実写映画版『ゴースト・イン・ザ・シェル』アイデンティティの模索(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

実写映画版『ゴースト・イン・ザ・シェル』アイデンティティの模索(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はゴースト・イン・ザ・シェルです。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:ここまでリスペクトをしてくれてありがとう!

あらすじ

少佐(スカーレット・ヨハンソン)は凄惨なテロ事件に巻き込まれ、脳以外は全て義体となり、蘇った。
彼女は捜査組織「公安9課」に身を置き、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まるべく日々業務をこなしていたが……

士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作とした、ハリウッド製作の実写映画です。

……と言う触れ込みではありますが、実際はこの漫画だけではなく、押井守監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』や、神山健治監督のテレビアニメシリーズ『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』に多大な影響を受けていることが明らかでした。


漫画版はけっこうコミカルな描写が多かったのですが、押井守版の映画は始終シリアスな雰囲気で、哲学的に語り合うシーンが多めでした。
今回の実写映画版も押井守版っぽいシリアス寄りの作風で、いくつかのカットにはやはりそのオマージュが観られました。

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の2期シリーズ『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』からは、「クゼ」という同名のキャラがこの実写映画版にも登場しています。
こちらのアニメを観ていると、ストーリーに何かしらの「リンク」を感じることができるのかもしれません。

総じて今回のハリウッド実写映画版は、日本の『攻殻機動隊』という作品群に多大なリスペクトを捧げていることは、異論がないでしょう。

ビジュアルは文句なし!

いやもう、『ブレードランナー』を彷彿とさせる近未来のビル群、ゲイシャのロボットが登場する純和風(?)の景観などなど、実写映画で再現してくれただけで「ありがとう!」と言うほかありません。


※この映画とは関係ありません。

ちなみに、ゲイシャのロボットの一体は『ウルヴァリン:SAMURAI』の福島リラが実際に衣装を身にまとい、演じていたそうです。

なお、本作の監督は(物語の出来がアレだった)『スノーホワイト』のルパート・サンダースです。
思えば、監督は同作で『もののけ姫』を綺麗にトレースすることをやらかしていたので、もともと漫画やアニメの実写化には向いていた人物なのかもしれません(もちろん、世界観を作り上げたのは他のスタッフの尽力が大きいのでしょうが)。

ブログのレビュー↓
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「アイデンティティ」に焦点を絞った脚本が秀逸!

この実写映画版で、主人公の「アイデンティティ」の問題に絞って脚本を作り上げたことも、賞賛に値するのではないでしょうか。
原作にあった「ネットに直接アクセスする電脳技術」という設定は「さわり」程度に留めておくことで、小難しさはなく、主人公に感情移入しやすくすることに成功しています。
(事実、押井守監督はトークショーにて「主人公のアイデンティティの扱い方に関しては僕の映画以上によく出来ている」と語っていたそうです)

個人的に、押井守監督の哲学をずーっと語る作風はちょっと苦手なので(ファンの方ごめんなさい)、本作のSF描写と会話劇のバランスは「ちょうどいい」塩梅でした。

ホワイトウォッシュを気にするな!

本作はオリジナル版の主人公が「草薙素子」という日本人名であったのに、アメリカ人のスカーレット・ヨハンソンが同役を演じるということで、「ホワイトウォッシュだ!」という批判が浴びせられていました。

ホワイトウォッシュというのは「キャストの白人化」という意味で、黒人やその他の有色人種が配役されないことを指します。
これが映画界においてしばしば問題になっていて、過去には『PAN パン ネバーランド、夢の始まり』でオリジナル版では黒人であったキャラにルーニー・マーラが配役されたことで、かなりの反対意見が挙がっていました。
※過去の記事↓
映画『PAN パン ネバーランド、夢の始まり』が全米でネガティブに捉えられているふたつの理由

自分も、今回の配役は「確かに主人公が日本人じゃないのは残念だな、でも仕方がないか」くらいに思っていたのですが……本編ではこのホワイトウォッシュ問題に真っ向から立ち向かっているとも取れる、ある「答え」を用意しているのに驚きました。
詳しくはネタバレになるので↓に書きますが、「ホワイトウォッシュだ!」と怒っていた人にこそ、この映画を観てほしいです。
というか、スカーレット・ヨハンソンかわいい!カッコイイ!だけで全てが許せるんですけどね(←台無しな文章)

