『暗殺教室〜卒業編〜』取捨選択の失敗?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『暗殺教室〜卒業編〜』取捨選択の失敗?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は暗殺教室〜卒業編〜です。

個人的お気に入り度:3/10

一言感想:羽住監督の悪いところが出まくっちゃった……

あらすじ

椚ヶ丘中学校の落ちこぼれ学級・3年E組の担任となった殺せんせーの暗殺期限が迫っていた。
文化祭などで楽しい学校生活を送る中、生徒のひとりが不穏な行動を見せて……。

昨年(2015年)に公開された映画『暗殺教室』の続編であり完結編です。

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※4月4日発売の19巻でもまだ完結しないっぽい。

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前作のレビュー↓
大切なターゲット 映画『暗殺教室』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

本作はけっこうマーケティングがうまいんじゃないかと思います。
なぜなら、前作が「前編であること」を隠していたから。

昨今では『ソロモンの偽証』や『ちはやふる』が、2部作連続公開された影響もあるのか、(高評価にもかかわらず)記録的な大コケをしています。
2部作に分かれているということは、通常の2倍の時間とお金を使わないということであり、それで観るのを躊躇する方も増えてきたのではないでしょうか(自分がそうです)。
5月、6月に連続公開される『64‐ロクヨン‐前編/後編』も大丈夫なのかと、いち映画ファンとしてとても心配になります。

一方で、映画『暗殺教室』にはタイトルにはどこにも「前編」なんて表記はなく、1本だけで完結すると観客を思い込ませました。
しかも、後編の『〜卒業編〜』は、原作マンガが「少年ジャンプ」で完結を迎えた直後という、絶好のタイミングで公開したのです。

まあ、実際の『暗殺教室』の前編では、後編への伏線残しまくり、はっきりと「To Be Continued(続く)」と表示させるなど、どうしても後編が観たくなるすげえ卑怯な方法を取っているのですが。
前後篇の映画が溢れかえっている昨今ですので、この「2部作だと思わせないけど、後編が観たくなる」商法は今後のスタンダードになるのかもしれません(なってほしくないけど)。

前作の良さが……

さてさて、前作で好きだったのは、(1)マンガでしかできないような設定をよく実写映画にした!(2)原作からの取捨選択がうまい!というところでした。
しかし今回は後編なので(1)の要素はすでに消化されています。そして(2)の要素はまったくの期待はずれでした。

何が悪いって、原作のセンチメンタルな部分が過剰にピックアップされていて、それ以外がダイジェストのようにおざなりに描いていることです。
2時間という時間の制約上、ある程度は仕方がないとは思うのですが、それにしたってこれは映画としてのバランスが悪すぎます。

そして『海猿』などの羽住英一郎監督の「感動的なシーンを長ーく描いて、さめざめと悲しい音楽を流す」という悪いところも思いっきり出てしまっています。
前作ではそうした「感動させてやる」シーンは少なめ(コメディシーンが多め)なのであまり気にならなかったのですが、今回はその比重があまりにも大きすぎるのです。

もう羽住監督の「感動させてやる!さあ泣け!」という押し付けがましが出まくっていて、ものすごく退屈であり、まったく受け入れることができなかったのです。
この後編をバランス良く仕上げるには、過去編を思い切って短くするなど、大胆な変更が必要だったのではないでしょうか。

悪役は超よかったよ!

よかったところもあります。
成宮寛貴のチキっている悪役はめっちゃハマっていました

前作の暴力教師の鷹岡を演じた高嶋政伸も最高だったので、羽住監督はイカれた悪役の演技をさせることにおいては、技量のある方なんじゃないかと思いました。
自分は観ていないですが、『劇場版MOZU』では真木よう子と香川照之の娘以外は奇人変人狂人超人のどれかに該当するらしいですし(笑)。

これらの悪人も「とにかく狂っている」という演技なので、ともすれば下手とも言えるのですけどね。
自分は突き抜けたイカれっぷりが大いに気に入りました。

そんなわけで、羽住監督の「さあ泣け」演出の多さのおかげで、どうあろうが好きになれませんでした。
一方で、物語としてはちゃんと完結している、まとまってはいるので、前作が好きだった方には十分満足ができるのかもしれません。

