
必要な感情 映画『インサイド・ヘッド』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は『インサイド・ヘッド』(原題:Inside Out)です。
※いただいた意見をネタバレに追記しました(7/23)
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:楽しく哲学的な冒険物語
あらすじ
11歳の少女ライリーの頭の中には、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリという5つの感情がいた。
ある日、ライリーは父親の仕事の都合で生まれ育ったミネソタの田舎町を離れ、都会のサンフランシスコへ引っ越す。
そんな中、ヨロコビとカナシミが司令塔の外に出て戻れなくなってしまい、ライリーは感情が制御できなくなってしまった!
はたして感情たちは、ライリーを救うことができるのだろうか?
頭の中にいる「5つの感情」が、人間を幸せにさせようと努力する・・・
なんとも奇想天外なプロットですが、じつはこれ、監督の実体験に基づく内容になっていたります。
ピート・ドクター監督は、自身の娘が2歳のときに『モンスターズ・インク』を、9歳のときに『カールじいさんの空飛ぶ家』を、14歳のときに本作『インサイド・ヘッド』を作りました。
それぞれの作品の主人公(または脇役がヒロイン)の年齢がそれぞれの作品で2歳、8歳、11歳と、わりと娘の年齢とシンクロしているうえ、『モンスターズ・インク』と『インサイド・ヘッド』では実体験に基づいた物語になっているのです。
※詳しいことは、町山智浩さんのこちらの批評をどうぞ↓
思えば『トイストーリー』シリーズも1→2→3と少年から青年へ成長する人間の姿を描いていましたし、現実の時間や出来事を踏まえた映画をつくることはピクサーでは珍しくないのですね。
本作の特徴
さて、本作で何よりおもしろいのは、「頭の中身」をイマジネーション豊かに映像化していること。
そこには「潜在意識」や「長期記憶」や「抽象概念」などの難しいことばも登場しますが、けっして難しくなく、子どもがワクワクできる冒険が紡がれていて、なおかつ大人も笑えるギャグにまで仕上げていることが魅力的です。
5人の感情
また、5人の感情たちが、とてもかわいくて、とってもウザいことが大好きでした。
ヨロコビ
カナシミ
イカリ
ムカムカ
ビビリ
ヨロコビはいつもウキウキポジティブすぎてとなりにいたらちょっと疲れてしまいそうだし、カナシミはウジウジしすぎだし、イカリは怒鳴り散らしてばかりだし、ムカムカはツンツンしすぎてつきあえそうにないし、ビビリはそのまんまビビリすぎで、どうにもこうにも、ウザったいのです。
だけど、この5人がいてこその「感情」です。
どれもが必要な存在であるし、どれかがでしゃばり過ぎてもいけない。要は、5つのバランスが必要なのでしょう。
ライリーと感情のバランス
また、主人公のライリーの頭の中ではヨロコビがリーダーになっていたけど、ほかの人物はカナシミやイカリがリーダーになっている(司令室の中心にいる)というのもおもしろいですね。
これは、人によってどの感情に重きを置くかに違いがある・・・という多様性を示していて大好きでした。
そして、「カナシミの感情が必要な理由」を訴える作品のメッセージが本当に素晴らしいです。
もちろん、人生においてはヨロコビが多く、カナシミのほうが少ないがいいに決まっています。