1人だけ日本語でしゃべる違和感が……

さてさて、そんな感じで基本的には大好きな映画なのですが……無視できない難点もあります。

その1つが、ビートたけしだけが日本語、他全員が英語でしゃべっているのに全員に平気で話が通じるという、Google翻訳が超進化したか、ドラえもんのほんやくコンニャクが存在しているとしか思えない光景が続くこと。

自分が観たのは日本語吹替版なのですが、それでもビートたけしがしゃべる時だけ英語字幕が常に登場しまくるのがシュールでした。
しかも、ビートたけしは聞き取りにくい滑舌の悪い声でしゃべっているため、英語字幕を観たほうが何を言っているのかがわかりやすいという珍現象まで起きています。

※ビートたけしの横には英語字幕が出ます。

ビートたけしは「日本語でしゃべるのでよければ」ということで出演を承諾し、撮影時にスカーレット・ヨハンソンから日本語のカンペを手渡されるなどと、丁重なもてなしを受けたということですが……ブロークンイングリッシュでもいいから英語を話してほしかったかなあ。
大スターであるからと、あんまり持ち上げてもいいことはないと思います。
ていうか原作の荒巻とビートたけしはイメージが違うし、SFのはずがアウトレイジ化しているシーンもあったし……(これはむしろ面白いけど)。

また、単純な問題として、アクションシーンが思ったより少なく、中盤は主人公の内面描写が続くためにメリハリに欠けるということもあります。
上映時間が107分と短めであることも、「物足りなさ」に拍車をかけることになっていますね。

『攻殻』ファンなら是が非でも観てみよう!

苦言も呈しましたが……ここまでの大資本で『攻殻』を実写で再現してくれたというだけでも、映画館で観る価値のある作品なのは間違いないでしょう。
それでいて、シリアスなSFとして手堅くまとまっているので、『攻殻』をまったく知らない人にも十分におすすめできます

日本語吹替版が、田中敦子、大塚明夫、山寺宏一と、アニメ版のキャストが再集結している素晴らしさなので、そちらを観てみるのもいいでしょう(「クゼ」が小山力也であることもアニメ版と共通)。
水準以上の出来のSFとして、おすすめします。

あ、あとバトーがかわいいです!大塚明夫ボイスも合わさって萌え萌え!

以下は結末を含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め

野暮な不満点

公安9課のメンバーの活躍が少なすぎるがな!
トグサなんて「俺は(義体にならずに)人間のままでいい」と言っただけでほぼ出番が終了、バトーは少佐に助言をした後は「少佐が博士を殺すはずない!」と声を荒げただけやんけ。
サイトー泉原豊)には狙撃の大役が与えられていたけど、それだけじゃあなあ。

ていうか、少佐は中盤から単独行動をしすぎですよねえ……必要な描写だとはわかっているのですが、もっと仲間(特にバトー)を頼ってやって!

あ、でも『イノセンス』や『ガルム・ウォーズ』と同じくパセット・ハウンドがかわいくて、バトーがワンちゃんといちゃいちゃしていたのはよかったですね。
バトー「犬によく懐かれるんだ」→少佐「餌をあげているからでしょ」の会話も好き。


※こちらもパセット・ハウンドがかわいい映画です。

それらの公安9課のメンバーの活躍が少ない代わりに、ビートたけしが『アウトレイジ』風に敵を倒したり、『ソナチネ』風にラスボスを撃ち殺して、良いところをかっさらって行きました。
いや、日本人としてその活躍が多いのは嬉しいし、スタッフがたけし映画が大好きなことは伝わってくるんですけどね。荒巻ってそんなキャラだっけ?

あ、あとタチコマが出てこないのはやっぱり残念だよ!かわいいもんタチコマ!(※『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』に出てくるマスコットキャラの名前です)

バイセクシュアル設定

少佐が街のいた女性(娼婦?)と行きずりで抱き合うのに驚きました。
原作では少佐は実はバイセクシュアル設定で、子どもには見せられないアレなシーンまでもがあったんですよね。そこまでリスペクトするとは!

アイデンティティ

中盤から、ミラ・キリアン少佐の過去の記憶は捏造されたものであり、いままでに100体近くの強制的に義体化された人間がいたこと、クゼはその「失敗作」として扱われてきたこと、黒幕は企業内で義体を推し進めていたタッカーであることが明らかになります。

こうして「作られた記憶」により苦悩するというのは、クローン人間を扱った多くのSFで扱われてきたことですね。
ここから、少佐は自己のアイデンティを求めてさまようのですが……行き着いたのは桃井かおり演じる母親がいる家でした。
そこで、彼女は「草薙素子」という名前も知る!

