『ハードコア』“過剰”で“増殖する”快作!(映画ネタバレなしレビュー+ネタバレ感想)

『ハードコア』“過剰”で“増殖する”快作!(映画ネタバレなしレビュー+ネタバレ感想)

今日の映画感想はハードコア(原題:Hardcore Henry)です。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:FPSゲームファン、悪趣味な映画が好きな人は必見!

あらすじ

一人称視点で人間をたくさんぶっ殺します。

本作の最大の特徴は、「全編を通じて一人称視点で展開する」ということです。
画面に映るのは、ただただ主人公の目線で起こることばかり、主人公の姿は「手」という形でしか見えることはありません。

つまりは、テレビゲームのFPS(ファースト・パーソン・シューティング)同じというわけ。
このジャンルの名作ゲームは多いのですが、個人的な思い出のソフトを1つ挙げるとしたら『007 ゴールデンアイ』ですね!

本作を友達どおしで集まって、アホほどに対戦をしまくり、青春時代の貴重な時間をいい意味で浪費したアラサー世代の方はきっと多いでしょう。
復活したばかりでトイレにモーションセンサー爆弾を投げられて殺されて(←プレイした人にしかわからないネタ)、あわやリアル喧嘩になりかけたのも含めていい思い出です。

で、本作『ハードコア』では、そんな一人称視点が96分の時間ずーーーーーーっとぶっ続くんですよ!
「人間ドラマ?何それおいしいの?」って印象で、惜しげもなく戦ってばかりなんですよ!
ていうか『キングコング:髑髏島の巨神』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』よりも全編クライマックスだったぞ!
待った……こんな映画を待っていましたよ……(震えながら)。

実はめっちゃグロいよ!

本作のもう1つの特徴は、景気良く人がぶっ殺されまくっており、めっちゃグロいこと
1分に1人くらい人が死んでいるっていうか、1分に10人くらいが死ぬシーンすらあったからね!
人の命なんか紙切れに等しく、もはや「映画の中でどれだけ多くの人を殺せるか」のギネス記録を狙っているんじゃないかという勢いです。

死に方も脳症ぶちまけるわ、頭がふっとばされるわ、刀で四肢が切り落とされるわでゴージャス☆かつバリエーション豊かなのが素晴らしいですね
血が観て〜グロいの観て〜と思っている悪趣味な方々は大満足できるに違いありません。

あ、ちなみに本作はロシア・アメリカ合作映画で、たびたび劇中でロシア語が話され、ロシアの観光気分も楽しめるオトクな内容となっております。グロ描写の前に観光気分なんか吹き飛ぶけど。

キャストが楽しそうで何より!

さてさて、『第9地区』で主演を務めたシャールト・コプリーのことに触れないわけにはいきませんね。
なんとていうか、演じていてめちゃくちゃ楽しそうで、観ているこっちが幸せになれました
こんなふざけた(褒め言葉)役をさせられて、彼にとっても俳優冥利につきるってもんでしょう。

しかも、『マグニフィセント・セブン』で「何この美しい人……!」と全映画ファンがうっとりしたヘイリー・ベネットがめっちゃかわいくて、観た瞬間に守りたくなる衝動にかられるのですよ!

いや本当、『マグニフィセント・セブン』が好きな人は本作も必見ですよ!

気持ち悪くなっても仕方ないよ!

本作の弱点は、単純に
・ずっと一人称視点がぶっ続く
・グロ描写がてんこ盛り
という2大特徴が観る人を選びまくるということです。

ていうか、この2つともが「気持ち悪い」というネガティブな印象を持ってしまう要素なんですよね。
一人称視点の撮影には十分な工夫が凝らされ、快適な映像にするための知恵と技術が存分に使われているとはいえ……やはり「酔ってしまう」方もいるでしょう。

これだけすんげー楽しいのに、IMDbで6.8点Rotten Tomatoesで50%という微妙な評価なのは、少なからずや「合わなかった」方がいるからなんでしょうね。仕方がなさすぎる。

グロが苦手な方にはおすすめしにくい、という印象ももちろんあるのですが、わりとグロさはすぐに慣れる(マヒとも言う) と思います。
オープニング映像から「これくらいのグロさで行くんでヨロシク!」な感じですし、むしろ映画のグロ描写に慣れるいい機会ですよ!

実はミュージック・ビデオの長編化作品!

そうそう、ちなみに本作はパンク・バンドのミュージック・ビデオの長編化作品でもあります。

こうしてYouTubeで話題となった映像が、十分な資金とスタッフを集めて映画になるというのは、テレビゲームオタクが世界を救う『ピクセル』や、子どもを殺しにピエロが襲ってくる『クラウン』でもあったこと。こうした流れが映画業界にあるのは嬉しいですね。

VR映画時代の到来?

