜と転がってきたコイン数枚がチャリンチャリンとカイジのほうのハカリに落ちてきて、さらに最後には秘書(新田真剣佑)の母親が描いた絵画の査定額(額縁代だけ)の欠けたコインも落ちてきて、逆転勝利!ですって!
    はい、ツッコむね。そのハカリにはめっちゃ重い金塊が山ほど積まれていたよね。そんなたかが数枚のコインが落ちたくらいでそのハカリが動くかよ!
    しかも、このコインが時計の針からハカリに落ちてきた時、カイジは「時間内に入った金貨は全て有効だ!」って言うんですけど、ハカリが動き始めた時点で有効時間は終わってるんじゃね?

    敵も味方もバカしかないゲーム「ドリームジャンプ」

    で、「最後の審判」の合間にやったギャンブル「ドリームジャンプ」も憤慨ものの酷さでしたね。

    内容は10本の首吊りロープのうち1本だけが生き残るからそれを選べというこれまた単純極まりないものなんですが……

    • 遠藤(天海祐希)が「勝ち目のないギャンブルよ。事前に当たり番号を知らない限りね」というわかりきっている事実を言う
    • 秘書(新田真剣佑)がリセットボタンを効かなくするために侵入したり、ヒロイン(関水渚)が過去の当たり番号を搔き集めたりする。セキュリティがガッバガバ
    • ヒロインは下から何とか「9」の数字を告げようとするが声が聞き取れないカイジ!でも前にヒロインが言っていた「キュー!(撮影時の合図)」のジェスチャーを見たことで土壇場で「9」の番号を選んで勝利!よかったね!

    敵も味方もバカしかねえ
    あと、この後にカイジが「「う〜(9)」という口が〜」となどとそのドリームジャンプのゲームを見ていない敵に解説したり、さっきの「事前に当たり番号を知らない限りね」という言葉をまたフラッシュバックで説明するとか、観客をバカにしてんのかと言うほかない。

    本当に後出しジャンケンをする「黄金ジャンケン」

    最後のゲームは「3回勝負で3回のうち必ず1回は純金を握ってグーを出す」という縛りがある「黄金ジャンケン」でした。
    カイジ側は「1度でも勝てば自分の勝ち」、対して高倉(福士蒼汰)側は「あいこでも自分の勝ち」という条件を付け加えます。
    (この時に「カイジが負けるごとに3つあるパスワードを1つずつ渡す」という条件を言ってない気がしたけど…自分の気のせいだと思おう)

    1戦目はカイジの負け。
    2戦目は純金の入ったグーを出しカイジの負け。
    で、3回目では、高倉はカイジはチョキかパーしか出さないはずだと考え、カイジは純金を握らずにグーを出してチョキの高倉に勝ちました。
    (今まで高倉は純金を持った人間の手や肩の動きを判別して勝利していたらしい)
    いやいや……2回目で純金入りのグーを出したのであれば、別にグーチョキパーのどれでもあり得るのでは?
    純金入りのグーで勝つとその純金をもらえるというルールはあったけど、それももう今のカイジには関係ないことだよね。
    俺なんかルール聞き逃していたっけ?

    まあこの黄金ジャンケンそのものはまだマシなほう。真にめまいがしたのはその後のふたりの作戦の後出しジャンケンっぷりですよ。

    高倉「3つ目のトランクのパスワードは正午に自動的に開くようになっているんだよ!バーカ!」
    カイジ「最後の審判で勝った金で印刷会社を買収してたんだよ!お偉いさんたちのトランクに入っている新札は表の1枚を除いて全部旧札だ!バーカ!」
    で、お偉いさん型の新通貨を流通させるという計画はオジャンとなりました〜!

    なんだこの茶番
    これだったら「黄金ジャンケン」自体する必要なかったんじゃね?あと印刷会社が1000億ももらってて1人勝ちじゃねーか

    その後はなぜか球場(本当に何で?)で高倉が「弱者が日本を食いつぶしているんだ!多少の犠牲が仕方ない!」と叫び、それに対してカイジが「普通の泥水すすって生きている人間の身にもなってみろ!「誰が何にベットするかは自分で決める!」などと説教。うん、空虚!(メッセージ自体はいいけど)

    オチの改善案

    最後に勝利金をドローンを操作してくれた若者やヒロインと山分けするんだけど、カイジは中身も見ずに「大きいほうがいいに決まっているじゃねえか!」と大きなトランクを選びました。
    案の定、その中には金など入っておらず、よくわからん水の入ったペッドボトルでした(なにあれ?)
    ウンウン、これまでのカイジの作戦も穴だらけなのになぜか成功していて不思議だな〜と思っていましたし、ヒロイン(このキャラそもそもいる?)に「カイジってやっぱりすご〜い」と言われるたびに気が遠くなってましたけど、最後にわかりましたよ。やっぱりバカじゃねえか!

    いやいや、そこはトランクの中を「表の1枚を除いてお偉いさん達が結局ナシにした新札の束」にしておいて、カイジを騙すべきでしょ!
    それで、カイジ「そんな舌切り雀みてえな話に騙されるわけねえだろ」→小さいほうのトランクを開ける→見た目は札束→カイジ「ほらな!俺はこっちを選ぶ!」→実際は紙くずの束でした!のオチのほうがまだよかったって!

    で、最後はカイジのお家芸「悪魔的だ〜!」の叫びで幕を閉じるのでした。

    本当に悪魔的だったわ!(映画の出来が)

    (C)福本伸行 講談社/2020映画「カイジ ファイナルゲーム」製作委員会

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  1. めぐみ より:

    色々ツッコミどころはあるけど、ナンボ不景気、デジタル化の並が進んでいても、時計工が派遣会社で仕事が無くて困っているって言うのはリアリティが無いな。

  2. さんまじ より:

    >いやいや……2回目で純金入りのグーを出したのであれば、別にグーチョキパーのどれでもあり得るのでは?

    どれでもあり得るけど、腕(純金の重さで下がってない)を見てチョキかパーだとおもったので
    チョキだしたらカイジがグーだったってことでは。
    今までの人は純金を持っていないときはグーを出さないという過去があったから

    確かにカイジは純金が欲しいわけじゃないから当然想定内だとはおもいますけど

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