そう、アメリカ人(スカーレット・ヨハンソン)の外見とミラ・キリアンという名前は、義体化した後の姿に過ぎなかったのです。
彼女は、元々「草薙素子」という名前の日本人だった……。

そうであれば、「別人になった姿」にアメリカ人を配役するのは、まったく問題がないですよね。
前述した配役の批判を、こうして覆すとは思いもよりませんでした!

承認する

少佐は自身のアイデンティティに悩んでいたのですが、最後に「承認する」という言葉を告げて、決着を付けました。

この前に少佐は博士に「承認なんて必要ない」と言われており、それはただただ企業に利用される傀儡のようなものであることと同じです。
「承認する」を口にするというのは、まさに「自我」そのもの。少佐は、自我を確固たるものにするという形においては、アイデンティティを取り戻すことができたのですね。
(この決着は『ロボコップ』のオマージュとも言えるかも?)

※『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』のクゼについてはこちらを参照。素子ときょうだいのような関係であったクゼの描写は切なかった……↓
クゼ・ヒデオ (くぜひでお)とは【ピクシブ百科事典】

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  1. オープンリーチ より:

    私は「攻殻機動隊」シリーズは浅く知っている程度でしたが、今作は下手に詳しくなかった分、粗を見つけずに済んだため、十分楽しめました(アクションシーンはCGモロ分かりなところがあり、やや乗れないところも…)。
    荒巻(たけし)がアウトレイジ化するシーンでは、私はアウトレイジは観たことがないので、あのシーンは別の映画、「HANA-BI」で主人公(たけし)が犯人(薬師寺保栄)を撃って、さらに追い討ちするシーンに見えて、あの時のたけしの顔がリンクしめちゃくちゃ怖かったです。

    • hinataka hinataka より:

      自分はそういえば「HANA-BI」を観たことなかった……そちらのほうのオマージュなのかもしれませんね。

  2. のの人 より:

    最後に取り戻した本当の自我が「草薙素子」だったというところに原作への愛を感じますね。
    荒巻は腕利きの軍人出身って設定でテレビシリーズの「STAND ALONE COMPLEX」では犯罪に巻き込まれても余裕で解決するエピソードもありますから、戦闘能力自体はあってもおかしくはないと思います。ただリボルバー一挺でサブマシンガンを使う暗殺者複数に勝っちゃうのは、さすがに相手が無能すぎるとしか言いようがありませんが。もう少し巧みな戦術を駆使して敵を無力化させる的な描写が欲しかったところです。
    ちなみに少佐はレズビアンではなくバイセクシャルです。原作の方だと別の課の男と同棲しているエピソードがありました。そもそも原作では「女性形のサイボーグ」と言われていて、女性であると断定されてないんですよね。
    アニメの方では女性だったと示唆されてましたが、作品ごとに微妙に設定が違うので、この辺は曖昧なところでもあります。 

    • hinataka hinataka より:

      >少佐はレズビアンではなくバイセクシャルです
      ごめんなさい!思いっきり間違っておりました。修正します。

      >女性形のサイボーグ」と言われていて、女性であると断定されて
      原作を読み込んでおらず、その認識がありませんでした……にわかファンでごめんなさい。

      >リボルバー一挺でサブマシンガンを使う暗殺者複数に勝っちゃ……
      さらにビートたけしがおいしいところを・・・。

  3. 毒親育ち より:

    ああ・・・ハリウッドですら「他人の褌借りてオレの映画を撮る!」なクズがいるのかなあ・・・
    (ファンタスティク・・・?うぅぅ・・・頭がッ!!)
    >一言感想:ここまでリスペクトをしてくれてありがとう!
    ヒナカタさんの仰るこの一言に尽きます!

