
『星を追う子ども』ジブリのごった煮アニメ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は「星を追う子ども」です。
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:想像以上に精神的にキツいお話+ジブリ
あらすじ
主人公の少女:アスナは鉄道の上で熊のような化け物に出くわす。そこに助けに現れたのはシュンという謎の少年だった。
彼は「アガルタ」という場所から来た人間だと語る。
二人はしだいに心を通わせていくが、ある日シュンがいつもの場所にいなくなってしまう。
一方新任教師のモリサキは、ある理由のためアガルタへの道を探していた。
アニメファンには有名な「新海誠」監督の最新作です。
この映画でみんなが思うことは、ほかのことを差し置いてこれでしょう。
「ジブリ(もしくは宮崎駿)じゃん!」
似ているシーンを書けばきりがないほどです。
そんなにネタバレしてない範囲で言えば
- やたらおいしそうな食事のシーンがある(本家にはかなわないけど)
- 気持ちの悪い「ドロドロ」が出てくる。
- 主人公の見た目が「となりのトトロ」のサツキっぽい。
- マスコットキャラの「ミミ」も「風の谷のナウシカ」に出てきたキツネリスのまんま。
- 主人公とヒーローの男の子の関係はまんま「千と千尋の神隠し」のハクと千尋っぽい(男の子の声優さんも同じ)。
- 先生が「天空の城ラピュタ」のムスカっぽい笑みを浮かべる。
- ていうか光るペンダントというアイテムがまんま「ラピュタ」
実際はこれだけではありません。
もう隠す気ねえだろと言えるほどジブリ作品のデジャヴを感じる作品になっています。
個人的に言えばこれをパクりだろ、と批判する気はないです。
良いものはマネしていいと思いますし、先達の教えがあってこそ創造できるものがあるのですから。
でもどこまで模倣できるかのチキンレースみたいになっているくらいなので許せない人もいると思います。
ジブリっぽさを感じる反面、ストーリーは独創的・・・というよりもかなり大人向けかつ、専門用語の多い、わくわくしにくい仕上がりです。
アニメファンにはおすすめしたいんですが「冒険もの」を期待している人には肩すかしかも。
なぜなら「ゲド戦記」みたいにウジウジ悩むシーンが多い作品なんですよ。
自分はゲド戦記もそんなに嫌いじゃないですし、ジブリっぽい場面や中二病くさい設定(←失礼)も含めて楽しめたのですが・・・これを容認できるかどうかでも評価がわかれそうです。
また、画は本当に美しいです。
田舎の山々の風景、退廃した「アガルタ」の世界観、一面の星空、入道雲などの描写は一見の価値があります。
流血シーンや怖いシーンもありますし、お子さまの鑑賞には向きません。
ストーリーの不満点は大いにありますが、大人のアニメファン同士で観れば十分に楽しめると思います。
ps:冒険の舞台の「アガルタ」は、古事記に出てくる「黄泉の国」がモチーフになっています。
神話や歴史に詳しいと世界観をより楽しめるかもしれません(「グノーシス主義」などの用語もさらっと登場します)。
以下、ネタバレです 結末に触れています↓
成長物語
一番気になったのは「主人公の行動原理」です。とにかく成り行きなんです。
やってることは「先生にくっついていくこと」でした。
はじめに先生にいく理由を「シュンを生き返らせるためか」聞かれ、「わからない」と答えますし、
終盤には「(生きかえりの願いを叶えられる場所へ行けない自分に対して)私は寂しかっただけだった!」と言います。
この映画は「どこかへ行って、何かを見つけて戻ってくる物語」と監督自身も言っています。
それなのに、主人公が知ったことが「寂しい」では・・・
主人公の成長物語としては、個人的にはガッカリしてしまいました。
*このことについてコメントをいただいたので、引用させていただきます。
人間にとって一番不幸なことって自分自身を認めたり許してあげられないことだと私は思うのです。
自分の中の様々な気持ちや人生と向き合うことを「つらいから」と言って逃げ、現実逃避をし、自分がどうしたいのか、自分が何者なのかが次第にわからなくなってしまい、自分の奥底にある感情に鈍感になってしまってる人が多いこの世の中。
アスナもその典型的な一人です。