あとねえ……エンドロールのことに触れるのもどうかと思いますが、もういいや。役者たちの楽しそうな撮影風景をエンドロールに流すのはいい加減やめませんかね
正直うっとおしく、映画の余韻も台無しです。

また、改めて「このムチャクチャ(褒めている)で破天荒な設定のマンガをよく映画化できたなあ」とは思いました。
殺せんせーのCGは一見チャチですが、よく見ると陰影の表現などがかなり工夫されていますし、端々で実写化の努力が見えます。

現在、実写映画版『テラフォーマーズ』が予告の時点で大炎上『鋼の錬金術師』実写化の報道に不満の声が相次いでいますが、実際の映画を観なければどうなるかはわかりませんよ!

以下、思い切りネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 少しだけ原作との違いに触れています。まだ単行本化されていないところの違いはぼやかして書いていますが、未読の方はお気をつけください。

描いてくれてありがとう

今回の映画では、原作から以下のような多数の要素が削除されてしましました。

・2代目死神
・殺せんせーを殺すか助けるかを巡っての、クラス全員のサバイバルゲーム(あるのは渚とカルマの対決のみ、おかげで多くの生徒はモブキャラ化)
・渚にキスされたことを思い出して身悶えるカエデ
・暗殺と並行した受験勉強

とっても残念ですが、2時間の制約では仕方がないですね。
でも・・・これだけは「描いてくれてありがとう」と思ったところもあります。

それは、自律思考固定砲台を演じる橋本環奈が、制服のボタンを外していき、胸に表示されたデーターベースを見せるシーンです。

↓橋本環奈が胸のボタンをプチプチと外していったときの自分の気持ち
神様ありがとう!画像出展はこちら

しかし、悲しいかな、橋本環奈の胸に表示されたデータは平面であり、原作とは違ってちっとも「胸の膨らみ」が表現されていないのだ!

↓胸が真っ平らにしか表現されてなかったときの自分の気持ち
違うんだよなあ画像出展はこちら

原作の「この1年間、いっぱい機能拡張(べんきょう)しましたから」というセリフもあってほしかったですね。

ベインと化した二宮和也

変身前の殺せんせー(二宮和也)がつけているマスクが、まんま『ダークナイトライジング』のベインだったのは笑いました。
もしくは『マッドマックス 怒りのデスロード』のマックスみたいですね。

バットマン グッズ マスク ベイン ダークナイト ライジング バットマン グッズ マスク 大人用<これを嵐のニノがつけます。

そういえば、前作でも『エイリアン2』っぽいシーンがあったなあ。そういうハリウッド大作のパクリかたは結構好きです。

あと、原作と同じく、二宮君が桐谷美玲のセクシーな姿を見て鼻血を流すというシーンがあります。
映画ではなぜか桐谷美玲がミニスカサンタのコスプレに!

サンタクロース衣装 コスチューム レディース 着丈68cm<これを桐谷美玲が着てくれます。素晴らしい。

胸をはだけさせる橋本環奈といい、これは監督の趣味なんだろうな。

超大味クライマックス

クライマックスのテキトーさはちょっとひどいぞ。

・粉塵爆発をさせて、クラス全員が死んだふりをする。助けに来てくれた部隊を反対に閉じ込めて全員脱出。
・それで逃げ出してきた生徒に、烏丸先生が「俺の予想より10分遅かったな!これが最後の授業だ!」と言って、特殊部隊がわんさかいる場所に生徒みんなを行かせる
・ビッチ先生(ジヨン)が「私がおとりになってあげるわ」と言っておきながら、生徒がまだそばにいるときにロケットランチャーをぶっ放す

ロケランを持っているビッチ先生<おとりになる気がないビッチ先生

・女子中学生が特殊部隊の男に色仕掛けをしようとする
・渚(山田涼介)が向かってくる車を前に仁王立ちしている。車に乗っている男・宝条は思い切り中学生を轢こうとする
・車はほかの生徒からの狙撃により横転。山田涼介がドヤ顔をする。

