R25+くらいでいいよ「冷たい熱帯魚」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

R25+くらいでいいよ「冷たい熱帯魚」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は冷たい熱帯魚(R18+指定なのでクリック注意)です。

個人的お気に入り度:9/10

一言感想:全てにおいて容赦なしの凄まじさ

あらすじ

静岡県の熱帯魚店を経営する男:社本(吹越満)の娘:美津子が万引きで捕まる。
駆けつけた社本とその妻:妙子(神楽坂恵)は万引き現場を仲裁をする男・村田(でんでん)と出会う。
村田は社本と同じく熱帯魚店を営む男。彼の店へと案内されるのだが・・・

「愛のむきだし」「自殺サークル」の園子温監督の最新作です。
これは本当にすごい。けど人に薦められない
こんなんオススメしたら人格疑われちゃうって!

エロいです。
グロいです。
どれくらいグロいかと言うと、見た後はユッケが食べれなくなるくらいです。
DVDで観ていたら「その」シーンを絶対に早送りにしてごまかしていたと思う。

本作はR18+指定ですが、成人のグロ描写になれている方でもキツいと思う。
極限なまでのゴア描写につけくわえ、提言していることもそうとうにヤバい。

話も画もすごいんですがこの映画で真に優れているのは役者の演技です。
特に「でんでん」さんはこのさき顔を見ることもできなくなりそうなくらいの怪演。
これを観るだけでお金を払うがあります。
彼がこの映画ではしゃべりまくり、他を圧倒しまくり。
映画の3割くらいはこの人のしゃべっているシーンじゃないかと思うほど。
エログロなシーンがなくても彼の言動だけで18禁になりそうです。

もうとにかく「勘弁してくれ」と思えるくらい凄惨な作品ですが、(変態さんばっかり出てくるので)笑ってしまうようなシーンもあります。
倫理的に笑っちゃダメなんじゃとも思うし、笑っている自分が恐くもなります
ともかく色んな感情がむきだしになる傑作です
エログロだけで終わってもいなく、しっかりとしたメッセージも込められています。

2時間36分があっという間。
そんじょそこらの残酷描写じゃ満足しない、エグい映画を観たい方は必見!

こういう人は観ない方がいい!

ただし
・登場人物に感情移入したい人
・映画のストーリーに救いを求めている人
・猟奇的な表現が苦手な人
冗談抜きで観ないほうがいいでしょう。

それと・・この映画を観終わったとき、自分はどこかスッキリした気分にもなりました。
それは「地獄から生還した」ような解放感なのかもしれませんが、おそらくは人間の嫌~な面を惜しげもなく描いてくれたので、人間の心の隅から隅まで覗けたような満足感が得られたんだと思います。

意外と、精神が病んでいるときにも効く作品かもしれません(責任は持てませんが)。
「こういうことに巻き込まれない自分は幸せだ」とも思えるからね。

以下、ネタバレです↓

・この映画のモチーフとなる埼玉愛犬家連続殺人事件が、このページを見ると結構内容と一致しているから恐い
「ボディーを透明に」なんてそのまんまじゃないか!

・オープニングからヤバい。「based on the true story」の字幕に合わせて冷凍食品の食事を狂ったように用意する妻。
この映像だけで園子温監督の映画なんだな、と認識。ものすごい映像パワーです。

・熱帯魚店「アマゾンゴールド」で働く女性たちの衣装。
このタンクトップ姿は・・・これも園子温さんらしいなあ。あと山小屋のマリア像その他もね。

・黒沢あすかさんと渡辺哲の変態セックスシーンを見る、部下の大久保君。
彼がすんごく楽しそうに見ていたので萌えました。可愛いよね。

・劇中3回も繰り返される「解体」シーンですが、本当に吐くかと思った
とくに村田が「首を見せるシーン」、黒沢あすかさんの言う「ちんちん」はヤバい。

・「でんでん」演じる村田の持論。
殺人鬼が言うことなんで、これに揺さぶられてはいけないのでしょうが、彼の言う「俺はやりたいことをやっている!」というのは説得力があります。
殺人はしてはいけませんが、「やりたいことをやれない」人たちへのメッセージでもあると受け取れます。

