
映画『47 RONIN ローニン』侍の忠義とは?(ネタバレなし解説+ネタバレ感想)
今日の映画感想は「47RONIN」です。
個人的評価:5/10
一言感想:武士道ありまくりファンタジー
あらすじ
大石(真田広之)率いる赤穂の侍たちは、吉良(浅野忠信)と悪女・ミヅキ(菊地凛子)のたくらみによって主君を殺され、城を追い出され浪人の身へと堕ちてしまう。
1年ののち牢から出された大石は、はぐれ者の青年・カイ(キアヌ・リーヴス)のもとへとかけつけ、吉良に仇討ちををする計画をたてるのだが・・・
脚本を担当しているのが「スノーホワイト」「ドライヴ」のホセイン・アミニということで全く期待していませんでしたが・・・いやいや、思いのほか楽しかったです。
本作のモチーフとなっているのは忠臣蔵です。
47という数字は赤穂浪士である四十七士がもととなっていますし、大石内蔵助や吉良家などの人名も登場します。
さらには忠臣蔵で最も有名な元禄赤穂事件も本作で描かれることになります。
具体的にどういうかたちで忠臣蔵の展開が登場するかは、ぜひ映画を観て確認していただきたいところです。
忠臣蔵をより知っているほど、「こう来たか!」と驚けるのではないでしょうか。まあ、実際はもとの忠臣蔵がほとんど関係なくなっていって脱力するかもしれませんが。
本作は日本を舞台にしながらも、ファンタジー要素が大いに入っています。
妖術といったことばや架空の人物が出てきますし、ときには「ロード・オブ・ザ・リング」のような画が出てきます。
日本と言う舞台に物の怪が登場する画を見て「もののけ姫」を連想する方も多いことでしょう。
ここは「こんなの忠臣蔵とは認めないぞ!」「忠臣蔵がなんでファンタジーになるんだよ!」などと怒らずに、「こんな変な忠臣蔵もアリだなあ」と思わなければ損です。
広い心を持てば、きっと楽しむことができるでしょう。
難点は、目新しさがあまりないことです。
画は前述のとおりいままでのファンタジー映画で観たようなものが多くありますし、仲間を集めて敵に一矢報いるという物語も「七人の侍」「十三人の刺客」などで描かれたことです(ついでに菊千代っぽいキャラもいます)。
CGで作られた化け物や舞台も、予告編で観た以上の驚きは感じられません。
これまでにファンタジー映画は量産されてきているので、これからはもっと革新的な、誰も観たことのないような画が求められるのかもしれません。
しかし、この映画ならでは特徴もあります。
それは「武士道」に最大級のリスペクトを捧げていることです。
日本の武士は忠義を尽くし、ときには死をいとわない覚悟も見せます。
その価値観は日本の武士ならではのものであり、本作はそれを物語の大きなファクターとしているのです。
「ラスト サムライ」で描かれたような(外国人から見た)武士の姿が気に入った方であれば、本作の登場人物の行動と覚悟に、きっと感銘を受けることと思います。
豪華キャストも魅力のひとつで、キアヌ・リーブス、真田広之、浅野忠信など国際的に活躍する俳優が多く出演しています。
真田広之は「ウルヴァリン:SAMURAI」ではかなり残念な役柄でしたが、今回は大活躍するのでファンも溜飲を下げることができるでしょう。
本作がハリウッドデビューとなる柴咲コウ、悪女を演じた菊地凛子もさすがの存在感でした。
赤西仁の活躍を期待する方も多いでしょうが、出番は少なめで感情表現が乏しい役なので、ちょっと肩すかしに感じるかもしれません。
ちなみに日本語吹き替え版は、主要な登場人物はキアヌを除き役者本人が吹き替えています。
日本を舞台としている映画ですので、吹き替え版で観た方がより違和感なく、集中して観ることができるのではないでしょうか。
2Dで観ましたが、それほど3Dで観たいと思える画はなかったので、本作は色鮮やかな世界観を堪能できる2Dのほうがよいかもしれません。
劇場によってはリピーター割引をしているところもあるので、2D字幕、2D吹き替え、3D字幕、3D吹き替えというすべてのバージョンを網羅しやすいですよ(そんな人はいない)。