また、本作の一人称視点の映像は、これから先に訪れるであろう「VR映画時代」の先駆けとも言えるのではないでしょうか。
※参考↓
VRで変わる映画 次々と登場するコンテンツまとめ | Mogura VR – 国内外のVR最新情報
というか、本作『ハードコア』をそのまま「PlayStarion VR」などのヘッドセットをつけて観てみるのも面白そうですね。

一例として、Googleが製作した、VR大怪獣ビデオ「HELP」を以下で観てみてください。
これ、5分ワンカットで、能動的に360度の映像を楽しむことができるのですよ……(左上のボタンを押すか、映像をドラッグすると視点が変わる)

いやいや、マジやばくね?(頭の悪そうな発言)

『アドレナリン』並のシンプル・イズ・ザ・ベスト

まあそんなわけで、本作はずっとアクション!アクション!アクション!というサービス精神に溢れており、グロいのてんこ盛りで悪趣味最高!ヒロインがかわいい!というわけで、この時点で5億点が出ているわけですよ。

この印象で思い出したのが、ステキハゲことジェイソン・ステイサムの主演作『アドレナリン』シリーズですね。

この作品の「ずっと勢い任せでバカなことをヤリまくる」印象が好きだったら、きっと『ハードコア』を気に入るに違いありません。

そのようなシンプル・イズ・ザ・ベストな内容ながら、本作にはストーリーに意外なギミックがあるのもいいね!
中盤に提示される意外な事実、主人公が終盤に直面する出来事には、けっこう考えさせられるものがありました。
このギミックのおかげで、ずっと一人称視点のアクションがぶっ続く内容であっても、飽きにくくなっています。

いやーそれにしても、「一人称視点で主人公になりきって、これでもかと言うくらいグロく人をぶっ殺しまくる体験ができる」って、青少年の育成上すこぶる悪い作品ですね。
いや!でもいいんだよ!ちゃんとR15+指定ついているし!映画は公序良俗に反するくらいのほうが面白いんだから!それを合法的に楽しめるんだから!
そんなわけで、超おすすめです!

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

落ちます→無傷

ヘイリー・ベネットが体をさすさすしてくれる→触れずに物を吹き飛ばす超能力を持った男が登場→脱出ポッドでパラシュートが開かずに道路に直で落下という、初めからクライマックスなのが最高でしたね。

で……主人公のヘンリーが平気なのは「サイボーグだから」で納得できますが、なんで脱出ポッドで一緒に地面に直撃したはずのエステル(ヘイリー・ベネット)までピンピンしているんでしょうか。彼女もサイボーグ?

増殖するジミー

本作の意外なストーリー上のギミックとは、ジミー(シャールト・コプリー)が死んでも死んでも次から次へと出て来ることです。
バスの中で火炎放射器で焼き殺されたジミーが「また会おう」と言ったときは聞き間違いかと思ったよ……。

エロいことをするお店ではジミーは何人のも女とヤリまくり(でもあっさり銃撃を受けて死ぬ)、
迷作服を着たジミー主人公の道のりをサポート(でも美女とチュッチュしたあと爆撃を死ぬ)、
何人のジミーがいるのか、もうわかんねえな。

実は、オリジナルのジミーは半身不随になっており、モニターを使って、自身のクローンをアバター(分身)のように操作をしていたのでした。
タキシード姿のジミー、軍人の姿のジミー、奇形のプロト(原型)ベビーのジミー、北斗の拳のザコのモヒカンみたいなジミーなど、取って代わりまくるのが楽しくってしかたがありませんでした。

※こんなシャールト・コプリーが見られます。

マグニフィセント・セブンキャンセル

その他も、パルクールみたいに飛んだり跳ねたりして敵を追ったり、車の上を渡り歩いて手榴弾で敵をふっ飛ばしたり、廃墟ビルではスナイパーの視点で照準を見ていたり、愉快かつアイデア満載のシーンの数々でもうお腹いっぱいでした。

空中から落下する!→何とか池に落ちれそうだ!→ギリギリで外して木にぶつかるシーンにも大笑い。
主人公がサイボーグでほぼ不死身なのをいいことに、わざと痛めつける方向にしているのが最高ですね。

そして、その後にさらなる爆笑を届けてくれるのは、馬に乗ろうとした瞬間から、『荒野の七人』および『マグニフィセント・セブン』のあのテーマ曲がかかること!