あのね、女子中学生が色仕掛けをするという要素は原作からあるんだけどね、ここまで特殊部隊が厳戒態勢でいるときに使えるわけねーだろがー(原作ではTPOをわきまえています)。

ていうか原作の宝条は烏丸先生を超える化け物のはずだったのに、映画ではザコですらねーじゃねーか。

成宮寛貴、あっけなく終了

成宮寛貴演じる柳沢は異形の怪物に変身をとげるのですが、なんか殺せんせーの咆哮であっさり死んでいました
原作では「あっけなさ」をギャグとして描く上に、その前後にフォローもあったぞ。これはふざけんな。

あと、柳沢はニセの薬剤調合のデータを生徒に盗ませていたんだけど、その薬を飲んだ殺せんせーに「何も起こらなかった」というのもいかがなものかと。

いいところをあげよう

・修学旅行編を「学園祭編」に変えて、狙撃手のレッドアイを登場させていたのはよかった(彼の心情やらはおざなりになっているけど)
・ちゃんと「粉塵爆発を研究していた」、「ビッチ先生が色仕掛けをしていた」という伏線を忍ばせていた
・過去編で死神(殺せんせー)が触手で作った手で雪村先生に触れるシーンがあって本当によかった
・クライマックスでは、登場人物がさめざめと泣くような描写も意外と抑えられていた
・柳沢が変身した化け物のCGのクオリティーは高い
・なんだかんだで原作のメッセージは十分描かれている
・殺せんせーが、柳沢が「弱点」と言った生徒たちのがんばりを肯定するシーンはやはり泣ける
・最終的なオチは原作ともども大好きです

ぶん投げされた伏線

そういえば、前作では葵わかな演じるオリジナルキャラクターがいたのですが、今回は一瞬たりとも出てきていなかったですね。
まあ前作を観ていた人の8割は存在自体忘れているだろうけど、彼女は渚に「3年E組に入って生き生きしているように見える」と言っただけで終了だったんですから、もうちょっとなんかないのかよ。

ほかの「死神という名前」「カエデの正体」という伏線は回収したのに、せっかくのオリジナル要素はぶん投げですか。
プロモーションにこだわっておいて、肝心の本編がおざなりなのはやめましょうね。

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  1. > 超大味クライマックス
    どうも監督には『ぼくらの七日間戦争』を作りたかったフシが感じられるんですよね。
    「思い切り中学生を轢こうとする」とかいう辺りにそれを感じます。
    (他作品のネタバレ注意………『七日間戦争』にはテンション飛んだ校長が、立て籠もっている生徒達に対して「殺せー!」と叫ぶ場面があります。これは原作小説にはありませんが、映画上の展開としては良かったと思っています)
    で。
    大味ならば大味でも良いとは思うのです。
    でも、映画の割にはえらく規模が小さく感じてしまう。
    理由は明らかで、物語が仰々しいのに、基本的に舞台が3年E組校舎周辺だけで完結してしまっているから。修学旅行を学園祭に変更した為に、この印象はより強くなったと言えます。
    個人的には原作を無視してもいいから、修学旅行先のドタバタ劇にして映画らしくハデな展開にしても良かったように思っています。
    京都(でなくてもいいですが…)を舞台に、殺せんせーをめぐっての3年E組と防衛省他機関との攻防。想像するだけでワクワクしません?

  2. ヒナタカ氏も苦言を呈するレベルの完成度とはこれいかに…? より:

    あの大味なBvSのシナリオを受け入れた、自分のフォロワーのとある友人ですら
    今回の暗殺教室後編に関しては
    「えぇ…全体的に無いわーw」というレベルで原作のポイントがおさえられていなかったと
    おっしゃっていたのですが、成る程これは確かに酷いですね…w
    評判が良ければ観に行こうかなと思っていたのですが
    DVDが出るまで先送りにしても問題なさそうですね。。

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ヒナタカ

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