『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』画と物語の熱量差が甚大(ネタバレなし+ネタバレ感想)

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』画と物語の熱量差が甚大(ネタバレなし+ネタバレ感想)

今日の映画感想はゴジラ キング・オブ・モンスターズです。

個人的お気に入り度:8/10(気持ち的には8000兆点)

一言感想:なんだ、ただの神話か。

あらすじ

ゴジラとキングギドラとモスラとラドンが神々しく戦い、その傍で狂った人間たちがわやくちゃしています。

日本が誇る怪獣ゴジラをフィーチャーしたハリウッド大作です。

まずは前提として、「モンスターバース」というアベンジャーズ的に同じ世界観での出来事を描くシリーズの3作目であるということを申し上げておきます。
そんなわけで、過去の『GODZILLA』(2014年)と『キングコング 髑髏等の巨神』を観ておいたほうが設定や物語に連続性を感じることができ、より楽しめるでしょう。(具体的には「モナーク」という名前の架空の組織が共通で出てきたりします)

ただ、基本的にはこれまでのシリーズ観てもいなくても、ゴジラや東宝怪獣シリーズ知らないという方でも、今回の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は存分に楽しめるでしょう。
なぜならゴジラとキングギドラとモスラとラドンという怪獣たちが大激突するというだけでも、ある程度のエンタメ性が担保されているから。わー!超強い怪獣が戦っているー!すげー!で終わってもいいくらいの内容ですよ!

ビジュアル=8000兆点

あんまり数字をインフレさせてしまうのは安っぽいということは重々承知しているのでごく控えめに言いますが、本作はビジュアル(画)の時点で8000兆点出ていますからね。


※ゴジラが青く光ります。

※キングギドラが金色に光ります。


※両者が大激突します。

ふ…ふつくしい…。はい、この時点でなんだ、ただの神話か。はい、8000兆点ってなるのはしょうがないんですよ。これを映画館の大スクリーンで観てくださいよ。危うく魂が抜けかけるからね。

これまでのゴジラ映画のオマージュがヤバいよ!

えーと本作の監督を務めたマイケル・ドハティという方がですね、かなりのゴジラオタクというか、否ゴジラ狂いでしてね、今までのゴジラシリーズのオマージュが多分に込められているんですよ。
この人ゴジラが大好きすぎて、子供の頃に聖書にゴジラの落書きをしていて怒られたと言う逸話もあったりしますからね。


※どれだけ歴代のゴジラシリーズがごった煮されているかが良くわかるマンガ。

自分はゴジラについては正直ニワカというのもおこがましいレベルだったのですが、最近になってHuluとAmazonプライムでシリーズの7割がたは観ました(それでも全部は観ていなくてすみません)。
そんな自分でも、今回は「あの時のアレだ!」という感動と興奮の連続でしたからね。

そのゴジラおよび東宝怪獣シリーズの中でも、「観ておくと良いよ!」と厳選12作に絞って紹介する記事を、本作の鑑賞前に書いていました↓
【ゴジラ初心者向け】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』をさらに楽しむための怪獣映画12作品 | CHINTAI情報局

本作の鑑賞後に記事を振り返ってみると作品の選定はなかなか良かったとは思うのですが、変化球気味&今回の予習に役立つという意味で『ゴジラVSキングドラ』、あとは平成シリーズの最終作『ゴジラVSデストロイア』も挙げておけば良かったかもしれませんね。

いいですか、ビジュアルの時点で8000兆点出ているのに、これまでのゴジラシリーズの愛までが過剰にプラスされるんですからね。我こそはゴジラファンだという方はマジで映画館で死んでもおかしくないですからね。


※そりゃ観た後にこう思いますって…。

オマージュの中でこれくらいはネタバレじゃないので言ってもいいだろうというのは、チャン・ツィイーの見た目が小高恵美演じる“三枝未希”という『ゴジラVSデストロイア』から6作連続で登場したキャラにそっくりということですね。

他にも「これ絶対に監督は意識しているだろ〜」なシーンが目白押しなのですが……さらに音楽ですよ。未見の方のために詳しくは書かない。音楽も最高とかそういうレベルじゃない。とりあえず音楽でも天に召されるとだけ言っておきます。

※ある意味ネタバレなので鑑賞後に聞くことを推奨。

お話のことは知らねえ!