だけど、ヨロコビだけでいいわけではない、人生においてはすべての感情こそが必要なのだ―
かわいいキャラクターを感情という抽象的なものに当てはめて、そんな哲学的な思想までもを提示させる(それこそ子どもでもわかるように!)・・・ピクサーは「子どもが楽しめつつも、大人がわかる奥深さがある」映画を作ることがとにかくうまいのですが、本作でもその手腕はいかんなく発揮されているのです。
本作の欠点
さて、本作の欠点は・・・本編には関係ないことで恐縮ですが、言わずにはいられません。
そう、映画が始まる直前にDREAMS COME TRUEの主題歌が一般人の写真とともにフルコーラスで垂れ流されることです。
これは公式サイトで募集されていたヨロコビ、カナシミ、イカリ、 ムカムカ、ビビリの感情を、 顔または身体で感情を表現している写真を送ってね!それが映画の冒頭を彩るよ!という企画によるものなのですが、ネット上ではドリカムのミュージックビデオいらねえ、誰かわからない結婚式に参加したような気まずさだった、といったブーイングが相次いでいます。
『インサイドヘッド』のドリカムオープニング、生き地獄だった。ずっと目を瞑ってやり過ごした。あれは観客に負の感情を与えることで、映画のテーマをより深く理解させるテクだと信じたい。
— 破壊屋ギッチョ (@hakaiya) 2015, 7月 19
ていうか、映画本編が始まるまでの時間が長いんですよ。
映画が始まるまでの負のコンボ(10分あまり)
- 監督のインタビュー「ハーイ!僕はピート・ドクター監督だよ!これは君の物語なんだ」
- 「ライリーライリーこっちむーいて」 With 誰だかわからないフォトアルバム
- アイキャッチ「間もなく映画がはじまります。お楽しみください」
- 始まったのは短編「南の島のラブソング」
とくに(2)の間はカナシミとムカムカとイカリが混在した、切ない気持ちになったんですけど。
歌詞には「悲しみも怒りもいっぱい知って♪」ってあったけど、映画が始まる前にそんな感情は知りたくなかったんですけど。
えーと、この企画の発案者の方へ。さぁここへ来て、話し聞かせて♪(ビンタするから)
最近よくある「もともとあったエンディング曲を日本版に差し替え」よりはマシなのかもしれませんが・・・せめて本編直前ではなく、宣伝などの幕間の時間に流してほしかったです。ドリカムは好きなアーティストなので、余計に辛い・・・
本編の不満
本編の不満を言うのであれば、大筋が「頭の中のドタバタした冒険」のため、『トイストーリー3』のようなメリハリや大感動を期待すると、ちょっと肩すかしに感じてしまうかもしれないこと。
ある重要な伏線が回収されていなかったりもしましたし、シナリオはほかのピクサー作品に比べると、そこまで洗練されている印象はありませんでした。
主軸となるストーリー、キャラの魅力、奇想天外な頭の中の世界だけで、十分楽しい映画なんですけどね。
字幕版がお勧め
また、本作はぜひ字幕版をお勧めしたいと思います。
なぜなら頭の中の「潜在意識」などの言葉が字幕(漢字)で表現されるため、イメージを掴みやすいから。
吹替え版では抽象的(あいまい)な表現になっていて、かえってわかりにくくなっています。
たとえば「長期記憶(Long Term Memory)の保管場所」は、吹き替え版では単に「思い出の保管場所」になっています。
そこは「長く残る記憶」としての意味を残しておいたほうがよかったんじゃないかな?