    でも・・・
    >漫画版はけっこうコミカルな描写が多かったのですが、
    世界中で愛されているのは原作漫画「攻殻機動隊」でなく「GHOST IN THE SHELL」なんだと思い知らされました。

    >ビジュアルは文句なし!
    アニメ映画版だと東京が街中漢文の看板だらけで香港みたいになっちゃってましたけど、実写版は監督のトチ狂った日本愛が感じられる街並みでしたね・・・。
    でも公用語が英語のようで、無政府主義者街があったり、人種も色々だったり、やっぱり近未来はこうなるのなかな?といった感じが原作どおりでした。

    >「アイデンティティ」に焦点を絞った脚本が秀逸!
    お母さんが容姿が人種まで変わってしまった娘のゴースト(魂)を感じるとか・・・!監督が「GHOST IN THE SHELL」という原作の精神を愛しているのだと思い知らされました!

    >ホワイトウォッシュを気にするな!
    ごめんなさい!正直ここで観賞見送りを考えていた程です。まさかあんな設定に活かされているとは!のの人が説明してくださっていますが、原作でもアニメシリーズ(こちらで一応生立ちが描かれましたけど)でも出自が謎な人なんですよね。原作でも「自分が脳味噌すら残っていないんじゃないか」なんて恐い冗談を友人と言い合っていたり。
    あと

    >1人だけ日本語でしゃべる違和感が……
    みんな電脳化してるから同時通訳されているのかと思っていましたけど、生身のトグサさんにも話が通じているのが違和感凄過ぎでした。

    >ビートたけしは聞き取りにくい滑舌の悪い声でしゃべっているため、英語字幕を観たほうが何を言っているのかがわかりやすいという珍現象まで起きています。
    ここ吹替えを採用すべきだったと思います。

    >ていうか原作の荒巻とビートたけしはイメージが違うし、
    正直、本作のたけしさんはこのボソボソしゃべりが荒巻課長っぽくない上に世界感にもマッチしていなくて「え?たけしさんてこんなダイコンだった?枯れちゃったなあ・・・」感が悲しくすらありました。
    民間委託業者へ見下した態度を取る役人は大嫌いですが、圧力をかけてくるカッター社長と相対するシーンでもっと「勘違いしてんじゃねえぞ?“御上”はこっちだし、オレ達が「おまわりさん」だってこと忘れてねえか?」な本音を含ませた凄味を感じさせて欲しかったです。あれでは「渋々承知しますけど釘は差して置きますからね」な日本の中間管理職だよ!?

    ・・・でもラストの無双っぷりは!!

    >野暮な不満点
    公安九課の強面のおじさんばっかりな所が大好きな自分には悲しかったです。

    >あ、あとタチコマが出てこないのはやっぱり残念だよ!かわいいもんタチコマ!
    やっぱりハリウッド超大作の中では低予算だったのでしょうね。
    こいつらが出ていればキッズだって呼べそうなのに!TVシリーズの家出する話しとか、ラストでサイトーさんとの別れのシーンとか、ロボットは友達!な子どもたちには最高ですよ・・・。

    >バイセクシュアル設定
    原作の少佐は副業でAV女優をやってるほど茶目っ気もある女性なので、アニメ版の「少佐」を先に知った私は面食らいました。
    でもどちらも「鉄の法の執行官」なんですよね。

    >アイデンティティ
    ちょっと気になったのは、鉄の法の執行官である少佐が無政府主義者でアウトローだったことですね。特に原作漫画だとブラック工場で虐げられていた児童労働者へ「ここから“解放”されるということは、どういう事か解ってる?」的な辛辣な言葉を贈ったり、極左過激派へ「そんなにこの世が嫌なら、とっととあの世へ行け!」とまで言い放ち、なにより法を犯した者は体制側の人間でも情け容赦の無い人ですから。
    特に反体制的な主義主張が有るわけでもない自由人部落みたいな感じだったのかもしれませんけど、その頃の自分の記憶が戻った上に政府(正確には業務委託された民間企業)に酷い目に遭わされてまだ公安九課の少佐で居続けるのは違和感がありました。
    まあ。そんな「鉄の公僕」だった少佐も原作とアニメ版では最後は国家に裏切られて世捨て人の仙人みたいになってしまうのでけど。実写版では取り戻した草薙素子としての人生をお母さんと歩み出すラストが爽快でした。

    余談ですが、同じ境遇で全知全能の超越存在と化してしまい。人類の救世主を目指しておかしな事になってしまったのが『トランセンデンス』のキャスター博士でしたね。

  4. yama より:

    ここ最近観たハリウッド映画の中では一番中国資本に意味のある作品でしたw

    ヒナタカさんが書かれていた通り、少佐が自らのアイデンティティを取り戻す話に焦点を絞った脚本が意外としっかりしていたおかげで解かりやすくかつ感情移入しやすい内容になっていたのには好感が持てました。反面、原作や押井版の「人形つかい」に比べると、物語のスケールが目減りしている感は否めないような気がします。
    あと、クライマックスのカッター社長には「お前が戦車動かす必要ないだろ!」とツッコミたくなりました。

    荒巻役のたけしは公安9課の課長というよりは元ヤクザにしか見えず、アウトレイジというかたけしが昔出演した「JM」その後みたいな感じでした。そういえば主演のキアヌ・リーブスがその後出演して大ヒットした「マトリックス」も攻殻をリスペクトした映画でしたね。

  5. いいこま より:

    もしかしたら劇場で観られずに終わっちゃうのかなあと危惧してましたが漸く観られました。
    『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(因みに2回観ましたが2回とも英語吹き替え版なので原語版は未見です)『イノセンス』は観たもののそれ以外だと士郎正宗先生の原作やS.A.C.シリーズは殆ど未見(後者はある程度は観たのですがどういうわけか序盤から観なくなってそれきりですし2nd GIGは完全に未見)でARISEも途中までしか観てない身なので朧気程度の知識量で観てしまいましたが…他の方も仰ってるように元作品である押井版のテーマや演出等の流れが大体オマージュされていた(例えば少佐のボディの製造過程、団地の上空を飛行機が通過する、敵機のハッチだったかを腕が捥げようが開けようとする、等)こともあって個人的には良かったです。
    欲を言えば西瓜が発砲で弾けたりとか、スタッフロールを押井版のオープニングのプログラミングコード風にしてほしかったとか、「ネットは広大だわ」が聞きたかったとかはありますが、2つ目に関しては「『攻殻機動隊2.0』だってコード風じゃなかった」「最初の方でそれっぽいのがあった」「押井版オープニングで用いられた『Making of a cyborg』のリミックス版がエンディングで使われた(しかも『傀儡謡』の要素も入ってた)」というのがありますし、3つ目は展開的に入れようがないというのであまり本気で気にしてなかったりします。
    >『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の2期シリーズ『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』からは、「クゼ」という同名のキャラがこの実写映画版にも登場しています。
    こちらのアニメを観ていると、ストーリーに何かしらの「リンク」を感じることができるのかもしれません。
    >>『S.A.C.2nd GIG』未見ながらもクゼの存在は知ってたので「ほう、こっちからも出してくるのね」と思ってましたがそうは言ってもやはり知識的に疎いところもあったので「人形使いの代わりみたいな役割なのかな」と思ってました…が、なるほど単にそれだけじゃなかったんですね。
    >いやもう、『ブレードランナー』を彷彿とさせる近未来のビル群、ゲイシャのロボットが登場する純和風(?)の景観などなど、実写映画で再現してくれただけで「ありがとう!」と言うほかありません。
    >>『攻殻機動隊』シリーズと同じくProduction I.Gが手掛けた『PSYCHO-PASS』でも思ったことながら、「やはりああいう『ブレードランナー』チックな間違った日本観を入れてくれるのはなんか好きだなあ」と思いました。エンドロールで福島リラさんの名前を見掛けて「何処に出てたっけ」と思いましたが芸者ロボの一体だったのは気づきませんでした。
    余談ですが、よく見ると景観の中に「イノセンス」の文字を窺うことができたのは個人的に小ネタが効いてて好きです。あと小ネタと言えば「アヴァロン」の名前が登場してたのも個人的にビビッときてました。
    >個人的に、押井守監督の哲学をずーっと語る作風はちょっと苦手なので(ファンの方ごめんなさい)、本作のSF描写と会話劇のバランスは「ちょうどいい」塩梅でした。
    >>「押井イズムがしっかりなぞられてたのは良かった」と思う一方で「でも押井イズムって難解だから頭がこんがらがることもあるよなあ」と思うところがあるだけに同感です。
    監督も「アニメ版における少佐の内面が見えにくい面が魅力だと感じるけど実写版だと少佐の経験をより理解させる必要があるから内面を見せる方に振った」と述べてましたがホントその方向に振ってくれてよかったです。
    >ホワイトウォッシュを気にするな!
    >>少佐の配役を見た時に「日本人じゃなくていいのかなあ…。まあどうなるか気になるからそれでも観るけど」と感じていましたが、いざ観てみると「外観がどうかじゃなくて中身のアイデンティティーがどうなのかが肝」といった感じで「演じる人間の国籍がどうこうなんて気にするだけ野暮だった」と感じました。