あなたが仰っていたように、成り行きで、自分の気持ちも「わからない」で、ただ先生にくっついて行くことしかできなかった。
アスナにとってそれは、「寂しい」ことからの現実逃避だったのかもしれません。
アスナの人生において大きく占めるもの、アスナの中に最も深く根付いているもの、それが「寂しい」という感情だということはアスナの生い立ち(父が早くに亡くなってる)や生活(母はほとんど家にいなく、友達も少ない)を見ていればわかることでしょう。
でも、アスナは自分自身の中にある「寂しい」を今まで認めてあげられなかったんです。
認めたら自分がつらすぎるから。
そんなアスナの心の隙間を埋めるようににそっと入ってくれたのがシュンだったのです。
でも、そのシュンさえもいなくなってしまって、さらに新しい「寂しい」がアスナの心に積もった。
でもアスナはそのことを自覚してませんし、シュンの「死」というものを認められないまま、「寂しい」という現実から逃れるために先生について行った……というところはあるでしょう。
先生のことを父親と重ねてるようですし、寂しさを埋めるため、今度はシュンでなく先生のところへ……という感じだと思います。
でもきっと、彼女なりに現状をどうにか変えたくて、必死にもがいて決断したというところもあると思います。
そんな彼女が初めて「別れ」を認められた、又は自分自身の気持ちと向き合えたのが、ミミとの別離のところ。
どうしようもなくつらく悲しいけれど、アスナは現状を認めて、ちゃんと「さよなら」と告げます。
その時、アスナの中で、ずっとうやむやにして逃げてきた「シュンの死」という現実を受け入れることができた描写もありますよね。
そこがアスナの成長だとは思いませんか?
そして、そのことをきっかけに、自分がこんなにも弱くちっぽけな存在だったということにやっと気づくんです。
崖を目前にしてのシーンです。
「崖を降りる覚悟も勇気も何もなかった」「自分が本当に望んでいたのはシュンを復活させることじゃなかった」と自分の間違いに気づいて涙します。
そこでやっと彼女は「先生について行くだけの自分」をやめ、初めてひとりで自分自身と向き合うことを自分の意志で選べたのです。
そこから彼女が今までの自分の人生を走馬燈のように振り返って見つめるシーンがありますよね。
その自分自身の人生や気持ちと勇気を出して向き合った先に見つけたものが、アスナにとって最も大切な部分であり、今まで最も逃げ続けてきた「寂しい」という気持ちだったのです。
それを逃げずに向き合って最終的に自分の気持ちを認められた……ってとてもすごいことだとは思いませんか?
また、アスナが残されている母親のことを気にかけずに冒険しているのに違和感がありました。
「アガルタ」に行ってから明らかに数日たっているのですが・・・。
たとえば映画のドラえもんでは「タイムマシンを利用して、出発した時刻のすぐ後に帰る」という方法がとられていました。
この作品ではそれを完全にスルー。
作品の最後は「卒業式」に向かうアスナの姿で幕を閉じましたが・・・娘を心配する母の姿を見たかったのは自分だけではないと思います。
*「コミック版」では母がアスナを心配する様子が描かれているようです。
モリサキ先生へのつっこみどころ
「妻を生き返らせたい」という、作中では最もはっきりとした行動理由があった人物でした。
十分感情移入できるキャラなのですが・・・終盤それはないだろうという展開がありました。
最後に「フィニシュテラ」の崖を降りようとする先生は、女の子にも断崖絶壁を降りさせようとしてます。
止めろよ。アスナに「君は何のためにアガルタに来たんだ」とか言って追いつめるなよ。
しかもその後、残るアスナに対して「君には生きてほしいと思ってる」とか言います。白々しいぞ、先生。
ラスト
どうみても「ガンツ」にしか見えない黒い玉の中に入る先生。
無数の目があってキモい「船」の前で妻を生き返らせるという願いを叶えようとします。
アスナとシンはラピュタのロボットにしか見えない「ケツァルコアトル」に飲み込まれて先生を追います。
シンの方が先に中に入ったはずのにアスナだけが先に来て、アスナは妻の肉体になってしまいます。(この透明なドロドロもジブリだよね)
ただでさえムスカっぽかった先生、まさかの目つぶしで「目が~目が~」状態になります。
で、シンが「クラヴィスのかけら」を壊し、みんなで帰る・・・ってそれでいいんかい!?