余談ですが『ファインディング・ニモ』では、魚のドリーが、自身の忘れっぽさを「Short Term Memory(短期記憶)」と言うシーンがあります。これも吹き替え版では伝わってなかったりしていました。
惜しみのない努力とローカライズ
また、字幕版ではライリーが嫌いな食べ物はブロッコリーなのですが、吹替え版では映像も含めてピーマンに置き換わっていたりします。
わ、今知ったのだが『インサイド・ヘッド』字幕版だとライリーの嫌いな食べ物がブロッコリーなんだけど吹き替え版ではピーマン(台詞だけじゃなくて映像も全て)になってるとのこと。おそらく各国の食文化に合わせて全てローカライズされているものと思われ。他の国バージョン知りたいなあ
— 楠野一郎(プロペラ犬) (@kusunopropeller) 2015, 7月 18
先ほどツイートした『インサイド・ヘッド』のブロッコリー⇔ピーマンの件、@andys_room さんによれば世界的にこの2バージョンのどちらかとの事。更にもう一つ、お父さんの好きなスポーツも各国で2バージョンあるとの事。当然ピクサーとしてそれ(ローカライズ)前提で作画してるはず
— 楠野一郎(プロペラ犬) (@kusunopropeller) 2015, 7月 18
各国の事情も考慮してローカライズをする、惜しみのない努力は賞賛するしかありません。
日本人であれば、子どもの嫌いな野菜としてはピーマンは代表格ですものね(おいしいのに)。
ただ、劇中にある、(字幕版では)ブロッコリーだけのピザが、吹替え版ではピーマンだけのピザとなっており、ピーマンのピザってふつうにおいしそうだよと思ってしまうところは欠点かも(ふつうのピザの具のひとつとして入っているから)。
ここだけは、ブロッコリーのピザのほうがいいなあ。
本編前の短編
また、本編前の短編『南の島のラブソング(原題:LAVA)』も字幕版だと味わい深さがあります。
クアナ・トレス・カヘレとナプア・グレイグによる歌声が心地よいですし、「LAVA(溶岩)」と「LOVER(恋人)」が韻を踏んでいるのもポイントです。
なお、竹内結子さんや大竹しのぶさんによる吹き替えも大変評判がいいので、最終的にはお好みで選べばいいでしょう。
字幕版と吹き替えの声の印象の違いは、以下の動画を参照してみてください。
あ、残念ながら字幕版でも吹き替え版でも、「ドリカム主題歌フルコーラス With 一般人の写真」はついてきます。ちくしょう。
また、本作の原題は「Inside Out」。その意味は「裏返し」です。
このタイトルの意味は・・・映画を観終わってみるとハッと気づけることがあるでしょう。
なお、本作の類似性が指摘されている『脳内ポイズンベリー』ですが、原作漫画の連載開始が2010年、『インサイド・ヘッド』の脚本は2011年初頭に作られていたそうなので、おそらく偶然の一致でしょう。
※以下の意見をいただきました。
一応、Inside Outは2011年の時点で既に企画発表されてるんですよね
確かピートドクター監督は2009年ごろから構想を練っていたとおっしゃっていました。
まぁ、脳内擬人化はこれと脳内ポイズンベリーが初めてではなく、過去にはHerman’s Headなどもありますからね
この2作をもってパクリだ盗用だというのは些か無理があるでしょうね。
トータルでは万人におすすめできる良作です。
あんまり小さい子にはちょっと難しいかもしれないけど、ライリー(11歳)と同世代の子どもか、それ以上の大人であれば、彼女に感情移入できるはずです。
「最近怒ってばかりだな」「悲しいできごとばかりで笑っていないな」と思う方もぜひ劇場へ。おすすめします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
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Review: Pixar’s ‘Inside Out’ Finds the Joy in Sadness, and Vice Versa – The New York Times(本質的には職場を描いていることも言及したレビュー)(英語)