    義体化~「草薙素子」としての記憶を取り戻すまでは「ミラ・キリアン」としてでしたし、このやり方なら日本人ではなく白人でも問題ないなと個人的に感じます。
    ホワイトウォッシュ批判に対する答えとして用意したわけじゃなく偶然でしょうがマッチしてます。
    >その1つが、ビートたけしだけが日本語、他全員が英語でしゃべっているのに全員に平気で話が通じるという、Google翻訳が超進化したか、ドラえもんのほんやくコンニャクが存在しているとしか思えない光景が続くこと。
    自分が観たのは日本語吹替版なのですが、それでもビートたけしがしゃべる時だけ英語字幕が常に登場しまくるのがシュールでした。
    しかも、ビートたけしは聞き取りにくい滑舌の悪い声でしゃべっているため、英語字幕を観たほうが何を言っているのかがわかりやすいという珍現象まで起きています。
    >>自分の場合も吹き替え版で観ましたが他のメンバーも日本語で喋ってることもありそういう意味では自分は気にならなかったです。ただ、「でもこれ原語版だと荒巻課長以外は英語なんだよなあ…。そうなると珍妙なことになってるんじゃ」とは感じてました。
    尤も、パンフに書いてあったたけし氏の「自分は英語能力に限界があるから日本語で喋ることを選択したけど、電脳のおかげで自分が日本語で喋ってても他の面子がそれぞれの言語で理解できるし、そういった時代が本当に来たら便利だね」との発言を見た時、自分は一旦は納得しましたが、後になって「あれ、電脳ってそういうほんやくコンニャク的なものだったっけ…?」と思いました。
    あと、喋り口調はホントにたけし氏のまんまなので「大体は聞き取ったけど英語字幕がなかったら聞き取れなかったのが一部…」というのが自分の場合もありました。
    とはいえ自分の場合は「まあ、あれもアリか」とは思ってました。本気でたけし氏のまんまだったらもっとヤバいことになってたでしょうし(実際の作中描写も既にヤバいですが)。でも『バトル・ロワイヤル』の教師とか『MOZU』のダルマと比べると「やっぱりもっと合ってる人いたんじゃないかなあ」と思わないと言えば嘘になります。
    >公安9課のメンバーの活躍が少なすぎるがな!
    >>テーマがテーマなだけに無理もないですし自分は特に気にしてなかったですが確かにそうですよねえ。バトーは未だそこそこあったけどせめてトグサはもっと出してほしかった…。
    >あ、でも『イノセンス』や『ガルム・ウォーズ』と同じくパセット・ハウンドがかわいくて、バトーがワンちゃんといちゃいちゃしていたのはよかったですね。
    >>『イノセンス』を観た身としてはガブリエルが登場してくれたのはホントに良かったです。
    >それらの公安9課のメンバーの活躍が少ない代わりに、ビートたけしが『アウトレイジ』風に敵を倒したり、『ソナチネ』風にラスボスを撃ち殺して、良いところをかっさらって行きました。いや、日本人としてその活躍が多いのは嬉しいし、スタッフがたけし映画が大好きなことは伝わってくるんですけどね。荒巻ってそんなキャラだっけ?
    >>「それ荒巻課長というより中の人じゃねーか」「この荒巻課長なら講談社襲撃してもおかしくないわ」と思いながら観てましたw
    自分は割とあのキャラクタは好きな方ですが、荒巻課長ってもうちょっと落ち着いてる人だったような…。とはいえ「リボルバー片手に過酷な政治の時代を生き抜いてきたものの過去は謎」とのことですし案外昔取った杵柄だったりしてと想像してみたりもします。
    >あ、あとタチコマが出てこないのはやっぱり残念だよ!かわいいもんタチコマ!
    >>『ARISE』のロジコマにも言えることながら確かに可愛らしいですからねえ。クゼの例もあるのだから出してもよかった気もしますがまあS.A.C.よりも押井版の方に寄せてるので出てこなくても無理はないかもしれません。或いは興味がなかっただけかもしれませんが…そうでないことを。
    >少佐が街のいた女性(娼婦?)と行きずりで抱き合うのに驚きました。原作では少佐は実はバイセクシュアル設定で、子どもには見せられないアレなシーンまでもがあったんですよね。そこまでリスペクトするとは!
    >>あのシーンを見た時「そういえば少佐にそういう設定あったって何処かで聞いたことあったなあ」というのを思い出しましたが、具体的には知らなかったので、のの人さんや毒親育ちさんのコメントが参考になりました。
    >世界中で愛されているのは原作漫画「攻殻機動隊」でなく「GHOST IN THE SHELL」なんだと思い知らされました。
    >>間違ってたら申し訳ないですが、『AKIRA』もそんなところあったような気がしますからねえ…(まあ、あちらの場合監督が原作者というのもあって様相は異なりますが)。
    >みんな電脳化してるから同時通訳されているのかと思っていましたけど、生身のトグサさんにも話が通じているのが違和感凄過ぎでした。
    >>トグサも義体化こそしてないものの電脳化はしてるようなので彼もまた他の面子と同様に同時通訳されてたのでしょう。

