
復讐の是非 「スター・トレック イントゥ・ダークネス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「スター・トレック イントゥ・ダークネス」です。
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:意外と規模小さめな人間ドラマ?
あらすじ
宇宙暦2259年、「USSエンタープライズ号」の船長・カーク(クリス・パイン)は、未知の惑星の探索している最中、火山の爆発を予期する。
カークはルール違反を犯してまで原住民と副長・スポック(ザカリー・クイント)を救おうと試みるが、後のスポックの報告により船長を解任されてしまう。
同じ頃、ロンドンの宇宙艦隊データ基地が何者かによって破壊される。
その犯人の名はジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)。その魔の手はカークの目の前にまで伸びていて・・・
2009年に公開された「スター・トレック」の4年ぶりの新作です。
元は有名なSFテレビドラマシリーズですが、仕切り直しされたこの新シリーズは旧作品を全く観ていなくても問題ないつくりになっています(自分も観たことがありませんでした)。
もちろん旧作のファンへのサービスを忘れておらず、テレビドラマ版と同じ名前の登場人物が活躍したりします。
前作から新規の乗組員も増えており、スター・トレックのファンであれば、思い入れのあるキャラクターの描写をより楽しめるでしょう。
そして本作は前作の正統的な続編です。
物語は完全に独立しているのですが、前作を観ているとニヤッとしてしまう台詞、前作を知らないと頭に「?」が出てきてしまうシーンもあります。
本作は確実に前作を観ておいたほうが楽しめるでしょう。
さて、本作は一見ハリウッド超大作にして、壮大なスペース・オペラを思わせますが・・・意外とそんなこともないです。
男の子心をくすぐる「宇宙をまたにかけた大冒険」だとか「人類が滅亡の危機に」だとか「宇宙での大戦争」などの展開がほぼありません。
むしろ本作で焦点が当たっているのは、愛憎渦巻く人間ドラマです。
描かれているのは主人公・カークと相棒・スポックの友情だったり、スポックの恋人のウフーラの不満だったり、敵のハリソンが悪になった理由だったりします。
そんなわけで本作の宣伝は、少々的外れと言わざるを得ません。
予告編で言っている「愛するものを守るため、人類は何を犠牲にするのか」
キャッチコピーの「人類最大の弱点は、愛だ。」
は本編にそぐわないものです。
サブタイトルの「イントゥ・ダークネス」の印象も全くないしなあ・・・
悪役のベネディクト・カンバーバッチは素晴らしい存在感で観る者を圧倒します。
しかし、「ダークナイト」の「ジョーカー」のようなカリスマ性抜群のキャラとはちょっと違うので、不満に思う方が多いかもしれません。
話のスケールが小さいことと、日本の宣伝が間違っていることを置いておけば、本作は面白い映画です。
人間ドラマで特に特に好きだったのは、猪突猛進で自分を省みない船長・カークと、論理性を重んじる副長・スポックという正反対のコンビによる確執でした。
スポックは普段はクールぶっていますが、ごくまれにカークにデレデレになります。
つまりスポックは「クーデレ」です。これがめっちゃ可愛いのです。
彼らの友情は厚いを通り越してやおい臭がするくらいなので、その趣味の人も大いに気にいるのではないでしょうか。
そしてアクションも大作にふさわしく大盤振る舞いです。
自分は2D字幕版で観ましたが、3Dを意識した画、高低差があるアクションが満載なので、3Dのほうが確実に楽しめるでしょう。
ちなみに挿入楽曲としてきゃりーぱみゅぱみゅが参加していたりします。
「シュガーラッシュ」のAKB48もそうでしたが、こうして海外の大々的に公開されている作品に、日本のアーティストが参加しているのは嬉しく思います。
かなり会話シーンが多めで、敵味方の攻防は少し複雑です。
お子様には、ちょっと退屈なのではないかと思われます。
これは人間ドラマを期待するオトナにこそオススメといえるでしょう。
個人的には総じて前作のほうが好みではありましたが、前作を気に入った方、スター・トレックファンの方にはぜひオススメします。
エンドロール後のオマケはありませんよ。
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> 男の子心をくすぐるスペース・オペラに非ず
それは『キャプテンハーロック』に取っておけ、ということですね先生。
> 友情を通り越してやおい臭がするくらい
それもハーロック(というか松本零士ワールド)のほうが上だろうなぁ…。(^^;;;
(そして冬の祭典ではハーロックの薄い本が出まわるんだろうなぁw)
ちなみに、旧作(というかパラレルワールド?)のスタートレックだと、同じような展開でスポックがコアを治すために被爆して亡くなってしまっているんですよね。「お前でもそうしただろう?」という言葉にはニヤリとしてしまいます。
最近、アメリカ映画を見る機会が多く、見れば見るほど、彼らの行動の独善性が気になってきました。
初めの方の、カーターの行動を見て、今のアメリカをたとえているのか?と感じました。
カーターは、「未熟だと」指摘されてます。
そんなこんなで、あのクラッシュするシーンでは、9-11を思い出しました。
それにしても,SETが凄い割には、ギャグ?に近い話がいっぱい詰まってましたね。
60年代の壊れたTVじゃあるまいし、蹴っ飛ばしたら・・
宇宙空間の移動がダイビング?