ノラネコの呑んで観るシネマ インサイド・ヘッド・・・・・評価額1750円
第73回映画批評 『インサイド・ヘッド』は『トイ・ストーリー』の正当後継作品だ!: ホラーショー!民朗の観たまま映画批評
ダメな管理職の例(カナシミに対して)↓
(C)Disney
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> ビンボン
ヒナタカさんも書かれているように、心理学用語でいうところの「イマジナリーフレンド」。
長期記憶保管所、というよりも、この直後に登場する「イマジネーションランド」の住人ですね。劇中でも「自分は市長みたいなもの」と言っていたと思います。
> イカリ、ムカムカ、ビビリの感情それぞれの必要性
ビビリは比較的書かれていたと思います。
彼の担当は情報集積とその処理。懸念される要素をデータ化し、リストアップしておく。これによって「本人」は危険を回避していく、というものでした。
> パンツを履き忘れてしまう夢
この場面に限らず、ディズニー映画でょぅι゛ょの裸シーンが相次いで出てくる日が来ようとは思わなかった。
こりゃ『PAN』が今から楽しみだ。(マテ
> バスに乗って家出
この「感情の喪失」は物凄く納得できるものでした。
単にヨロコビを失った状態ではない。カナシミすらそこには存在せず、それ以外の感情も介入しなくなる状態。
> 思春期
ベイマックスの出番ですね。(あの舞台もサンフランシスコが半分モデル)
さて、日本の映画ファンにとって、本作は『脳内ポイズンベリー』(佐藤祐市監督)との比較を避けられないと思います。
全体を通せば、そこは天下のディズニー/PIXAR。『インサイド・ヘッド』に軍配を挙げますが、感情キャラクタの描き方に関しては、自分は『脳内ポイズンベリー』の方が良かったように感じました。
というよりも、『インサイド・ヘッド』はかなり色々な要素(イマジナリーフレンドや無感情、反抗期、理想の相手像、信頼や友情の崩壊等)を盛り込み過ぎていて、見た目は子ども向けの割に、かなり難しい内容にし過ぎたきらいがあるように思いました。
もっとも、私の観た回ではケタケタ笑っている小さな子もいたので、そうした細かな要素を抜きにしてもギャグが面白いように作ってあるのは判るのですが、かえって「小さな子でも楽しめるように笑いを入れました」的な印象を受けてしまったのでした。
自分は高校時代にE.A.アボットの『二次元の世界』を読んだりしていたのでそれなりに楽しめましたが、ヨロコビ達が平面化してしまう場面とか、付いていけなくて白ける人も多いんじゃないかなぁ…。
ヒナタカさん、いつも楽しく感想読ませていただいています。
気になる点が一点あるのですが(些細なことですが)
字幕版だとライリーが胴上げされた思い出の日は、ライリーが失点して落ち込んでいたのでしょうか?
吹替版だとシュートチャンスを失敗したからだとなっていました。
それとも得点を失った(=失点)ということでしょうか?
少し気になったのですみません!ニュアンスが違うところが多いのであれば、字幕版も見に行こうかと思っています^^
> 気になる点が一点あるのですが(些細なことですが)
> 字幕版だとライリーが胴上げされた思い出の日は、ライリーが失点して落ち込んでいたのでしょうか?
> 吹替版だとシュートチャンスを失敗したからだとなっていました。
> それとも得点を失った(=失点)ということでしょうか?
> 少し気になったのですみません!ニュアンスが違うところが多いのであれば、字幕版も見に行こうかと思っています^^
あ、たぶんそちらで正しいと思います!
修正します。
実際、「脳内ポイゾンベリー」と、この作品とどっちが先にできてたんだろうかな?は、映画好きなら、沸き起こりますよ。
まあ、結構楽しく見ました。
LAVAは溶岩です。溶岩でくっついちゃったでしょ。
字幕版見てきましたがとても面白かったです。5つの感情たちは全員個性豊かでしたし
彼ら以外の心の中の住人もみんなキャラ立ちまくりでした。
何よりも僕はライリーの微妙な感情表現に妙に共感しちゃいましたね…
明らかにこっちが悪いけど何故かムシャクシャして腹を立てたりするとことか
どこか自分にも思い当たるふしがありましたし
