『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』幼稚園児版マッドマックス(ネタバレなし感想+微ネタバレレビュー)

『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』幼稚園児版マッドマックス(ネタバレなし感想+微ネタバレレビュー)

今日の映画感想は世界で一番のイチゴミルクのつくり方です。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:じつに教育的

あらすじ

幼稚園児が街を破壊しつくします。ついでに消費者調査会社の陰謀を阻止します。

もうね、ネタバレのないところにおける自分のパッションは以下に込めましたのでお読みください。
↓2ページ目の監督のインタビューは必読ですぜ!
子ども版グランド・セフト・オートな映画が公開される件 監督に聞いた“教育上問題ない理由”とは? | シネマズ by 松竹

まあとにかく、本作は以下のような形容ができるわけですよ。

  1. 『グランド・セフト・オート』(18禁ゲーム)の幼稚園児版
  2. 『クレヨンしんちゃん』のかすかべ防衛隊の実写版
  3. 幼稚園児たちによる『マッドマックス 怒りのデス・ロード』


※子どもは買ってはいけません。

このあたりから、本作がいかに狂っている(超褒めている)かを察していただけると幸いです。

かわいさ余って憎さ100倍だけど、やっぱりかわいい!

さてさて、本作は子どもたちがとってもキュート(ただし犯罪者)なのですが、「アカハナグマ」の演技が見事&こっちもめっちゃかわいいことを言っておかなければいけませんね。


※かわいい!


※かわいい!


※ぬいぐるみほしい!

日本では『ズートピア』や『けものフレンズ』(深夜アニメ)など、動物が主役の作品が話題を集めるんですから、そちらが好きな人も全員観ればいいんじゃないかと思います(暴論)。

そうそう、本作は「お年寄りは子どもの味方!」というのも重要になってきます。
大人は子どもに「しつけ」をするばかり、だけどおじいちゃんおばあちゃんは孫にやさしい、というのは万国共通のようですね。


※おじいちゃんおばあちゃんもかわいいのです。

子どもたちがちょっと没個性かも?

本作でちょっぴり残念だったのは、子どもたちそれぞれの個性を生かした活躍が少なかったこと。
せっかく初めに「自己紹介」があるのですが、その設定を生かしてほしかったなとも思います。

また、基本的に子どもたちが暴れまわってばかりのワンサイドゲームで、ピンチになってしまうなどのハラハラもほとんどありません。
いや、この子どもたちの傍若無人っぷりこそが本作の魅力なので言うのも野暮ですが、個人的にはもうちょっとツイストの効いた展開があったほうが好みですね。

また、大人たちが築いた「ルール」に対して、反骨精神が満ち溢れている作品なのですが、そのルールをもう少しフォローする描写があってもよかったかも。
ていうか、この映画に出てくる大人たちは決して悪人ではないではないので、ひどい目にあっているとさすがにかわいそうになってくるんですよね(笑)。いや、まあ、これも作品のおもしろさなのですが。

実はテーマは『オトナ帝国の逆襲』とも似ている!?

本作には、「『平均』や『普通』を好む大人はつまらない!」というテーマがあります。
具体的には、消費者調査会社が街を「世界一の平均」にしようとたくらんでおり、大人がすっかりその口車に乗せられていて、子どもたちが回り回ってそれを阻止しようとするのです。

これは、あの歴史的大傑作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』において、大人たちが「昔のにおい」ですっかり洗脳されてしまったことをほうふつとさせるではないですか!

これまで子どもたちがさんざん犯罪者だなんだと言ってきましたが、彼らの行動が実は「大人たちの価値観を変える」ほどのものになっていくというのもミソ。
本作を観れば、大人は「子どもたちを叱ってばかりでは仕方がない」と反省することができるんですよね。

それでいて、子どもが親のことをちゃんと好きでいる(いてあげよう)、という描写もあるのがいいですね。
おばあちゃんおじいちゃんも、老人ホームにこもってばかりだけなくて、孫のために何ができるかを考えることができるかもしれません。

そんなわけで、『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』は、子ども、親、おじいちゃんおばあちゃん、3世代にわたって何かを得られる、極めて教育的な内容と言えるでしょう(本当だよ)!

『プリキュア』や『妖怪ウォッチ』ももちろんいいですが、こうした子どもが主役の、子どもが楽しめる実写映画がもっと観られるようになるとうれしいですね。

何より、「幼稚園児たちがギャング集団となり、街じゅうで大暴れをする」という楽しさは唯一無二!
そんなわけで、超おすすめです!

以下は少しだけネタバレです↓ 今回は観ている人が少ないと思うので、ちょっと結末もぼやかして書きます。

車は乗り捨てるもの

えーと、子どもたちがつぎつぎに乗り捨てていった乗り物を振り返ってみましょう。

  1. トラクター→横転
  2. 汽車→『ファイナル・デスティネーション』ばりに警官の自動車を真っ二つ
  3. 蒸気船→『スピード2』ばりに桟橋を破壊した上に沈没
  4. 消防車→クレーンを使って街を破壊

その他の子どもたちの犯罪歴といえば、

  1. オープニングでいきなり汽車を切り離して強奪
  2. 部屋にいた大人をふんじばる
  3. 街の飲み水に眠り薬を混ぜて大人たちを全員眠らす

いやあすごい。シチリア島のマフィアでもこんな犯罪をつぎつぎと成功させることは不可能でしょう。

大人と子どもの逆転

ミュージカルも魅力的な作品ですが、特に印象に残ったのが「子どもと大人の役割が逆転してしまう」シーンでした。
具体的には、子どもが大人を「寝かしつけてあげる(※強制)」「でも僕らは夜まで起きているもんね!」「でもクマさんを貸してあげる」という描写があるのですが、これも「ルールに縛られず、こういう風になってもいいんじゃない?」という提言にもなっているんですよね(でもマネしてはいけません)。

※以下でも日本語吹き替え版の歌が聞けます。公式Twitterが『ラ・ラ・ランド』に対抗しているのがステキ。

普通じゃないことの素晴らしさ

最終的に子どもたちは、破壊したものから、おじいちゃんおばあちゃんの力を借りて「発明」をします。

監督はインタビューで「子どもたちが壊すというのは、新しい何かを作るための、通り過ぎていくべき道なんです」と答えていました。
まさにその通り。新しい何かは、何かを壊してこそ得られるものですよね。
消費者調査会社と大人たちが目指した「平均」「普通」などでは、そのような新しい何かが生まれようもありません。

もしも、街の大人たちが平均がいちばんいいと思うばかりで、宣伝に踊らされているだけだと……超マズいシリアルに何の疑問も持たず、食べ続けなければならない未来も待っているかもしれないのです。
(そういえば、消費者調査会社の奴らは、スーパーの棚の中に新表品をこっそり忍ばせるという姑息な手段を使っていましたね。これも「そんなんじゃ何も変えられないよ!」という皮肉なのでしょう)

既存のルールを破壊してこそ、得られるものがある。
観た後は「ちょっとくらいルールを逸脱したり、価値観を壊してしまってもいいかも」と思えるかもしれませんね。
(でも街中での物理的な破壊は犯罪なので、ダメゼッタイ!)

(C)Veit Helmer Film-produktion

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ヒナタカ

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