『ちはやふる 上の句&下の句』直球スポ根が変化球バトル映画に進化!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『ちはやふる 上の句&下の句』です。
個人的お気に入り度:8/10 (上の句、下の句ともに8点)
一言感想:全2部作でよかった!
あらすじ
高校生の千早(広瀬すず)は、小学生のころに仲のよかった太一(野村周平)と再会し、かるた部を作って全国大会を目ざそうとする。
一方、かつて千早をかるたの世界に導いてくれた新(真剣佑)には、とある事情があって……
同名の超人気コミックの実写映画化作品にして、『タイヨウのうた』『ガチ☆ボーイ』の小泉徳宏監督最新作です。
※アニメ版も好評を博していました。
映画で特徴的なのは、『上の句』が3月19日に、『下の句』が4月29日に公開される「2部構成(前後篇)」になっているということ。
自分はこの2部構成について「ひとつにまとめられなかったの?」「より多く興行収入を得ようとする手段じゃないのか」などとネガティブなイメージを持っていた(だいたい進撃の何とかのせい)のですが・・・それは大いに誤りであったと思い知らされました。
ほんっっっっっっっっっっとうにごめんなさい!
なにせ、映画『ちはやふる』は2部作であることに必然性があったのですから。
これについては以下に書きましたので、ぜひお読みください↓
<『ちはやふる 下の句』はロジカルに“個”と“全”の力を描いた変化球バトル映画! | シネマズ by 松竹>
両作品の特徴を簡単にまとめるのであれば、
『上の句』・・・王道スポ根映画
『下の句』・・・「個」の力と「全」の力のどちらが強いかを争うバトル映画
なんですよ!
何より、『上の句』だけでしっかり満足できるカタルシスがあるというのがうれしいですよね。
それでいて両作品を観てこそのダイナミズムもあるので、『上の句』と『下の句』を連続して観てみるのもよいでしょう。
そのほかに感服した点としては、原作をリスペクトし、見事に再構築されている脚本です。
自分は映画2部作を観たあとに原作マンガを読んだのですが、「ここがこうなるのか!」「映画ではさらなるセリフや演出が加えられて、説得力が増している!」と驚けたのです。
小泉徳宏監督は今回脚本も手がけています。長編映画での脚本執筆は初めてのことですが、この手腕を見れば「もっとたくさん書いてくれよ!」と思わずにはいられません。
キャスティングも素晴らしいですよね。
広瀬すずや野村周平はもちろんのこと、上白石萌音ちゃんがすばらしすぎます。かわいいし原作マンガから抜け出したような古典オタクっぷりはなんだありゃ、娘にください。
3枚目キャラの矢本悠馬、ガリ勉オタクキャラの森永悠希も大好きだ!
極め付けは「ヒョロ」。演じている坂口涼太郎さんがマンガに似すぎです!
今日 #109シネマズ湘南 に #ちはやふる を観に来てくださる皆さん
ありがとうございます楽しみすぎて寝つけなかったです(子供か)
気をつけていらしてください
後ほどお会いしましょう!#ヒョロくん より pic.twitter.com/Fo2w17MshC
— 坂口涼太郎 (@RyotaroSakaguTw) 2016年4月24日
※参考↓
<映画『ちはやふる』の成功はキャスティングが大きな決め手! | シネマズ by 松竹>
もうね、『がんばれ!ベアーズ』系の弱小チームががんばっていくという過程だけでもたまらんし、青春の瑞々しさは『がんばっていきまっしょい』に匹敵するし、この手の王道スポ根もの、マンガの実写化映画としては申し分のない出来なのではないでしょうか。
さらに、本作で歌われている百人一首の歌の内容と、本編がシンクロしているところもあるのです。
『上の句』『下の句』どちらでも、歌の内容が登場人物の気持ちと「同じ」になっています。
競技かるたはもちろん、百人一首について学んだことがあればさらに感動できるでしょう。
難点は、『下の句』の論理立てされた脚本は素晴らしいものの、その語り口に少々クドさを感じてしまうことでしょうか。
多くの観客に受け入れられるのは、どちからかといえば『上の句』のほうでしょうね(自分はどちらも大好きです)。
演出においては、スローモーションの多用が好き嫌いが分かれるかもしれませんね(十分メリハリがついているレベルですが)。
画は日光が差し込む「白め」のものが多いのですが、うだるような夏の暑さが表現されているので自分はこちらも「賛」です。登場人物が汗だくになり、競技に挑む真剣さが見えまくるというのがいいですね。
また、キャラクターに関しては「マンガらしさ」に徹しているため、「ステレオタイプすぎる」という否定的な意見もあるようです。
広瀬すずの直情的おバカキャラは現実ではありえないもんなあ(笑)。
自分はどのキャラも大好きになれたので、悪い印象はまったくありません。
ともかく、映画『ちはやふる』はテレビ局が介入しているとは思わせないほど、映画作品として完成された作品です。
物語はわかりやすいため、子どもから大人まで、男女の違いなく、まさに老若男女が楽しめる作品になっているのではないでしょうか。
競技かるたを知らない大人はもちろん、いまから競技かるたに限らず、何かに青春を賭けたいと思う若者にぜひ観て欲しいです。超・オススメです!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 『上の句』と『下の句』の両方の内容がネタバレしてします。マンガとの違いにも少し触れているのでご注意を。
(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社
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原作・アニメともに未見で競技かるたに対する知識もほぼ皆無で上の句→下の句と観賞しましたが、そのおかげか先入観なく観ることができ没頭できました。
「がんばれベアーズ」のことを挙げられていましたが、ヴィック・モローにぶん殴られてしまいキレて、打球を捕るも返球を拒否してランニングホームランにさせたあいつに、ちはやが飛ばしたあの札が当たっていたら、あんな後味の悪い展開にはならなかったと思います(アイツが泣きながらマウンドを降り去っていくシーンは何故か今もトラウマです)。
邦画で「またあの子達に会いたい」と思えた映画は「SRサイタマノラッパー」以来です。前の記事にもコメントを書きましたが、続編が決まったということで、どうか幸せに完結してほしいです。