さあて、もう神々しいビジュアル+ゴジラ愛だけで最高of最高!で終わっていい内容なのですがお話のほうは色々と言いたいこともあるよねというのが正直なところです。
詳しくはネタバレになるので↓に書きますが、色々と「それはどうすっかねえ…」ってなるシーンも多いんですよね。

ただ、もうこれだけの神話のような怪獣バトルを観れば、そんなことは8000兆点マイナス3点くらいのことでどうでも良いとも言えるんですよね。
Netflix配信ドラマ『ストレンジャー・シングス』でもおなじみの子役ミリー・ボビー・ブラウンの演技力と表現力がハンパではないため、彼女だけでも充実した物語を観た(ような気がする)印象になりますし。

あと、人間側のドラマは極力最小限に抑えられているというか、観客が飽きてきそうなタイミングで怪獣バトルに突入するというサービス精神がそこに表れているようにも思えるんですよね。
「人間ドラマが薄い」という批判の声もそこかしこに聞きますが、そりゃ「もう人間とかいいっしょ!怪獣バトルが観たいっしょ」な作り手の狙いと思えば肯定できるかもしれませんよ?(疑問形)

4DXも超・絶オススメ!なんだけど……

本作は座様々な演出が楽しめる4DX上映も実施されています。
えーと最近『アクアマン』『ファーストマン』『スパイダーマン:スパイダーバース』などでも「4DX史上過去最高!」と評価をインフレしていましたが今回も最高じゃないかよ!なんだよ!

今回の4DXの何が素晴らしいって、主に「座席の振動」と「フラッシュ」と「エアー」ですね。
座席の振動で超デカい怪獣たちの地響きを体感でき、
フラッシュは怪獣の色に合わせた光となり、
エアーはあの怪獣がアレな時にプシュッと出されたりと、神演出のオンパレード。2回目の鑑賞ではマジでオススメですよ。

ただ、問題を挙げるとすれば吹き替え版。主人公を演じた田中圭の声が若々し過ぎてずっと違和感があるのです。
50代のカイル・チャンドラーに対して田中圭は30代前半って…演技はめっちゃ上手いのにさ…田中圭が演じるのがティーンエイジャーだったらよかったのにさ…とブツブツとキャスティングミスへの文句を言わざるを得ないです。

しかしながら吹き替え版全体の出来は決して悪くはない、それどころか芦田愛菜が死ぬほど上手いということもあって観ないほうがいいということもありません。
ロックバンドのアレキサンドロスが吹き替え版主題歌を担当していますが、エンドロールを全くジャマをしない演出になっていたのも好感度大です。
一部の言い回しは字幕よりも吹き替え版の方が好きでもありました。


※好きだった吹き替え版限定の言い回し。クリックでネタバレ。

でも、田中圭の声の違和感がな…4DXだとほぼ強制的に吹き替え版になるのにな…気持ち良くオススメさせてよ…全く…。

詳しいゴジラシリーズへのオマージュはラジオ感想でも語ってます

さてさて、さらに詳しいゴジラシリーズへのオマージュやその他不満点もろもろについては、ゴジラの大ファンであるブロガーの光光太郎さんが以下のラジオでも語っていますよ。

※鑑賞後に熱を入れて一緒に語っていたら1時間を超えた…。24分30秒ごろからネタバレ全開なのでご注意を。以下のブログの補足(長文)でも箇条書きでゴジラシーズのオマージュをまとめられてます。
映画:「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」についてヒナタカさんと話したよ+補足 – Brightter

不満点はあれど、怪獣映画やゴジラファンが観れば超楽しい、ゴジラに詳しくなくてもやっぱり超楽しいと、お話のことはともかく娯楽映画としては存分にOK、ていうかビジュアルだけで8000兆点出ているだからとっとと映画館に観に行けばいいですよ(雑な推薦)。オススメです!

