
『ビハインド・ザ・コーヴ』疑問への回答は得られたのか?(映画ネタバレなしレビュー+微ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『ビハインド・ザ・コーヴ〜捕鯨問題の謎に迫る〜』です。
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:『ザ・コーヴ』のイライラを解消してくれる痛快ドキュメンタリー
あらすじ
八木景子は、『ザ・コーヴ』への反論のため、映画製作の経験もカメラ技術もないまま、貯金を切り崩し取材を続けていた。
4カ月にわたる太地での長期滞在の末、高齢の元捕鯨師や町長を含む現地の人々の貴重なインタビューを撮影。監督ルイ・シホヨス、同作品の主演であるリック・オバリーにも取材を行い、双方の主張をカメラに収めた。
さらには毎年イルカ漁の時期に太地でキャンプしている反捕鯨活動家たちからも話を聞き、さまざまな立場からこの問題に関係する人々を追っていく……。
まずはこちらをお読みください↓
『ザ・コーヴ』は“観る価値のある”問題作だった(映画ネタバレなし感想+微ネタバレレビュー)
本作は大論争を巻き起こした『ザ・コーヴ』の、日本側からのアンサーとなるドキュメンタリー映画です。
もしくは、『ザ・コーヴ』に満載だった大ボケにツッコミを入れていく映画といってもいい。
映画を観た日本人みんなが「あれオカシイよね」と思っていたことにズバズバ切り込んでいく作風がかなり痛快です。
また、『ザ・コーヴ』に欠けまくっていた「相手の意見を聞く」というシーンもしっかりあります。
自分の意見をゴリ押ししまくっていたリック・オバリーはもちろん、シーシェパードのリーダーまでにもインタビューをするのですから。
ちゃんと「双方の意見に立ち」問題を考えられるようになっています。
ただし、ドキュメンタリーとしては問題も……
そのひとつが、情報や問題提起がしっかり整理されているようには思えなかったこと。
中盤からは意見が乱立されているような印象で、やや観にくい印象でした。
さらに、終盤の展開はあまりに論理が飛躍しすぎだと思う。
上映後に監督に話を聞く機会があったのですが、監督も「あの問題までにいくとは思いませんでした」と語っており、論理の飛躍は予定外のことだったそうです。
でも主張をさらに広げるよりも、現状の問題に焦点を絞ってほしかったというのが本音です。
また、情報が完全にイルカではなく、クジラにばかりシフトしているのも気になりました。
『ザ・コーヴ』でさんざん語られていたのは「僕たちはイルカを愛しているんだ!」という主義主張だったのですが、本作ではイルカについて触れらることは少なく、クジラの日本の食文化や歴史ばかりが語られます。
サブタイトルも「〜“捕鯨”問題の謎に迫る〜」となっており、根本のイルカ漁の問題がおざなりになっている印象は否めません。
そんな問題点がありつつも、『ザ・コーヴ』にイライラしていた方にとっては、『ビハインド・ザ・コーヴ』は「答えを示してくれている」貴重な作品です。
「よく言ってくれた」と思う方は、きっと多いでしょう。
本作で大好きだったのは、問題の場所である大地町の人たちが親しみやすく描かれていることでした。
(『ザ・コーヴ』では町民が理解の余地がない悪人として描かれていたことにイライラしたので)
子どもにも意見を聞くのだけど、まあ~その様子が微笑ましいこと。
『ザ・コーヴ』のような殺伐とした空気はほとんどありません(座談会ではピリピリした空気になるけど)。
さらに、日本に観光に来た外国人にもインタビューするシーンがあるのだけど、ものすごく建設的な意見が述べられていて感動した。
よく考えれれば、反捕鯨団体やシーシェパードの人たちは「極端な考え方を持つ人」の集まりなわけで、それに属していない方は「どちらでもない」中立的な意見を持つことが多いのでしょう。
ともかく、本作『ビハインド・ザ・コーヴ』の志はとても高いものであり、ドキュメンタリー映画としても水準点を超える出来であるので、幅広い方にオススメします。
できれば『ザ・コーヴ』を先に観ておいて、存分にイライラしてから劇場に足を運ぶことをオススメします。こんなにもほかの人を意見を聞いて、スカッとする経験はなかなかないでしょうから。
現在は新宿・ケイズシネマでのみの上映ですが、大阪、沖縄、北海道でも上映が決まっています(できれば問題の舞台である和歌山でも上映してほしいなあ)。
近くにお住いの方は、ぜひ。
以下、内容をちょっとネタバレで紹介します↓ ストーリー的なものはないのですが、一応未見の方はご注意を。
(C)2015 YAGI Film Inc

publicShare
theatersタグ
movieこちらの記事もおすすめです
今までに書いた映画レビューの中から、この記事を読んでいただいたあなたにおすすめの記事をピックアップしています。
ネタバレ前の感想をまずは読んで下さい。映画を見終わった後、ネタバレを含む解説を読んでいただけると1記事で2度楽しんでいただけるのではないかと思います。
カゲヒナタ映画レビューが少しでもあなたのお役に立てれば幸いです!あなたが良い映画と出会えますように:)
done ドキュメンタリー
この映画のレビューと同じカテゴリの記事です
done 10点満点の映画
10/10を獲得した映画です。
見たい映画が見つからないときはこちらがおすすめです。
done 9点の映画
9/10を獲得した映画です。
名作ぞろいです!まだ見ていない作品があれば是非!
chat_bubbleコメント
クジラ・クリッピングはアレな人なので紹介するのはやめたほうが…w
>クジラ・クリッピングはアレな人なので紹介するのはやめたほうが…w
あれとはどういう意味かはっきり言いなさい。嘘つきなのか調査不足なのか。
大体人の言論を批判するなら、おかしいと思う点を具体的に挙げて、次に反証を挙げるべきです。
[…] いる作品なんだけど、手放しでは絶賛できないところもあって……。 ↓ 『ビハインド・ザ・コーヴ』疑問への回答は得られたのか?(映画ネタバレなしレビュー+微ネタバレレビュー) […]
※2
反捕鯨原理教なかたですよね。