意外性はありましたが、よくよく考えれば「誰も幸せにならんかった」話なんです。
・シンはフーテン生活を続けなければならない
・先生は妻を生き返らせなかったばかりか盲目に(ていうかアスナにひどいことしたんだから謝れ)
・アスナは・・・人の死を知り「ミミ」も失った
といった感じ。すっきりしなさすぎます。
そして最後は「アガルタ」に残る(だよね?)先生。
何故。
住んでるだけで糾弾されるんじゃなかったのか。
小難しい専門用語は説明するのに、こういったことを説明しないのはなんでかなあ。
他気になったシーン
・「イゾク」はアスナとマナ(言葉をなくした女の子)を連れていくのはいいけど何故その場で食べなかった?
ご都合主義・・・この怪物はかなり怖いので小さな子は泣いちゃいそうだ。
・水中を歩くシーンの遺跡はラピュタっぽいよね。
・先生とアスナが、光るペンダントともに底に沈むシーンもラピュタっぽいね。
・シンを見送った女の子
似たシーンがもののけ姫にある。もうこうなると馬もヤックルに見えてきた(さすがに気のせいです)。
・何故「ミミ」は死んじゃったの?
おそらく地上の空気に当てられたせいなのですが・・(もともとアガルタにいた)、ちょっと唐突にも感じました。
*コメントで以下の意見をいただきました。
ミミは「突然死んじゃった」というよりは、シュンみたいにもともと地上の空気で寿命が迫っていたところを、アスナを導くためにギリギリまで生きて役目を果たしたのだと思いますよ。
タイトルの「星を追う子ども」の意味って?
タイトルに関してコメントをいただきました。
今作の英訳の題は
Children who Chase Lost Voices from Deep Below
となっています。
「深層から聞こえてくる、失われた声を追う子ども」と訳せばいいのでしょうか。
アスナは、ラジオから聞こえてくる「声」を「追う」ので、このタイトルに合致しています。
日本語版の題は、シュン
英語版の題は、アスナ
を表しているのかもしれません。
総評
こうしてみるとストーリーの方はけっこう気になることが多いです。
アスナ、シン、先生の3者の行動理由がバラバラで収束しないのは気になりました。
3人が協力したりするエピソードがあればよかったのかも。
さんざん文句を言いましたが、世界観と雰囲気は最後の最後まで楽しめました。
特に序盤の「死」の描写には非凡さを感じましたし、見どころは多い作品だと思います。
この作品で好きなのは「勧善懲悪」ではなく、みんながそれぞれいい面や悪い面を見せていること。
目的に(文字通り)盲目的な先生、自分の居場所と目的を感じ得ることのできないシンの描写は大好きです。

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「星を追う子ども」、僕も観ました。
新海作品は他にもほぼすべて観ていますが、おっしゃる通りストーリーに若干の難点がある気が…
説明不足な感じは否めないのでは?
タイトルについては、題名の英訳を見ると少し分かるような気がしますよ!
コメントありがとうございます。
>タイトルについては、題名の英訳を見ると少し分かるような気がしますよ!
調べてみましたが、なるほど!ブログに追記させていただきます!