※以下からはネタバレですので鑑賞後にお読みください。ストーリー上の不満を主にまとめています↓



野暮な不満点:芹沢博士の自決に納得できないよ〜

芹沢博士がゴジラを「救う」ために自らの命を「捧げる」という展開は熱いと思うんですよ。
ゴジラ1作目の芹沢博士と対になっているというのも上手いんですよ。


だけど…絵面的にも設定としても「爆弾置いて生きて帰ってこれそう」にどうしても見えてしまうんですよね…。
放射能で汚染されるとかタイマーが使えない的な設定は説明されていましたけど、「どうしても自己犠牲を払わなければいけなかった」という最低限の物語上の説得力のハードルを全く超えてくれません。
組織の重要人物である芹沢博士が行かんでもええやんという気もめっちゃするし…(ちなみに1作目の芹沢博士にはあの決断をするロジックがしっかりありました)
2014年のギャレス・監督版の前作で何も役に立ってなかった芹沢博士に華を持たせたのは良いけど…個人的にはもっと「博士としての」活躍を見たかったですね。

ただ、それでも芹沢博士が「さらば…古き友よ(日本語)」の最期の言葉と共にゴジラに「喝」を入れるという展開は激アツ、父を原爆の後遺症で亡くしゴジラに複雑な思いを持っていた芹沢博士がゴジラをずっと「友」と思っていた事実も泣けるんですよね。
だからこそ、この自決へのロジックの無さが個人的にはかなり残念だったのです。

野暮な不満点:オキシジェン・デストロイヤーポッと出すぎ

ゴジラシリーズで象徴的に使われる兵器のオキシジェン・デストロイヤーの名前がポッと出てきて、すでに軍の判断で放たれていたという時短テクニックすぎる展開には唖然としました。
それヤバいどころじゃない兵器なんですけど!それを躊躇なく撃っているって控えめに言って狂ってるよ!
東宝特撮映画の登場兵器 – Wikipedia

うん、まあ今回はオキシジェン・デストロイヤーを撃つのや〜撃たんのや〜な話を描きたくなかった(やるのは怪獣バトルだ!)というのはわかるんですけどね。

野暮な不満点:そのエンドロールでいいの?

登場人物がだいたい狂人ともいうのも一周回って愉快なポイントですよね(異論は大いに認める)。
お母さんが危険思想のテロリストで怪獣たちを大量に世に出すことに加担しているというのも重大に狂ってて劇中でも批判されているのですが、主人公サイドも「怪獣同士を戦わせる」「こっちの味方になってくれる怪獣もいるかもなあ」な感じで良く考えたらテロリスト側と目的がそこそこ似ているというのもすごい話ですよね。

まあ、そのあたりは作り手の「怪獣バトルがやりたいんです!」なゴジラ狂いの作り手の皆さんの投影だと思って好ましく観ていたくらいなんですが、エンドロールでゴジラが通った後には生命が〜などといったテロリストのお母さん側の価値観を肯定するような記事がたくさん出てくるのはどうなんだろう?もうちょっとフラットな視点じゃないとモヤっとするんですが。
あとゴジラが王様に君臨したのはいいけど、世界各地で出現した怪獣たちは結局倒されていないので、結局世界が終わりそうな気がします。次回作『Godzilla vs Kong』は大丈夫なのか!?(色々な意味で)

野暮な不満点:色々と雑だよ

ともかく、兵士に「こんな両親を持っていたら家出するよ(ほんまやで)!」と言われたほどの毒親に振り回された娘のマディソンちゃんに幸あれ。本当に可哀想だよあの子。
そのテロリストに囚われたはずのマディソンちゃんが終盤は普通に逃げて色々しててセキュリティがガッバガバでしたね。

他にもメキシコに降り立っていた兵士がなぜか子供を1人だけ救出して戻ってきたり(他にも大勢死んでいるだろ)、登場人物がだいたい怪獣の足元でわやくちゃし過ぎだろとか、サラ・ホーキンス演じる女性博士があっさり潰されて「死亡」と表示されている処理も悪い意味で悲しいよやめろよとか、こういうツッコミどころを挙げていけばキリがないですよね。

ちなみに……以上の野暮な不満点は、1回目の鑑賞では圧倒的なビジュアルと歴代ゴジラへのオマージュにすっかり心酔したため、まあまあどうでも良く感じていた部分でした。
でも2回目の鑑賞ではその雑さがはっきりノイズになりましたね……。
映画を複数回観るのも良いもんですが……本作については1回目のゴジラ最高ぉおおおお!ふぅうううう!で終わっていた方が幸せだったのかもしれません(切ない)。

