『キャロル』タバコ1本で心を表す映画(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『キャロル』タバコ1本で心を表す映画(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はキャロルです。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:女は恋愛上級者だけど、男はバカね

あらすじ

1952年のニューヨーク。デパート店員のテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)と出会う。
そのころテレーズは恋人からの求婚に思い悩み、キャロルは娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争っていた。
ふたりは次第に心を通わせていくが……。

パトリシア・ハイスミス原作の映画です。
彼女は死後に残された日記やノートから、レズビアンであることが公然となった人物でした。

ハイスミス氏原作の映画『太陽にいっぱい』は(そういう作品に見えなくても)淀川長治さんが「同性愛映画である」と評したことでも有名になりました。

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※後に『リプリー』というリメイク作品もあり。

ハイスミス氏の作品には直接的にゲイやレズビアンを取り扱ったものは少なかったようですが、『キャロル』は女性どうしの恋愛を描いた作品であり、はっきりとしたクィア(セクシャルマイノリティ)ものとなっています。

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しかも、『キャロル』はハイスミス氏の実体験をもととした内容なのです。
映画が確かな説得力と、細やかな感情描写がある秀作に仕上がっていたのは、原作者がセクシャルマイノリティであったことも理由なのでしょう。

※以下の記事を参考にさせていただきました。
<第三十一回はパトリシア・ハイスミスの巻(執筆者・柿沼瑛子) – 翻訳ミステリー大賞シンジケート>

本作で優れているところは、1950年代のニューヨークの街並みを暗いトーンの画で再現したほか、カメラワークや「切り返し」に至るまで、映画しての表現手法が優れていることです。

会話劇(しかもふたりだけ)に始終するかと思いきや、屋外からの望遠による窓の画でも、主役のふたりの心理を描いていきます。
ナレーションも何もないのに、映画ならではの演出により登場人物の気持ちがわかる。映画ならではの魅力がつまった作品なのです。

個人的に大好きでしかたがなかったのは、精神的に強そうに思えたキャロル(ケイト・ブランシェット)が、次第に弱い人間であることを見せていく過程です。

たとえば映画のはじめのほうに、キャロルがお店に入るやいなやさっさとメニューを注文するも、テレーズ(ルーニー・マーラ)はなかなか注文することができない、というシーンがあります。
ここではテレーズが優柔不断かつ「受け身」な性格で、キャロルは自分の意見をゴリ押しするタイプの「攻め」な性格に思えるところですが、後々の展開では「それだけではない」ではないと気付けるのです。

本作には少々過激なベッドシーンもあるのですが、肉体的なつながりがあっても、(精神的な)関係性が非常に危うく見える、というところも秀逸。セックスが物語上で非常に重要なファクターとなっているのです。

個人的にもうひとつ重要なファクターであると感じたのがタバコです。
ふたりが初めて出会う場面でキャロルが出したタバコ、キャロルがタバコを吸いたいと言ったときのテレーズの対応も、それぞれの性格を表しているのではないでしょうか。

先日喫煙シーンのある映画を“成人指定”にするWHO勧告が発表されましたが、本作のようにタバコが重要な要素になる映画もあるので、やはり安易な規制はするべきではないでしょう。

また、極端に同性愛を差別する描写がないのも好みでした。
作中にあるのは、「ああ、そういう人もいるのも知っているよ」といった感じの、同性愛を否定も肯定もしないような発言のみ。だけど、奥底にある偏見が少しだけ垣間見えるというリアルさがあるのです。
(1950年代当時はゲイやレズビアンへの偏見が大きかったにも関わらず、です)

男性がとことん愚かな存在として描かれていることには賛否ありそうですが、自分は気に入りました。
観た後は、(同性愛者でなくても)好きな人へのアプローチを考えるきっかけになるかもしれません。

本作の欠点は、劇的な展開があまりないため、人によっては退屈に感じてしまうこと。
淡々とした演出、暗めの画もあいまって、体調の悪いときに観ると睡魔に襲われてしまう可能性があります。
PG12指定ではやや甘いと思わせる性描写、そもそも主人公が不倫をしていることも含めて、決して万人向けではないでしょう。