ブログも拝見させていただきました。
次元さんは、とても気に入られた作品だったのですね、悪い方向ばかり書いていてすみません。
「喪失」というテーマはとてもよく描けていた作品だと、自分も思います。
島根県では古事記1300年のイベントがあるらしく、今年は山陰に足を延ばそうかと思います。まず鳥取県の白兎海岸での白ウサギの話のあと、オオクニヌシの神は、八十神にいじめられたあたりが鳥取県日野郡あたりで、その後根之堅洲国のスサノオ神からも試練を受ける。このあたりは島根県安来市の富田八幡宮の境内社須賀神社あたりになろうかと思います。近くには、古代出雲王陵の丘と言う弥生大型墳丘墓の一種四隅突出型墳丘墓の密集地帯があるそうです。イザナミ神の神陵地である比婆山にも寄ってみたい。そうやって島根県松江市にある黄泉平坂のある揖夜神社に寄って、出雲大社や古代出雲歴史博物館のある島根県出雲市へと向かいます。こうやって、オオクニヌシの神の移動に合わせて観光するのも一興だと思います。古代歴史博物館に飾られている錆びずに出土した大刀は、中間地点の安来市から出土したらしく、ここはたたら吹き製鋼法を伝える和鋼博物館や、日本庭園世界一の足立美術館などもあります。
はじめまして。
ただの通りすがりの「星を追う子ども」ファンですが、感想を拝見して気になったのでコメントさせていただきます。
感想は人の数だけ違う…ということは承知の上で、思わず「待った!」をかけたくなってしまったのでお許し下さいませ。
あなたにとって「幸せ」とは何だと思いますか?
思いっきり目に見える、絵に描いたようなわかりやすい幸せだけが幸せだと思いますか?
人間にとって一番不幸なことって自分自身を認めたり許してあげられないことだと私は思うのです。
自分の中の様々な気持ちや人生と向き合うことを「つらいから」と言って逃げ、現実逃避をし、自分がどうしたいのか、自分が何者なのかが次第にわからなくなってしまい、自分の奥底にある感情に鈍感になってしまってる人が多いこの世の中。
アスナもその典型的な一人です。
あなたが仰っていたように、成り行きで、自分の気持ちも「わからない」で、ただ先生にくっついて行くことしかできなかった。
アスナにとってそれは、「寂しい」ことからの現実逃避だったのかもしれません。
アスナの人生において大きく占めるもの、アスナの中に最も深く根付いているもの、それが「寂しい」という感情だということはアスナの生い立ち(父が早くに亡くなってる)や生活(母はほとんど家にいなく、友達も少ない)を見ていればわかることでしょう。
でも、アスナは自分自身の中にある「寂しい」を今まで認めてあげられなかったんです。
認めたら自分がつらすぎるから。
そんなアスナの心の隙間を埋めるようににそっと入ってくれたのがシュンだったのです。
でも、そのシュンさえもいなくなってしまって、さらに新しい「寂しい」がアスナの心に積もった。
でもアスナはそのことを自覚してませんし、シュンの「死」というものを認められないまま、「寂しい」という現実から逃れるために先生について行った……というところはあるでしょう。
先生のことを父親と重ねてるようですし、寂しさを埋めるため、今度はシュンでなく先生のところへ……という感じだと思います。
でもきっと、彼女なりに現状をどうにか変えたくて、必死にもがいて決断したというところもあると思います。
そんな彼女が初めて「別れ」を認められた、又は自分自身の気持ちと向き合えたのが、ミミとの別離のところ。
どうしようもなくつらく悲しいけれど、アスナは現状を認めて、ちゃんと「さよなら」と告げます。
その時、アスナの中で、ずっとうやむやにして逃げてきた「シュンの死」という現実を受け入れることができた描写もありますよね。
そこがアスナの成長だとは思いませんか?
そして、そのことをきっかけに、自分がこんなにも弱くちっぽけな存在だったということにやっと気づくんです。
崖を目前にしてのシーンです。
「崖を降りる覚悟も勇気も何もなかった」「自分が本当に望んでいたのはシュンを復活させることじゃなかった」と自分の間違いに気づいて涙します。
そこでやっと彼女は「先生について行くだけの自分」をやめ、初めてひとりで自分自身と向き合うことを自分の意志で選べたのです。
そこから彼女が今までの自分の人生を走馬燈のように振り返って見つめるシーンがありますよね。
その自分自身の人生や気持ちと勇気を出して向き合った先に見つけたものが、アスナにとって最も大切な部分であり、今まで最も逃げ続けてきた「寂しい」という気持ちだったのです。
なんだそんなことか。とあなたは思うかもしれませんが、アスナにとってはこの「寂しい」が一番向き合うことが難しく大きな壁だったのですよ。
それを逃げずに向き合って最終的に自分の気持ちを認められた……ってとてもすごいことだとは思いませんか?
