『エンジェルウォーズ』B級アクション?いやいやA級だよ!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

『エンジェルウォーズ』B級アクション?いやいやA級だよ!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はエンジェル ウォーズです。

個人的お気に入り度:9/10

一言感想:ちょー楽しい(*^ワ^*)

あらすじ

ベイビードール(エミリー・ブラウニング)は母を亡くし、血の繋がらない父親に精神病院に収監されてしまう。
そこでは人格を破壊されてしまうロボトミー手術が行われていた。さらに数日後には「相手」をしなければならない大富豪が来てしまうとの情報も得る。
彼女と4人の仲間の脱出計画が立てられる。それはファンタジー世界での戦いのはじまりでもあった・・・

いや~予想以上に素晴らしかった!
監督の趣味全開です。
自己満足と言ってもいいくらいです。
全開どころかメーター振りきれるほどの「ぼくのかんがえたかっこういいえいが」なのです。
そんなザック・スナイダー監督が大好きです。

今作の最大の見どころは、言うまでもなくそのバカバカしくも圧倒的なビジュアルとアクションシーンです。
監督が「300〈スリーハンドレッド)」でも見せたスローと早回しを組み合わせ、カメラワークがぐるんぐるん動く戦闘シーンは迫力満点。
瞬きをするのがおしいと思わせる素晴らしさです。

はじめっから「精神世界で戦う」という設定なのでなんでもアリがまかりとおります。
主人公たちの無双状態です。
彼女たちがメチャクチャな格闘シーンを見せるだけで最高に楽しいのです。

そしてストーリーのほうも個人的にはなかなかアリでした(B級アクション映画としては)。
派手なアクションだけであとはスッカスカな内容をむしろ期待していたのですが、登場人物の性格付けが入念に行われていますし、見返したくなる仕掛けも施されています。

そして待ち受ける意外な展開。
「頭空っぽで観ればいいや~」と思った方にもいいパンチをくれるでしょう。

いずれにせよ、美女たちがばっさばっさ敵を倒すのを見てハァハァするのがこの映画の正しい観かただと思います。
正しい男の子向けムービーです。良識ある大人はどん引きレベルかもしれません。

そんなわけで激しく観る人を選びそうな内容です。
終盤の展開もハッキリ好き嫌いが分かれるでしょう。
しかし予告編にビビっと来た方や、ゲーム好きな人は劇場で観ないと一生後悔すると思います。
そんな方々には太鼓判を押しておすすめです!

ps:日本語吹き替え版で観ましたが、これもなかなかハマっていました。
「ロケット」の声がすこぶる可愛いので、声優のファンの方も是非どうぞ。

ps2:音楽も文句なく格好良かった!

サントラは9曲のみの収録だそうですが、お手頃価格なのは嬉しいですね。

以下、激しくネタバレです↓

登場人物の性格

キャラクターの特徴を以下に書いてみます。

ベイビードール:
気丈。ダンスの才能がある。
ナレーター役。

スイートピー:
妹のロケットのことを案じている心やさしい女性。
「計画」に反発する常識人。気が強い。

ロケット:
純粋な性格。計画に大賛成する。

ブロンディー:
計画をばらしてしまう。後ろ手に回ることが多い。

アンバー:
気弱。だがいざとなると芯の強い女性。

ブルー:
イヤなやつ。髭。

マダム・ゴルスキー:
終盤には主人公サイドに。根はやさしい女性。

賢者:
謎の老人。「さいごにひとつ」とアドバイスする。

こんな感じ。こうして見るとずいぶんシンプルですね。
スイートピーとロケットは観る前と印象が違ってました。

よかったのは、スイートピーとロケットが姉妹であるという設定。
反発しながらも、心の中ではロケットを心配しているキャラクターが大好きでした。

見どころまとめ

オープニングは一切台詞なし、スローモーションで主人公の悲劇を見せてくれました。
これがものすごくスタイリッシュでゾクゾクしっぱなしでした。

いつファンタジー世界に行くのだろう、と思ってましたがまさかダンスのシーンからとは・・・。
ファンタジー世界でのバトルの後、「凄いダンスだった!」とベイビードールは拍手喝さいを受けます。
最後までダンスのシーンを一切見せないのもよかったです。想像が膨らみます。

ファンタジー世界は主人公ベイビードールの深層心理と思ってみてもいいでしょう。
彼女はその世界の中で、自分の身を守り、仲間とともに闘うのです。
また、自分は単純に「ファンタジー世界のみが主人公の想像」という風に考えていましたが、実際の設定は2重の入れ子構造ようです。<参考>
これについては後述。

・第1バトル
へそ出しルックのセーラー服姿になる主人公。舞台は雪の降るお寺の境内です。
賢者がいきなり「5つのアイテムを集めろ」とか言います。予告編観ていない方はポカーンだろうなあ。
どうでもいいですが、この手の「日本を勘違いしている映画」としては「唯我独尊」「動かざること山の如し(実際は漢字のみ)」などそれなりにいいことが書かれていて良かったですね。
それにしても、何故日本っぽいお寺?(監督の趣味です)
バトルはロケット砲をよけたことと、大ジャンプシーンがサイコーでした。