だけど残念。馬の乗り方なんか知らないヘンリーはすぐに落馬し、このテーマ曲もすぐにキャンセルされるのでした。

ジミーのキャラクター

ジミーは火炎放射器を持った男に「ゲイっぽい格好だな」と言ったり、自身のアバターに「ヒッピーは臭い」と言ったり、はたまた半身不随になった自分のことを「障害者にする質問はアレが使えるかということだろ?俺は不能だ」と言ったりと、かなりの偏見野郎でした。

そんないけ好かない性格のオリジナルの彼が、エレベーターの中で本当の死を悟り、短い間だけでもサポートしたヘンリーに「やつ(エイカン)の目から生気がなくなるまで見届けろ!」「お前を友達と思うなんて」と言うのはやはりグッと来るものがありました。

VSサイボーグ軍団

いや〜もはや「百人組手」な勢いで、サイボーグ軍団とビルの屋上で戦うのが最高でしたね!
しかも途中からヘンリーはアドレナリンを注射してさらに覚醒!
そのときにかかる音楽は、予告編と同じQueenの「Don’t Stop Me Now」!

『キングスマン』でも思いましたが、陽気な音楽に乗せて人をぶっ殺しまくるというのはやはり悪趣味ですね!(褒めています)

自分で決めろ

最後に、ヘンリーも数多くいるサイボーグ軍団の1人であり、エステルは大ボスのエイカンとグル、「妻のふり」をしていたことが明らかになります。

物語の初めに、エステルが目覚めたばかりのヘンリーに優しい言葉をかけていたのも演技でした。
エステルはその他の軍団にも同じように演技で接していたなんて……あの体をさすってもらった記憶がいい意味で台無しだよ!

裏切られたことがわかり、絶望に打ちひしがれたヘンリーが思い出したのは、幼き日、自分のおもちゃのロボットをいじめっ子に壊されたときの、父の言葉でした。

「自分でどうするか、黙っているか、相手に血を流させるか、選べ」

ヘンリーは、この言葉で再び覚醒。エイカンの顔をロープでぶった切り、「相手に血を流させる」方法を選びました。
※これはロープではなくヘンリーの視神経だとご指摘を受けました。どんだけ神経強いねん!(サイボーグだからだろうけど)

そして……エステルはヘリの中で撃った銃の跳弾により自滅します。
「素直になって!」と訴えるエステルを、ドアを締めて落とす!というシーンで、映画は幕を閉じました。

いや〜そりゃあもう、その時のヘンリーは「相手に血を流させる」方法を選んでいるんですから、「素直になって」と言われたらそうするに決まっているじゃん!

両方選んでるんじゃ?

ヘンリーの父は「黙っているか、相手に血を流させるかを選べ」と言っていましたが、よく考えたらサイボーグであるヘンリーには発声器官がなく、作中で一度も話していないわけですから、父の教えに反して黙っていることと相手に血を流させてことの両方を選んでいるとも取れるんですよね。
いやいや痛快愉快。クズ野郎は全員ぶっ殺せ!な精神が最高な作品でした。

(C)2016 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

publicShare

theatersタグ

chat_bubbleコメント

  1. イシズエ一基 より:

    細かいことですが、エイカンの顔を切断したのはロープではなくヘンリーの視神経ですよ!

    • hinataka hinataka より:

      えええええええええええーーーーーーーー!どこからロープを出したんだと思ったらそうだったのかー!どんだけ神経強いねん!修正します!

  2. 神野翼 より:

    一人称視点のミュージックビデオと言えばプロディジーのSMACK MY BITCH UPを思い出します。あれも景気良くクソったれでしたね。唐突に関係ない話をして申し訳ありません。
    ハードコア面白そうですね、観たいです。

  3. yama より:

    全編アホみたいにクライマックスの連続で、超上手い人のFPSプレイ動画を見せられているような気分になる映画でした。終盤のドンデンも意外と凝ってたし、観ていてメチャクチャ楽しかったからいいんですけどね。
    将来的には本作の映像と比べても全く差が無いレベルのグラフィックで遊べるFPSゲームが登場してくるかも知れませんな。

    全然関係ないですが、昨日「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観て、今日「ハードコア」と「ヘッド・ショット」を観たら、偶然にも全部「記憶喪失の主人公がアイデンティティを回復する」話でした。

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。
メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。

著者

ヒナタカ

カテゴリ

文字から探す

レビュー点数で探す

extensionその他サイト

あわせて読みたい

この記事を読まれた方によく読まれている記事です。よろしければこちらもご一読下さい。

vertical_align_top