『かぐや様は告らせたい』実写映画としてのアプローチは正解?(ネタバレなし+ネタバレ感想)

『かぐや様は告らせたい』実写映画としてのアプローチは正解?(ネタバレなし+ネタバレ感想)

今日の映画感想はかぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~です。

個人的評価:4/10

一言感想:キャストは最高ですけどね…

あらすじ

アホ可愛い人たちがアホ可愛いやりとりをします。

テレビアニメ版も大好評を博した同名マンガの実写映画化作品です。

自分はこの原作マンガおよびアニメ版をガッツリ楽しんだ上(どっちも大好き)で劇場で足を運んだわけですが……結論から言えば良いところもあるけど悪いところもめっちゃ多いという両論併記的な感想に落ち着きます。決して悪い映画じゃないんだけどね。

副題のことは忘れましょう

本作には(原作マンガでもアニメ版でも)副題として『天才たちの恋愛頭脳戦』とついていますが、これ良い意味で詐欺もいいところです。

実際は「お互いに好き同士であることがわかりきっているけど相手に先に告白させようとする」というやり取りと心の声を描くもので、どっちでもいいから早く告白しろやとツッコみたくなる(そのもどかしさが良い)という……まあお前らアホだろと良くも悪くも思うしかない内容なのです。

※期間限定公開されている、このアニメのエピソード抜粋でも大体の雰囲気はわかるかと

この茶番をアホ可愛いと思えるか、みたまんま通りに茶番かと受け取るかで、大いに感想が分かれるというか……。
原作やアニメを知らずにその茶番を茶番としか感じられないと、映画本編全てが苦痛になりかねないという難儀な内容でもあるんですね。

原作者の赤坂アカさんはそこをしっかりわかっているようで、割と早めから「どっちかに告らせるかの頭脳戦(実際はアホ)」の要素は少なめになっていき、多種多様なコメディ要素と、キャラクターの可愛さや魅力を掘り下げるほうにシフトしている印象です。
何しろ、原作コミックでは(赤坂アカさんの声と思われる文言で)「天才たちの恋愛頭脳戦という看板はそろそろ外すべきではないだろうか」とセルフツッコミを入れていますから。(ていうか映画でもその副題は外したほうが良かったのでは…)。

とにかく、大前提として『かぐや様は告らせたい』はアホ可愛いキャラのアホ可愛いやり取りを楽しむ作品だということを念頭に置いて観に行くことをオススメします。

キャストみんなの魅力で十分に合格です

逆に言えば、この実写映画版でキャラがアホ可愛いと思えなければ終了なんですが……いやもうそこは十分にクリアーできているんじゃないでしょうか。

ていうか橋本環奈の可愛さがこの世の奇跡なので、もうそれだけでスクリーンで堪能する価値がありますから。
原作マンガが可愛らしい絵柄なので、そもそもファンからは実写映画化への反発も強かったのですが……(それも超わかる)、いやもうこの3次元におけるMAXの可愛さを見れば合格ですってば。
演技も良い意味でオーバーかつ極端で、原作の再現として存分にOKです。

もう1人の主人公を演じた平野紫耀も良かったですね。
決して演技は上手くはないですし(ファンの方ごめんなさい)、そのハスキーボイスは原作のイメージとも異なるとは思うのですが、その浮世離れしたイケメンとしての存在感が、良い具合に「金髪で不良っぽい見た目に反してめっちゃ良い人」というギャップのある役に絶妙にマッチしていたと思います。

さらに素晴らしいのは“藤原書記”という人気キャラを演じた浅川梨奈さんですよ…。声も挙動もアニメ版そのままで恐ろしくなる勢い
ついでに3三次元でこんなぶりっ子天元突破なキャラがいたら本気でイラつくということもよくわかりました(超褒めてる)。
実写映画化においてそのアプローチが正しいかどうかは置いておいて、そのベクトルでは最高のパフォーマンスができていましたよ。

その他のキャストも、極端な見た目や性格をしたキャラを好演しています。
まあ衣装の見た目も含めてコスプレ感は否めないんですが、コスプレに見えますが何か?な感じの開き直りスタイルで楽しめます
いいんですよ、まあこれで……。