ワープの最中に、攻撃ができる?
アメリカのシリーズ物は、惜しげもなく使えそうなキャラクターを殺しますね。
それと同時に、次のキャラクターの登場!
グランド・デザインがしっかりしているんでしょうね。
スタートレック イン・トゥ・ダークネス
3Dで見るか否か。それが問題だ。
スタートレック イン・トゥ・ダークネス
(2013年 アメリカ映画)80/100点
さすがは、スピルバーグの後継とも
>ハリソンは遺伝子操作で超人として作り替えられ、さらに犯罪者にされていました。
ハリソン=カーンはマーカス提督によって遺伝子操作をされたのではなく、遺伝子操作が発達した20世紀後半(オリジナルのスタートレックが製作されたのは1960年代ですので・・・)に超人として生み出された存在です。
優性人類と呼ばれる彼らが人類を支配しようとして世界大戦を起こした挙げ句、宇宙へと追放されたというのがスタートレック世界の基本設定です。
リブート版では設定が変わっている可能性もありますが、変わった時間軸はカークやスポックの誕生あたりからの筈ですので、過去の世界観そのものは変わってないと思われます。
> ハリソン=カーンはマーカス提督によって遺伝子操作をされたのではなく、遺伝子操作が発達した20世紀後半(オリジナルのスタートレックが製作されたのは1960年代ですので・・・)に超人として生み出された存在です。
> 優性人類と呼ばれる彼らが人類を支配しようとして世界大戦を起こした挙げ句、宇宙へと追放されたというのがスタートレック世界の基本設定です。
> リブート版では設定が変わっている可能性もありますが、変わった時間軸はカークやスポックの誕生あたりからの筈ですので、過去の世界観そのものは変わってないと思われます。
最近コメント全然返していなくてごめんなさい、しかしこうした自分の勘違いや、参考になる情報は追記していきたいのでよろしくです。
本当にありがとうございます。コメントは読んでいますよ。
面白かった。ボーンズが秀逸。
次回作はやっと地球圏を出て未知なる宇宙の話になりそうですな。エンディングでもアレが流れたし。
「人類最大の弱点は、愛だ。」このコピー考えたやつは本編見てないでしょ。
カーンも愛のない冷徹な殺人マシーンと思ったら、仲間思いのテロリストでした。
コピーにつながるはなしは全く感じられなかった。
まず、最初に言いたい。
ハリソン=テロリストではない。
この作品の社会派SFとしてストーリーを要約すると次のようになる。
連邦の対外強硬派の象徴たるマーカスは、連邦が抱える内政問題の象徴たるハリソンを利用して連邦敵対国の象徴たるクリンゴンに戦争をしかけようとするが、連邦の良識ある市民の象徴であるエンターブライズによって阻止される。
ここで連邦をアメリカ、クリンゴンを中東と読み替えればもっとリアルである。
ちなみに上記のように考えればクリンゴンが攻めてこないのは当然である。それが内政干渉にあたるからだ。
しかし、そうはいっても、娯楽映画で政治的メッセージが前面にくるのはまずい。
そこで、製作関係者は、対策を打った。
プロモーションの時点から、再三にわたってハリソン=テロリストと発言したのである。
その結果、ハリソン=テロリストという思い込みでこの作品を観た人は、どこか釈然としなかったに違いない。
ラストシーンはあいまいではあるがテロ容認のようにも見えてしまう。
ほかにも、ハリソンは大きく割をくっている。
優性人類の仲間を取り戻したと思ったハリソンがエンタープライズを抹殺しようとするシーンである。
それまでハリソンに感情移入していた人は、ちょっと唐突に感じたろう。
その感覚は正しい。
実は、ここのシークエンスはスポックがとった作戦の味の悪さに観客が気づかないようにするためにある。
よく考えてほしい。
連邦の同朋がたくさん乗ったヴェンジェンスを、優性人類の同朋を助けたい一心のハリソンを騙して魚雷を起爆するなど、正義の味方がやることだろうか?
結局、このあとのカークとスポックの友情物語を、さわやかに演出するためだけにハリソンを卑劣な男に仕立てたのだといっていいだろう。
ともかく、この作品を観た人がハリソンに何らかの違和感を感じるとしたら、それは自然なことだ。
割の悪い役回りをみんなから押し付けられているのだから。
冬眠カプセルの中で安らか眠るハリソンの顔がうつるラストカット。
あれは、製作スタッフからのせめてものねぎらいだと
私は心から信じたい。
>そしてスポックは噴火直前の火山に降り立ち、「スーパー・アイスキューブ」を作動しようとするのです>>
>が・・・いきなり本作最大のツッコミどころが出てきました。
>直接火山に降りて起動しなくても、船から撃ち込めばいいじゃん!
*
スポックが火口に降り立ち、「スーパー・アイスキューブ」を現場に合わせて微調整しているらしい場面があります。
どうやら、ただ命中させるだけでは効果を発揮できないようです。
これが製作側の答えでしょう。
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