・第2バトル
地図を奪え。作戦は「賢者」のおじいちゃんが言う。
「ドイツ皇帝に地図を奪われるな」ということですが、どうしてそんな話に(監督の考えたストーリーだからです)
敵の弾が全然当たらない&敵側は彼女たちを追い詰めるだけで殺そうとしません。なので緊張感があんまりない(笑)
アンバーが操る2足歩行器(なぜか正面にはうさぎのイラスト)が格好良かった。

・第3バトル
ドラゴンの子どもの首を掻っ切ってクリスタルを出し、合わせて炎を作れ。
だからなぜそんな話(以下同文)。
母ドラゴンが可哀そうだったなー。
ベイビードールが振り向きざまにジャンプして炎をよける→「刀身」をじっくり見せるシーンが大興奮でした。

・第4バトル
列車から爆弾を奪い取れ。
たぶん多くの人が「ファイナルファンタジーXIII」を思い浮かべると思う。
それはともかくワンカットで次々にスローモーションから早回しへ繋げるダイナミックなカメラワークが素晴らしかった!
そして唯一の失敗ミッション。一瞬現実世界に戻り、内容をシンクロさせているのも上手かったですね。

気になったこと

精神病院は「娼館」でもあります。ロケットがそれを受け入れているように、微笑みながら語っているのが切ないです。
しかしそれを回転するベッドで表現するのには驚きました・・いろんな意味で。

*これに関してコメントをいただきました
> 実際の世界が精神病院、娼館は現実逃避で作り上げた世界です。(ブルーの髭の有無からも分かるように) そして現実世界で受けた性的虐待が、
> ・現実逃避→娼館におけるダンス
> ・さらなる現実逃避→戦闘シーン
> だと思います。

終盤、計画が完全にばれてしまいます。
ブルーはボードに書いてあった「ナイフ」がチェックされているのを見て「消すのが早すぎたようだな」と言います。

しかし……ブルーを机の下に隠してあったナイフで刺すベイビードール。これはいつ入れられたものだったのでしょうか?おそらくアンバーの仕業ではないかと思います。
この状況で、それができたのは彼女だけのように思えます。

何故ベイビードールはロボトミー手術を受け入れたのか?

ちょっと残念と言えば残念なのが、悲劇的な結末でもあるのでちょっとカタルシスに乏しいこと。
スイートピーに思いを託すのは良いのですが、その後主人公がロボトミー手術をされてしまうのは哀しくて仕方がありませんでした。

冒頭に、ブルーが偽装サインをしたシーンがありました。
彼女は望んで手術を受け入れた。それは何故か?
ブルーに支配されたくなかったからでしょう。
ブルーが彼女に何を言おうが、キスをしようが彼女は何も答えない。
それこそ勝利だと言うならば、あまりにもつらい選択です。
母を失い、謝って妹を殺してしまい、自ら手術を受けて抜け殻になってしまったベイビードール。
しかし、彼女は「姉」であったスイートピーを自由したことで満足したのでしょう。

どこまでがベイビードールの深層心理?

さて、自分は複雑な構造など考えずにこの映画を見ていたのですが、実際は2重の入れ子構造のこと。
「インセプション」が「夢の中の夢」を描いたように、本作も同じような構成が考えられると思います

例えば、この映画は最後にベイビードールがロボトミー手術を受けた時を境に、きっぱりわけることができると考えたらどうでしょう。
ここから先のシーンが現実で、そこまでは回想、もしくは夢ならば?

回想の中で、ベイビードールは精神病院で仲間とともに闘ったー
これは現実にあったことだと思います。
彼女は自分のヒロイックな勇士を、ファンタジー世界でも見たかったのだと思います。
精神病院での現実がつらいからでこそ、回想(夢)の中でさらにファンタジー世界を作り上げたのでしょう。

彼女はファンタジ―世界で「賢者」という人物も作りだしました。
最後にスイートピーの前に現れたバスの運転手としての賢者は、これもベイビードールの妄想なのでしょうか。

そうかもしれませんが、自分は実際にいた人物だと信じたいです。
ただの願望なのですが、彼女の妄想の中でしかいないと思っていた人物が、現実でも仲間を助けてくれた─
悲劇的なラストで、それを望んでしまうのです。

スイートピーが、劇としてロボトミー手術を演じたのはなぜ?