誰もが簡単にできることじゃないはずです。
そして、大切な人の「死」を認める…ということも、とても難しいことだと私は知ってます。
私も昨年、大切な人を突然失いました。
シュンと同じように川で発見された彼のお葬式は家族だけで行われ、私もアスナと同じように遺体を見ていないまま事実だけを知らされ……という状態で、つらいはずなのに、未だに彼が死んだことが信じられなくて、認められずにいる自分がいます。
でも、そのことをサイン会で監督に話したときは、自分でも自覚していないところから涙がぶわっと溢れてきて、「ああ悲しかったんだ」と思ったりもしました。
アスナは自分の「寂しい」気持ちを受け入れ、大切な人の「死」を受け入れ、やっと悲しみを露わにするシーンがありますね。
それがシンと一緒に初めて大声で泣くところです。
変に大人びていたアスナが初めて感情を剥き出しにした重要なシーン・アスナに人間らしさがようやく戻ったシーンだと思います。
また、兄を亡くした悲しみを感じることを自分に許さずに、ただ人に言われるがままに意志なく動いてきたシンも、初めて自分の意志で動き(アスナたちを助け戦うシーン)、そしてやっと兄の「死」を受け入れて泣くことができます。
はたから見てふたりが泣くシーンはとても悲しく映るかもしれませんが、私は成長したふたりが寄り添って泣く、とても人間らしく温かなシーンだと思っています。
これは、きっと彼らが子供だからこそ純粋にできた成長なのでしょう。
逆に、自分の気持ちや大切な人の「死」を受け入れられないまま道を誤り、目の前で生きている大切な人を大切にできない典型的な大人の象徴(全ての大人がそうなわけじゃないです)が森崎先生だと。
現実逃避を続け、ないものに貪欲にすがる彼のなれの果てが光(目)を失う……ということです。
シャクナ・ヴィマーナはそんな彼に、「ちゃんと苦しみ、生きなさい」と人間らしく生きていくことを諭します。
そしてアスナは、そんな残酷で脆い先生の苦しみや弱さを理解できるほどに成長したので、自分を生贄にした先生の過ちさえもごく自然に許し、優しく抱きしめてあげることができたのです。
そこから先生が成長できたのかは知りません。
むしろ、アガルタに残る道を選んだ彼は、まだ現実逃避の中にいるのかもしれません。
でもきっと、成長したシンが先生に影響を与えていくのではないでしょうか。
シンは居場所をなくし「これからどこへ行こうか……」と言ってますが、「居場所など元々ない!」とも言ってますね。
今までロボットのように大人の言いなりになり続けてきた空っぽな彼の世界自体に、そもそも生きる意味などでなかったのでしょう。
だから兄のシュンも、そんな世界から解放されて自由に生きたくて、命賭けてでも地上世界へ行ったのだと思いますし。
最後に自分の意志でやりたいことをして、自由になって、大切な人(アスナ)と出会えたシュンは、きっと幸せだったと思いますよ。
そしてシンは、初めて自分の意志で動き、自分の気持ちを認めたとき、ようやく自分らしい人生を歩き始められたのです。
だから、くだらないエゴだらけの世界での居場所はなくしたかもしれませんが、これから正しい生き方で、やっと自分だけの居場所を見つけていけるのです。
それはきっとこれからの自分との戦いでもあって、きっとつらいことがいっぱいあるでしょう。
でも、ただ感情のない人形のように大人の言いなりになっていた頃の彼と比べたら、こちらのほうがよっぽど人間らしく幸せな生き方のように見えます。
だから、「これからどこへ行こうか…」の言葉には、今までの世界への決別とこれから出会う世界への希望が含まれているんですよ。
すみません。
とても長くなってしまった上に、なんか難しいことを言ってるかもしれませんが、私が伝えたかったのは、「ちゃんとみんな成長してるのですよ」「この物語には一見わかりづらい、でもとても大切なメッセージが込められているのですよ」「奥の深い作品なのですよ」ということです。
結局は私の主観ですが…。
そして、新海監督がそこまで意図して作っているかはわかりませんが……。
いえ、きっと意図的に作っていたらもっと胡散臭いと思います。
でも、新海監督が「どこかへ行って、何かを見つけて戻ってくる物語」と仰っていますし、この作品はちゃんとそのメッセージ通りの物語になっていると思いますよ。
もちろん、そのメッセージが多くの人に伝わりづらい……という点は惜しいというか、欠点かもしれませんが。
こうやって書かせていただいたのは、「星を追う子ども」がそういったふうに解釈されてしまうのは悲しかった…というのと、あなたの考え方がもったいない気がして。