あと、原作者の赤坂アカさんも、「お可愛くなければ終わりです。実写化にあたって私からの要望は、ちゃんとお可愛いと思える男女を選んで欲しいという一点だけ」というコメントをしています。
結果としては若者に絶大な人気を誇る橋本環奈と平野紫耀W主演(+脇役も豪華)というキャスティングになり、赤坂アカさんが「そこまでやれとは言ってない。 金と権力無限にあるの? 誰の弱み握ったの? ちゃんと手段は合法?」 と心配しているのも味わい深いものがあります。

脚本が明らかに未整理なのが残念だよ!

そんなわけで、「キャスト陣の魅力により原作のアホ可愛さを存分に引き出せている」だけでわりと合格な内容なのですが……ここからは残念だったところを挙げていきましょう。
端的に言って、本作には脚本に明らかに未整理なところがあります。

「この伏線はいるだろ」「そのシーンいらないよ」と思う部分が普通にあるんですよね。
原作からのエピソードの選び方、再現はそこそこ良いのですが、それなりにギャグで滑る上に、そのギャグが伏線として大して生かされないまま終わるのは勿体無いです。
脚本を手がけたのが大ヒットした『翔んで埼玉』の徳永友一さんで、そちらがとてもよく出来ていたので期待していたんだけどなあ…(こっちもツッコミどころは多かったけど)。


※『飛んで埼玉』は本当に面白かったですよ。

さらなる問題は、佐藤二朗の出演シーンなんですよね。
『勇者ヨシヒコ』シリーズや『銀魂』と同様にアドリブのギャグをやっているのですが、これが今回は流石に雑すぎで面白くなく、何なら不快な勢いだったんですよ。
アドリブがダメな勢いで「やらせっぱなし」の上に、展開そのものが納得しにくいというのは……佐藤二朗は好きですしご本人に責任はないと思うのですが、これはちょっと擁護できません。(ついでに髙嶋政宏のアドリブと思われるシーンも酷かった)

また、ストーリー的に盛り上がるポイントが中盤に用意されているのですが、それ以降も別のエピソードが始まって長く続くという構成もあまり良くないんですよね。
これがダラダラとした印象を強くしてしまいますし、展開としても原作を知っていると悪い意味での茶番感が増してしまうという大問題もあります。

さらにサブキャラクターの見せ方、生かし方もイマイチです。
原作のキャラはみんな大好きなんですが、映画だけ観ると彼らのイヤな部分だけを見せられ続けたまま終わってしまうのは悲しかったです。
佐野勇斗、池間夏海、ゆうたろうなど皆マンガ的なキャラを好演しているのに……う〜ん、やはり映画としての出来は良くないと言わざるを得ません。

まとめ(言うほど悪くないです)

まあそんなことは言いつつも、しっかり原作へのリスペクトがありますが、コスプレ上等でギャグ全開の実写映画にするというアプローチは良かったですよ。
同じき河合勇人監督の『ニセコイ』よりはワザとらしいテレビ的なコント演出も減ったおかげもあり、ちゃんと笑えるギャグも多かったですし、(原作にもあった)小学生レベルの下ネタも(橋本環奈の可愛さもあって)好きでした。


※こっちのギャグは本気で滑りまくりでツラかった…後半の脚本は素晴らしい出来なんですけどね。

だからこそ、映画として満足とまではいかない脚本の雑さが残念なんだよなあ…。
9月20日より早くも公開される河合勇人監督最新作『初恋ロスタイム』には期待しています。

そんなわけでオススメかどうか…と言われたらあんまりオススメしない訳ですが、キャストのファンにとっては今まででいちばんアホ可愛い推しが見られるため、満足できる可能性は大ですね。
また、メインターゲットであるであろう小・中学生のお客さんからは楽しそうなケラケラとした笑い声が聞こえてきました。観るのであれば観客が劇場をあたためてくれる今に観ておくのがいいかと。賞味期限を逃さないように、ぜひ劇場へ。

※以下からは短いですがネタバレです。鑑賞後にどうぞ↓



野暮な不満点(サブキャラがイヤな面ばかりを見せて終わってる問題)