CMソングがしつこいくらい流れるのには僕含め場内大爆笑でした。
>男塾の万人橋かよ
あーそれは確かに思いましたねww
よくよく考えたらかなり酷いことやってますけど、このシーンも場内大爆笑でした。
何よりも僕が良いなあと思ったのは「怒り」や「悲しみ」と言った本来ネガティブな感情も
最終的にはそれも自分自身だと受け止め成長する点ですね。
僕の生涯一大好きなアニメ「勇者警察ジェイデッカー」でも幾度となく扱われたテーマですが
ネガティブな感情だけ排除すればそれで良いって訳ではないですよね。
劇中のヨロコビは途中回りが見えなくなってカナシミを見捨てた結果
状況が余計に悪化しましたし、必ずしもポジティブな感情=良い事では無いんですよね。
こんな事言うとヨーダに怒られそうですが、怒りや悲しみをダークサイドと一方的に決めつけるのは間違ってると改めて思いました。
因みにヒナタカさんが仰ってた例のアレですが…何なんですかねアレw
アレはドリカム一ミリも悪くないですよ。間違いなく映像作ったスタッフがおかしいとしか思えませんでした。
例えるならベイマックスで本編始まる前に鉄拳氏のパラパラPVが始まるようなもんでしょうか…(あっちは凄く好きですが)
あそこだけス◯レイヤーズ◯ロニクル級に唐突かつ酷かったので「大丈夫かこれ…」と思いましたが本編は大丈夫だったので一安心でした。
>シオンソルトさん
よく比較される脳内ポイズンベリーですけど僕は断然インサイドヘッドでしたね。
ポイズンベリーはインサイドヘッドでいうイカリにあたる吉田羊氏演じるネガティブさん(名前忘れました)が
いくらなんでも越権行為&強行採決しまくりで
その癖自分のせいで状況が悪化しても神木龍之介氏演じるポジティブ君に全責任押し付けるし
イカリみたく自分の暴走を反省すらしないんですよ。正直見ていてイラッとしたと言うか
あんなの脳内会議でも何でもないじゃんって思いましたね。
桜井イチコの悩みにしてもライリーみたいな普遍的な感情の起伏と言った悩みと言うよりは、悪い意味でケータイ小説的な悩みと言うか
お前ただの自分勝手な嫌な女じゃんとしか思えませんでした。
インサイドヘッドの5つの感情は揉めながらもどこかコミカルで微笑ましく見れましたが
脳内ポイズンベリーの脳内会議は単にギスギスしてるだけで、それこそ見てる間ずーっと僕のイカリとムカムカがフル稼働してましたw
>LAVAは溶岩です。溶岩でくっついちゃったでしょ。
おっしゃる通りです。修正します。
>ラリーBさん。
ドリカムは被害者ですよねえ、本当に
シオンソルトさんもあげている脳内ポイズンベリーは自分は見逃していたので、比較のために観ておけばよかったなあとちょっと後悔。前田有一さんが「脳内ポイズンベリーのほうが上」と言っているので気になる・・・http://movie.maeda-y.com/movie/02005.htm
一応、Inside Outは2011年の時点で既に企画発表されてるんですよね
(http://www.cinematoday.jp/page/N0037639)
確かピートドクター監督は2009年ごろから構想を練っていたとおっしゃっていました。
まぁ、脳内擬人化はこれと脳内ポイズンベリーが初めてではなく、過去にはHerman’s Headなどもありますからね
この2作をもってパクリだ盗用だというのは些か無理があるでしょうね。
吹き替えで見ましたが、竹内結子さん・大竹しのぶさん・佐藤二郎さんは本当素晴らしかったです。
舞台経験豊富な二人はともかく、竹内さんはあの伝説のタイタニック吹き替えが思い浮かび、声優発表直後はおいおい大丈夫かと思ったものですが、いらぬ心配でした。
ドリカムテロのおかげで冒頭しばらく心穏やかに見れませんでしたので、近いうちに今度は字幕でリピートしたいと思います。
> インサイド・ヘッドと脳内ポイベリ
何だか私が話を持ち出したのでパクり論議になりそうなので断っておきますが、わたしも別にどちらがどうの、というのではなく、単に偶然だと思っています。
ただ、似通ったテーマを扱う以上、どちらがどのように描いてくるか、どちらが自分は気に入るか等は、やはり見所として注目するところになります。また、そういう「楽しみ方」はアリだとも思うのです。