不快な気持ちを与えていたらすみません。
何か少しでも伝われば幸いです。
本当に長々と失礼致しました。
長々と、コメントありがとうございます。
そうですね、あの台詞で「アスナが成長していない」と決め付けるのは、短絡的すぎました。
とても感銘を受けたので、記事にそのまま追記させてください。
追記
間違えて「みんな成長している」と書いてしまいましたが、先生は成長しているかわからないので「みんな」ではなかったですね。
また、あなたが訳して下さった「深層から聞こえてくる、失われた声を追う子ども」。
これです!私が伝えたかったことは。
まさにアスナは深層から聞こえてくる失われた(逃げてきた)声(「寂しい」などの心の声)を追って、ちゃんと見つけることができたんです。
ナイスな翻訳ですね。
アスナが旅の途中で母を気にかけなかったところは、先ほど述べた森崎先生のような「ないものにすがって現実逃避に囚われ、目の前で生きている大切な人を大切にできてない」状態だと思います。
きっと母は、アスナが数日ぶり?に無事に帰ってきたとき、シュンが亡くなった日と同じようにアスナを想って優しく抱きしめたでしょう。
そしてアスナも、自分の間違いを感じ、目の前の生きている人を大切にしようと改めて思うでしょう。
アスナは森崎先生と違って早い段階でそのことに気づけたから、「今生きている大切な人を大切にするために、つらくても生きていく」という道を選べたのですよ。
その瞬間が、夢の中で「行くんだね」と言うシュンに「うん。さよなら…」と笑顔で告げるシーンです。
帰る場面はあえて描かなかったんだと思いますよ。
作品を観た人それぞれにちゃんと自分で考えて気づいてほしいから。
逆にそこを描いてしまったら、物語が台無しというか。
ちなみにコミカライズ版のほうには、「アスナの帰りが遅い」と心配する母のシーンが描かれてますよ。
森崎先生がアガルタに残るのは、前述の通り、現実世界に戻って我に返ってつらい思いをしたくないから……という彼の現実逃避がありそうな気がします。が。
アスナやシンやシャクナ・ヴィマーナ、そして愛するリサから何かを学び、「退廃していくアガルタを良くなるように変えていこう」という意志があっての行動だと願いたいところもあります。
そしてミミは「突然死んじゃった」というよりは、シュンみたいにもともと地上の空気で寿命が迫っていたところを、アスナを導くためにギリギリまで生きて役目を果たしたのだと思いますよ。
アスナの父親はアガルタ人という描写がさり気なくありますが、きっとミミは父と一緒にアガルタから来て、ずっとアスナを見守り、父が亡くなるときに「アスナがもし道に迷ったら、アスナを正しいところへ導いていくように」と託されたのかもしれませんね。
これはあくまで推察ですが……。
色々書いてきましたが、私も「勧善懲悪」でなくキャラ全員が良い面も悪い面も見せている人間らしい部分がとても好きです。
ただ、あまりにもジブリを臭わせてしまったことで、観た人がその点ばかり気になってしまい、肝心な「本当に伝えたいこと」があまり目立たなくなってしまった点が残念ですね……。
私はジブリ的なところが気にならないくらい、この作品に感情移入できましたが。
なので、この作品は色々と判断が難しいですが、やっぱり素晴らしい作品だと私は思います。
連投に長文・乱文、誠に失礼致しました。
こんな個人的意見を引用していただき、とても恐縮です。
ありがとうございました。
少しでも伝わったなら、とても嬉しいです。
きっとアスナやシンは、これからそれぞれの世界で幸せな生き方をしていくでしょう。
そして、森崎先生もこれからはそうであってほしいですね。
私も「死んだ」ことばかりにいつまでも囚われずに、悲しいという気持ちだけは大切にしまって、目の前の今生きている人たちを大切にするために生きていきたいと思います。
それが、亡くなった人をも大切にする行為なんだと思います。
亡くなった人もきっとそれを願っているでしょうし(甦ったリサも先生の幸せを願いながら消えていきましたし)、それが幸せな生き方だと思っています。
生きることに苦しみを持っている人たち、誰かを失って苦しんでいる人たちに観てほしい作品です。
>コミカライズ版のほうには、「アスナの帰りが遅い」と心配する母のシーンが描かれてますよ。
それは知らなかった!本当に貴重なご意見をいただきました。
いろいろ批判してすみませんでした。
再度、コメントありがとうございました!