そのため、本作は登場人物の何気ないセリフに注意して観ることをおすすめします。
「あのシーンにはこういう意図があるんだな」「セリフからこういうことがわかるぞ」と、気付けることがたくさんあるはずですから。

もちろん、主演ふたりの演技を期待して裏切られることはありません。
繊細な恋愛映画を求める方すべてにおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

タバコでわかる性格

キャロルははじめてテレーズで出会ったとき、お店の前でタバコを出して、「ここは禁煙です」と注意をされます。
これはキャロルの「他人の領地にズケズケと入ってしまう」性格を表しているかのようです。

一方で、夫と口論したキャロルが「こんなときにタバコがないなんて」と憤ったとき、テレーズは「私が買ってきましょうか」と提案しています。
ここでは、キャロルが現状からの逃避をしようとしていることと、テレーズが相手のために何かをしてあげたい性格であることを示しているのでしょう。

その性格を裏付けるように、キャロルはテレーズを連れて現実逃避の旅をすることになりましたし、テレーズは探偵の男にも親切に対応していたりします。
いろいろなところで、ふたりの性格がわかるようになっているのですね。

そういえば、テレーズは探偵の男に「コーヒーはおいしくないけどいい朝ね」とコミュニケーションを取ろうとしていましたが、後ろから現れたキャロルは「マズいコーヒーね」と思い切りディスっていましたね(笑)。
キャロルはなんでも口に出してしまう性格なんだなあ。

ふたりの性格を整理してみましょう。

<キャロル>
・なんでも自分で決めようとしている
・うまくいかないときは現実逃避をしようとする

<テレーズ>
・相手のことを考えて行動し、コミュニケーションをしている

キャロルはよくも悪くも、自分が「主導」したいと考える、男性的な性格をしているとも取れます。
しかしその選択がうまくいかないと逃げ出すっていう・・・ある意味でキャロルのほうが優柔不断でダメ人間なのかもしれません。

空から落ちてきたみたい

キャロルは、夫に束縛されるような生活をしていました(仕事もしていなさそうでした)。
でも彼女はこれまででもわかった通り、自分で決めたいと考える男性的な性格。束縛されるような生活はそもそも向いていなかったのでしょう。

キャロルが「空から落ちてきたみたい」とテレーズに言ったのは、テレーズが「自分のことを考えてついてきてくれる」、女性的で理想的な相手であると思ったからなのかもしれません。

男はバカ

テレーズの恋人は、旅に出るテレーズに「君は2週間後に必ず泣きつくぞ!」と(具体的な期間までも)決めつけています。
この恋人は、相手の気持ちを考えず、一方的に決めつけるような恋愛下手です。

ともすれば、束縛欲があるキャロルの夫、相手の領地にズケズケと入るキャロルもまた、男性的な愚かさを持っているように思えます。
じつは、女性的で相手を慮るテレーズが、いちばん恋愛上級者なのかもしれませんね。

また、キャロルが涙ながらに「あなたには幸せになってもらいたい」と夫に告げていたことも印象的でした。
キャロルはこうして口に出さないと、自分の気持ちを伝えることができない性格なのでしょう。

ほんのちょっとの差別意識

キャロルの家族が「医者にかかったのね」と言ったとき、キャロルは「医者じゃなくてセラピストよ」と訂正をしていました。
これだけで当時に同性愛が「病気」と思われていたこと、病気と思われたくないキャロルの心情を表しています。

また、テレーズの恋人は「そういう人(ゲイ)がいるのも知っている。僕とは違う」と言っていました。
存在は知っているけど、真に理解しようとはしない。こういうところに、奥底にある差別意識がみえるのです。

ラスト

ラストカットは、大勢の男に囲まれたキャロルが、テレーズを笑顔で見つめるというカットでした。

これはキャロルが男よりも優位にいるという、「成長」を示しているのか。
それとも、キャロルがいかに男に囲まれようとも、意中の人はテレーズだけ、ということを表しているのか。

それは、観客それぞれが考えることなのでしょう。

※本作には、多数のコメントをいただいています。
「(同性愛という範疇ではんく)性別関係なく起こり得る物語のかもしれない」など、的確なご意見が多いので、ぜひ合わせてお読みください↓