オープニングの「料理の失敗」で家族関係が示されているのは上手い

そんな訳でストーリー上の不満点を語ってきましたが、一方でマディソンの父と母の関係をオープニングの「料理の失敗」で示しているのは上手いと思います。

ここではマディソンは父からのメールをチェックしているのですが、添付された写真は狼の写真×2だけ(後はマディソンとの家族写真)でした。
父自身の写真などはなく、娘とコミュニケーションもほとんどなくストイックな生活を送っている、マディソンはそんな父を心配していることがここだけでもわかるんですよね。

そして、マディソンはトーストとスクランブルエッグを作っていましたが、メールをずっと見ていたため焦がして失敗してしまいます。
ここでマディソンは「レシピを見ていて」と言いますが、母からすぐに「トーストのレシピを見ていたの?」と返されウソを見破られていたんですよね。
後にテロリストであることがわかる母が、ウソをすぐに見破る程度には娘のことをわかっていた、掌握していたようにも見えるというのがここでも暗示されているように思えるのです。

マディソンちゃんは超強い(精神的な意味で)

序盤に陸軍大佐が「あくびをしようとしている」ように見えて実は「マディソンにいないいないばあ」をしていて、それを見たマディソンが中指で「目尻をこする」ように見えて実は「ファッ◯・ユー」をしているというのもいいよね。

そんなマディソンちゃんがキングギドラに向かって叫ぶとゴジラが登場。そんなゴジラをずぶ濡れになりながら見ている時の表情は100点満点ですね。この状況でこの笑顔ができるマディソンちゃんのメンタルは鋼だと思います。

また、「芹沢博士は広島に原爆が落ちた時刻(8時15分)で止まった時計を持っている」など、細かい設定にはこだわりが感じられたりもするんですよね。こういうアンバランスさも含めて本作の魅力のような気もします↓
ハリウッド版『ゴジラ』、芹沢博士はなぜ8時15分で止まった時計を持ち続けているのか

ラドンが……

今回でもう1つ、一周回って愉快なのは、怪獣のラドンが劇中の立ち振る舞いから「メキシコのイキり翼竜」「ゴマすりクソバード」というセンス溢れまくりのあだ名がつけられていることですね。
もうそれも超納得、そんなゴマすりクソバードを愛してやまないファンアートも投下されることになりました。

ついでに『三大怪獣 地球最大の決戦』における、怪獣同士の説得において「そうだそうだ!」と言うラドンを思い出す方も多発。
うん、まあ、ラドンはそんなヤツだったよ!


※SNSで使いやすい画像としても流行っていたそうです。

そんなラドンですが、ドッグファイトで戦闘機から脱出したパイロットを丸呑みするなどのやっぱり愉快な見せ場が用意されて良かったですね。次回作ではラドンが三下として活躍する様を期待しています。

※ちなみに「ゴマすりクソバード」はもともとアニメ『けものフレンズ2』のキャラに付けられた異名でした↓
ゴマすりクソバード (ごまちゃん)とは【ピクシブ百科事典】

まさかのあの作品に一番近かったとは……

本作では歴代ゴジラのオマージュてんこ盛りな訳ですが、まさか珍作『ゴジラ FINAL WARS』に一番近い内容になっているとは思いもしませんでしたね。


※映画レビューマンガ「邦キチ!映子さん」でもついに取り上げられました。

残念と言えば残念だったのが、そのファイナルウォーズ的に世界各地で暴れ出す怪獣が東宝怪獣シリーズに登場していたヤツではなく、全てオリジナルの怪獣だったこと。
これは怪獣の使用権があまりに高額だったためという事情もあるようなので、しょうがないなとも思うんですけどね。↓
あのマンモスみたいなモンスターは?ガメラと共演はあるか?ドハティ、"その他"のモンスターを語る | 恐怖電影通信社

まあマンモスみたいな怪獣のお前誰だ感も面白かったのでOKです。そういやクモンガっぽい怪獣もいた気がするけどまあデカいクモだからセーフ!

ドハティ監督…

そんな訳で劇中の登場人物と同等のゴジラ狂いのドハティ監督ですが、今では堰を切ったように可愛いファンアートをTwitterでリツイートしまくっていることも話題になっています。
ていうかゴジラ×モスラのカップリングのKAWAIIイラストが多いな!劇中で「いい仲」と言われていたしね!

うん…あの…ドハティ監督…ストーリーが〜とか文句言っててごめん、一生ついて行きます。

(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

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