序盤のシーンでそれを演じていたスイートピーは「こんなのやめやめ」と言い、中断させます。
映画全体が「夢」もしくは「妄想」と考えるならば、これはベイビードールが危うく現実に戻されそうになったシーンなのではないのでしょうか。
現実で何かがあると、それに則したような夢を見るときがありますよね?それです。

ベイビードールは精神病院のことを夢見ていた。
寝ているままベイビードールはロボトミー手術を受けそうになった→だから夢の中でもロボトミー手術を受けそうになった→でも、夢の中でスイートピーがそれを拒否したのです。
現実ではベイビードールに助けてもらったスイートピーが、夢の中でベイビードールを救ったのかもしれないのです

夢と言うのはあくまで本人が見るもので、他者の介入はされないものです。
しかし、それでも、結局先延ばしにしかならなかったとしても、スイートピーの意思がベイビードールにもう少し夢を見させてくれたのでは・・と考えたい、そうであってほしいと願います。

メッセージ

最後のナレーションでの言葉は
「これは誰の物語?支配するのは?それはあなた。必要なものは全てそろっている、鎖を切って」

この映画は自己犠牲とともに「自由であること」の追求もテーマになっています。
自分の人生を思い返してみたら、どうだ?
お前の世界は自由か?
解き放つことで(犠牲も払うかもしれないが)得られるものもあるんじゃないか?
そう言われているような気がします。

あと、エンドロールで楽しそうに踊るブルー(似てる人かもしれないけど)をぶん殴りたくなった
映像自体はゴージャスで、結末のやるせなさを緩和してくれたのですけどね。

ちなみに原題の「Sucker Punch」とは「不意の一発」の意です。
監督が趣味丸出しでお金を使いまくってこんな映画を作っちゃった!というのがまさに不意打ちに思えます。

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  1. パンゲア より:

    どうも、はじめまして。
    感想を拝見させてもらったら、
    この前観た時に感じた疑問やモヤモヤ感が
    すっきりしたような気がしました。
    もっと細かく観たらいろいろ解釈できそうですね!

  2. ヒナタカ より:

    コメントありがとうございます。
    もっとおバカな内容だと思っていたのですが、確かにすっきりしない映画ではありましたね。
    結構細かい描写が多いので、見返したらまた違った魅力を発見できそうです。

  3. キンギョ より:

    今日見てきました!!
    エミリー・ブラウニングがヤバいかわいかった!!
    みんなの感想聞きたくて探してたら見つけました。
    サインの偽装はブルーだと思いますょ。
    冒頭の継父との会話からお金をもらって仕組んだようです。
    娼館も妄想で、精神病院が現実世界だと思いますが、三人の少女が現実世界ではどのように死んでしまったのか謎… 妄想と同じようにブルーに撃たれたのかなーとか…
    とにかく、ハッピーエンドじゃないのが悲しいです。

  4. ヒナタカ より:

    こんばんは!
    エミリー・ブラウニングは「かっこかわいい」感じで大好きになりました。
    >サインの偽装はブルーだと思いますょ。
    >冒頭の継父との会話からお金をもらって仕組んだようです。
    そうだった!冒頭にそのシーンがありましたね。
    修正しておきます。ありがとうございます。
    確かにもう少しハッピーエンドだと嬉しかったかもしれないです。
    主人公にとっては・・・と考えても、それでも、な作品でした。

  5. SAKURA より:

    私には、「ナンジャこれは!」の世界でした。
    レープしかかった義理の父に対する復習のための「自由獲得」かと思ってみていたら、なんだか判らない結末だったもんね!と云う思いからです。
    予告編を何度も見たので、かってに、ストーリを構築してしまったせいかもしれません。
    VSFXと云うのですか、もう直に、死んだ役者さんも動かせるかもしれませんなあ(年寄りの感想です)

  6. ヒナタカ より:

    この映画に「なんだこれ」はほめ言葉だと思います(笑)

  7. 匿名 より:

    この映画の構造は三層構造です。
    >精神病院は「娼館」でもあります。
    実際の世界が精神病院、娼館は現実逃避で作り上げた世界です。(ブルーの髭の有無からも分かるように) そして現実世界で受けた性的虐待が、
    ・現実逃避→娼館におけるダンス
    ・さらなる現実逃避→戦闘シーン
    だと思います。謎の老人は本作冒頭にヒントがあるように「天使」だと。

  8. ヒナタカ より:

    コメントありがとうございます。
    > 実際の世界が精神病院、娼館は現実逃避で作り上げた世界です。(ブルーの髭の有無からも分かるように) そして現実世界で受けた性的虐待が、
    > ・現実逃避→娼館におけるダンス
    > ・さらなる現実逃避→戦闘シーン
    > だと思います。謎の老人は本作冒頭にヒントがあるように「天使」だと。
    !!ブルーのヒゲの有無には気づきませんでした。
    おもしろい考察なので、是非本文にも追記させていただきます。

  9. 匿名 より:

    今日、たまたま地上波でこの映画を放映していたので一言。
    性的虐待とありますがそれだけでは無いのかなと思いました。
    妄想世界(娼館)で起きた火災や刺傷事件などが
    現実世界でも起きていることから、彼女達は現実に何かしら
    道具を入手しています。
    当然、現実世界である精神病院でも簡単に道具は入手できません。
    では、どのようにして入手したかと言うと…、
    おそらくは意図的に性的奉仕をしている隙に盗んだのではないでしょうか?
    道具入手時に必ずダンスシーンがはさまり、その際、盗まれた相手が我を忘れていることから、ダンスシーン=性的奉仕の暗喩だと思いました。

  10. Kaiden より:

    That’s really shdwer! Good to see the logic set out so well.

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著者

ヒナタカ

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