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民朗さんと収録したラジオ。(自分はどうでもいいので)『サンセット大通り』との関係などが語られた、民朗さんの素晴らしい批評をお楽しみください↓
第79回映画批評 ヒナタカさんと送る観たまま映画批評:中編 『キャロル』: ホラーショー!民朗の観たまま映画批評

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  1. unknown より:

    前ブログに頂いた、非公開コメントです。

  2. ヒナタカ より:

    そうでしたか!訂正します。

  3. ラリーB より:

    まず始めに僕は同性愛に対して偏見は持っていないですし
    そう言う人達の人権は尊重されて然るべきだとは思うんですが…
    正直に言って僕としては好みの映画ではありませんでした。
    「ブロークバック・マウンテン」のようなふとしたきっかけから同性と恋に落ち
    その結果家族と恋人(男)との間で苦しむことになる…と言う話は大好きなんですけど
    本作は障害となる男達の存在が余りにも傲慢
    もしくは馬鹿に描かれ過ぎていて、彼女達がやんわりと引き裂かれていく過程も
    「うん、身から出た錆だよね」としか言いようが無かったです。
    ましてキャロルはあの時点で「レズの君に娘の親である資格はない」と夫に脅されてたんですよね?
    だったら何で通報されるリスク犯してまでテレーズを連れ回したんでしょうか?
    それも覚悟の上と言うのなら通報された段階であんなに取り乱しはしなかったでしょうし
    「親権はあげるけど面会権くらいいいでしょ」と悲痛に言い放つ姿も
    自覚してるなら最初からそうしろよ…と言いたくなりました。
    何だか彼女にとって娘の存在が「本当に大切で仕方ない宝物」であると言うよりは
    「自分が好きに生きようとすると足を引っ張る足枷」のような描かれ方で
    僕としてはそりゃねえよって思いました。それは同性愛偏見とはまた違う話になりますからね。
    テレーズを演じたルーニー・マーラ氏は可愛かったですし
    彼女がズブズブと沼にハマるように恋に落ちていく様は見ていておっと思っただけに
    僕はキャロルの言動が正直痛々しくて苦手でした。
    絵画のような町並みの撮り方もヒナタカさんが仰るように美しかったですし
    悪い映画だとは言いませんが単純に僕の好みでは無かったです、すいません。

  4. 西木寸 より:

    いつも拝見しております。
    人物像の掘り下げ、大変興味深く拝読させていただきました。
    自分も、上の方と同じくキャロルやテレーズの「人としての行動」に胸くそが悪くなるシーンが多々ありました。
    例えば、相手をすぐに受け入れてしまうテレーズは、彼氏がいるのにも関わらず異性の所にフラフラ付いて行ったり、彼氏と一緒に貯めたお金を逆ギレして旅行に使ったり(もちろんそれ以前に男性的な支配がアレなんですが)、ラストも一度はキャロルを突き放しながら「やっぱ違う…」とばかりに戻って行ったり、本当に間違いだらけです。
    しかし、そここそがこの映画の魅力だと思うのですがいかがでしょう?この映画はブロークバックマウンテン等のように感情を移入し、応援したくなる映画ではありません。その間違いを含めての、人と人との惹かれ合いが最大の魅力だと思います。
    そして、人間のこの普遍性を強調する為に、LGBT要素はあくまで手段に過ぎないのではないかと私は思いました。
    男女感ですと、より嫌悪感が増してしまいますし…
    長文、失礼致しました。

  5. 毒親育ち より:

    >一言感想:女は恋愛上級者だけど、男はバカね
    出てくる男性が馬鹿、ゲス、クズ揃い(唯一の例外はニューヨークタイムズのダニーくらいでしょうか。彼はちょっとバイのように感じました)な所が珠に傷でしたけど、そのおかげでキャロルのカッコヨサが引き立ってもいるかと思えば・・・。
    >精神的に強そうに思えたキャロル(ケイト・ブランシェット)が、次第に弱い人間であることを見せていく過程です。
    そこも含めて作中一番の漢前!でした。
    ・常に威風堂々とした立ち居振る舞いながら、相手を思いやる暖かさも併せ持つ完璧貴婦人。
    ・「キモい!」とか「傷ついた!謝れよ!!」とか叫んで相手を貶めながら被害者ぶらない。
    ・取り乱した所なんて盗聴された時くらい(でも、あの反応は当然だと思います)
    ・離婚調停では想いをブチ撒けながらも夫を責めてはいない、むしろ自分の非を認める。
    ・第一は娘の事。でも、自分も殺さない。
    ・最後は娘との絆も守りつつ、元夫からも自立で解決。
    その御姿に「カッケー・・・」と呟くしかありませんでした。キャロル姐さん、いやさアニキ!と呼ばせてください!!
    とても去年、幸せの青い鳥が周囲を舞っているのに「悪いのは自分の周囲」で気付きもせず。見栄ばかり張っていて破滅したダメ人間を演じて賞取った人とは思えません。
    外見でなくオーラを変えられるカメレオン女優。すごいよケイトさん!
    >個人的にもうひとつ重要なファクターであると感じたのがタバコです。
    キャラの心情を表す小道具として秀逸な表現でしたね(それでも「タバコ以外で表現してえ~」とか言うのでしょうけど)
    あと、当時の喫煙文化も忠実に再現されていて良かったです。皆、普通にレストランで食前食後に喫煙する。雑踏の通行人が歩きタバコしている(これも「悪しき文化は伝えなくても~」とか、ゼペット爺さんからパイプを取り上げたがる人達は言うのでしょうけど)
    なお、私自身は喫煙習慣はありませんが、優しさと思いやりで人を絞殺したがるような嫌煙活動家を見てこうした主張の反対派になりました。
    >だけど、奥底にある偏見が少しだけ垣間見えるというリアルさがあるのです。
    それ故に「道徳条項」とかハッキリ持ち出された時、嫌らしさが際立ちますね。
    「イミテーションゲーム」を思い出して脳が煮え立つ!「キングスマン」を観て冷やそう。
    >本作の欠点は、劇的な展開があまりないため、人によっては退屈に感じてしまうこと。
    カップル中心にけっこう入ってましたし(でも男性の描かれ方に偏見を感じた彼氏くんと喧嘩にならないか心配です)自分はキャロルアニキを観ているだけで溜息漏れっぱなしの二時間でしたが、日本でもヒットして欲しいです。
    >・なんでも自分で決めようとしている
    あ!これはテレーズが「彼女は自分と結婚前提で付き合っていると決め付けて行動している」彼氏に言った言葉でと同じですね。気付かなんだ・・・。
    >~男はバカ~
    この象徴が夫のハージ氏ですね。もう馬鹿ってか、クズ・・・。
    ・来客の前で床に座り込んで癇癪起こすという無様を晒す(ボクちゃん。いくちゅかな?)
    ・ママに「孫を連れて来い!」言われて妻との約束を一方的に反故にし、強引に幼い娘を夜中に連れ出す。
    ・かと思えば「娘がママに会いたいって・・・」と、夜中に妻の友人宅へ押しかける(しかもまた癇癪起こして暴言を吐く)
    ・探偵雇って離婚調停の粗探し、大統領ですらやったら辞任になる“違法行為”で"道徳条項違反”をゲット!これで勝つる!!
    ・いざ話し合いの場になると弁護士任せで一言もしゃべらない(しゃべれない)
    ちっちぇえなあ・・・と呟くしかありませんでした。
    こんな毒パパに未就学児を任せるくらいなら、レズママの方がマシだよ!!(実家はメイドさんを雇えるくらいのお金持ちですから衣食住と就学は問題無いでしょうけどさ・・・と。チョコレートドーナツをモリモリ喰いながら)
    >存在は知っているけど、真に理解しようとはしない。
    理解しなくても良いから、せめて放って置いて欲しいですよね。「神様が認めていないから」とか「人類を滅ぼす劣等種」とか「道徳条項」とか、無理やり「不愉快」「キモい」に大義名分付けて殺しに来ないで・・・。
    ただ、最近は理解を通り越して“権利”を求め過ぎて、放って置いてくれていた人達とも衝突を起こしている感が有りますけども。
    で、ここまで褒めて。ラリーBさん、西木寸さんの評価で変化も。
    男性が馬鹿でクズ揃いというのは私も鼻に付きましたが、当時は同性愛者の理解者も攻撃対象でしたし、仕方が無い面もあったかな・・・と思いつつ、女性側にはアビーという積極的な二人の味方がいたので公平な描き方では無かったな・・・とモヤります。
    娘のリンディを蔑ろにしているとは思わなかったです。上で描いたようになによりも大切にしていると思います。公の場で無理やり親権を争えば、事を大きくして自分が散々苦しめられてきた「HENTAIの血を引く子」という偏見がまだ幼い娘にまで及ばないように身を引いた・・・という感じに見えました。
    テレーズとの一度は別れるのも、彼女をこれ以上自分のお家騒動に巻き込みたく無かったという風に感じました。
    確かに不倫こそ「道徳条項違反」・・・なのですが、
    キャロルアニキはとっくに自分がレズビアンだと気付いてしまっていて毒夫の結婚生活に相当色々なものが溜まっていたでしょうし、離婚秒読み段階、更に欝屈した毎日で唯一拠り所だった愛娘との年末年始が毒夫とその毒実家の身勝手に振り回されてと散々な境遇。
    テレーズは支配的な彼氏に悶々している上に、長年「私ってもしかして・・・」と思っていた所に運命の王子様参上!に真の自分に覚醒。
    てな感じで二人揃ってん心身ともにまいっている時期に運命の人登場!で、つい救いや癒しを求めてしまい・・・て事で、所謂「火遊び」とは事情が違う・・・てことで、擁護にはならないでしょうか。
    もちろん。全部片付けてからにしろ!というのが筋なのは百も承知です。
    あと個人的にボロクソ諸悪の根源扱いしていますし、とりあえずハージは身近に居たら一発ブン殴りたいクズですけど、あまりラブロマンスを観ない私にとって魅力的な悪役という意味で良いキャラでした。