・殺人鬼の言いなり、なすがままだった主人公・社本は豹変する。
この映画のすさまじさを一番感じるのがここ。その後の彼の姿は痛々しい・・
娘を連れだし無理やりに3人で食事をする、しかも娘を殴り、妻を襲う。
全然共感できないですが、彼はこれで「痛み」を知ったのでしょう。
実際は崩壊していた家族。しかし彼は、それにもすがりたかった。

・最後のほうの黒沢あすかさんは、なんかのりうつってんじゃないかと思うくらいの体当たり演技。
すさまじかった・・・血まみれ、その辺には肉片だらけの場所でファイト・・。
「嫌われ松子の一生」でも存在感がありましたが、今回のインパクトはそれ以上。
「ほらぁ”もっと声出してぇ」もよかったですね。

・ちょっと残念だったのが、ヤクザの連中のその後や、熱帯魚店で働く女性たち(一人は社本に近づき自己紹介までしたのに)のバックボーンが語られていなかったこと。
これは上映時間2時間半じゃ無理だろうな・・「愛のむきだし」みたいに4時間にしたりするのは厳しかったのでしょう。
またヤクザの吉田さんが、社本が部屋の外に出ていたときに村田に説得され、笑っていたのも不可解。
あんだけ不信感を持っていたのになぜ?この辺はカットされたシーンがあるのかもしれません。
佐藤秀の徒然幻視録:冷たい熱帯魚←自分が気付かなかったつっこみもされています。<ネタバレ注意>

<ここからラストのネタバレ注意>

主人公:社本は死を選びました。「人生は痛んだよ!」と訴えます。しかしそんな社本を観て娘はこう言うのです。
「やっと死にやがったか、クソジジイ」
あんだけズタボロになった主人公の言葉を、娘は粉々に砕きました。

そしてラストのまあるく写っている地球。
プラネタリウムに通っていた社本は、「地球は丸い」という当たり前のことも信じたかったのでしょう。
でも観客は、社本が信じていたことも壊れたことを知っています。

だから、この映画は残酷なんです。
生半可な希望は、絶望よりもタチが悪いと言います。
社本は間違った希望にすがっていました。

ここの記事で監督はこう言っています。
「日本映画で希望を持たせるようなエンディングの作品を見るとガッカリする。気分が悪くなる。”人生捨てたもんじゃないよ”と変に救いを持たせるより、”愛とか希望なんかあるかよ、そんなものにこだわらずに生きてみろよ”とハッキリ言ったほうがボクはすっきりする。」

この映画では愛も希望もないです。
「愛とか希望とかそんなもんにすがるよりも、自分ででどうにかしろ!」と言われてます。
これは連続殺人鬼の話でもあるとともに、救いを求めている人たちの物語でもあるのでしょうね。

その「救い」を粉々に打ち砕く監督!やっぱり容赦がないぞ!
(倫理的には)最低だけど、(心を揺さぶるエンタメとしては)最高な映画でした。

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  1. Nightwalker より:

    脚本的には明らかに笑わせてる所なんですが、その前の脈絡から、笑えるようにも取れるし、あまりにもクレイジーで笑うに笑えないような、微妙な感じでしたね。
    確かにおっしゃってる様に逃避で笑わざるを得なかったのかもしれません。
    日本の作品って音楽にしても映画にしても大抵綺麗ごとを並べますよね。ワタクシもそういうのが大っ嫌いなので、今回は人格を疑われようとも100%この作品をリスペクトしようと思いました。

  2. hideki より:

    伝わったメッセージを教えて‼
    僕は話を消化するので精一杯でした‼

  3. ヒナタカ より:

    こんばんは。
    この殺人鬼が言っている「やりたいことをやれ」というのがそのままメッセージだと思ったのです。
    「やりたいことは、たとえ反社会的でも、倫理的に間違っても、やってやる」
    ある意味、でんでん演じる殺人鬼はポリシーを持ち、欲望のまま行動している人間ですので。
    自分も話を消化すると言うよりも・・・観た後はしばらく落ち込みまくっていました。
    人の心を変えかねない、劇薬のような映画です。納得の18禁映画です。

  4. 日下部 より:

    はじめまして、
    この映画のレビューを探して
    たどり着きました。
    いや~半端じゃ無かったですね。
    確かに、説得力があるというか
    でんでんさんにも愛着が湧くのが不思議です。
    殺人鬼よりみつこちゃんののほうが
    最低だなと思ってしまいました^^;

  5. ヒナタカ より:

    コメントありがとうございます。
    > 確かに、説得力があるというか
    > でんでんさんにも愛着が湧くのが不思議です。
    この殺人器の論理に共感してしまいそうになるのが、個人的には怖かったです・・・
    > 殺人鬼よりみつこちゃんののほうが
    > 最低だなと思ってしまいました^^;
    万引きの上に最後のあの一言ですからね・・・
    崩壊した家族のことを思うと、同条の余地があるようにも思えますが、それでも、なひどさでした。

  6. ニッパー より:

    はじめまして[i:63893]
    映画は今日はじめて観ましたが、あなたのレビュー(感覚)に凄く
    「オレが言いたかったのに!!(笑)」
    がいっぱいwww
    あなたの( )とそれ以外の感情の揺さぶられ方こそ、映画の楽しい見方のような気がします[i:63893]!
    いいレビューありがとう[i:63913]

  7. 白影 より:

    初めまして^^
    生ったるい勧善懲悪はつまらないので、こういう話を求めてました(笑)
    最初女子高生連続自殺事件映画から始まり、紀子の食卓を見て、その後熱帯魚。
    すっかり園監督にハマりました(笑)
    監督さんの言いたい事。訴えいた事が今回は凄く分かりやすくって良かったです。
    紀子の話も良かったですけど、個人的に共感を覚えたのはでんでんさん演じる殺人鬼の台詞。
    そして、主人公の
    「人生は痛いんだよ!」が僕にとって感じましたね。
    いいレビュー有難うございましたm(_ _)m
    次は地獄でなぜ悪いが見たいですw

  8. to.mio より:

    初めまして、ヒタナカさん。
    ブログのお引っ越し大変ご苦労さまです!

    昔のブログにあれですが最後のみつこちゃんの台詞について引っかかるものがありましたので、少しだけ失礼いたします。

    最後の言葉はお父さんにとっては
    大変辛い言葉ではありますが、
    自分はむしろ彼女の目線では当然だと
    最後まで自分を裏切った父への、愛の言葉
    (愛して欲しかったという魂の苦言のような…)に感じ、
    あの言葉、そして行動に
    胸を締め付けられる気持ちになりました。

    お母さんが死んで新しく来た方は
    自分のお母さん、家族としての母ではなく
    お父さんの奥さん。女性のままの義母。

    微妙な関係のまま冷え切った生活に
    万引きをしたという失敗から厄介払いされ、
    説明もなく、連れ戻され、
    自分の目のまえで義母をレイプ。
    (レイプとは思わず、自分をついに無視して行為に及んでいるととった可能性も)

    最後には、
    また一方的な説教をして死んでしまう。

    みつこちゃんからすれば、
    お母さんが死んでからずっと孤独と距離を感じ
    その上、死。という、永遠に振り向いて貰えない修復の出来ない結末。

    自分からやはり逃げるのかと、
    悲しみと通り越して笑えてくるような怒りが画面からビシビシと感じ、
    見た時に一緒に泣いてしまいました。

    願わくば全て知った後、
    大人になった時、いつか
    お父さんの気持ちがほんの少しでも届き
    また、自分の人生を勝ち取って貰いたいなと
    映画の中の事ですが祈る気持ちでした。

    いつもブログ楽しみにしております。
    引っ越しのタイミングでたまたま又こちらのブログを拝見し、
    作品に思い入れがあった事、思い出したので
    書かせていただきました。ありがとうございました。

  9. Carbon より:

    初めまして
    僕はあんまり映画の感想を文字に書き起こすのが好きではないのですが、この映画はどっかに書き残しておきたいと思います。
    この映画を観た直後にこの映画の主張はなんなのかを考え、ネットでもレビューを見ました(本来見ないのですが、今回は不安になって)
    その中の1つに「この作品のメッセージは『親が子に一度でも舐められたら終わり』だ」というのがありました。確かにわかる気もするけど、僕が最初に思ったメッセージは「親の狂気や不幸は子に伝染してしまう」だと思いましたね。きっと村田の親も狂気と不幸を持っていたのでしょう。
    どちらにしろテーマは「親と子」だと思います。
    村田の「俺を父親だと思って殴れ!」とその後泣いてすがりつく社本が印象的で、あぁもう社本はこいつの子供になってしまったんだなと思い絶望を感じました。
    最後のみつこも社本の狂気と不幸を受け継いでしまいました。
    その呪縛から彼女が解放されればいいなと思います。

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ヒナタカ

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