ちなみに、本作はときおり重大なツッコミどころが顔を出します。
これも含めて楽しんでしまうのがよいでしょう。
本作は大真面目な作風ですが、ちょっとトホホなところがあるのもまた愛らしくあります。
「スノーホワイト」のツッコミどころは許せませんでしたが、これくらいなら許容範囲です。
それほど完成度が高い訳ではない……というか明らかな失敗作とは思うんですが、個人的には娯楽映画としては十分に合格点です。
忠臣蔵を知らなくても楽しめますし、一滴も血が出ないのでお子様でも安心でしょう(ただし首が斬られる描写があるのでご注意を)。
「キル・ビル」のようなトンデモ・ジャパンを期待する方にもおすすめです。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
(C)Universal Pictures
おすすめ↓
「唖然の大珍品 ! ! 健闘す。」 47RONIN/ユーザーレビュー – Yahoo!映画
「エキゾチック・ジャパーン~☆」 47RONIN/ユーザーレビュー – Yahoo!映画

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龍との戦いの止めは、あの意味ありげに渡された小太刀の”バショウ”かと思ってましたが・・・
それにしてもあのコスチュームは、中国ですね。
> 龍との戦いの止めは、あの意味ありげに渡された小太刀の”バショウ”かと思ってましたが・・・
そのとおりだと思います、訂正させてください。
>大石とカイたちは赤穂の浪人たちと再会します。どうやって場所を知ったの?偶然じゃないよな。
大石がカイを探しに行く前に主税に浪人たちを集めておけと場所も指示していました。
> >大石とカイたちは赤穂の浪人たちと再会します。どうやって場所を知ったの?偶然じゃないよな。
>
> 大石がカイを探しに行く前に主税に浪人たちを集めておけと場所も指示していました。
失念していました、訂正します。
期待を裏切らないアメリカンな方々により「オレ達の愛するニッポン!」でした。突っ込み所すら呆れることなく愛しかったです。
これは元禄赤穂事件が起こった18世紀当時の欧米が漠然と抱いていた日本というか東洋のイメージを下にした世界観で作ったのではないでしょうか。貿易の旅から帰ったイギリス人の父が幼い子に語った旅先で聞いたお話・・・とかにすればもっと説得力があったかと思います。
江戸時代当時の日本人の欧米人への感情と扱い、処刑と切腹の違い、47士は46人だった(切腹時に46人しかいなかった)という説を生かした主税の生存、天狗に育てられた子、傾国の狐、出島、仇討を成し遂げた後の四七士と21世紀の日本人が彼らをどう想っているかのモノローグ・・・こういうのは本気で日本が好きで、興味と憧れを持っていないと描けないと思います。
それでも悪意と敬意の違いが解らない人は、この国の本屋(特に乙女な方々御用達のお店・・・)かゲーム屋かビデオ屋に行けば、孔明先生が目からビームを出したりとか、本作と同じかもっと酷い諸外国の歴史、文化、偉人達への侮辱行為の山へお目にかかれることでしょう。同胞が仕出かした数え切れない無礼を恥じて謝罪と賠償でもしたら如何でしょうか。
・・・個人的に。
>御前試合
>黒い剣士
主君の名誉の為に代理で出場して結局恥を晒しちゃう塊に拍子抜けしました。せめて勝ってよ・・・。しかも彼を負かした黒い剣士はリベンジマッチも無く、正体不明のまま爆死とか、等身大ポップまで作られてたのに不遇過ぎる扱いでしたね。
>長崎の出島
ここは出島を南蛮人の巣窟という噂でしか知らない、当時の関東辺りの人達のイメージでしょうか。
>湖でセクシーな裸体を見せたぶよぶよおっさん
劇場に欧米人らしいダブルカップルがいらしたのですが、なぜかこのシーンで大爆笑されていました・・・。鑑賞後にロビーで見かけた時はとても楽しそうに談笑されていたので作品自体も楽しめたようで何よりですが、あの爆笑の理由を聞いて見たかったです。