少し前述しましたが、本作のサブキャラクターのほとんどがイヤな面ばかりを見せて終わってるのがすごくもったいないと思うんですよ。

  1. 石上会計……青春はクソだ!などと言っている根暗キャラで、最後の演説では同じように青春を謳歌している生徒たちに悪態をついて終了。
  2. 圭ちゃん(主人公の御行の妹)……御行や父に「キモい」など悪態をついているだけで終了。
  3. 御行の父……ご飯食べてる間にズボンを脱いだり、御行の自転車に2人乗りをしようとするばかりか「ゲーセン行きたい」と言うだけで終了
  4. 医者……原作通りにかぐやに「恋の病のせいで倒れた」事実を告げるためのキャラなんだけど、ロビーで変な踊りをしたあげくに邪魔と思った松葉杖をついている患者に罵声を浴びせたりする。最後に御行の前に現れて激励をしたりするけど「この映画のナレーションも担当している」というメタセリフを吐く

うん、これは酷いだろ!
自分は原作では石上会計がいちばん好きなキャラで、彼の過去のエピソードにも泣かされたんだけどな…(まあこれは映画の尺だと無理だと諦められるけど)。
圭ちゃんも映画だけだと文句ばかりを言っているイヤな妹にしか見えないじゃないですか…(原作では良い子です)。

問題は3.と4.ですよ。
髙嶋政宏演じる御行の父の一連のシーンはギャグとしても微塵も面白くないし、彼が父として何かをしたという描写もない。たぶん2人乗りへの言及は、原作にあった御行とかぐやの2人乗りをして登校したエピソードを意識しているんだろうけど、誰得だよ
佐藤二朗演じる医者が変な踊りをするのは、終盤の「御行がソーラン節でかぐやを元気付けようと思いついた」という伏線にはなっているのだけど、それにしたって松葉杖をついている患者に罵声を浴びせるのは不快ですって…。

もっとも笑ったギャグ

劇中でいちばん笑ったギャグは、『カメラを止めるな!』の関西弁の強烈なおばちゃん役のどんぐり(竹原芳子)がメイド役として登場したことですね。
出オチにもほどがありますが、あんなの笑うってば!でも楽しそうに演じられてて何よりです!

あとはちんちんで笑いが止まらなくなる橋本環奈は可愛さの権化なのでそれだけで観てよかったと心から思いました。
石上会計がかぐやの吹いた飲み物を浴びたまま固まっているというギャグもいいじゃないですか。

あとはゆうたろう演じるチャラい男子生徒(翼)が、生徒会選挙のクライマックス(映画オリジナル)で「え?これ俺ら何見せられてんの?」とツッコむのは良かったですね。
『翔んで埼玉』でもあったけど、こういう「何この状況?」に客観的なツッコミを入れるのは大好きですよ。

一生懸命です

前述したように『かぐや様は告らせたい』の魅力はアホ可愛いキャラのアホ可愛いやりとり……なんだけど、同時に「好きで好きでしょうがない」「その好きな人のためなら一生懸命」という一途な恋心を描いた作品でもあるんですよね。
原作でも藤原書記があまりに運動音痴だったりする御行を特訓するエピソードがあるんだけど、映画ではそれをソーラン節(その踊りのチョイスは謎だけど)で元気付けるという「アホだけど一生懸命な御行」に転換するのは良いアイデアですね。

花火で奔走するエピソードでも一生懸命、ソーラン節でも一生懸命、しかも御行はかぐやのためにだけでなく、困っている人のためなら一生懸命……そんな御行のことを本気でかぐやは大好き。もちろん御行もかぐやのことが大好き……ということをお互いに告白したと思ったら、その好きだと言ったのは実は生徒会のことでしたー!というスカしから、最後もキスまでしたのに結局アホ可愛いやり取りに逆戻りという流れもむしろスガスガしくて良かったですね。お前ら一生やってろよ!というもどかしさ(と若干の諦め感)も、また愛おしいのです。

(C)2019 映画「かぐや様は告らせたい」製作委員会 (C)赤坂アカ/集英社

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