最後は『鋼の錬金術師』にそっくりでした。
ジブリもハガレンも大好きなので、そりゃぁ、まぁ、正直おもしろかったです。
ちょぉ~っとズルイと思った点は以下の通り。
1.地下都市になんで太陽があるのか。あと、夜が短すぎ。
2.先生怪我してるし、どうやってあの壁を登ったのか。
3.もう会えないのにシンとの別れのシーンがない。
4.地上に戻ってきて、先生と生徒が行方不明でぜんぜん騒ぎにならなかったのか謎。せめて母親が心配していたというシーンがあってもよかったのでは?
最近の子どもは両親が離婚したり、共働きで家にいなかったり。ゲームばっかりやっている子どもが多いので、こうゆう夢のあるアニメを見せてあげるのもいいなぁと思ってDVDを借りてきたのですが。
見てたら、ぜひとも子どもをほったらかしにしちゃってる親にも見てほしいと思いました。
そして、子どもには命の尊さをもっともっとわかってほしいと思いました。
> 4.地上に戻ってきて、先生と生徒が行方不明でぜんぜん騒ぎにならなかったのか謎。せめて母親が心配していたというシーンがあってもよかったのでは?
>ぜひとも子どもをほったらかしにしちゃってる親にも見てほしいと思いました。
確かにそうですよね。
母親が心配していたシーンがちゃんと描かれていれば、より「子どもをほったらかしにしている親」に見せたい映画になったと思います。
あんだけつっこみましたけど、作品のテーマは好きな映画です。
意味不明だったアスナの行動が、解説で理解出来ました。ありがとうございます。
ジブリシーンは、味噌汁作りからずーっと似てて驚きました。全比較挙げたいくらいです。
でも、いい作品でした。(笑)
ラピュタのロボットの中で落ちた後の川の中の二人は、あれは千尋とハクだと思いました。完全に。
後はギャグかと思うくらいラピュタ(ともののけ姫)。
じゃあジブリを知らなかったら楽しめたの、逆に?とも思ったりしましたが、最後三人とも助かった後にどうやって崖の上まで上ってきたのかとか(一人は盲目、残りは子供。しかも森崎が降りる途中に映ったのは、上が見えないほどの高さの絶壁)、帰るときに絶対夜をいくつか越えないといけないはずなので、距離的に、あの目が赤いもののけ姫の猩々みたいなのはどうするの、とか思ったりして、やっぱりダメーな感じでした。
あと個人的には銃を使いまくった戦闘シーンが出てきたのがアウトでした。ジブリっぽかったから余計…?
ってことで知り合いには勧めないかな…。
タイトルって生きる意味(運命→星)を探すみたいな意味だと思ったけど英語版だと全然合わなくなるのね
スッキリしない終わり方はこの解釈だと好き
[…] 『星を追う子ども』ジブリのごった煮アニメ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー) […]