私が「キャラの描き方」に関して『ポイベリ』に軍配を挙げたのは、既述の通り、単純明快で判り易いから。感情や記憶以外の要素を排除して、誰にでも判る描き方をしていたからです。
『インサイド・ヘッド』 はトータルでは高く評価しましたが、ヒナタカさんも冒頭で書かれているように哲学的で深い。勿論それは評価すべきポイントなのですが、そのぶん複雑で判りづらくなったのは否めない。私もどちらが好きかと問われれば『インサイド・ヘッド』を挙げますが、それでも本作のターゲット層が誰を想定しているのか見えづらかった。
本当のことを言ってしまうと、ディズニーもPIXARも、私は相当に高く評価しているし、だからそれだけ期待もしていて、彼らならばもっとうまく描けた筈だと思ったのです。例えば、カナシミはマニュアルを読んでいた訳だから、演出の仕方によってはヨロコビとの脳内道中で解説役を担わせることもできたかもしれない。カナシミにその役を担わせるのが性格的に難しいならば、残されたイカリ達がマニュアルを拡げて調べ出す…なんていう演出で解説する方法もあったかもしれない。(イカリなんて新聞を拡げているのだから、そういう場面があっても良かった)
『ポイベリ』は、そういう説明的なものが殆どいらないくらい、単純化した設定だったんです。序盤で唐突に出てきた「黒附箋」という言葉にしても観ていれば察しの付くものであったし。
そこにくると『インサイド・ヘッド』は、イマジナリーフレンドなんて知らない人も多いと思うんですよね。
『インサイド・ヘッド』ってEDロールがPIXAR作品とは思えないくらい地味でシンプルでしょ。
あの間(ま)を使って、現実の心理学用語や精神医学用語と劇中のものとの解説みたいなものがあっても面白かったのではないかな…とか。
ハワイアンピザはトマトベースで上にパイナップルがのっているピザですね
日本でいえばパイナップル入り酢豚みたいな扱いなのでは?
>一応、Inside Outは2011年の時点で既に企画発表されてるんですよね
(http://www.cinematoday.jp/page/N0037639)
確かピートドクター監督は2009年ごろから構想を練っていたとおっしゃっていました。
まぁ、脳内擬人化はこれと脳内ポイズンベリーが初めてではなく、過去にはHerman’s Headなどもありますからね
この2作をもってパクリだ盗用だというのは些か無理があるでしょうね。
ありがとうございます。
そのまま追記させてください。
> ハワイアンピザはトマトベースで上にパイナップルがのっているピザですね
> 日本でいえばパイナップル入り酢豚みたいな扱いなのでは?
なるほどー!(ものすごく腑に落ちました)
追記させてください。
ヒナタカさん、毎回楽しくレビューを読んでいます。
わたしは先日見てきましたー。
見る前は「バケモノの子」みたいな不思議な世界での成長譚みたいな感じかなーと思ってたので、意外と現実的な話だったのはちと予想外でしたね。
自分は主役である感情5名の内、ヨロコビ、カナシミ、イカリがあんまり好きになれなかったので楽しみつつももやもやする感じになりました。(ドリカムPVほどじゃないですが)
喜びの独善的な行動、悲しみのうざったいほどのネガティブさ、怒りの…なんというか全部お前のせいじゃん感と短気っぷりがどうにも気になって。
ビビリとムカムカはあんまり気にならなかったのですが。
あとラストのような日常の風景でも頭の中では…?というのを自分はもっと見たかったな~と思いました。
面白かったけど、色々気になる作品でしたね。
コメントありがとうございます。
> 喜びの独善的な行動、悲しみのうざったいほどのネガティブさ、怒りの…なんというか全部お前のせいじゃん感と短気っぷりがどうにも気になって。
個人的には、カナシミが、「ごめんなさい」と言いながら何度も思い出に触っていたのは、悲しい思い出として必要だからと考えていたからなのだと思います。
> カナシミが、「ごめんなさい」と言いながら
> 何度も思い出に触っていたのは
> 悲しい思い出として必要だからと
> 考えていたからなのだと思います
カナシミ自身がネガティブなことを由としているようには思えませんでした。