  6. 毒親育ち より:

    思ったよりもホワイトウォッシュを受け入れられない人が多いようで悲しいです・・・。
    確かに私も配役当初は「スカヨハ姐さんかあ・・・。まあ、人種はともかく雰囲気は『GHOST IN THE SHELL』の少佐にはピッタリかな。そもそも産まれた時の人種や性別も謎で本人も疑問に思ってるような人だし」・・・で、スカヨハ姐さんが演じる主人公が草薙素子ではないと知った時は「他人の褌でテメエの映画撮ってんじゃねえぞッッッ!!」でしたが・・・観賞後は。
    >ここまでリスペクトをしてくれてありがとう!
    なんですが・・・。

    個人的に、少佐はメディアシリーズ毎に出自や性格も微妙に異なってますが、己の出自も謎のままトランセンデンスしてしまったような少佐に「帰る家」と「待っていてくれる家族」が出来た・・・というだけで少佐が人として救われた世界線というだけで泣ける程満足なんです。
    (また桃井かおりさんの暖か過ぎるお母さんが・・・『あなたを抱きしめる日まで』のジュディ・ディンチさん級だよ!)

    >ゲイシャのロボットの一体は『ウルヴァリン:SAMURAI』の福島リラが実際に衣装を身にまとい、演じていたそうです。
    そういえば。この人もファンが推す草薙素子役の候補にあがっていたそうですね。

    いいこまさんのご指摘。
    >トグサも義体化こそしてないものの電脳化はしてるようなので
    ああ!『GHOST IN THE SHELL』と『イノセンス』を観返したみたのですが、擬態化は頑なに拒んでいるようですが、通信の為に最低限電脳化はしてるんですね(『イノセンス』のトウラマシーンでも描かれてました)あの時代の電脳化してないって現代の「携帯電話持ってない」なんでしょうね。
    (社会人になるまで「あんなもん猫の鈴だ!」と拒んでいて、上司に「持たないなら勤務時間外と休日の外出先の教えといて」となぜそんな事をしなければならないか穏やかに切々と説かれて転んだ人です。いまじゃドップリ生活必需品・・・)
    でも・・・絶対嫌だぁッ!!だって「ゴーストハック」とか怖いし!

    余談ですが。あの可哀想な清掃員さんのシーンはもっと彼を「被害者」として悲惨に描いて欲しかったなあ・・・現実にもパソコン乗っ取りで冤罪事件とか起こってるし、原作漫画とアニメ映画で彼にサイトーさんが親身になってくれてる取り調べのシーンとかも好きなので。
    それにしても悲惨過ぎる・・・。私がサイトーさんなら救済措置として「十二人の妹」や「五人のママ」と仮想現実で暮らせるソフトをそっと差しだしたい・・・(救済という名の沼に引き摺りこむ悪魔)

    あ・・・。
    清掃員さん「ただいまー!ふう今日も疲れた・・・けど、がんばったよ!」
    タチコマ「パパ!おかえりなさーい!!」
    サイトーさん(新妻エプロン姿で)「おかえりなさーい!今日はハンバーグよ!パパもコマの手を洗ってらっしゃい」
    清掃員&タチコマ「わーい!!」
    その光景を双眼鏡で観て・・・
    少佐(鼻血出しながら)「ネットは広大ね・・・」
    トグサ「いや、ネット関係ないでしょ?」
    みたいな。田亀源五郎で柴田亜美みたいな画を想像してしまった私をお許しください。

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ヒナタカ

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