  6. 通りすがり より:

    >先日喫煙シーンのある映画を“成人指定”にするWHO勧告が発表されましたが、本作のようにタバコが重要な要素になる映画もあるので、やはり安易な規制はするべきではないでしょう。
    そもそもキャロルは日本(映倫)ではPG12であるものの、アメリカ(MPAA)では性的シーンを理由に既に成人指定(R指定)なので、これに喫煙シーンを理由に加えてもR指定であることに変わりはないのではないでしょうか。
    http://www.imdb.com/title/tt2402927/parentalguide
    もしかして、WHO勧告の成人指定(adult rating)を日本のR18+(18歳未満視聴禁止)のことだと誤解されているのでしょうか?
    WHOの言う成人指定はアメリカのR指定(18歳未満は保護者同伴なら視聴可)のことだから、規制と言っても18歳未満が視聴できないわけではないです。
    http://who.int/tobacco/publications/marketing/smoke-free-movies-third-edition/en/
    そしてWHO勧告の目的は、18歳未満に喫煙シーンを視聴させないことでもないし、全ての映画から喫煙シーンを除くことでもありません。子供向きの映画を作る(=R指定を避けようとする)映画製作関係者に対し喫煙シーンを減らす動機を与えること、それの結果として若者が喫煙シーンを視聴する回数が減ること、喫煙シーンのある映画の上映時に禁煙広告を強制化することにより若者が喫煙の害を学べること、最終的に若者の喫煙率が減少することが目的です。
    通りすがり、失礼致しました。

  7. いいこま より:

    「下手したら観る前に公開終了しちゃうかも」と思ったもので。
    ここから本題です。
    不倫に関してはどういう事情にせよ許されることではないので引っ掛かるところはありましたが「そうはいってもパートナーの男性側にマイナス点があって不満を抱えてる状況でそのうえ知り合った女性が自分と通じ合う面があるとしたらこうなるのもわからんこともない」って思いました。たまたま相手が女性だっただけで性別関係なく起こり得るのかもしれないという意味では観る前は同性愛物という感覚だったのが観た後はそういう感覚がなかったです。
    あと男性側も一概に悪い人とは言い切れないかもしれませんがテレーズの彼氏の支配的性格やキャロルの夫が幾ら愛してるとはいえ女房をアクセサリみたいにしていることは十分問題点だと思えてならないです。
    煙草に関しては喫煙経験なしどころか寧ろ嫌煙派ですが(といってもマナーさえ守ってくれるなら幾らでも吸っても文句はないですし喫煙者にも権利はあるだろと考える口ではあるのですが)、それでもこの作品に関していえば「心情を示すのに大分効果的で重要なファクターだ」と感じてました。それに観てる間は失念してましたが当時は今と違ってどこでも吸ってる感じだったということを考えれば却ってあれぐらいの方が普通でいいのかもしれないな、と思うようになりました。
    それだけに「こういうケースもあるので昨今の煙草描写規制は個人的には考え物だなあ」と言う感じです(尤も、通りすがりの方の仰ってる意味合いならば一概に悪いとは言えないですが)。少なくとも規制の理由が「自分が嫌だから」とかのように自分の都合っていうのならやはり「それは如何なものか」となります。
    娘に関してはその存在が枷になっていたようなところはあったでしょうが個人的には毒親育ちさんも仰ってるように等閑にはしてなかったように感じましたしむしろ「娘を奪われてショック」って感じなので「等閑にしてないからこそ親権争いしてたんじゃないかな」「娘と面会禁止じゃなかったら旅行に踏み切らなかった可能性も」と思ったりしてます(勿論ラリーBさんも仰ってるように自覚してるなら最初から「親権はともかくせめて面会は…」ってすべきだったのかもしれないですが。それに面会禁止じゃなくても踏み切ってた可能性は否定できませんし)。
    とりあえず親権争いに関しては「夫婦の意見もだけど一番尊重すべきは当の娘の意見じゃないのかなあ…」と思いながら観てましたが当時の同性愛に対する風当りを考えると「だから親権に関して一歩引いたのかもしれないなあ」と思います。
    >理解しなくても良いから、せめて放って置いて欲しいですよね。「神様が認めていないから」とか「人類を滅ぼす劣等種」とか「道徳条項」とか、無理やり「不愉快」「キモい」に大義名分付けて殺しに来ないで・・・。
    >>正直同感です。不愉快に感じるのは勝手だろうけどそれで淘汰しようとするのはちょっとどうかと(尤も、もしかしたら自分も言えた義理じゃないのかもしれないですが)。

  8. 匿名 より:

    浅い性格分析だな。キャロルの性格は全然違うよ。この映画は無駄なシーンや台詞がひとつもない。音楽も含めメタファーの多い映画。細部を見逃しているからこんなくだらない批評しか出来ないんだよ。

  9. Movie Dreamer より:

    キャラクターと言えば、演じたケイト・ブランシェットは、キャロルを「自尊心の強い、独立した強い女性で、大胆不敵でユーモアがあり美しい女性」と分析しています。一方、テレーズは「メニューも決められらない、優柔不断な女性」として描かれています。
    原作者のパトリシア・ハイスミスは、1948年のクリスマスに、彼女がブルーミングデールズ(デパート)でアルバイト店員をしている時に、彼女から人形を買った、毛皮のコートを着た金髪の女性にインスパイアされてこの小説を書いたと言います。当時、20代半ばでのパトリシアには婚約者がいましたが、一方で彼女は自身が同性愛であることも自覚しており、テレーズは姿をパトリシア自身の別人格と言われています。
    パトリシアが触発された金髪の女性はニュージャージーに住むキャスリーン・センという女性でしたが、以降、彼女との接触はなく、それ以前にパトリシアが交際していたヴァージニア・ケント・キャザーウッドという年上の女性も、キャロルに重ね合わせられています。二人ともキャサリーン・ヘップバーン似の金髪で、ヴァージニアは実際にホテルの部屋での同性愛の現場を盗聴され、娘の親権を失っています。
    同性愛は犯罪であり、精神病で、更生、もしくは矯正しなければ子供を育てられない時代に、キャロルは娘の養育権を諦め、自分自身であることを選びます。登場人物の性格がどれだけ実在の人物を反映しているかはわからない部分もありますが、迷いがあったと思われるハイスミスも、結局、婚約者とは結婚せず、一生独身で過ごすことになります。こうした生き方の選択は、この映画を解釈する上で重要な要素ではないかと思います。

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ヒナタカ

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