それよりも「思い出が放置されていることをカナシイと感じる」故に触れてしまうのではと解釈しました。
何故ならば、彼女が触れていたのは「落ちてしまった思い出」だったり、「誰も気に留めていない長期記憶」(カナシミは触れていたのに、ヨロコビはそのことに気付くまで気にも留めなかった!)だったりしたからです。
> カナシミ自身がネガティブなことを由としているようには思えませんでした。
> それよりも「思い出が放置されていることをカナシイと感じる」故に触れてしまうのではと解釈しました。
> 何故ならば、彼女が触れていたのは「落ちてしまった思い出」だったり、「誰も気に留めていない長期記憶」(カナシミは触れていたのに、ヨロコビはそのことに気付くまで気にも留めなかった!)だったりしたからです。
なるほど!追記させてください。
他の方の指摘にもありましたが、シュートを外して悲しんでいたから、家族と友達が近付いてきてくれて、喜びの記憶になったのです。
これまでのブログ内容を読んでいて、ちょいちょい「そこそういう解釈しちゃいますか…」ということが多いです…(^_^;)読解力?とか、汲み取る力があまり無いのかなと思っています。中傷ではなく、ひとつの感想だと思っていただければ幸いです…。
25歳の映画ファンです。 公開日に吹き替え版を、本日は字幕版を観てきました。
凄く素晴らしい作品でした。
頭の中をこれほど壮大かつ芸術的、面白く描けるのはさすがピクサーです。
悲しみがあったから喜びに、喜びがあったから悲しみに思い出が変わる。
改めていろいろと気付かせてくれるストーリーでした。
・カナシミ
カナシミが可愛いかったです。今年の映画の個人的な萌キャラは「カナシミ」と「ニュークス」で決まりです。
また、ヨロコビがカナシミに「マニュアル読んどいて」「円から出ないのが仕事」と指示する場面とか、もろ職場のイジメですね。観ていてカナシミに同情しちゃいました。
・小ネタ
ガムのCM曲は出る度に笑いました。
頭の中で同じ曲が何回も再生されるのはあいつらの仕業だったのか!
あと「事実と意見のカードが混在している」ネタは大人達しか笑っていなかったぞ!
『チャイナタウン』のネタ(「忘れろ、ジェイク」)とか数人しかわからないだろ!
・吹き替え版と字幕版
どちらも良かったです。
しかし、吹き替えだと言葉の表現が分かりにくかったり、話が退屈なのか飽きている子供がいたりしました。
字幕だと年齢層が上がり、大人達の笑い声やすすり泣く声が聞こえて幸せでした。特にライリーの父と母の脳内やり取りは大爆笑が起きていました。
けっこう大人向けの作品ですよね、これ。
・『脳内ポイズンベリー』と『インサイド・ヘッド』
よく比較されているこの2作ですが、わざわざ比較して作品を評価する必要があるのでしょうか。
たまたま公開時期が近く、プロットが似てしまっただけだと思います。ひとつの作品として観てほしいです。
前田有一氏がプロの映画批評家のくせに、わざわざ『脳内ポイズンベリー』と比較して評価しているのは呆れました。比較しなければ作品を評価できないんでしょうか。悲しいです。
味が出る…なんて言葉がありますが、見た日から日に日に好きと言う気持ちが
増大していく映画に出逢えたのは初めてな気がしますね。
傷付いて間違う時もあるけどそれでも人は生きていける、自分の中にあるものに無駄なものなんて無いんだよと言うメッセージが
自分自身の他愛もない人生に物凄い勇気をくれた気がします。
興行では今のところHERO、バケモノの次点ですが一人でも多くの人が見て欲しい作品だと思います。
>ロロ・トマシさん
ポイズンベリーはこういう比較論が出るだろうな…と思って興味本意で見たのですが…駄目でした。
既に感想はコメント欄に書きましたけど、ただ単に頭のおかしな人の内面を延々見せられて本当に苦痛と怒りの2時間でした。
本当に似ても似つかないし比較するのもインサイドヘッドに失礼ですよね…気分を害されたのならすいません。
因みに僕は前田有一氏に関しては、作った本人らが大失敗と認めている「アマルフィ」をべた褒めした時点で見限りました。
その後ムキになったのか比較的改善点の多い「アンダルシア」を作業的に扱き下ろしてたのも心底呆れ果てましたしね。